贈与税がかからない方法5選! 非課税贈与を完全解説

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相続対策

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

ただで財産を渡すことを贈与といいますが、贈与をすると原則としてもらった方に贈与税がかかります。

どんな贈与でも贈与税はかかってしまうのでしょうか?

答えは、「贈与税のかからない贈与もある」です。

そうなのです。すべての贈与に贈与税がかかるのではなく贈与税がかからない贈与も多数存在するのです。

この贈与税のかからない贈与をすることにより将来の相続税の節税をすることができるのです。

今回は、贈与税のかからない贈与を網羅的に完全解説します。

動画で知りたい人は下記YouTubeから、テキストで確認したい人はこのままスクロールして一番最後までお読みください!

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贈与税のかからない贈与は大きく分けて5種類ある!

贈与税のかからない贈与はたくさんあるのですが、大きく分けると下記の5種類です。

1. 基礎控除額(110万円)以下の贈与
2. 扶養義務者からの生活費、教育費で通常必要と認められるものの贈与
3. 香典、花輪代、祝い金、見舞金等で社会通念上相当と認められるものの贈与
4. 法人からの贈与
5. 贈与税の特例を活用した贈与

以下に一つ一つ詳しく解説していきます。

1. 基礎控除額(110万円)以下の贈与

贈与税には110万円まではかからないという非課税枠があります。
これを基礎控除といいます。

基礎控除が設けられている趣旨としては実務上の混乱を避けるためです。
例えば、1万円を友達に奢ったとしましょう。
その友達がこの1万円を奢ってもらったからといって贈与税の申告をしたら日本全国、贈与税申告だらけになって税務行政が適切に機能しなくなってしまいます。
専門用語でいうと「少額不追求の原則」といいます!

110万円を超えるかどうかの計算期間は1月1日から12月31日まで

基礎控除の110万円は1年間の合計で判断します。
いつからいつの1年間かというと、1月1日~12月31日の1年間です。

例えば、2/5に60万円もらって、同じ年の11/24に70万円もらった人は1年間で130万円もらっているので贈与税の対象者となります。

110万円は「もらった人」ごとに判定する

贈与税はあげた人ではなくもらった人にかかる税金です。
したがって、110万円の判定ももらった人で判定します。

例えば、お父さんから70万円、お母さんから50万円を同じ年にもらっていた人がいたらその人が1年間でもらった贈与額は120万円で基礎控除を超えてしまうので贈与税の対象者となります。

贈与の方法を間違えると相続税の対象に!?

贈与のやり方を間違えると相続のときに名義預金と認定されて相続税の対象になってしまうかもしれません。
そうならないために適切に贈与をしなければなりません。

名義預金と認定されない贈与の方法のポイントとしては下記の3つです。

◯贈与契約書の作成
◯確実な贈与の実行
◯贈与後の管理支配

贈与の方法の詳しい解説は、相続税の税務調査時に、名義預金と認定されない生前贈与の方法【4つの掟】をご参照下さい。

2. 扶養義務者からの生活費、教育費で通常必要と認められるものの贈与

「扶養義務者」とは、夫婦、親子、祖父母孫、兄弟姉妹の関係をいいます。
「生活費」とは、通常の日常生活に必要な費用のことで治療費、養育費、子育てに関する費用もここに含みます。
「教育費」とは、学費や教材費、文具費などをいい、義務教育には限られません。

親が未成年の子の医学部の学費を300万円負担したとしても贈与税の対象にはなりません。
祖父母が孫の留学費用を150万円負担したとしても贈与税の対象にはなりません。
成人した子が老親の生活費のため毎月20万円の仕送りをしていたとしても贈与税の対象にはなりません。
成人した子が老親のガン治療費を200万円負担したとしても贈与税の対象にはなりません。

それでは、30歳になった子が怠惰で働いていなくてその老親が生活費を支援している場合はどうでしょうか?
成人した子と老親の間では生活扶助義務しかなく生活保持義務はありません。
子に障害がある等の事情があれば別ですが、ただ怠けて働いていないような場合には扶養義務者相互間とはいえない可能性もあるためその生活費は通常必要と認められないとして贈与税の対象になる可能性はあるかもしれませんが、実務上は贈与税の対象となっていないことのが多いでしょう。

別のケースとして30歳になった子が普通に働いていて家族もいた場合にその子ども家族の生活費を親が出していた場合はどうでしょうか?
子自体も収入があるので一義的には自分の収入で生活すべきですが、その収入はすべて貯蓄しています。
この場合でも通常認められる範囲内であれば贈与税はかからないでしょう。

では、3,000万円のフェラーリ等の高級車を生活のために使う目的で親が子のために購入した場合にはどうでしょうか?
これは通常認められる範囲を超えていると考えられるので贈与税の対象となるでしょう。

生活費、教育費がどこまで認められるかはケース・バイ・ケースにより異なるということです。

3. 香典、花輪代、祝い金、見舞金等で社会通念上相当と認められるものの贈与

香典、花輪代、お中元、お歳暮、祝い金、見舞金等の贈与であっても社会通念上相当と認められるものであれば贈与税の対象になりません。

祖父母が孫の結婚祝いに50万円をあげたとしても贈与税の対象にはなりません。

ただし、社会通念上相当と認められないような多額な贈与は贈与税の対象になる可能性もあるため注意が必要です。
この社会通念上相当かどうかについて具体的な金額基準はありません。
あくまで一般常識の範囲内かどうかで判断しろという曖昧な基準なのです。

例えば、孫の新築祝いに500万円を贈与し、それが相続税の租税回避となっているようなケースは一般常識の祝い金からはかけ離れているため贈与税の対象になる可能性は高いでしょう。

4. 法人からの贈与

贈与税は、個人間の贈与にかかる税金です。
片方が法人の場合には贈与税の対象ではないのです。

法人から贈与を受けた場合には所得税の対象となります。

その法人と個人の関係によりかかってくる所得税の変わります。

会社役員・従業員:給与所得
無関係:一時所得

5. 贈与税の特例を活用した贈与

贈与税が非課税となる特例贈与は下記の6種類です。

(1)相続時精算課税制度
(2)贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)
(3)住宅取得等資金贈与の特例
(4)教育資金の一括贈与
(5)結婚・子育て資金の一括贈与
(6)障害者の特定贈与信託

(1)相続時精算課税制度

相続時精算課税制度による贈与とは、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫に対してのみ適用できる贈与で、2,500万円まで無税で贈与ができる制度です。

この2,500万円の非課税枠は暦年課税贈与のように1年間の非課税枠ではなく、一生涯で2,500万円まで無税ということです。

なお、読んで字の如く、相続時精算課税制度により贈与した財産は相続税の申告のときにすべて相続財産に加算しなければなりません。
したがって、将来値上がりする財産や収益を生む財産でなければ相続税の節税にはなりません。

相続時精算課税制度の詳しい解説は、相続時精算課税制度をわかりやすく徹底解説をご参照ください。

(2)贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産そのもの又は居住用不動産の購入資金の贈与が行われた場合に贈与税の基礎控除110万円に加え2,000万円まで非課税で贈与ができるという特例です。

詳しい適用要件は、下記のとおりです。

①夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。
②配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること。
③贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。

贈与税の配偶者控除の詳しい解説は、国税庁HP 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

(3)住宅取得等資金贈与の特例

父母や祖父母から子や孫が居住用財産購入のための資金の贈与を受けた場合には、下記金額を非課税で贈与することができます。

家屋の種類 非課税限度額
省エネ等住宅 1,000万円
上記以外の住宅 500万円

省エネ等住宅とは、省エネ等基準(①断熱等性能等級4以上もしくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上もしくは免震建築物であることまたは③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であることにつき、住宅性能証明書など一定の書類を贈与税の申告書に添付することにより証明されたものをいいます。

その他、対象者、居住用財産の細かい要件は、国税庁HP 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税をご参照下さい。

(4)教育資金の一括贈与

父母や祖父母から30歳未満の子や孫が教育資金の一括贈与を受けた場合に1,500万円(学校等以外の教育費は500万円)までを非課税で贈与できるという制度となります。

贈与後に贈与した父母や祖父母が亡くなってしまったときに贈与額につき教育費として使い切れていない残額があった場合にはその残額に相続税がかかってしまいますので注意が必要です。
また、子や孫が30歳になったときに使い切れていない贈与額があった場合に、贈与した父母や祖父母が存命であれば、その残額に贈与税がかかってしまうのでこちらも注意が必要です。

教育資金の一括贈与についての詳しい解説は、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し【令和3年改正】をご参照下さい。

(5)結婚・子育て資金の一括贈与

父母や祖父母から18歳以上50歳未満の子や孫が結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合に1,000万円までを非課税で贈与できるという制度となります。

この制度の詳しい解説は、国税庁HP 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税をご参照下さい。

(6)障害者の特定贈与信託

障害者に対して信託銀行等を通じてお金を拠出することにより、3,000万円(一般障害者)又は6,000万円(特別障害者)までの贈与が非課税となる制度となります。

この制度の詳しい解説は、信託協会HPをご参照下さい。

Q&A

(1)生活費、教育費で通常必要と認められるものとはどの程度の金額まで認められますか?

具体的な金額基準はありません。
贈与をした方の資力、贈与を受けた方の需要、その他の事情を総合的に勘案して社会通念上適当と認められる範囲までの金額となります。

(2)数年分の生活費や教育費を一括で贈与した場合でも贈与税の対象にはなりませんか?

生活費や教育費が非課税なのはその都度贈与する場合です。
一括贈与の場合には使われなかった部分は贈与税の課税対象となります。
ただし、前述の「5. 贈与税の特例を活用した贈与」の(4)教育資金の一括贈与、(5)結婚・子育て資金の一括贈与の特例制度を活用すれば一括贈与でも一定金額までは非課税で贈与が可能です。

(3)生活費として30万円をもらって、それとは別に暦年贈与で100万円をもらったのですが、贈与税の申告は必要ですか?

前述の通り、生活費としてもらった30万円をすぐに生活費として費消したならその贈与は贈与税の対象とはなりません。
したがって、残りの100万円では贈与税の基礎控除以下のため贈与税の申告は不要です。

まとめ

贈与税がかからない贈与について解説しました。

大きく分けて贈与税のかからない贈与は下記の5種類があります。

1. 基礎控除額(110万円)以下の贈与
2. 扶養義務者からの生活費、教育費で通常必要と認められるものの贈与
3. 香典、花輪代、祝い金、見舞金等の贈与
4. 法人からの贈与
5. 贈与税の特例を活用した贈与

上記2や3の贈与は判定が曖昧でグレーゾーンが大きい贈与となるため相続専門の税理士に相談しましょう。
上記5の贈与は贈与税の確定申告が必要な贈与もありますので税務署か税理士に相談して贈与税の確定申告を忘れないように注意しましょう。

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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

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