相続と在留資格|配偶者死亡後のビザ維持と変更手続き

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国際相続

10秒でわかるこの記事のポイント

①日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・家族滞在では、配偶者との死別後14日以内の届出が必要です

②死別しても直ちに在留資格が失効するわけではありませんが、引き続き日本で在留するには在留資格変更の検討が必要です

③死別後は、定住者や就労資格、永住許可申請などが選択肢になります

④経営管理ビザの事業承継では、相続とは別に在留資格の要件充足を確認する必要があります

⑤在留資格の手続と相続税申告の期限は別なので、並行管理が重要です

「日本人の配偶者が亡くなったら、自分のビザはどうなるのか?」

「被相続人が経営管理ビザで事業をしていた場合、相続人はそのまま事業を引き継げるのか?」

こうした相談は、国際相続では少なくありません。

結論からいうと、相続や死別は、在留資格に直接影響する重要な出来事です。
特に、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、家族滞在のように、配偶者関係や扶養関係を前提とする在留資格では、死別後の届出や在留資格変更の検討が必要になります。

また、相続税の申告期限は原則10か月であり、在留資格の問題とは別に進みます。
国際相続の全体スケジュールは、国際相続スケジュール|発生から申告まで時系列で解説もあわせてご覧ください。

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配偶者との死別後は、14日以内の届出が必要

まず重要なのは、配偶者との死別後、出入国在留管理庁への届出義務があることです。

入管庁の案内では、対象となる在留資格は主に次のとおりです。

  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 家族滞在

これらの在留資格で配偶者として在留している人は、配偶者との死別を知った日から14日以内に届出が必要です。

【実務上のポイント】
死別したからといって、すぐに在留カードが失効するわけではありません。
ただし、届出をしないまま放置するのは危険です。まずは14日以内の届出を優先してください。

配偶者が亡くなっても、直ちに在留資格が消えるわけではない

ここは誤解が多いところです。

日本人の配偶者等や永住者の配偶者等は、配偶者との身分関係を基礎とする在留資格です。
そのため、死別によって前提事情は変わりますが、死亡した瞬間に当然に在留資格が消滅するわけではありません。

もっとも、引き続き日本で在留を希望する場合は、届出後、在留期間の満了を待つのではなく、在留資格変更を早めに検討するのが安全です。

死別後の主な選択肢は、定住者・永住・就労資格

死別後に必ず定住者へ変更できると決まっているわけではありません。
ただし、実務上は、事情に応じて次のような選択肢を検討することが多いです。

候補 主な検討要素 コメント
定住者 日本での在留歴、生活実績、子の有無、生計能力 死別後の代表的な選択肢
永住者 永住許可の要件を満たすか 要件を満たせば最も安定
技術・人文知識・国際業務などの就労資格 学歴・職歴・就労先の確保 就労要件を満たす必要あり
特定活動 個別事情 一時的な在留継続として検討される場合あり

外国籍の相続人がいる相続手続全体については、外国籍の相続人がいる場合の相続手続き完全ガイドも参考になります。

定住者への変更では、生活基盤と子の有無が重要

死別後の在留資格変更でよく問題になるのが、定住者への変更です。

この場面では、典型的に次の事情が重視されます。

①日本での在留期間・婚姻期間
日本での生活年数が長いほど有利に働きやすいです。

②日本国籍の子の有無
未成年の日本国籍の子を養育している場合は重要な事情になります。

③独立した生計能力
就労収入、年金、資産などにより、日本で生活できるかが見られます。

④日本社会との結びつき
生活実績、日本語能力、地域との関係なども考慮されます。

⑤法令遵守状況
税金や社会保険料の納付、前科前歴の有無などです。

相続税の申告が必要な場合は、非居住者や外国籍相続人の論点も絡みます。
税務面は、非居住者がいる相続税申告を徹底解説もあわせて確認すると整理しやすくなります。

永住申請中に配偶者が死亡した場合

永住許可申請中に配偶者が死亡した場合も、直ちにすべてが無効になると決めつけるべきではありません。

もっとも、配偶者に基づく特例で申請している場合は、審査の前提事情が変わるため、入管への届出と追加説明資料の提出を早めに検討すべきです。

そのうえで、結果次第では定住者等への変更も視野に入ります。
「申請中だから何もしなくてよい」という理解は危険です。

家族滞在の人も、死別後は在留資格の見直しが必要

家族滞在は、就労資格者や経営管理ビザ保持者などから扶養を受けて在留する資格です。

そのため、扶養者である配偶者が死亡した場合は、配偶者に関する届出を行ったうえで、引き続き日本に在留するための資格変更を検討する必要があります。

家族滞在からの変更先としては、就労資格、定住者、特定活動などが候補になりますが、どれが適切かは学歴・職歴・子の有無・生活基盤によって変わります。

経営管理ビザの事業承継は、「相続」と「在留資格」を分けて考える

被相続人が経営管理ビザで会社を経営していた場合、相続人が株式や事業を承継するケースがあります。

ここで重要なのは、株式を相続できることと、経営管理ビザを取れることは別問題だという点です。

株式の相続自体は、相続財産として通常どおり起きます。
しかし、外国人相続人が日本でその事業を経営するには、自身が経営管理ビザの要件を満たす必要があります。

経営管理ビザは2025年10月に基準改正があった

経営管理ビザについては、2025年10月16日に上陸許可基準省令等の改正が施行されました。

主な改正点は、次のとおりです。

改正後の主なポイント
・常勤職員1名以上の雇用が必要になった
・資本金額等の基準が引き上げられた(500万円⇒3,000万円以上)
・経営者の経歴要件が追加された(学位又は関連職務の経験による立証)
・経営者又は常勤職員に相当程度の日本語能力が必要になった(B2相当以上)
・在留資格決定時に提出する事業計画書について、専門家確認が必要になった

そのため、元の感覚で「500万円あればよい」「会社を相続したからそのまま経営管理ビザに変えられる」と考えるのは危険です。

経営管理ビザの承継を考えるなら、相続手続とは別に、現在の会社の実態、役員構成、常勤職員、日本語能力資料、事業所要件まで整理する必要があります。

日本人や永住者が事業承継する場合は、在留資格の問題はない

相続人が日本人または永住者であれば、在留資格の問題は通常生じません。

ただし、会社法・商業登記・許認可の承継は別途必要です。
株式を相続しただけで会社経営が自動で完結するわけではないため、役員変更登記や金融機関対応、取引先対応も含めて整理が必要です。

在留資格手続と相続税申告は、期限が別々に走る

このテーマで最も実務的に重要なのは、期限管理です。

手続き 期限・目安
配偶者との死別の届出 14日以内
在留資格変更の検討・申請 在留期間満了前に早めに着手
相続放棄・限定承認 原則3か月以内
準確定申告 原則4か月以内
相続税の申告・納付 原則10か月以内

つまり、ビザの問題だけを見ていると税務が遅れ、税務だけを見ていると在留資格が遅れます。
この2本を同時進行で管理する必要があります。

国際相続の全体タイムラインは、国際相続スケジュール|発生から申告まで時系列で解説で詳しく解説しています。

海外財産がある場合は、在留資格の問題と税務がさらに絡む

外国人配偶者の死別案件では、被相続人や相続人が日本国外に財産を持っていることも少なくありません。

その場合、相続税申告では、外貨建て財産の換算、海外不動産の評価、海外口座の残高確認なども必要になります。

海外不動産の評価は、海外不動産の相続税評価の方法と注意点、海外財産全般の把握はCRS(共通報告基準)と相続も確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 配偶者が亡くなったら、すぐに帰国しなければなりませんか?

A. いいえ。
直ちに在留資格が当然失効するわけではありません。
ただし、14日以内の届出を行い、引き続き日本で在留を希望する場合は、在留資格変更を早めに検討すべきです。

Q. 死別後は必ず定住者ビザになりますか?

A. いいえ。
定住者は代表的な選択肢ですが、自動的に変更できるわけではありません。
生活実績、子の有無、生計能力、就労状況などを踏まえて個別判断されます。

Q. 家族滞在の人も14日以内の届出が必要ですか?

A. はい。
入管庁の案内では、家族滞在も配偶者に関する届出の対象です。

Q. 経営管理ビザの会社を相続したら、そのまま経営できますか?

A. 相続で株式を取得すること自体はあり得ます。
ただし、外国人相続人が日本で経営活動を行うには、自身が経営管理ビザの要件を満たす必要があります。

まとめ

まとめ

配偶者との死別は、相続だけでなく在留資格にも直接影響します。

日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、家族滞在では、14日以内の届出が必要です。

死別後も直ちに在留資格が当然失効するわけではありませんが、引き続き日本に住むには在留資格変更を早めに検討すべきです。

また、経営管理ビザの事業承継では、相続と在留資格要件を分けて整理する必要があります。

在留資格と相続税申告は期限が別々に進むため、行政書士と税理士の連携が重要です。

税理士法人トゥモローズでは、国際相続に強い税理士が、外国籍の相続人がいる案件や海外財産を含む相続税申告をサポートしています。
また、在留資格の問題についても、必要に応じて専門家と連携しながら全体の進行を整理します。

「相続とビザのどちらから手を付けるべきか分からない」
「配偶者が亡くなった後、日本に住み続けたい」
「経営管理ビザの会社を相続したが、承継方法が分からない」
という場合は、お気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属 
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は350件。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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