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海外相続で使うAffidavit of Heirship(相続人宣誓)の実務概要|遺言のない米国相続で使われる書類の概要と州別要件

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 米国の相続で被相続人が遺言を残していない場合(intestate)、州によってはAffidavit of Heirship(相続人宣誓)という宣誓書式を用いて、被相続人の家族関係・相続人の範囲・遺言の有無等を宣誓により示す運用があります。Title Company・郡登記所・金融機関が受け入れる場合に、相続人関係の証拠・補助資料として使われることがあります。ただし、Affidavit of Heirship自体が裁判所の相続人確定判決と同じ効力を持つわけではなく、遺漏相続人・債権者・Title Companyの判断により、別途probate(検認)やdetermination of heirship(相続人確定手続)が必要になる場合があります。
  • Affidavit of Heirshipは、被相続人と相続人の親族関係を宣誓する書類で、証人の人数・資格は州法・郡実務・提出先により異なります。Texas実務では被相続人とその家族関係を知る2名の証人による宣誓が求められることが多く、通常は相続財産に利害関係を持たない第三者が望ましいとされます。証人が「非親族」でなければならないか、国外公証で足りるかは州法・提出先の指定を現地弁護士が確認します。
  • 書式の選定・記載事項の判断・提出可否は州法に基づく現地弁護士の判断領域で、行政書士が主体的に判断する範囲を超えます。日本の行政書士は、日本側の相続関係書類(戸籍謄本の英訳・Family Tree・Affidavit of Domicile)の準備・認証パッケージの進行管理・現地弁護士との連携窓口として支援します。
  • Affidavit of HeirshipはSmall Estate Affidavit・Affidavit of Domicile・Family Tree等の他のAffidavit系書類とは別書類で、案件により組み合わせて使用します。それぞれの目的・要件・提出先が異なる点に留意します。

米国の相続で被相続人が遺言(Will)を残していない無遺言相続(intestate estate)の場合、誰が相続人であるかを確定する手続きが必要になります。州によっては、この確定を裁判所の判断ではなく、Affidavit of Heirship(相続人宣誓)という宣誓書式で行うことが認められています。Texas州が代表的な採用州です。Oklahoma州はsevered mineral interestの文脈、Arkansas州は裁判所への申立(petition)によるheirship determination、California州はSmall Estate等の簡易手続、New York州はSurrogate’s CourtでのFamily Tree Affidavit類似資料など、州ごとに制度・裁判所関与・対象資産が異なるため、州名だけで判断せず個別確認が必要です。

本記事では、海外相続で使うAffidavit of Heirshipを、制度の概要・州別要件・他のAffidavit系書類との使い分け・日本側書類の準備・現地弁護士との連携・実務トラブル対応まで、行政書士の書類作成支援目線で7つのステップに整理して解説します。

なお、本記事はAffidavit of Heirshipの一般的な実務概要を解説するもので、州・郡・時期により具体的な要件・書式は大きく異なります。実際の適用可否・書式選定・提出手続きは現地弁護士・現地専門家の判断領域で、行政書士は日本側書類の準備・進行管理の支援に留まります。税務判断は税理士・現地の米国税務専門家(CPA等)と連携します。

東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズは、米国相続でAffidavit of Heirshipを適用する案件について、日本側の相続関係書類の英訳手配・Family Treeの原案作成・Affidavit of Domicileの原案作成・認証パッケージの進行管理・現地弁護士との連携を全国オンラインで対応しています。


Affidavit of Heirshipとは——制度の概要

Affidavit of Heirship(相続人宣誓)は、米国の無遺言相続(intestate estate)で、被相続人の家族関係・相続人の範囲・遺言の有無等を宣誓により示す書類です。州法・郡登記所・Title Company・金融機関が受け入れる場合に、不動産のタイトル確認、名義変更、少額資産の移管手続の補助資料として使われることがあります。ただし、Affidavit of Heirship自体が裁判所の相続人確定判決や所有権移転命令と同じ効力を持つわけではなく、遺漏相続人・債権者・Title Companyの判断により、別途probate(検認)やdetermination of heirship(相続人確定手続)が必要になる場合があります。

なぜAffidavit of Heirshipが使われるのか

米国では、被相続人が遺言を残していない場合、州の無遺言相続法(Intestate Succession Law)に従って相続人が確定されます。通常はプロベート裁判所で相続人が確定・遺産管理人が選任されますが、州によっては、相続人の身元・家族関係を宣誓書で示すことで、Title Company・郡登記所・金融機関が名義変更等の判断を進めやすくする仕組みが用意されています。この宣誓書がAffidavit of Heirshipです。

Affidavit of Heirshipの一般的な位置付け

Affidavit of Heirshipは、以下のような場面で使われます。

  • 不動産のタイトル確認・名義変更の補助資料:被相続人名義の不動産についてTitle CompanyやRecorder’s Officeが相続関係を確認する資料として
  • 金融機関の少額資産移転の補助資料:金融機関がAffidavit of Heirshipを親族関係の補助資料として受け入れる場合(金融資産はSmall Estate Affidavitや金融機関指定フォームが中心になる場合が多い)
  • プロベートを経ないタイトルクリアランス:不動産の売却・担保設定時に、相続関係を示す資料として

Affidavit of Heirshipの一般的な特徴

州により要件は異なりますが、Affidavit of Heirshipには以下のような共通の特徴があります。

  • 証人の人数・資格は州法・郡実務・提出先により異なる。Texas実務では、被相続人とその家族関係を知る2名の証人による宣誓が求められることが多い
  • 通常は相続財産に利害関係を持たない第三者(Disinterested)が望ましいとされる
  • 証人は、被相続人と家族関係について実際の知識を持っている必要がある(単にAffidavit of Heirshipの証人経験があるだけでは足りない)
  • 宣誓者(相続人本人・証人)がNotary Public(公証人)の面前で署名・宣誓する
  • 郡の記録簿(County Records / Land Records)に提出・保管される場合が多い
  • 国外署名・公証・アポスティーユで足りるかは、州法・Title Company・金融機関の指定を現地弁護士が確認

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州別の運用差——採用州・書式・要件

Affidavit of Heirshipは州により運用が大きく異なります。採用州・書式・要件を、代表例で整理します。具体的な適用可否・要件は必ず現地弁護士に確認します。

Texas州

Texas州はAffidavit of Heirshipが実務上よく使われる代表的な州です。Texas Estates Code Chapter 203は、相続人の身元・家族関係等に関する宣誓書を「nonjudicial evidence of heirship」として位置付けています。特に不動産について、郡の不動産記録に提出し、Title Companyや取引関係者が相続関係を確認する資料として使われます。書式は、Texas Estates Code § 203.002に定められた記載事項を満たす必要があり、被相続人と家族関係を知る2名の証人による宣誓が求められることが多い運用です。ただし、Affidavit of Heirshipは裁判所の相続人確定判決ではなく、遺漏相続人や債権者の権利を当然に排除するものではありません

Oklahoma州(鉱業権・不動産権益の文脈)

Oklahoma州には、Oklahoma Statutes § 16-67等にsevered mineral interest(分離鉱業権)に関するDeath and Heirship Affidavitの規定があり、記録されたAffidavit等を前提にmarketable titleの条件を定めています。石油・ガス採掘権の相続実務で問題になりやすい規定で、一般相続の不動産名義変更として単純に紹介するより、鉱業権・不動産権益の文脈で確認するのが安全です。

Arkansas州(裁判所によるdetermination of heirship)

Arkansas Code § 28-53-101は、裁判所への申立(petition)によるheirship determinationを定めています。Texas型の非裁判所型Affidavit of Heirshipと同列に置くのは避け、裁判所関与の有無を現地弁護士に確認します。Mississippi州・Alabama州でも類似のHeirship AffidavitやSuccessional Affidavitがある場合がありますが、州ごとに制度・裁判所関与・対象資産が異なるため個別確認が必要です。

California州・New York州等(Texas型とは別の枠組み)

California州やNew York州では、Texas型のAffidavit of Heirshipにより郡記録への提出だけで不動産名義変更を進める実務とは異なる手続きが問題になります。California州ではSmall Estate Affidavit等の簡易手続きや正式のプロベートの要否を検討し、New York州ではSurrogate’s CourtでFamily Tree Affidavit / Heirship Affidavit類似の親族関係資料が求められることがあります。州名だけで判断せず、提出先州・対象資産・裁判所関与の有無を現地弁護士に確認します。

書式のバリエーション

採用州でも、書式は以下のようなバリエーションがあります。

  • 州法上の書式:州司法省・州の遺産法を根拠とする指定書式
  • 郡指定書式:郡の登記所(Recorder’s Office / County Clerk’s Office)が指定する書式
  • 金融機関・Title Companyの書式:不動産取引・銀行預金移管等で使う独自書式

実務では、金融機関・Title Company・郡登記所の指定書式を使うのが一般的で、指定書式がない場合は現地弁護士が州法上の要件を満たす書式を作成します。


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他のAffidavit系書類との使い分け

米国の相続実務で登場するAffidavit系書類は複数あり、それぞれ目的・記載事項・要件が異なります。Affidavit of Heirshipの位置付けを理解するため、主なAffidavit系書類を整理します。

Affidavit of Heirship

  • 目的:無遺言相続で相続人であることを宣誓する
  • 記載事項:被相続人と相続人の親族関係、被相続人の遺言の有無、既知の相続人の全員
  • 証人:非親族の証人2名以上(州により)

Small Estate Affidavit

  • 目的:小額遺産の簡易的な移転のための宣誓
  • 記載事項:被相続人の資産規模、待機期間経過、閾値以下の宣誓
  • 相続人代表または全相続人が署名(州により)
  • 詳細はSmall Estate Affidavitの記事を参照

Affidavit of Domicile

  • 目的:被相続人の死亡時のドミサイル(domicile)を宣誓
  • 記載事項:被相続人の最終住所・居住状態
  • 主に米国証券・登録株式の移管で使用
  • 詳細はAffidavit of Domicileの記事を参照

Affidavit of Non-Probate

  • 目的:被相続人の資産がプロベート対象外である旨(TOD/POD指定済み、Joint Tenancy等)を宣誓
  • Transfer Agentが「プロベート書類なしでも移管可能」と判断するための根拠資料

Statement of Kinship / Affidavit of Kinship

  • 目的:被相続人と相続人の親族関係を宣誓
  • Family Treeと組み合わせて提出することが多い
  • 米国のプロベート手続きの中で親族関係を証明する補足資料として使われる
  • Affidavit of Heirshipと機能が近いが、州法上の位置付けは異なる場合がある
  • 詳細はFamily Treeの記事を参照

Family Tree(英文相続関係説明図)

  • 目的:相続人の範囲・続柄を視覚的に示す図表
  • 補助資料として、原則的には単独では法的証明力を持たない
  • 金融機関の担当者が短時間で相続人の全体像を把握するための資料

実務上の使い分け

Affidavit of Heirshipは、無遺言相続の不動産名義変更・少額資産移転で使われる特殊な書類です。遺言がある案件、プロベートが必要な案件、大額の証券移管等では、Affidavit of Domicile・Family Tree・Small Estate Affidavit等の別書類が中心となります。どの書類が必要かは、案件の性質・州法・提出先の指定により判断され、現地弁護士が案件全体を通じて調整します。


証人(Disinterested Witnesses等)の確保が最大のハードル

日本の相続人がAffidavit of Heirshipを適用する際の実務上の最大のハードルは、米国内で証人を確保することです。証人要件は州法・郡実務・Title Company・金融機関の指定により異なります。

証人の典型的な確認ポイント

証人要件は個別確認が原則ですが、典型的には以下が確認ポイントになります。

  • 被相続人本人および家族関係について実際の知識を持っていること
  • 相続財産に経済的利害関係を持たない第三者が望ましいこと
  • Texas実務では2名の証人が求められることが多いこと
  • 親族・姻族でも、経済的利益を持たない者が証人になれるかは州法・提出先の指定を現地弁護士が確認すること(Texas Law Helpは、無関係者が見つからない場合、経済的利益を受けない家族が署名する場合があると案内)
  • 宣誓時点で成年で、Notary Publicの面前で宣誓できる能力があること
  • 米国内Notaryでの宣誓が求められることが多いが、国外署名・公証・アポスティーユで足りるかは提出先確認となること

日本の相続人が証人を確保する現実的な方法

日本ドミサイルの被相続人の相続では、米国内に被相続人の家族関係を長年知る証人を確保するのが難しいことがあります。以下のような現実的な方法があります。

方法1:被相続人の米国内の親族・友人

被相続人が米国内に長年在住していた経験がある、米国内に友人・元同僚等が居住している場合、その方に証人を依頼します。被相続人の家族関係を長年知る関係性が必要なため、被相続人のライフヒストリーを把握している人物を選定します。

方法2:被相続人が通っていた教会・コミュニティの関係者

被相続人が米国滞在中に通っていた教会・日本人会・コミュニティの関係者に証人を依頼する方法です。米国内の日本人コミュニティは相互扶助のネットワークがあるため、被相続人の家族関係を知る人物を紹介してもらえる場合があります。

方法3:現地弁護士による証人要件の充足性確認

候補者が浮上した場合、現地弁護士に候補者が州法上の証人要件を満たすかを確認してもらいます。証人は、単にAffidavit of Heirshipの証人経験があるだけでは足りず、被相続人本人や家族関係について実際の知識を持っている必要があります。被相続人の家族関係を知らない人物に証人を依頼することは、宣誓内容の真実性を損なうため避けます。

方法4:Affidavit of Heirshipを断念して別ルートに切り替え

非親族の証人が確保できない場合、Affidavit of Heirshipを断念して、通常のプロベート・Ancillary Probate・Small Estate Affidavit等の別ルートに切り替えます。詳細はAncillary Probateの記事Small Estate Affidavitの記事を参照してください。

証人依頼時の注意点

証人依頼時は、以下の点を明確にしておきます。

  • 証人の役割・宣誓事項の範囲
  • 宣誓認証を受けるNotary Public面前での署名日程
  • 交通費等の実費精算の可否(Disinterested性を損なわない範囲かは現地弁護士確認)
  • 証人本人の身元書類(パスポート・運転免許証等)の準備

日本の相続人が用意する書類パッケージ

Affidavit of Heirshipを現地弁護士経由で提出する場合、日本の相続人から現地弁護士に送付する書類パッケージは、通常のプロベート案件と同様の内容ですが、無遺言相続であること・相続人の範囲を明確にすることが重要となります。

基本書類パッケージ

① 被相続人の死亡証明書関連

  • 日本の死亡届受理証明書+英訳+翻訳者宣言書+外務省アポスティーユ
  • 除籍謄本+英訳+翻訳者宣言書+外務省アポスティーユ
  • 詳細は英文Death Certificateの記事を参照

② 相続関係書類

  • 戸籍謄本・除籍謄本の英訳+翻訳者宣言書+外務省アポスティーユ
  • Family Tree(英文相続関係説明図)——作成者署名済み・公証済み
  • 相続人全員のリスト(氏名・生年月日・現住所・パスポート番号・被相続人との関係)
  • 詳細は戸籍英訳実務の記事Family Treeの記事を参照

③ 遺言がないことの証明

  • 日本で確認可能な範囲として、公正証書遺言検索・自筆証書遺言保管制度の確認・相続人からのヒアリング等を行った結果を整理(日本国内の一定制度に関する確認で、米国Will・海外Will・法務局に保管されていない自筆証書遺言等の不存在を完全に証明するものではない旨に留意)
  • Affidavit of Heirshipで「no known will」等の宣誓文言を入れるかどうかは現地弁護士が事実関係と州法に基づいて判断

④ 被相続人のドミサイル関連

  • Affidavit of Domicile——宣誓者署名済み・宣誓認証済み・アポスティーユ付き
  • 補足として、住民票除票・戸籍附票の英訳+翻訳者宣言書
  • 詳細はAffidavit of Domicileの記事を参照

⑤ 米国内資産の証明

  • 対象州における不動産の権利書(Deed)のコピー
  • 対象州における金融機関の口座証明・残高証明

⑥ 相続人本人の身元書類

  • パスポートコピー(相続人代表)
  • POA(必要に応じて)

⑦ 現地弁護士向けCover Letter

  • 日本の相続人代表からの案件概要説明書
  • 非親族の証人の確保状況・候補者情報

書類パッケージの完成までの所要期間

日本側書類パッケージの完成までの所要期間は、以下が目安です。

  • 戸籍謄本・除籍謄本の取得・英訳:3〜5週間
  • 遺言書検索・遺言不存在の確認:2〜3週間
  • Family Tree・Affidavit of Domicileの作成・宣誓認証:2〜3週間
  • 外務省アポスティーユ:1〜2週間
  • トータル:6〜10週間

現地でのAffidavit of Heirship作成・証人宣誓・郡登記所への提出までを含めると、案件全体で3〜6か月を見込むのが実務的です。


行政書士と現地弁護士の役割分担

Affidavit of Heirshipは州法上の宣誓書式で、日本の行政書士が単独で完結できる領域ではありません。現地弁護士・現地専門家との明確な役割分担が必要です。

現地弁護士の担当領域

  • 州法上の適用可否判断:Affidavit of Heirshipが使えるかの法的判断
  • 書式選定:州法・郡・金融機関・Title Company指定のいずれの書式を使うかの判断
  • 宣誓文言の判断:州法条項引用・宣誓事項の記載判断
  • 非親族の証人の確認:証人の要件充足性のチェック
  • 郡登記所・金融機関への提出:Affidavit of Heirshipの正式提出
  • 後続の名義変更手続き:不動産の権利書(Deed)変更・金融機関の名義変更等の代理

日本の行政書士の支援領域

日本の行政書士は、Affidavit of Heirship本体には関与せず、以下の日本側書類・進行管理を支援します。

  • 戸籍謄本・除籍謄本の英訳手配:日本の相続人の身分関係の証明
  • Family Tree(英文相続関係説明図)の原案作成
  • Affidavit of Domicileの原案作成
  • 日本側で確認可能な範囲の遺言調査・確認結果の整理:公正証書遺言検索、自筆証書遺言保管制度の確認、相続人ヒアリング等(日本国内制度に関する確認で、米国Will・海外Will・未保管自筆証書遺言の不存在まで証明するものではない点に留意)
  • 翻訳者宣言書の作成:公証・アポスティーユの進行管理
  • Death Certificateの手配
  • 現地弁護士との連携窓口:日本の相続人と現地弁護士の橋渡し・書類授受管理
  • 認証パッケージの日本側手配:アポスティーユ・領事認証の取得代行

税理士・現地の米国税務専門家(CPA等)の担当領域

Affidavit of Heirship適用時の税務は、以下を分担します。

  • 米国連邦遺産税(Form 706-NA)の要否判断:現地の米国税務専門家(CPA等)
  • IRS Transfer Certificateの取得:現地の米国税務専門家(CPA等)
  • 州レベルの相続税・遺産税判断:現地の米国税務専門家(CPA等)
  • 日本の相続税申告における米国資産の評価:日本の税理士
  • 外国税額控除の適用:日本の税理士

Affidavit of Heirship特有の役割分担ポイント

他のAffidavit系書類と異なり、Affidavit of Heirshipには非親族の証人という特殊な要素があるため、案件の初動段階で以下を明確化します。

  • 「非親族の証人を確保できるか」——相続人・日本の行政書士(候補者リストアップ)現地弁護士(要件充足性チェック)
  • 「Affidavit of Heirshipで足りるか、プロベートも必要か」——現地弁護士の判断領域
  • 「日本の相続関係書類の英訳・認証」——行政書士の支援領域
  • 「日本の税務判断」——日本の税理士の判断領域

Affidavit of Heirship実務のトラブルと対処

Affidavit of Heirship適用時によくある実務トラブルと対処を整理します。

トラブル1:非親族の証人が確保できない

日本ドミサイルの被相続人の相続で、米国内に非親族の証人が確保できないケースが最も多く発生します。対処法は、初動段階で被相続人のライフヒストリー(米国滞在歴・友人関係・コミュニティ関係)を精査し、候補者をリストアップすることです。確保できない場合は、Affidavit of Heirshipを断念して通常プロベート・Ancillary Probate等の別ルートに切り替えます。

トラブル2:金融機関・Title Companyが独自書式を要求

州法上の汎用書式で提出したが、金融機関・Title Companyから自社指定書式での再提出を要求されるケースです。対処法は、初動段階で提出先金融機関・Title Companyの指定書式の有無を確認し、指定書式がある場合はそれを使用することです。

トラブル3:Affidavit of Heirshipで足りず、プロベートが必要となった

州法上、Affidavit of Heirshipは特定用途(不動産名義変更・少額資産移転等)に限って認められる場合が多く、資産規模が大きい・利害関係人が複数いる案件では、Affidavit of Heirshipでは足りず、通常のプロベート裁判所での相続人確定・遺産管理人選任が必要となる場合があります。対処法は、初動段階で現地弁護士に「Affidavit of Heirshipで対応可能かの判断」を依頼し、対応不可の場合はプロベート・Ancillary Probateへの切替を検討することです。

トラブル4:相続人間で紛争が生じる

Affidavit of Heirshipは、相続人全員が「私が正当な相続人である」と宣誓する形式のため、相続人間で「誰が相続人か」の意見が異なると、宣誓の真実性が争われることになります。対処法は、初動段階で日本側の相続人全員の合意を書面で確認し、相続人間の紛争が生じそうな案件ではAffidavit of Heirshipではなく通常プロベートで裁判所判断を仰ぐことです。

トラブル5:後日、記載外の相続人が判明した

Affidavit of Heirship提出後に、記載外の相続人(先妻の子・非嫡出子等)が判明した場合、既に完了した名義変更が争いの対象となることがあります。対処法は、初動段階で日本の戸籍謄本・除籍謄本を全て精査し、先妻の子・非嫡出子・養子等の可能性を漏れなく確認することです。詳細は戸籍英訳実務の記事を参照してください。

トラブル6:郡登記所への提出後の記録の訂正

Affidavit of Heirshipが郡登記所(County Records)に提出・記録された後、誤記・記載漏れが発見された場合、訂正のためのAmended Affidavit of Heirshipの提出等が必要となります。対処法は、初回提出前に現地弁護士・翻訳者・相続人代表で内容を複数回チェックし、特に氏名の英字表記・生年月日・親族関係の記載を丁寧に確認することです。


よくある質問(FAQ)

Q1. Affidavit of Heirshipは日本国内の公証役場で作成できますか?

A. Affidavit of Heirshipは米国の州法に基づく宣誓書式で、日本国内の公証役場で作成しても米国の州法上の要件を満たさない可能性があります。書式選定・宣誓文言の判断・提出先の指定は現地弁護士の領域で、原案作成は米国内で現地弁護士が主導するのが実務標準です。日本の行政書士は、Affidavit of Heirshipの前提となる日本側の相続関係書類(戸籍英訳・Family Tree・Affidavit of Domicile等)の準備を支援します。証人の宣誓認証は、米国内のNotary Public面前で行うのが原則で、日本の公証役場での宣誓認証はAffidavit of Heirshipの代替にはなりません。

Q2. 被相続人が遺言(Will)を残していた場合、Affidavit of Heirshipは使えませんか?

A. 被相続人が遺言(Will)を残していた場合、Affidavit of Heirshipは原則として使用しないのが一般的です。Affidavit of Heirshipは無遺言相続(intestate)を前提とした書式で、遺言のある案件では遺言書に基づく遺言執行者(Executor)による手続きとなり、遺言書自体が相続関係の根拠書類となります。ただし、遺言書が特定の資産のみを対象とし、遺言で処分されない資産(residuary estate)がある場合、その残余資産についてAffidavit of Heirshipを併用できる州もあります。判断は現地弁護士に委ねます。

Q3. 日本の家族全員(相続人代表と非親族の証人)が渡米して宣誓する必要がありますか?

A. 日本の相続人代表は、必ずしも渡米する必要はありません。相続人代表がAffidavit of Heirshipに署名する場合でも、日本の公証役場での宣誓認証+外務省アポスティーユのパッケージで対応できる場合があります。証人については、Texas実務では被相続人と家族関係を知る2名の証人を求められることが多く、米国内Notaryでの宣誓が求められることが一般的です。ただし、証人資格・国外署名・公証・アポスティーユで足りるかは州法・Title Company・金融機関の指定を現地弁護士が確認します。詳細な役割分担は現地弁護士に確認します。

Q4. Affidavit of Heirshipの費用・所要期間はどれくらいですか?

A. 案件により大きく異なりますが、Affidavit of Heirshipは通常のプロベートより費用・時間ともに節減できる傾向があります。現地弁護士報酬は書式作成・非親族の証人との調整・郡登記所への提出等を含めて数千ドル程度が目安ですが、事務所・案件により大きく異なるため初動段階で見積もりを取得します。所要期間は書式作成・証人宣誓・提出まで含めて2〜3か月程度が目安です。日本側書類パッケージの準備期間(6〜10週間)を含めると、案件全体で3〜6か月程度を見込みます。ただし、非親族の証人確保が難しい案件では時間が大幅に延びる可能性があります。

Q5. Affidavit of HeirshipとSmall Estate Affidavitの違いは何ですか?

A. 両者は目的・要件・使用場面が異なります。Affidavit of Heirshipは主に無遺言相続の不動産名義変更・少額資産移転で使われ、被相続人と相続人の親族関係を宣誓する書類で、非親族の証人2名以上が要件となる州が多いです。Small Estate Affidavit小額遺産の簡易的な移転のための書類で、閾値・待機期間・提出先が州により定められ、証人要件は通常ありません。両者は組み合わせて使うこともあり、たとえば無遺言相続で少額の遺産をSmall Estate Affidavitで移転する際、親族関係の根拠としてAffidavit of Heirshipを添付する運用もあります。詳細はSmall Estate Affidavitの記事もあわせてご確認ください。


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まとめ

米国相続で使うAffidavit of Heirship(相続人宣誓)は、被相続人の家族関係・相続人の範囲・遺言の有無等を宣誓により示す相続人関係の証拠・補助資料で、Title Company・郡登記所・金融機関が受け入れる場面で使われます。Affidavit of Heirship自体が裁判所の相続人確定判決や所有権移転命令と同じ効力を持つわけではなく、遺漏相続人・債権者・Title Companyの判断により、別途probate(検認)やdetermination of heirship(相続人確定手続)が必要になる場合があります。Texas州が代表的な採用州で、Oklahoma州は鉱業権・不動産権益、Arkansas州は裁判所への申立(petition)、California州・New York州はテキサス型とは別の枠組みが問題になるなど、州により制度が大きく異なります。Texas実務では、被相続人と家族関係を知る2名の証人による宣誓が求められることが多く、通常は相続財産に利害関係を持たない第三者が望ましいとされます。ただし、証人の人数・資格・国外公証の可否は州法・提出先により異なるため、現地弁護士の確認が必要です。

日本ドミサイルの被相続人の相続では、米国内で非親族の証人を確保することが最大のハードルとなります。被相続人のライフヒストリー(米国滞在歴・友人関係・コミュニティ関係)を精査し、証人候補者をリストアップする必要があります。証人が確保できない場合は、通常プロベート・Ancillary Probate・Small Estate Affidavit等の別ルートへの切替を検討します。

Affidavit of Heirship本体は州法に基づく現地弁護士の判断領域で、日本の行政書士は日本側の相続関係書類(戸籍謄本の英訳・Family Tree・Affidavit of Domicile・Death Certificate)の準備・遺言不存在の確認・認証パッケージの進行管理・現地弁護士との連携窓口として支援します。他のAffidavit系書類(Small Estate Affidavit・Affidavit of Domicile・Family Tree等)とは別書類で、案件により組み合わせて使用する点に留意します。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、米国相続でAffidavit of Heirshipを適用する案件について、日本側の相続関係書類の英訳手配・Family Treeの原案作成・Affidavit of Domicileの原案作成・遺言不存在の確認・認証パッケージの進行管理・現地弁護士との連携を、全国オンラインで対応しています。Texas州・Oklahoma州・Arkansas州・Mississippi州等、Affidavit of Heirshipが広く使われる州の相続手続き実務に対応可能で、州法上の適用可否判断・書式選定・非親族の証人確認等の現地手続きは現地弁護士、米国連邦遺産税・州税・日本の相続税判断は税理士法人トゥモローズ・現地の米国税務専門家(CPA等)と連携します。


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根拠法令・公的資料

  • 民法882条(相続の開始)
  • 民法887条(子及びその代襲者等の相続権)
  • 公証人法(公証人による認証の根拠)
  • 外国公文書の認証を不要とする条約(アポスティーユ条約、日本は1970年批准)
  • 行政書士法1条の3・1条の4(行政書士の業務範囲)
  • 米国州法(Texas Estates Code Chapter 203ほか、各州のAffidavit of Heirship / Heirship Affidavit / Successional Affidavit等の規定)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。