国際相続 国籍についてわかりやすく徹底解説

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国際相続

国際相続の手続きする上で被相続人や相続人の国籍の判断が非常に重要となります。

国籍が日本か否かにより相続の準拠法や相続税の納税義務の判定に大きな影響を及ぼすためです。

今回は国籍の判定についてわかりやすく解説します。

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国籍とは?

国籍とは、人が特定の国の構成員であるための資格をいいます。
日本においては、国籍法にて日本国籍の取得、喪失の原因を定めています。

2以上の国籍を保有する人もいます。
そのような者を重国籍者といいます。
重国籍者についての詳細は後述します。

日本国籍の取得原因

日本国籍を取得する原因は下記の3つとなります。

(1)出生
(2)届出
(3)帰化

順番に説明していきます。

(1)出生

子が出生により日本国籍を取得するケースは下記の3つです。

①出生時に父又は母が日本国民であるとき
②出生前に死亡した父が死亡時に日本国民であったとき
③日本で生まれ、父母がともに不明のとき、又は無国籍のとき

※ 父、母とは、子の出生時に子と法律上の親子関係がある者をいいます。

外国で生まれた日本人夫婦の子の国籍

海外駐在員の夫婦などの日本人夫婦の子が外国で生まれた場合であってもその子は出生により日本国籍を取得します。
ただし、出生によって日本国籍と同時に外国の国籍も取得したときは、出生日から3ヶ月以内に「出生届出」とともに「国籍留保の届出」をしなければ、出生時に遡って日本国籍を失うこととされています。
「国籍留保の届出」は、市区町村役場又は在外公館に提出します。
この届出が受理されることにより戸籍上に国籍留保の旨が記載されます。
「国籍留保の届出」により、この子は二重国籍者となるのです。

なお、仮に「国籍留保の届出」の提出をせずに、日本国籍を喪失したとしても一定の要件を満たせば法務大臣へ届け出ることによって日本国籍を再取得することができます。
詳細は、下記(2)届出の②をご参照ください。

(2)届出

届出により日本国籍を取得するケースは下記の3つです。

①認知された子の国籍の取得
②国籍の留保をしなかった者の国籍の再取得
③その他の場合の国籍の取得

①認知された子の国籍の取得

日本人の父と外国人の母の子は、父が胎児認知している場合を除き、出生により日本国籍を取得することはありません。
しかし、次の要件を満たしている場合には、法務大臣へ届け出ることによって日本国籍を取得することができます。

□届出時に18歳未満であること。
□認知をした父が子の出生時に日本国民であること。
□認知をした父が届出時に日本国民であること。(認知をした父が死亡しているときは、その死亡の時に日本国民であったこと。)
□日本国民であった者でないこと。

②国籍の留保をしなかった者の国籍の再取得

「国籍留保の届出」の提出をせずに、日本国籍を喪失したとしても下記の要件を満たせば法務大臣へ届け出ることによって日本国籍を再取得することができます。

□届出時に18歳未満であること。
□届出時に、生活の本拠が日本にあること

③その他の場合の国籍の取得

上記①及び②のほかに、官報催告によって国籍を喪失した方の再取得等があります。

なお、上記各種届出の提出先は下記の通りです。

□日本に住所を有する人:住所地を管轄する法務局・地方法務局
□外国に住所を有する人:外国にある日本の大使館・領事館

(3)帰化

そもそも帰化とはどういう制度でしょうか?
帰化とは、日本国籍を有しない者(外国人)が日本国籍の取得を希望した場合に、国が許可を与えることによって、日本国籍を与える制度のことをいいます。

帰化が許可される条件は下記の通りです。
なお、下記を満たしたとしても必ず帰化が許可されるとは限りません。下記は帰化の最低条件だとお考えください。

①住所条件
 帰化申請時に継続して5年以上日本に住んでいること
②能力条件
 年齢が18歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人年齢に達していること
③素行条件
 素行が善良であること
 ※素行善良の判断は、犯罪歴の有無や態様、納税状況等を総合的に考慮
④生計条件
 生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけること
 ※生計を一つにする親族単位で判断
⑤重国籍防止条件
 帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失すること
 ※例外として本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合には帰化が許可されることも
⑥憲法遵守条件
 日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者でないこと

帰化の申請先は、住所地を管轄する法務局・地方法務局となります。

日本国籍の喪失原因

日本国籍を喪失する原因は下記の5つとなります。

(1)自己の志望による外国国籍の取得
(2)外国の法令による外国国籍の選択
(3)日本国籍の離脱
(4)日本国籍の不留保
(5)その他

(1)自己の志望による外国国籍の取得

自分の意思で外国国籍を取得した場合、例えば、外国に帰化をした場合等には、自動的に日本国籍を失います。

(2)外国の法令による外国国籍の選択

日本と外国の国籍を有する方が、外国の法令に従って、その外国の国籍を選択した場合には、自動的に日本国籍を失います。

(3)日本国籍の離脱

日本と外国の国籍を有する方が、法務大臣に対し、日本国籍を離脱する旨の届出をした場合には、日本国籍を失います。

(4)日本国籍の不留保

外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した子は、出生届とともに日本国籍を留保する旨を届け出なければ、その出生の時にさかのぼって日本国籍を失います。
ただし、前述の通り、一定の要件を満たせば法務大臣へ届け出ることにより日本国籍の再取得は可能です。

(5)その他

後述する重国籍者で一定の期限までに日本国籍を選択しないものに対して、法務大臣が国籍選択の催告をした場合において、その重国籍者が1ヶ月以内に日本国籍を選択しなければその者は日本国籍を失います。

重国籍

重国籍とは、2以上の国籍を保有する人のことです。

(1)重国籍になるケース

重国籍になるケースは一般的に次のようなケースです。

①日本国民である母と父系血統主義(注1)を採る国の国籍を有する父との間に生まれた子
(例:生まれたときに、母が日本国籍、父がクウェート国籍の子)

②日本国民である父又は母と父母両系血統主義(注2)を採る国の国籍を有する母又は父との間に生まれた子
(例:生まれたときに、父(又は母)が日本国籍、母(又は父)が韓国国籍の子)

③日本国民である父又は母(あるいは父母)の子として,生地主義(注3)を採る国で生まれた子
(例:生まれたときに、父母が日本国籍であり、かつ、アメリカ、カナダ、ブラジル、ペルーの領土内で生まれた子)

④外国人父からの認知、外国人との養子縁組、外国人との婚姻などによって外国の国籍を取得した日本国民
(例:生まれたときに母が日本国籍で、カナダ国籍の父から認知された子)
 
⑤国籍取得の届出によって日本の国籍を取得した後も引き続き従前の外国の国籍を保有している人

(注1)父系血統主義とは、その国の国籍を有する父の子として生まれた子に、その国の国籍を与える主義です。
(注2)父母両系血統主義とは、その国の国籍を有する父又は母の子として生まれた子に、その国の国籍を与える主義です。
(注3)生地主義とは、その国で生まれた子に、その国の国籍を与える主義です。

重国籍かどうかの判定は、法務省HP 重国籍チェックシートをご参照ください。

(2)国籍の選択

重国籍者は下記の理由から国籍を選択する必要があります。

□それぞれの国の外交保護権が衝突することにより国際的摩擦が生じるおそれがあるため
□それぞれの国において別人として登録されるため、各国において別人と婚姻するなど、身分関係に混乱が生じるおそれがあるため

①国籍の選択の期限

下記のいずれかの期限までに国籍を選択しない場合には、法務大臣から国籍選択の催告を受け、場合によっては日本国籍を失う可能性があります。

□重国籍となった時が18歳未満であるとき:20歳に達するまで
□重国籍となった時が18歳以上であるとき:重国籍になった時から2年以内

②国籍の選択の方法

国籍の洗濯の方法は以下の区分に応じ以下の通りです。

1.外国国籍を選択する方法
(1) 日本国籍の離脱
 日本と外国との重国籍者は、法務大臣に届け出ることによって、日本国籍を離脱することができます。
(2) 外国の法令による外国国籍の選択
 外国が、日本と同様な国籍選択制度を有している場合に、その外国の法令に従ってその国の国籍を選択したときは、当然に日本国籍を喪失します。

2.日本国籍を選択する方法
(1) 外国国籍の離脱
 その外国の法令に基づいてその国の国籍を離脱すれば、重国籍は解消されます。
(2) 日本国籍の選択宣言
 市区町村役場又は外国にある日本の大使館・領事館に、「日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届をすることによって行います。
 なお、この日本国籍の選択宣言をすることにより、国籍法第14条第1項の国籍選択義務は履行したことになりますが、この選択宣言により外国の国籍を当然に喪失するかについては、当該外国の制度により異なります。この選択宣言で国籍を喪失する法制ではない外国の国籍を有する方については、この選択宣言後、当該外国国籍の離脱に努めなければなりません。離脱の手続については、当該外国の政府または日本に駐在する外国の公館に御相談ください。

(3)相続税の納税義務の判定

重国籍者は相続税の納税義務の判定においては日本国籍があるものと判断されます。
相続税の納税義務の判定の詳しい解説は、国際相続における相続税の納税義務を徹底解説!をご参照ください。

アメリカ人との結婚

アメリカ人と結婚してアメリカの市民権を得た場合には日本国籍を喪失します。
日本にて喪失手続きを失念したとしても自動的に日本国籍を失います。
なお、アメリカの市民権は日本の国籍と同じ概念です。

これに対し、アメリカ人と結婚してアメリカの市民権は取得せずに永住権を取得した場合には、日本国籍のままとなります。

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この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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