年金にも相続税がかかる? 種類別にわかりやすく徹底解説!

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相続税申告

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさん、こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

相続税申告でよく登場する「年金」について下記のような悩みはないでしょうか?

・相続税の対象になるの?
・死亡保険金・死亡退職金の非課税枠は使えるの?
・年金の評価はどうすればよいの?

年金と一言でいっても、国民年金、厚生年金、企業年金、退職年金、遺族年金、個人年金、未支給年金など様々なのもが存在します。

今回は、この年金について、相続税の対象になるのかどうか、非課税枠は使えるのかどうか、年金の評価方法等について徹底的に解説します。

なお、相続税申告でお急ぎの方はお電話、またはLINEにてお問い合わせいただけます。

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年金と相続税の関係を種類別に徹底解説

具体的な年金の種類別に解説していきます。

国民年金、国民年金基金、厚生年金、厚生年金基金、企業年金、企業年金基金等の未支給年金

【相続税の取扱】

 非課税

【解説】

未支給年金とは、被相続人の死亡後に遺族に支払われた被相続人がもらうべきであった公的年金のことです。
この未支給年金にも様々な種類があります。
なお、結論としてはどの種類に該当しようが相続税の対象にはなりません。

①狭義の未支給年金

狭義の未支給年金とは、年金受給者が死亡した場合に死亡月やその翌月に受け取ることができた公的年金をいいます。
例えば、年金受給権者が9月20日に死亡した場合にその者が受け取れる最後の年金は8月15日支給のものですが、8月15日支給の年金は6月分と7月分となります。
ということは、8月分と9月分が支給されないまま支給日前に亡くなったことになります。
この本来ならば死亡後の10月15日に受け取れるべき8月分と9月分が狭義の未支給年金となります。
狭義の未支給年金は遺族の一時所得に該当します。

②被相続人が請求していなかった公的年金

公的年金を受け取る権利のある人が生前に受け取っていなかった場合に、遺族が遡及して請求することがあります。
例えば、給与等の収入があった関係で年金を受け取れる年齢になったにも関わらずもらっていなかったようなケースです。
この場合には遺族が遡及して年金を請求することになりますが、死亡後に数百万円単位で未支給年金が遺族に支給されることもあります。
この未支給年金も相続財産は構成せずに遺族の一時所得となります。

②年金記録の訂正により支給を受けた公的年金

年金記録の訂正により年金の額が増加して遺族に未支給年金が支払われるケースもあります。
この未支給年金についても相続税の対象にはなりません。
支給の根拠がどの法令になるかによって下記の課税関係となります。

■国民年金法等の各公的年金の法令を根拠に支給されるもの(原則として訂正期間が5年以内のもの):遺族の一時所得
■年金時効特例法に基づき支給されるもの(5年を超えて遡って支給されるもの):非課税(

相続開始後に入金、出金された公租公課等についての詳しい解説は、相続税申告 死亡後の税金、保険料、給付金等の入出金は相続税の対象となる?を参照してください。

国民年金、厚生年金、国民年金基金、厚生年金基金等の遺族年金

【相続税の取扱】

 非課税

【解説】

国民年金、厚生年金等の受給者が死亡した場合に、その遺族に遺族年金が支給されることがあります。この遺族年金は、各種法律(国民年金法第25条等)において、「租税を課することができない」と規定されています。
したがって、相続税は非課税となります。また、遺族が毎年受け取る年金に係る所得税も非課税です。
なお、相続税、所得税ともに非課税となる遺族年金は下記法律に基づく遺族年金のみです。

■ 国民年金法
■ 厚生年金保険法
■ 恩給法
■ 旧船員保険法
■ 国家公務員共済組合法
■ 地方公務員等共済組合法
■ 私立学校教職員共済法
■ 旧農林漁業団体職員共済組合法

企業年金、企業年金基金、退職年金等の遺族年金

【相続税の取扱】

 みなし相続財産として相続税の対象

【解説】

上記に掲げる国民年金等一定の法律に基づく遺族年金はすべての租税が非課税と解説しましたが、それらに該当しない下記に掲げる企業年金等の遺族年金は本来の遺産ではありませんが、みなし相続財産として相続税の対象となります。

みなし相続財産についての詳しい解説は、みなし相続財産とは? わかりやくす徹底解説をご参照ください。

■ 確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される年金
■ 特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する制度に基づいて支給される年金
■ 適格退職年金契約に基づいて支給を受ける退職年金

死亡時期により取り扱いが異なるため下記を参照してください。

① 在職中等年金受給前に死亡
  相続税法第3条1項2号のみなし相続財産に該当し、死亡退職金非課税枠(500万円✕法定相続人の数)の適用あり
  ※ 死亡後3年以内に支給が確定した遺族年金に限ります。
② 年金受給開始後に死亡
  相続税法第3条1項6号のみなし相続財産に該当し、死亡退職金非課税枠(500万円✕法定相続人の数)の適用なし

ちなみに、遺族が毎年受け取る年金に係る所得税は非課税となります。(所得税基本通達9-2)

国民年金、厚生年金、国民年金基金、厚生年金基金等の遺族一時金

【相続税の取扱】

 非課税

【解説】

遺族一時金とは、保証期間のある終身年金につき年金受取前又は保証期間中にお亡くなりになった場合に、遺族に支払われる一時金をいいます。
遺族年金同様、下記法律に基づき支給される遺族一時金には相続税、所得税等の税金は課税されません。

■ 国民年金法
■ 厚生年金保険法
■ 恩給法
■ 旧船員保険法
■ 国家公務員共済組合法
■ 地方公務員等共済組合法
■ 私立学校教職員共済法
■ 旧農林漁業団体職員共済組合法

企業年金、企業年金基金、退職年金等の遺族一時金

【相続税の取扱】

 みなし相続財産として相続税の対象

【解説】

上記に掲げる国民年金等一定の法律に基づく遺族一時金はすべての租税が非課税と解説しましたが、それらに該当しない下記に掲げる企業年金等の遺族一時金は本来の遺産ではありませんが、みなし相続財産として相続税の対象となります。

■ 確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される遺族一時金
■ 特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する制度に基づいて支給される遺族一時金
■ 適格退職年金契約に基づいて支給を受ける遺族一時金

死亡時期により取り扱いが異なるため下記を参照してください。

① 在職中等年金受給前に死亡
  相続税法第3条1項2号のみなし相続財産に該当し、死亡退職金非課税枠(500万円✕法定相続人の数)の適用あり
② 年金受給開始後に死亡
  相続税法第3条1項6号のみなし相続財産に該当し、死亡退職金非課税枠(500万円✕法定相続人の数)の適用なし

寡婦年金

【相続税の取扱】

 非課税

【解説】

寡婦年金は、夫が亡くなった場合に一定の要件を満たす妻に支給される年金です。ちなみに、寡とある通り、妻のみに支給される年金で妻に先立たれたとしても夫には支給されません。この寡婦年金も上記の国民年金、厚生年金等の遺族年金同様、各種法律において、「租税を課することができない」と規定されています。

個人年金

【相続税の取扱】

 みなし相続財産として相続税の対象

【解説】

生命保険会社や損害保険会社で販売されている個人年金保険も実務上よく登場する論点です。
企業年金同様、死亡時期により取り扱いが異なります。(下記は、保険料負担者及び被保険者(年金受取人)が同一人物である場合を前提としています。)

① 年金支払開始日前に死亡
  相続税法第3条1項1号のみなし相続財産に該当し、死亡保険金非課税枠(500万円✕法定相続人の数)の適用あり
② 年金支払開始日後に死亡
  相続税法第3条1項5号のみなし相続財産に該当し、死亡退職金非課税枠(500万円✕法定相続人の数)の適用なし
※ みなし相続財産に該当するため保険金受取人や後継年金受取人の固有財産となり、遺産分割の対象となりません。

年金の課税関係まとめ

以上の取り扱いをまとめた表を作成しましたのでご参照ください。
年金相続税まとめ

※ 国民年金等とは、下記法律に基づき支給される年金・一時金を指します。

■ 国民年金法
■ 厚生年金保険法
■ 恩給法
■ 旧船員保険法
■ 国家公務員共済組合法
■ 地方公務員等共済組合法
■ 私立学校教職員共済法
■ 旧農林漁業団体職員共済組合法

※ 企業年金等とは、下記規約等に基づいて支給される年金・一時金を指します。

■ 確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給
■ 特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する制度に基づいて支給
■ 適格退職年金契約に基づいて支給

※ 遺族年金・遺族一時金と未支給年金との違いは、下記の通りです。

遺族年金・遺族一時金:年金受給権者の残余期間分を遺族に給付する場合の年金や一時金
未支給年金:亡くなった月やその前月分等の未払年金を遺族に支給する場合の一時金

年金の相続税評価

年金の相続税評価は、相続税法第24条に基づき評価します。
専門的な話なので興味のない方は、読み飛ばして、年金の種類別評価方法から御覧ください。

相続税法の条文上は、年金のことを「定期金」といいます。
定期的にお金をもらえる権利を定期金と言うらしいです。この仕事を始めてからこの定期金という言葉が馴染みなく嫌いでした。10年以上定期金いう言葉を使ってますが、未だに馴染まないので、条文上も年金に変えてほしいと思ってます。

さて、この定期金の評価は、下記の通り評価します。(国税庁HPにわかりやすい計算式があるので転載します)

国税庁HP定期金評価

上記を見てもよく理解できないと思います。
実務上は、生命保険会社等が計算してくれますので安心してください。
その計算してくれたもののうち、一番大きい金額で評価します。

仮に、生命保険会社等が計算してくれなかったとしても、各種計算要素を生命保険会社等にヒアリングして、下記国税庁HPにて自動計算が可能です。

国税庁HP 定期金に関する権利の自動計算

相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

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