令和4年度(2022年度)税制改正 贈与税はどうなった? 相続関係の改正内容を速報解説

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相続税申告

みなさん、こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズの角田です。

12月10日(金曜)の夜に自民党ホームページに令和4年度税制改正大綱が公表されました。
自民党HP

令和4年の税制改正で、
「生前贈与による相続税の節税が封じされる?」
「生前贈与の持戻期間が3年から10年等に延長されるの?」
「贈与税がなくなって相続税に一本化される?」等の
噂が巷を賑わしていました。

結論から申し上げると、皆さんの気になっていた生前贈与の節税が封じられるような具体的な贈与税の改正は今回の税制改正では実施されませんでした。

ただし、今回改正されなかったからといって安心できるのではなく、来年度以降に持ち越されて検討されることとなりました。

また、相続関連の税制改正も小ぶりな見直しや延長程度で相続実務で大きな影響を与えるような新制度の創設や現行制度の廃止等の改正はありませんでした。

今回は令和4年度税制改正大綱のうち相続実務に関係のある項目をピックアップして解説します。

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相続税・贈与税の一体化について(税制改正大綱P10)

令和3年度の税制改正で謳われていた相続税と贈与税の一体化について、令和4年度税制改正で詳細な改正内容や改正時期が明確になるのではないかと噂になっていましたが、結果として下記の通りの記載に留まり、具体的な改正は来年度以降に持ち越しになりました。

贈与税相続税一体化

現行の相続税における過年度贈与の取り込み制度の詳細は、相続開始前3年以内の贈与加算をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。

住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の延長・見直し(税制改正大綱P33)

適用期限の延長

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けたときに贈与税が非課税となる制度の適用期限が下記の通り延長されました。

改正前 改正後
令和3年12月31日 令和5年12月31日

非課税限度額の見直し

従前は住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期に応じて非課税枠が定められていましたが、改正により契約の締結時期にかかわらず、下記の通りとなりました。

住宅の種類 非課税限度額
耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
上記以外の住宅用家屋 500万円

適用対象となる既存住宅用家屋の要件の見直し

中古住宅の場合の築年数要件が廃止されました。

改正前 改正後
その取得の日以前20年以内
(耐火建築物は25年以内)に建築
廃止

また、耐震基準についても登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降であれば、その家屋は新耐震基準に満たしているものとみなし、耐震証明等が不要となります。

受贈者の年齢要件の見直し

受贈者の年齢要件が下記の通り見直されました。

改正前 改正後
20歳以上 18歳以上

適用時期

上記の改正は、令和4年1月1日(年齢要件の改正は令和4年4月1日)以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税から適用されます。

相続税に係る死亡届の情報等の通知の見直し(税制改正大綱P44)

現行の規定は相続税法第58条に下記の通り定められています。

相続税法第58条

市町村長その他戸籍に関する事務をつかさどる者は、死亡又は失踪に関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を、当該届書を受理した日の属する月の翌月末日までにその事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない。

また、現行の規定の通知事項は下記の通りです。

⑴ 死亡届書に記載された事項(戸籍法86条2項,同法施行規則58条)
① 死亡の年月日時分及び場所
② 死亡者の男女の別
③ 死亡者が日本の国籍を有しないときは,その旨
④ 死亡当時における配偶者の有無及びもし配偶者がないときは,未婚又は直前の婚姻について死別若しくは離別の別
⑤ 死亡当時の生存配偶者の年齢
⑥ 出生後30日以内に死亡したときは,出生の時刻
⑦ 出生後8日以内に死亡したときは,死亡者の出生の届出をした市町村名及び届出月日
⑧ 死亡当時の世帯の主な仕事並びに国勢調査実施年の4月1日から翌年3月31日までに発生した死亡については,死亡者の職業及び産業
⑨ 死亡当時における世帯主の氏名
⑵ 失踪届出に記載された事項(戸籍法94条,63条)
① 裁判により失踪宣告の確定した日
② 民法第31条により死亡したとみなされた日

改正内容としては下記の通りです。

①法務大臣が死亡等に関する届書の提供を受けたときは戸籍等の副本に記録されている情報を提供を受けた日の属する月の翌月末日までに国税庁長官へ通知しなければならない。
②市町村長は、改正前の通知事項以外に死亡者が有していた土地又は家屋に係る固定資産課税台帳の登録事項等を当該市町村の事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない。

財産債務調書制度等の見直し(税制改正大綱P86)

財産債務調書の提出義務者、提出期限、記載内容が見直されました。

提出義務者

改正前 改正後
所得基準:所得2,000万円超
かつ
財産基準:総資産3億円以上 又は
有価証券等1億円以上
改正前の提出義務者に加え、下記の者も対象
財産基準:総資産10億円以上(所得基準なし)

提出期限

改正前 改正後
翌年3月15日 翌年6月30日

記載内容についても財産債務調書への記載を省略することができる家庭用財産の取得価額の基準を100万円未満から300万円未満へ引き上げられました。

電子申告による相続税申告の添付書面等記載事項の提供方法の見直し(税制改正大綱P88)

相続税申告も電子申告が認められていますが、他の税目と異なり戸籍、印鑑証明書、残高証明書、生命保険支払通知書等申告書に添付する資料が多岐にわたります。
電子申告の際にも当該書類を申告書に添付する必要がありますが、一度に送れるデータ量に制限がある関係で添付書類は別途郵送しているケースが多いかと思います。

そのような状況を緩和するために添付書類の提供方法が見直されるという改正です。

改正内容としては添付書面等記載事項の提出方法につき、光ディスク又は磁気ディスクで提出する方法が加えられました。

大綱記載の「添付書面等記載事項」というのがどういうものか明らかになっていませんが、今後法令等が公表された時点で確認したいと思います。

相続に係る所有権の移転登記等に対する免税措置の延長(税制改正大綱P36)

現行の相続に係る所有権の移転登記等に対する免税措置の内容は、法務局HP国税庁HPをご参照下さい。

改正内容は下記の通りです。

改正前 改正後
適用対象となる土地の範囲 市街化区域外のみ 市街化区域内もOK
適用対象となる土地の価額 10万円以下 100万円以下

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この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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