家族信託は遺留分対策に有効?!

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズです。

家族信託をした場合に信託受益権はみなし相続財産であり本来の遺産ではないから遺留分の対象にはならない、すなわち、家族信託を活用すれば遺留分対策になると思っている人もいるかもしれませんが、現状の通説だと家族信託の信託受益権も遺留分の対象となります。
なお、遺留分の対象とならないケースも存在しますのでこの辺を詳しく解説していきます。

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家族信託の信託受益権は「みなし相続財産」

家族信託における信託受益権は生命保険金と同様にみなし相続財産に該当します。
みなし相続財産とは、民法上の本来の遺産には該当しないが、相続税上、遺産とみなして相続税の対象になる財産のことです。

みなし相続財産についての詳しい解説は、みなし相続財産とは? わかりやすく徹底解説をご参照ください。

「みなし相続財産」は遺留分の対象外

みなし相続財産は、遺産ではないので遺留分の対象にはなりません。
具体例を用いて解説していきます。

被相続人 母
相続人 長男、長女
生命保険金 1,000万円(受取人長男)
不動産、預貯金 5,000万円
遺言書 すべての財産を長男に相続させる

上記具体例において長女が長男に遺留分侵害額請求を行使したとします。
その場合に遺留分侵害額の計算の基礎となる財産に生命保険金1,000万円が含まれるかどうかが論点となります。
結論としては生命保険金1,000万円は遺産ではなく長男の固有財産であるため遺留分侵害額計算上の基礎財産には含まれません。

したがって、長女は本来の遺産の5,000万円の1/4相当である1,250万円のみ受け取る権利があるのです。

遺留分についての詳しい解説は、下記コラムをご参照ください。

遺留分 わかりやすく徹底解説!
遺留分侵害額請求がされている場合の相続税申告をパターン別に徹底解説
【生前からできる相続放棄の代替案】遺留分放棄をわかりやすく解説!

なお、生命保険金がどんなケースでも遺留分の対象外となるわけではありません。
生命保険金の遺留分の対象可否については本コラムでは傍論のため詳しくは解説しませんが、過去の下記判例で遺産に占める生命保険金の割合が大きい場合等には生命保険金についても遺留分計算上の基礎財産に含めるという判断がされました。

平成17年10月27日 東京高等裁判所 遺産総額1億134万円 保険金額1億129万円
平成18年3月27日 名古屋高等裁判所 遺産総額8,423万円 保険金額5,154万円

特定の相続人等に有利になるような資産の組み換えを生前にしたとしても極端なケースでは遺留分の対象になると理解していただければと思います。

家族信託の信託受益権は遺留分の対象?!

いままで解説をまとめると下記の三段論法が成立します。

家族信託の信託受益権=みなし相続財産
みなし相続財産=遺留分の対象外
家族信託の信託受益権=遺留分の対象外

A=B
B=C
A=C
という三段論法です。

この三段論法が家族信託と遺留分で成立するかどうかです。

結論から申し上げると家族信託の信託受益権は遺留分の対象となります
すなわち、上記の三段論法が成立しないのです。

ただし、上記解釈は法令や過去の最高裁判決で確定的に決定しているものではなくあくまで通説です。

通説と言っても全く何の根拠もないかというとそうではなく、東京地裁平成30年9月12日の判決で信託受益権は遺留分の対象となる旨が判示されています。
したがって、地裁判決の裏付けのある通説ということです。
当該地裁判決では、「遺留分制度を潜脱する家族信託は公序良俗違反」であるとして家族信託の信託受益権も遺留分の対象となると判断されています。

なお、全ての家族信託の信託受益権が遺留分の対象となるわけではなく、ケースによって遺留分の対象外となる信託受益権も存在します。
これも通説のため法令や最高裁判決の後ろ盾はありませんが。。。

次の項でケースごとに家族信託の信託受益権が遺留分の対象となるのかならないのかを考察していきましょう。

家族信託が遺留分の対象となるか否かをケースごとに解説

ケース1

【相続関係】
被相続人 父
相続人 母、長男、長女

【家族信託契約内容】
委託者兼第1次受益者 父
第2次受益者 母
受託者兼第3次受益者 長男
※ 父が死亡後信託受益権は母へ、母が死亡後信託受益権は長男へ
※ 信託財産以外の財産はないものとします。

(1)長女は遺留分侵害額請求が可能か? 

可能

【解説】
具体例では長女が一切の財産を取得できないこととなっており、遺留分制度を潜脱する意図で信託制度を利用したものと認められるため公序良俗に反して無効とされる可能性が高いでしょう。
すなわち、長女は遺留分侵害額請求をすることができると考えます。

(2)誰に対して遺留分侵害額請求をするのか? 

受益者である母と長男

【解説】
母に対して遺留分侵害額を請求するのは当然ですが、第3次受益者である長男に対しても遺留分侵害額を請求することになります。
信託法では委託者兼第1次受益者である父の死亡により、第2次受益者である母と第3次受益者である長男に同時に遺贈されると考えます。
相続税上の考え方は父の死亡時には母が信託受益権をすべて取得するので長男は登場しません。
この辺が信託法と相続税のロジックが一致しなく難解なところなのです。

また、実務的に遺留分侵害額請求の行使を下記のうち誰にするのかという論点もあります。

□受益者のみ
□受託者のみ
□受益者と受託者の両方

こちらは見解が分かれていて現時点での確定的な解釈はないのですが、実務では受益者と受託者の両方に内容証明郵便により通知をしておいたほうが良いでしょう。

(3)遺留分侵害額の基礎財産に算入すべき信託受益権の算定方法は? 

確定した算定方法はない

【解説】
遺留分侵害額の基礎財産に算入すべき信託受益権をいくらで評価するかという論点がありますが、現状で確定した算定方法はありません。
信託法のロジックで考えると下記のように算定する方法が考えられるでしょう。

□母の信託受益権
父死亡から母の平均余命までの期間に応じて現在価値に割引計算した金額
□長男の信託受益権
信託財産の時価から母の信託受益権を控除して現在価値に割引計算した金額

ケース2

【相続関係】
被相続人 母
相続人 長男、長女

【家族信託契約内容】
ケース1と同様
すなわち、ケース1の二次相続ということ

(1)長女は遺留分侵害額請求が可能か? 

不可能

【解説】
長男が母から引き継ぐ受益権は一次相続のときに既に引き継いでいると考えますので母が死亡したときに長女に遺留分は存在しません。

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