相続人は戸籍で確認を!相続人を確定するためのマニュアルを解説

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この記事の執筆者:大塚 英司

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。

こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

相続では「誰が相続人であるか」を調査し、確定させることが重要です。
間違いのないように慎重に相続人調査を行わなければ、せっかくまとまった遺産分割協議が無効になってしまうおそれがあります。
ここでは、正確に相続人を確定させるためのマニュアルをわかりやすく解説します。相続人の確定は相続手続きの第一歩ですので、ぜひ参照ください。

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相続人を確定するためのマニュアル

正確に相続人を確定するためには、次の3つのパートに分けて手続きを進めると効率的です。

①法定相続人の範囲を理解する
②戸籍謄本を取得する
③戸籍謄本から家族関係を確認する

上記の手順により相続人を確定させた後は、相続人の関係性をまとめた「相続関係説明図」の作成を行います。

相続関係説明図の作成方法は「相続関係説明図の作成マニュアル 初めてでも簡単に作成可能!」で詳しく解説していますので参照ください。

①法定相続人の範囲を理解する

相続人の範囲は民法で定められており、この法律で定められた相続人のことを「法定相続人」と言います。
法定相続人になれる人は「配偶者」「子」「親」「兄弟姉妹」に限られており、その中でも優先順位が設定されています。

■配偶者は常に相続人になる
■第一順位:子およびその代襲相続人
■第二順位:親などの直系尊属
■第三順位:兄弟姉妹およびその代襲相続人

例えば、法定相続人が配偶者と子の場合であれば、子が第一順位となりますので、親や兄弟がいたとしても法定相続人にはなれません。

法定相続人の範囲と優先順位については「相続が発生したら誰が「相続人」なの?意外と知らない法定相続人の範囲や優先順位」で詳しく説明しています。

また、法定相続人が相続できる財産の割合については「相続税の基礎控除と法定相続人(法定相続分)をわかりやすく徹底解説!」を参照ください。

②戸籍謄本を取得する

続いて、相続人を確定させるために必要な戸籍謄本を取得します。相続手続きで必要になる戸籍謄本は次の二種類です。

■被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本
■相続人全員の戸籍謄本

戸籍謄本とは戸籍の写しのことで、戸籍には「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」の3種類に分類されます。
本籍地の窓口、または郵送で請求することが可能です。

戸籍の取得方法については「相続手続きに必要な戸籍の取り方は?必要な戸籍の範囲や取得する手順を解説!」を参照ください。

③戸籍謄本から家族関係を確認する

被相続人と相続人の戸籍謄本を取得したら、戸籍謄本から家族関係を読み取ります。
戸籍謄本は一般的にはあまり見慣れない書類ではないでしょうか。戸籍謄本の読み取り方を見ていきましょう。

戸籍謄本と改製原戸籍の関係

家族関係の確認は「被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本」で確認を行います。
戸籍は結婚や離婚、転籍、養子縁組によって作り変えられていくため、死亡した時点から遡って見ていかなければなりません。
例えば、母が亡くなった場合、母の婚姻前の戸籍謄本(または改製原戸籍、除籍謄本)を確認し、さらに前の戸籍がある場合はその戸籍を確認し、出生まで遡って確認を行います。

ここで混乱してしまうポイントは「改製原戸籍」の存在です。戸籍は結婚や離婚、転籍以外にも戸籍法の改正によって作り変えられます。
戸籍法の改正によって作り変えられたものには、作り変えられる以前に除籍になっている人は記載されないため、戸籍法の改正によって作り変えられる前の戸籍を確認しなければなりません。
この改正によって作り変えられる前の戸籍を「改製原戸籍」と言います。

改正原戸籍見本
戸籍謄本見本
<出典:うるま市>

戸籍謄本のチェックポイント

まずは、被相続人の現在の戸籍謄本からチェックします。チェックする箇所に番号をつけていますので見ていきましょう。

(例:戸籍謄本)
戸籍謄本

①戸籍謄本の正式名称は戸籍全部事項証明書と言います。全部事項証明書と記載されているかをチェックしましょう。

②平成6年の戸籍法改正により、平成19年1月1日に改製されたことを表しています。
平成19年1月1日より前に除籍されている人は、この戸籍謄本には記載されませんので「改製原戸籍」を確認しなければなりません。改製時期については、役所によって異なります。

③鈴木一郎さんが死亡により除籍されていることがわかります。

④婚姻する前の本籍地を確認することができます。この本籍地が現在の本籍地と異なる場合は、婚姻する前の本籍地で戸籍謄本(または改製原戸籍、除籍謄本)を取得して確認しなければなりません。
この例では婚姻前が港区で婚姻後が千代田区なので港区の戸籍謄本も調査しなければなりません。

⑤死亡日などの死亡について記載されています。

⑥現在の戸籍に記録されている人が記載されます。このケースでは一郎さんには良美さんという妻がいることがわかり、良美さんが法定相続人であることが読み取れます。

改製原戸籍のチェックポイント

続いて、平成19年1月1日に作り変えられる前の改製原戸籍を確認します。
改製原戸籍は縦書きで書かれており、戸籍謄本と比べてわかりにくい作りになっています。チェックするポイントを見ていきましょう。

(例:改製原戸籍)
改製原戸籍

①改製原戸籍であることをチェックします。

②出生時の戸籍を確認することができます。これで出生時の戸籍(改正原戸籍または除籍)を請求する役所が判明します。
このケースでは東京都港区へ戸籍の請求を行うことになります。

③戸籍謄本ではわからなかった既に除籍している子がいることがわかります。このケースでは子が婚姻し、除籍しています。
このことから相続人である子が1人いることが読み取れます。

除籍謄本の確認

相続手続きには「被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本」が必要です。一般的に出生時には被相続人の父の戸籍に入ることになります。
被相続人が亡くなった時点で両親が既に亡くなっており、兄弟姉妹も父の戸籍から除籍している場合は、父の戸籍に誰も記録されておらず、除籍謄本という取扱いになります。

ここまで戸籍謄本、改製原戸籍、除籍謄本を見てきました。亡くなった時の戸籍から遡ることで誰が法定相続人であるかを読み取ることが可能です。
ただし、婚姻や離婚が多い場合や養子縁組などで相続人関係が複雑な場合は戸籍の収集だけでも一苦労です。専門家に依頼することも検討してみましょう。

行方不明の相続人がいる場合

戸籍を調査し、相続人を確定させたとしても、その相続人の行方がわからないケースがあります。こういったケースでは、次のような対処方法が考えられます。

・戸籍の附票により住所を調べる

戸籍の調査により、行方不明の相続人の本籍地がわかる場合は「戸籍の附票」を取得することで住所を調べることが可能です。
戸籍の附票には、その本籍地にいる間の住所変更の履歴が記載されているため、最終の住所地を確認することが可能です。
ただし、戸籍の附票の請求者が直系の親族でなければ取得することが難しいです。こういった場合は職権により戸籍の請求ができる専門家に依頼することをおすすめします。

・不在者財産管理人の申立てを行う

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人のことです。行方不明になった人の配偶者や相続人などの申し立てによって家庭裁判所が選任します。
不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得ることで、行方不明者に代わり遺産分割協議に参加することも可能です。
ただし、行方不明者の財産次第では高額な財産管理費用を負担しなければならなかったり、一度選任された不在者財産管理人を変更できなかったりとデメリットも多くありますので、慎重に検討する必要があります。

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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

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