成年年齢引き下げと相続税・贈与税の税制改正について

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズの角田です。

民法改正により成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられます。
約140年ぶりに成年の定義が見直されました。
この成年年齢の引き下げは、2022年(令和4年)4月1日から変わります。

今回は、成年年齢引き下げによる相続税、贈与税への影響をわかりやすく解説します。

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相続税・贈与税に影響を及ぼす論点

成年年齢引き下げが影響を及ぼす相続税、贈与税の論点は下記の通りです。

■未成年者控除
■遺産分割協議
■相続時精算課税制度
■贈与税率の特例
■非上場株式等の贈与税の納税猶予
■直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
■直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

■未成年者控除

制度の概要

未成年者控除とは、相続人に下記要件を満たす者がいる場合に、その者が成年に達するまで1年間当たり10万円の税額控除ができる制度です。
未成年者控除の要件は下記の通りです。

要件①:相続開始日に未成年者であること
要件②:相続又は遺贈により財産を取得したこと
要件③:法定相続人であること(相続放棄があった場合にはその放棄がなかったものとした場合の相続人)
要件④:相続開始日に日本国内に住所があること(一定の者を除く)

未成年者控除を詳しく知りたい人は、相続税の未成年者控除をわかりやすく徹底解説をご参照ください。

成年年齢引き下げによる改正点

【従前の控除額】

(20歳-相続開始日の未成年者の年齢) ✕ 10万円

【改正後の控除額】

(18歳-相続開始日の未成年者の年齢) ✕ 10万円

具体例で確認していきましょう。

具体例
未成年相続人の相続開始日の年齢:15歳11ヶ月

改正前の未成年者控除額:(20歳-15歳(1年未満切り捨て))✕10万円=50万円
改正後の未成年者控除額:(18歳-15歳(1年未満切り捨て))✕10万円=30万円

施行時期

相続開始日が令和4年4月1日以降の案件について改正後の取り扱いとなります。
遺産分割協議日等ではないので注意が必要です。

過去に未成年者控除の適用を受けている場合

未成年者控除は過去に適用を受けている場合には2回目以降は一定の調整が必要となります。
過去に適用を受けた未成年者控除が20歳を基準としていたときにはその調整も若干煩雑となります。
具体例を用いて解説していきます。

■1回目の相続 平成30年(2018年)
未成年者の年齢 5歳

① 未成年者控除適用前の未成年者の相続税 100万円(扶養義務者の相続税はないものとします)
② 未成年者控除額 (20歳-5歳)✕10万円=150万円
③ 控除された金額 ①>② ∴100万円

■2回目の相続 令和6年(2024年)
未成年者の年齢 11歳

① 未成年者控除適用前の未成年者の相続税 200万円(扶養義務者の相続税はないものとします)
② 改正後の1回目の未成年者控除額 (18歳-5歳)✕10万円=130万円
③ 1回目の未成年者控除限度額 ②-実際の1回目の控除額100万円=30万円
④ 2回目の未成年者控除額 (18歳-11歳)✕10万円=70万円
⑤ 控除された金額 ③<④ ∴30万円
⑥ 納付すべき相続税額 200万円-⑤=170万円

2回目の控除額計算において1回目の控除限度額の計算上、20歳ではなく18歳で計算するのがポイントです。(赤字部分)

■遺産分割協議

相続税、贈与税の改正論点ではありませんが、成年年齢引き下げは相続実務でとても重要な手続きである遺産分割協議に影響を及ぼします。

令和4年3月31日以前に遺産分割協議をする場合には、相続人に20歳未満の人がいる場合には特別代理人を専任し、その特別代理人が未成年相続人に代理して遺産分割協議をすることとなっていました。特別代理人を選任すると原則としてその未成年者に法定相続分を取得させないといけない等の弊害もあります。

これが、令和4年4月1日以降の遺産分割では18歳以上であれば遺産分割協議をすることができます。
したがって、相続人に18歳以上20歳未満の人がいる場合には、令和4年4月1日まで待って遺産分割協議をすれば特別代理人の選任など面倒な処理をせずに遺産分割協議を成立させることができます。

ただし、相続税の申告期限が令和4年3月31日までの場合には、少し検討が必要となり、下記二つの方法が想定できます。

未分割申告
期限内に分割をする申告(期限内分割申告)

両者のメリット・デメリットは下記の通りです。

未分割申告 期限内分割申告
【メリット】
○配偶者の税額軽減で相続税がゼロになる可能性もある
○家庭裁判所への特別代理人の選任手続き等が不要となる
【デメリット】
未分割申告時に特例が使えないため一時的に多額の納税になる可能性がある
分割確定時に再度申告が必要となり二度手間になる
【メリット】
○申告手続きが1回で済む
【デメリット】
家庭裁判所の判断によっては、未成年者に法定相続分を取得させないといけないケースがある
配偶者の遺産分配が上記により少なくなることにより配偶者の税額軽減を効果的に適用できない
家庭裁判所の特別代理人の選任手続き等が必要となる

詳しくは、下記コラムをご参照ください。

相続税の未成年者控除をわかりやすく徹底解説
【相続税】申告期限までに遺産分割が決まらない場合の未分割申告

■相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、贈与をした年の1月1日時点で20歳以上の受贈者に適用が認められている制度です。
この20歳が18歳に引き下げられます。
なお、相続時精算課税制度の詳しい解説は、相続時精算課税制度をわかりやすく徹底解説をご参照ください。

施行時期

贈与日が令和4年4月1日以降の案件について改正後の取り扱いとなります。

ケース別解説

年齢の判定時期(1月1日)と施行時期が(4月1日)が異なっていて年齢の判断が少し煩雑なので具体例を用いながら解説します。

(ケース1)令和4年2月1日に19歳になる人
  ■贈与日 令和4年3月1日:精算課税贈与の適用なし
  ■贈与日 令和4年4月1日:精算課税贈与の適用あり(贈与年の1月1日は18歳のため)

(ケース2)令和4年3月1日に18歳になる人
  ■贈与日 令和4年3月1日:精算課税贈与の適用なし
  ■贈与日 令和4年4月1日:精算課税贈与の適用なし(贈与年の1月1日は17歳のため)

■贈与税率の特例

直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税の税率につき、受贈者が贈与を受けた年の1月1日において20歳以上のときは軽減税率が使えます。
この20歳が18歳に引き下げられます。
贈与税率の詳細については、国税庁HPをご参照ください。

施行時期

贈与日が令和4年4月1日以降の案件について改正後の取り扱いとなります。

■非上場株式等の贈与税の納税猶予

非上場株式等の贈与税の納税猶予についても上記の制度と同様に20歳から18歳に引き下げられます。
年齢の判定は、精算課税贈与や贈与税率の特例と異なり、贈与日で判定しますので注意が必要です。

非上場株式等の納税猶予の詳しい解説は、事業承継税制 基本中の基本をご参照ください。

施行時期

贈与日が令和4年4月1日以降の案件について改正後の取り扱いとなります。

■直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税についても上記の制度と同様に20歳から18歳に引き下げられます。
年齢の判定は、精算課税贈与や贈与税率の特例と異なり、贈与日で判定しますので注意が必要です。

施行時期

贈与日が令和4年4月1日以降の案件について改正後の取り扱いとなります。

■直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税についても上記の制度と同様に20歳から18歳に引き下げられます。

施行時期

贈与日が令和4年4月1日以降の案件について改正後の取り扱いとなります。

相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

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