社長!その“高級車”法人税や相続税の節税になりませんか?

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法人税・相続税の節税(高級車)

みなさん、こんにちは。
税理士の大塚です。

ホンダが発売する国産の本格スポーツカー「NSX」。
車好きでなくとも一度は耳にしたことがあるであろうこの車が、生産終了から約11年の時を経て2代目が発売され、世界で殺到する注文に対応する生産体制に入りました。
今回は、このNSX、『スポーツカーだけど会社の費用に落とすことができるの?』についてみていきたいと思います。

NSXはどんな車?

 
NSXとは、ホンダが世界に通用する車をとの思いから開発された車であり、「N=New・S=Sport Car・X=eXperience(新時代のスポーツカー体験)」という意味が込められています。
バブル絶頂の1990年に発売され、2005年に生産終了となり、11年ぶりに2代目のNSXが発売されました。実は、2台目として2008年頃に後継車の発売予定がされていましたが、リーマンショックでお流れとなってしった様ですので、ファンにとっては待望の発売とのことです。
国内外に高い人気を誇るこの車、その発売価額はなんと2,370万円!日本で発売される日本メーカー製の最高金額らしいです。

フェラーリは認められた!

 
さて、この高級スポーツカーを会社のお金で購入した場合には、会社の車として認められるのでしょうか?また、車に係る減価償却費をはじめ、ガソリン代や高速代などは会社の費用として認められるのでしょうか?

実際に法人車として会社で購入し、税務署と裁判で戦った結果、法人車として認められ、その費用について会社の経費として認められた有名なフェラーリの事例があります。

税務署は、ある法人の役員が通勤と出張の交通手段として会社で取得したフェラーリを使っていたことについて、「その役員個人の趣味で購入したものとして会社の事業用とは認めないので、その購入金額と掛かる経費についても会社の費用としては認めませんよ」という処分を行いました。
しかし、これを不服として、納税者である会社役員は、国税不服審判所(税務署や国税局とは別個の機関として審査、裁判を行い、納税者の正当な権利利益の救済を図る機関)に対して審査請求を行いました。
結果、審判所の判断としては、「フェラーリが、その会社の資産として不相当である理由は認められない」という裁決を出しています。したがって、このケースにおいては、そのフェラーリは会社の資産として認められ、掛かる費用についても会社の費用として認められたということです。

ちなみに、もしこれが認められなかった場合には、会社がその会社役員にフェラーリを買ってあげたことになりますので、会社役員に対する購入金額相当の経済的な利益(特別なボーナスの様なもの)を与えたものみなされ、会社役員はボーナスに係る源泉所得税が課せられます。
また、会社側では、会社役員に対する税法上認められない給与の支給を行ったとして、その費用性が否認されることとなります。

どうしておけば良いのか!?

 
では、NSXやフェラーリなどが、会社の車として認められる様にしておくにはどの様にしておけば良いのでしょうか。そのポイントは2つあります。
● 本当に会社の事業のために使っていたのか
● 客観的な証明ができるのか

上述の判例では、この2つのポイントについて、下記の理由から満たしていると判断されました。
・通勤手当の支給や交通費の支給について、就業規則や内部規程で定められている上で、その会社役員に対しては交通費の支給がされていなかったこと
・実際の通勤や出張に対してそのフェラーリを使っていて、かつ、その使用実績が記録から確認できたこと
・その会社社長は、プライベートで別の車を3台所有していて、きちんと仕事とプライベートを分けていたこと

なお、この裁判では、もうひとつの論点として、会社が福利厚生目的で購入したクルーザーについても、会社用か会社役員個人用かで争われていました。しかし、こちらは上記のポイントを抑えられていなかったため、会社の資産とは認められず、会社役員の賞与として認定され所得税が課税されています。

でも実際は・・・

 
しかし、現実的には、会社の社長がNSXやフェラーリを社用車として計上した場合において、税務署の目に留まったときは、基本的には税務調査などで否認の対象となっていくかと思います。事業の実態や客観的な事実が完璧に揃っていて、税務署に否認された上で裁判を起こした場合には、上述の様に勝てる可能性は有りますが、筆者としては、「社長、税務署と揉めるよりも、会社ではベンツの中古車を検討しませんか」とお勧めすると思います。(ベンツの中古車のお話しはまたの機会にします)

相続税の観点からみたら?

 
さらに、別の観点として、個人資産の観点からみたときに、個人で高級車の購入した場合に相続対策になるかについて検討してみます。
車はもちろん個人の資産として相続税の対象財産になりますが、その評価方法はというと、実は車の評価だけを単独で明確に定めている規定はありません。したがって、実務上は、「一般動産」という括りの中で評価を行っていくこととなります。
一般動産の評価は、原則として、「売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価」をします。この「売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価」とは、車の場合には、中古車業者に買い取ってもらう金額のことです。
新車を購入した場合には、いくら新品であったとしても、ナンバー登録された瞬間から中古車扱いになり買取査定額は下がります。1キロも走行していない場合にでも、買取店からは中古車として扱われ、車種や状態によっては、購入から数カ月で定価の2割から5割減で買い取られるようです。
ということは、現金そのものをもって相続を迎えられた場合よりも、その現金で新車を購入して相続を迎えられた方が明らかに相続税は低くなるということです。

ただし、上述のNSXやフェラーリの様にすぐにでも手に入れたい人がいるような場合には、プレミアがついて中古車の方が高くなるケースもありますので注意が必要です。

まとめ

 
NSXやフェラーリといった高級スポーツカーであっても、税法に従った実態があり、かつ、その記録など証拠が備わっているのであれば、社用車としては認められる可能性はあります。しかし、税務署の目に留まれば税務調査に発展することや事業関連性がきちんと証明できない場合には否認される可能性がありますので、十分に検討し注意しながら実行する必要があります。
また、相続対策としても、ひとつ検討してみる価値はあるかと思います。

(税理士 大塚)

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この記事の執筆者:大塚 英司

東京税理士会新宿支部所属
登録番号:117702

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。

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