名義預金の最新裁決事例(平成25年~平成27年)まとめ 相続専門税理士の所感付き!

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名義財産・生前贈与

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この記事の執筆者:角田壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は100件以上、謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさん、こんにちは
相続専門の税理士法人トゥモローズの角田です。

名義預金の評価や計算方法は法律や通達に記載されていません。
過去の裁判例や裁決事例を参考に計算するしかないのです。

今回は、平成25年から平成27年の3年間における国税不服審判所の裁決事例のうち名義預金について納税者と国税当局の間で争いになったものをまとめたいと思います。

名義預金についての詳しい説明は、名義預金をわかりやすく徹底解説!を参照してください。
平成28年~令和2年の裁決事例のまとめは、名義預金の最新裁決事例(平成28年~令和2年)まとめ 相続専門税理士の所感付き!を参照してください。

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平成27年11月4日 大阪国税不服審判所 非公開裁決事例

誰の名義?

被相続人名義(逆名義預金論点)

裁決事例要旨

請求人は、被相続人名義の預貯金等(本件預貯金等)及び現金(本件預貯金等と併せて本件各財産)は、請求人が亡母(本件被相続人)に預けた金銭により形成されたもので、全て請求人に帰属する財産である旨主張する。しかしながら、本件預貯金等の契約名義人はいずれも本件被相続人であり、これを管理、運用していたのも本件被相続人であり、その総額は5千万円程度と認められるところ、本件被相続人は、生前約28年間にわたり継続的な給与収入を得ていた上に、退職後は退職共済年金を受給し、さらに、夫の死亡後は遺族厚生年金を受給するなど、一定の収入があったことに加え、相続開始の日から遡ること約19年間は持ち家で独り暮らしをしていたことにも照らすと、その収入から本件各財産の原資を形成することは優に可能であったと考えられ、本件各財産は、いずれも本件被相続人に帰属する相続財産であると認めるのが相当である。請求人は、請求人の給与の中から総額5千万円程度を本件被相続人に預けていた旨主張するが、請求人が得ていた給与の額からすると、その給与の中から約18年間で総額5千万円以上もの金員を捻出して本件被相続人に預けることができたとは、にわかに考え難く、請求人の主張はその内容自体不自然、不合理である上に、これを裏付ける客観的証拠もないことからすると、請求人の主張は採用することができない。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

被相続人名義の預金が実質的には相続人に帰属するので名義は被相続人であっても相続財産を構成いないと納税者が主張した案件。いわゆる、逆名義預金案件である。
どういう経緯から納税者がこのような主張をしたかは不明だが、想像するに同居の母に生活費等のお金を子供である納税者が入れていたのではないだろうか。実家暮らしの子供が毎月5万円とか家にお金を入れるというのはよくある話だが、この家に入れたお金は家計の主宰者である親の財産になってしまうというのが通説だ。
少し脱線したが本件においては、原資からのアプローチで被相続人にそれなりの収入があって、納税者である相続人にはそこまで蓄財できるほどの収入がなかったということから納税者の主張が退けられた。
名義預金の判定では、過去の収入等により現状の残高が蓄財できるかどうかの検証は必ずしなければならない。

平成27年10月2日 広島国税不服審判所 公開裁決事例

誰の名義?

子供名義

裁決事例要旨

請求人らは、被相続人の子名義の各定期預金11口(本件各定期預金)は、被相続人が生前に子供ら(本件子供ら)に贈与したものであるから、被相続人の相続財産ではない旨主張する。しかしながら、本件各定期預金は、被相続人が自己の有する金融資産を原資に、ペイオフ対策を念頭に置き本件子供らの名義を使って預け入れられ、その後の定期預金の継続手続や各通帳及び各印鑑の保管は、相続開始時まで全て被相続人の管理下にあったものであり、本件子供らの処分可能な状況にあったということはできない。そして、請求人らの主張に係る贈与事実は認められないことからすると、本件各定期預金は被相続人に帰属する相続財産と認められる。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

子や孫名義の定期預金が名義預金に該当するか否かが争点となった典型的な事例であろう。
贈与契約書もなく、預金口座開設後の通帳や印鑑の管理も被相続人がしていたということであれば完全なる負け戦である。
贈与の成立を立証するには、名義人がその預金を自由に使える状態であったことの客観的な証拠を提示しなければ納税者の主張は通らないであろう。

平成26年8月25日 大阪国税不服審判所 非公開裁決事例

誰の名義?

家族名義

裁決事例要旨

請求人らは、被相続人の家族名義の預貯金、国債及び現金(本件資産)は、請求人A(被相続人の妻)が昭和40年に実母から贈与により取得した多額の預貯金等を運用し、更にその一部を請求人Aが事業主体である各事業(本件各事業)に出資して本件各事業の収益から形成したものであり、その管理運用も請求人Aが行っていたものであるから、全て、請求人Aに帰属する財産である旨主張する。しかしながら、本件各事業の事業主体については、本件各事業に係る権利の取得の経緯、事業場の使用契約、事業用預貯金口座の名義、取引先等関係者の申述等から、被相続人であるものと認められ、また、実母からの請求人Aへの多額の預貯金等の贈与については、実母の生活状況からすると多額の預貯金等を形成し得るとはいえないことなどからすると、当該贈与の事実は認められないことから、本件資産の出捐者は被相続人であるものと認めらる。そして、本件資産について請求人Aが管理運用していたという点については、請求人Aが被相続人から委託を受けて同人のために行われていたものであると認められる。更に、本件資産が被相続人から各名義人に贈与された事実も認められない。したがって、本件資産は、被相続人に帰属する相続財産であるものと認められる。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

被相続人の妻が管理していた家族名義の預金について、納税者は原資も管理者も妻であるため被相続人の財産ではないと主張した。
これに対し、審判所は、原資は被相続人の事業から発生したものであり、管理についても妻が手続きをしていたとしてもそれは被相続人の委任を受けて妻が代理人として動いていただけであると認定。すなわち、原資も管理も被相続人であるとして納税者の主張を退けた。
そもそも妻の「実母から贈与を受けた資金である」との主張が客観的な裏付けもなく、実母自体もそこまでお金持ちではなかったようなので納税者の主張には無理があったようだ。

平成26年8月19日 東京国税不服審判所 非公開裁決事例

誰の名義?

孫名義

裁決事例要旨

 請求人は、被相続人の孫(A)名義の預金(本件A名義預金)は、被相続人の妻(亡妻)が、平成12年に、亡妻の特有財産の一部を原資として、自ら手続をして作成したものであり、この作成時点で、亡妻のAに対する本件A名義預金の贈与の意思は明確であるところ、亡妻は、作成した日から平成13年7月初旬までの間の某日に、請求人に対して、Aが成人するまでの間、本件A名義預金の証書を管理するよう委託し、当該証書を交付したものであり、このときに本件A名義預金は亡妻からAに贈与されていたものである旨、また、Aの親権者である請求人の弟が平成21年に本件A名義預金に係る証書の再発行手続等を行ったことは、亡妻からの贈与について、請求人による無権代理行為(本件A名義預金に係る受贈の意思表示)を追認したものである旨主張する。しかしながら、本件A名義預金は、亡妻により設定されたものと認められるところ、本件A名義預金の預入資金の出捐者は被相続人であると認められ、また、本件A名義預金が名義人であるAに対して贈与された事実も認められないから、本件A名義預金は、被相続人に帰属する相続財産であると認めるのが相当である。なお、請求人の主張については、そもそも、届出印を併せて交付することなく預金証書のみを交付しただけでは、当該証書に係る貯金に係る管理・支配が完全に移転したとはいい難いから、仮に亡妻が請求人に本件A名義預金の証書の管理を委託し、これを交付したとしても、このことのみをもって亡妻がAに対する贈与の意思表示をしたということはできず、また、本件A名義預金の証書の再発行手続等が追認の意思表示であるともいい難いことから、理由がない。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

被相続人の妻が孫名義の預金を作ってその孫の親(すなわち妻の子)に対して贈与したという事例。
審判所はそもそも妻の財産ではなく被相続人の財産であるものを妻が贈与をするなんて言語道断。しかも預金証書だけを渡しても届出印も一緒に渡さないと渡された方は自由に使えない。
したがって、贈与は成立していないと認定された。
贈与をする場合には自分の財産から贈与をすること、預金口座を贈与するときは通帳や証書と共に届出印も一緒に渡すことが重要。

平成26年4月14日 大阪国税不服審判所 非公開裁決事例

誰の名義?

妻名義、子供名義

裁決事例要旨

請求人は、請求人の母名義の口座及び姉名義の各口座に係る各預金(本件各預金)について、本件各預金の一部が被相続人の貸付先(A法人)からの入金額を原資としているとしても、請求人が被相続人へ融通していた金員の返済金や被相続人から贈与を受けたものも含まれていること、また、本件各預金のうち動きのない預金までも相続財産であるとする明確な根拠がないことなどを理由に本件各預金は相続財産ではなく、請求人に帰属する財産であると主張する。しかしながら、本件各預金は、いずれも請求人が被相続人の遺産であったことを税務職員に対する申述によって自認し、請求人を含む共同相続人の生命保険の保険料に充てられるなど、その使途が遺産であることに整合している。また、被相続人からA法人への貸付金に係る同社代表者の申述や、請求人が被相続人の相続財産として申告している各預金に係る口座へのA法人等の複数の者からの入金状況等からすると、被相続人が複数の者に対し業として金を貸して高利の利息を得ていたことが推認できるところであり、これが本件各預金の原資となり得るということができる一方で、請求人は本件各預金の原資について何ら具体的主張も立証も行わず、請求人の所得税の申告状況等に照らしても、請求人が、本件各預金の原資を有していたとは認められない。以上のことから、本件各預金の原資を形成したのは被相続人であると推認され、本件各預金は相続財産に該当すると認められる。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

納税者(長男?)が被相続人の妻名義や長女名義の預金は長男自身の原資の預金である旨を主張したのに対し、審判所は被相続人と長男の今までの収入状況等を鑑み長男にそこまでの原資を蓄財できるほどの収入はなかったことを根拠に納税者の主張を退けた事例。
贈与の立証ができない場合には過去の収入で判断されることになるため収入の裏付けのない預金口座は名義人の財産には該当しないと認定されてしまう。
名義預金実務では、贈与成立の有無の確認⇒過去数年間の資金移動の確認⇒過去の収入による妥当性の確認、といった順番で名義預金の該当性を確認していくこととなる。

平成26年2月4日 大阪国税不服審判所 非公開裁決事例

誰の名義?

子供名義

裁決事例要旨

請求人らは、本件被相続人の子A(相続人A)とB(相続人B)の各名義預貯金(本件各預貯金)は、生前に、相続人A及び相続人Bがそれぞれ本件被相続人から贈与されたものであり、各人の固有財産であるので、本件被相続人の相続財産ではない旨主張する。しかしながら、本件各預貯金について、①本件被相続人から相続人A及び相続人Bそれぞれに対する贈与に係る契約書等は作成されておらず、その他これを証する書類の存在は認められないこと、②口座の開設・入金等及び預替えの判断や金融機関の選定等は、本件被相続人又はその妻が行っていたことから、管理・運用は、本件被相続人とその妻が行っていたと認められること、③②の管理状況に対し、本件被相続人の相続の開始後は、名義人である相続人A及び相続人Bがそれぞれ各人の名義の口座の入出金、解約等の手続を行っていること、④相続人A及び相続人Bは、いずれも本件各預貯金の原資となった金員について贈与税の申告や納税を行っていないことからすると、本件預貯金の原資が、本件被相続人から相続人A及び相続人Bにそれぞれ生前贈与されたとは認めることはできず、本件各預貯金は本件被相続人の相続財産であると認められる。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

子供名義の預貯金につき納税者は贈与が成立していると主張したのに対し、審判所は、贈与契約書がないこと、口座の開設等を被相続人やその配偶者が行っていたこと、贈与税の申告がないこと等の理由により贈与は成立していないと認定した。
贈与成立を立証するためには客観的な証拠がないと納税者の勝ち目は薄いだろう。

平成25年12月10日 関東信越国税不服審判所 公開裁決事例

誰の名義?

子供家族名義

裁決事例要旨

原処分庁は、請求人ら及びその家族の名義の預貯金等(本件預貯金等)について、請求人らの申述及び代理人から提出された本件預貯金等に関する金額の移動状況等を記載した資料に基づき、その管理・運用状況、原資となった金員の出捐者及び贈与の事実等を総合的に勘案すると被相続人の相続財産に該当する旨主張する。しかしながら、原処分庁は、本件預貯金等の使用印鑑の状況や保管場所などの管理状況について何ら具体的に主張立証を行わず、また、その出捐者についても、相続開始日前3年間の被相続人の収入が多額であることなどを挙げるのみで、具体的な出捐の状況について何ら主張立証を行わない。そして、当審判所の調査の結果によっても、被相続人、請求人ら及びその家族の名義で取引先の金融機関に提出された印鑑届等の筆跡並びに印影から、本件預貯金等は各名義人が管理・運用していたと推認されるものの、本件預貯金等の出捐者については、誰であるか認定することはできず、また、被相続人から請求人らに対する贈与の事実の有無については、贈与がなかったと認めるには至らなかった。したがって、本件預貯金等の管理・運用の状況、原資となった金員の出捐者及び贈与の事実の有無等を総合的に勘案しても、本件預貯金等がいずれに帰属するのかが明らかでなく、ひいては、本件預貯金等が被相続人に帰属する、すなわち、相続財産に該当すると認めることはできない。

結論

納税者の勝ち

相続専門税理士角田の所感

名義預金が争点となった裁決事例で珍しく納税者の主張が認められた事例である。
本件は、預金の原資や贈与成立の有無が明らかにならなかった。疑わしきは罰せずの精神で納税者の主張が認められた。
納税者の主張が認められたというより税務当局が名義預金の立証ができなかったと言ったほうが正しい。
本事例での最重要ポイントは、「被相続人、請求人ら及びその家族の名義で取引先の金融機関に提出された印鑑届等の筆跡並びに印影から、本件預貯金等は各名義人が管理・運用していたと推認」という部分であろう。
金融機関への調査によって筆跡や印影が名義人のものであった点が納税者に有利な判断が下された最たる要因だろう。

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