相続でアポスティーユが必要な場合の取得方法を完全解説【税理士監修】

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国際相続

相続でアポスティーユが必要な場合の取得方法を完全解説【税理士監修】
10秒でわかる この記事の要約

  • アポスティーユとは、日本の公文書を海外で使用するための国際的な認証制度
  • 海外での相続手続き(プロベート等)には、戸籍謄本等へのアポスティーユが必須
  • 取得先は外務省(東京・大阪)で、郵送申請も可能
  • 費用は無料だが、事前に公証人認証が必要な書類もある
  • 取得まで通常1週間〜2週間、急ぎの場合は窓口申請で翌日〜数日

「海外の銀行から、戸籍謄本にアポスティーユを付けるように言われました。どうすればいいですか?」

海外で相続手続きを行う際、このような指示を受けて戸惑う方は少なくありません。

アポスティーユは、日本の公文書を海外で使用するために必要な認証ですが、一般の方にはなじみのない制度です。

この記事では、年間350件超の相続税申告を手がける相続専門税理士が、相続手続きにおけるアポスティーユの取得方法を徹底解説します。

なお、相続税申告でお急ぎの方はお電話、またはLINEにてお問い合わせいただけます。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

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アポスティーユとは

まず、アポスティーユの基本的な概念を理解しましょう。

アポスティーユの定義

アポスティーユ(Apostille)とは、「外国公文書の認証を不要とする条約」(ハーグ条約)に基づく国際的な認証制度です。

日本の公文書に外務省がアポスティーユを付与することで、条約加盟国では追加の認証なしに公文書として認められます。

つまり、アポスティーユは「この書類は日本の正式な公文書です」ということを国際的に証明するスタンプのようなものです。

アポスティーユの法的根拠

外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)第3条
締約国の権限のある当局が付与するアポスティーユは、文書の署名の真正、文書に署名した者の資格及び文書に押された印章又は印の同一性を証明するものとする。

この条約は1961年にハーグ国際私法会議で採択され、日本は1970年に加盟しました。

現在、120以上の国と地域がこの条約に加盟しています。

アポスティーユと領事認証の違い

海外で日本の書類を使用する方法には、アポスティーユのほかに「領事認証」があります。

両者の違いを正確に理解しておきましょう。

項目 アポスティーユ 領事認証
対象国 ハーグ条約加盟国のみ すべての国
取得先 外務省のみ 外務省→各国大使館・領事館
手続きの流れ 1ステップ 2ステップ(外務省の公印確認→領事認証)
費用 無料 大使館・領事館で有料の場合あり
期間 数日〜2週間 2週間〜1ヶ月以上

提出先の国がハーグ条約加盟国であれば、アポスティーユで足ります。領事認証は不要です。

ハーグ条約加盟国(主要国)

相続手続きでよく関係する国の加盟状況は以下の通りです。

ハーグ条約加盟国(アポスティーユ使用可)
・アメリカ(全50州)
・イギリス
・オーストラリア
・カナダ
・香港(中国の特別行政区として加盟)
・シンガポール
・韓国
・ドイツ、フランス、イタリア等EU諸国
・ニュージーランド
・フィリピン
・インド

注意:台湾、インドネシア、タイ、ベトナム等は条約未加盟のため、原則として領事認証等が必要です。
※中国本土は2023年11月7日から条約が発効しており、原則アポスティーユが利用できます(提出先要件は要確認)。

相続手続きでアポスティーユが必要になるケース

具体的にどのような場面でアポスティーユが必要になるのか、見ていきましょう。

海外でのプロベート手続き

アメリカ、イギリス、香港、シンガポールなどでプロベート(遺産管理状の取得)を行う場合、日本の戸籍謄本等の提出が求められます。

この際、書類の信頼性を証明するためにアポスティーユが必要です。

裁判所や弁護士から『apostille』とあればアポスティーユの意味です。
一方『authentication』は“認証全般”の意味で使われることもあるため、提出先が求める方式(アポスティーユ/領事認証等)を確認しましょう。

プロベートについての詳しい解説は、プロベートとは?国別の費用・期間・手続きを徹底比較【税理士解説】をご参照ください。

海外の銀行口座解約

海外の銀行口座を相続により解約する場合、相続人であることを証明するために戸籍謄本の提出を求められます。

多くの銀行がアポスティーユ付きの書類を要求します。

銀行によっては、発行から3ヶ月以内または6ヶ月以内の書類を求められることもありますので、事前に確認しておきましょう。

海外の銀行口座解約についての詳しい解説は、海外銀行口座の相続解約で失敗しない!5つの落とし穴と対策【税理士解説】をご参照ください。

海外不動産の名義変更

海外の不動産を相続する場合、現地での登記手続きに日本の書類が必要になることがあります。

国や地域によって必要書類は異なりますが、戸籍謄本や遺産分割協議書にアポスティーユを求められることが一般的です。

海外の保険金請求

海外の保険会社の生命保険金を請求する際にも、受取人であることを証明するためにアポスティーユ付きの書類が必要になることがあります。

アポスティーユが必要な書類と準備

相続手続きで必要になる主な書類

書類 用途 アポスティーユの可否
戸籍謄本 相続人の確定 直接付与可能(公文書)
除籍謄本 被相続人の死亡証明 直接付与可能(公文書)
改製原戸籍 相続人の確定(過去の戸籍) 直接付与可能(公文書)
住民票 住所証明 直接付与可能(公文書)
印鑑証明書 印鑑の真正証明 直接付与可能(公文書)
戸籍謄本の英訳 海外機関への提出 公証人認証が必要(私文書)
遺産分割協議書 遺産分割の証明 公証人認証が必要(私文書)
委任状 代理権限の証明 公証人認証が必要(私文書)
宣誓供述書 各種事実の証明 公証人認証が必要(私文書)

公文書と私文書の違い

アポスティーユは「公文書」にしか付与できません。

これは非常に重要なポイントです。

公文書(直接アポスティーユ可能)
・戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍
・住民票
・印鑑証明書
・登記事項証明書(登記簿謄本)
・納税証明書
・各種許可証・免許証

私文書(公証人認証が先に必要)
・戸籍謄本等の翻訳文
・遺産分割協議書
・委任状
・宣誓供述書
・契約書
・会社の定款

私文書にアポスティーユを付ける場合は、先に公証役場で「公証人認証」を受け、その公証人認証にアポスティーユを付与する形になります。

アポスティーユの取得手順

書類の種類によって手順が異なります。

公文書の場合(戸籍謄本等)

公文書は比較的シンプルな手順です。

STEP1:市区町村役場で戸籍謄本等を取得

STEP2:外務省にアポスティーユを申請

STEP3:アポスティーユが付与された書類を受領

私文書の場合(翻訳文、遺産分割協議書等)

私文書は、公証人認証を経る必要があるため、手順が複雑になります。

STEP1:書類を作成(翻訳、協議書等)

STEP2:公証役場で公証人認証を取得

STEP3:法務局で公証人押印証明を取得

STEP4:外務省にアポスティーユを申請

STEP5:アポスティーユが付与された書類を受領

注意:公証役場によっては、公証人認証と法務局の押印証明を同時に取得できる「ワンストップサービス」を提供している場合があります。事前に最寄りの公証役場に確認してください。

外務省でのアポスティーユ申請方法

申請先

申請先 管轄 住所
外務省 東京 東日本 東京都千代田区霞が関2-2-1 外務省南庁舎1階
外務省 大阪分室 西日本 大阪府大阪市中央区大手前4-1-76 大阪合同庁舎第4号館4階

申請方法

①窓口申請
・受付時間:9:15〜12:00、13:15〜16:00(土日祝除く)
・処理期間:翌日〜数日(混雑状況による)
・メリット:比較的早く取得できる

②郵送申請
・返信用封筒(レターパックプラス推奨)を同封
・処理期間:届いてから約1週間
・メリット:来庁不要、全国から申請可能

必要書類

・アポスティーユ申請書(外務省HPからダウンロード可能)
・アポスティーユを付ける書類の原本
・返信用封筒(郵送申請・郵送返却希望の場合)

費用

アポスティーユの取得費用は無料です。

ただし、郵送の場合は返信用封筒の切手代(レターパックプラス520円など)が必要です。

実務上の注意点

原本が必要

アポスティーユはコピーには付与できません。

戸籍謄本等の原本が必要です。

海外の複数機関に提出する場合は、必要部数を事前に取得しておきましょう。

当事務所の経験では、予備を含めて2〜3部多めに取得しておくことをお勧めしています。

有効期限に注意

アポスティーユ自体に有効期限はありませんが、戸籍謄本等の「発行日」から一定期間内のものを求められることがあります。

提出先 有効期限の目安
アメリカの裁判所 発行から6ヶ月以内
イギリスの裁判所 発行から6ヶ月以内
香港の銀行 発行から3ヶ月以内の場合あり
シンガポールの銀行 発行から3〜6ヶ月以内

提出先の要件を事前に確認してください。

翻訳の品質

戸籍謄本の英訳は、翻訳会社や行政書士に依頼するのが一般的です。

提出先によっては「認定翻訳者(certified translator)」による翻訳を求められる場合もあります。

翻訳者の資格要件について、事前に提出先に確認しておきましょう。

アポスティーユに関するQ&A

Q1:戸籍謄本の英訳にもアポスティーユが必要ですか?

A:提出先の要求によります。

多くの場合、原本(日本語の戸籍謄本)にアポスティーユを付け、英訳を添付する形で受け付けてもらえます。

ただし、英訳自体にも認証を求められる場合は、公証人認証+アポスティーユが必要です。

事前に提出先に確認してください。

Q2:アポスティーユの取得を代行してもらえますか?

A:行政書士や専門業者に代行を依頼できます。

費用は1通あたり数千円〜1万円程度が相場です。

時間がない場合や手続きが複雑な場合は、代行サービスの利用を検討してください。

Q3:アポスティーユに有効期限はありますか?

A:アポスティーユ自体に有効期限はありません。

ただし、基となる書類(戸籍謄本等)の発行日から一定期間内のものを求められることがあります(例:発行から3ヶ月以内、6ヶ月以内など)。

Q4:中国での相続手続きにはアポスティーユは使えますか?

A:使えません。領事認証が必要です。

中国はハーグ条約に加盟していないため、外務省の公印確認+中国大使館・領事館での領事認証が必要です。

台湾も同様に、台北駐日経済文化代表処での認証が必要です。

Q5:急ぎの場合、即日でアポスティーユを取得できますか?

A:即日は難しいですが、窓口申請なら翌日〜数日で取得可能です。

郵送申請は1週間程度かかるため、急ぎの場合は窓口申請をお勧めします。

ただし、混雑状況によっては数日かかることもあります。

まとめ:アポスティーユは海外相続手続きの必須ステップ

アポスティーユについて解説しました。

この記事のポイント

  • アポスティーユは日本の公文書を海外で使用するための国際認証
  • ハーグ条約加盟国(米・英・香港・シンガポール等)で有効
  • 取得先は外務省(東京・大阪)、費用は無料
  • 戸籍謄本等の公文書は直接アポスティーユ可能
  • 翻訳文等の私文書は公証人認証が先に必要
  • 書類の有効期限に注意し、余裕を持って準備する

海外での相続手続きでは、アポスティーユの取得は避けて通れないステップです。

必要な書類と部数を事前に把握し、余裕を持って準備を進めましょう。

当事務所では年間350件超の相続税申告を行っており、国際相続の実績も豊富です。

「海外で相続手続きが必要だが、何から始めればいいか分からない」
「アポスティーユの取得も含めてサポートしてほしい」

そのようなお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

初回面談は無料です。

相続でアポスティーユが必要な場合の取得方法を完全解説【税理士監修】の写真

この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属 
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は350件。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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