【小規模宅地の特例】贈与との関係について徹底的に解説します

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小規模宅地の特例

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

小規模宅地の特例は、贈与により取得した財産について適用できるのでしょうか?
答えは、△です。
贈与にも色々な種類があります。種類別に小規模宅地の特例の適用可否について解説していきます。

※追記:
小規模宅地等の特例について、基本的な情報をわかりやすくまとめた記事を新たに作成いたしましたので、必要に応じて参考にしていただければと思います。
>>小規模宅地等の特例をわかりやすく解説。相続した土地にかかる相続税を最大80%減額

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1. 贈与税の対象となる贈与

110万円を超える贈与をした場合には、原則として贈与税の課税対象となります。現預金だけでなく土地なども贈与の対象となります。それでは、土地を贈与した場合の評価額につき小規模宅地の特例は使えるのでしょうか?
答えは、使えません。
小規模宅地の特例の正式名称は、
「租税特別措置法第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」
あくまで相続税の特例のため贈与税の評価額を特例により減額することはできないのです。

この点に関して、実務で気を付けないといけないことがあります。
すなわち、小規模宅地の特例の適用をできる財産を贈与で移転してしまうことです。
2つの事例で考えてみましょう。

① おしどり贈与の場合

居住用財産を20年以上連れ添った配偶者に贈与した場合には2,000万円まで非課税となる特例があります。これを贈与税の配偶者控除といい、通称「おしどり贈与」ともいわれます。
この特例を使って贈与をしたいというご依頼がたまにあります。そのときに、私は税理士として必ず贈与する方のすべての財産がどのくらいあるのかを確認します。
何故かと言うと、贈与する方の財産が相続税の基礎控除以下しかない場合、もしくは、将来自宅について小規模宅地の特例を適用したら相続税がゼロになるような財産しかない場合におしどり贈与で居住用財産を贈与してしまうと損してしまうからです。
おしどり贈与をすると登録免許税、不動産取得税、司法書士への報酬、税理士への報酬など結構なコストがかかります。
そもそもおしどり贈与は相続税の節税のためにやることがほとんどですので、将来相続税がかからないのにコストをかけてまで生前に贈与する必要はないと思います。
特に小規模宅地の特例の適用が可能な財産を小規模宅地の特例を使えない贈与で移転してしまうのはもったいないことなのです。

② 相続時精算課税の場合

投資用ワンルームマンションを親が買って、子に相続時精算課税制度(2,500万円まで贈与税が非課税になるが、将来相続のときに相続財産に合算される制度)を適用して贈与をする相続税の節税対策も結構行われています。
これの旨味は、そのワンルームマンションの収益が親に帰属しないで子に帰属できるので親の財産の増加を抑制できる効果があるところです。また、ワンルームマンションは相続税評価額が購入価額半分以下になることが多いため、その面でも親の財産を圧縮できます。
この対策は、相続まで長期間あるような人には効果的ですが、相続が近い将来に起こりそうな人はやるべきではないと思います。
その理由が小規模宅地の特例です。相続時精算課税による贈与では小規模宅地の特例は適用できません。相続で移転すれば投資用ワンルームマンションの敷地を50%オフで評価できるのに、小規模宅地の特例を使えない贈与で移転するのは得策ではなりません。

2. 相続税の対象となる贈与

① 生前贈与

相続時精算課税による贈与、相続開始前3年以内の贈与は、生前贈与であっても相続税の課税価格に含める必要があります。このときにその贈与財産につき小規模宅地の特例を適用できるかどうかという問題が生じますが、結論としては適用できません。小規模宅地の特例はあくまで相続又は遺贈によって取得した財産に限られるためいくら相続税の対象となる贈与であっても贈与で移転した財産については適用ができないのです。

② 死因贈与

「私が死んだらA土地を長男に贈与する。」という贈与契約を死因贈与契約といいます。それでは、この死因贈与により取得した財産については小規模宅地の特例の適用はできるのでしょうか?
答えは、できます!
条文で確認していきましょう。
租税特別措置法第69条の4の出だしは、下記のように記載されています。

「個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、~」

死因贈与なんて一言も書いてありません。
ちなみに、相続税法第1条の3(相続税の納税義務者)では、ちゃんと( )書きで死因贈与が含まれています。

「相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した個人で~」

これだけ読むと小規模宅地の特例は死因贈与が含まれないじゃないかと思うかもしれませんが、
租税特別措置法の相続税関連の最初の特例である第69条の2(在外財産等についての相続税の課税価格の計算の特例)を確認してみるとその答えがわかります。

「相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下第70条の8の2までにおいて同じ。)により取得した財産のうちに~」

ちゃんと( )書きで死因贈与を含めていて、以下第70条の8の2まで同じと規定してあります。すなわち、小規模宅地の特例も含まれているのです。

以上をまとめると、小規模宅地の特例は、生前贈与については適用できないが死因贈与については適用が可能ということです。

■関連記事:
>>不動産(土地・建物)にかかる相続税と手続・評価方法のわかりやすい解説

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