死亡保険金と一緒に振り込まれるものの相続税|非課税枠が使える・使えない11項目を税理士が解説

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相続税申告

生命保険金と一緒に振り込まれるもの
10秒でわかる この記事の要約

  • 死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がある(基本は生命保険金にかかる相続税を参照)
  • 死亡保険金と一緒に振り込まれるものには、非課税枠が使えるもの(配当金・前納保険料など)と使えないもの(特約還付金・入院給付金など)がある
  • 判断のカギは「みなし相続財産か、本来の相続財産か、そもそも相続税の対象外か」
  • 契約者貸付金がある場合は、差し引いた純額が課税対象(貸付金は債務控除できない)

相続に際して死亡保険金を受け取ると、保険金そのものだけでなく、配当金や前納保険料、特約還付金、入院給付金などが一緒に振り込まれることがあります。
死亡保険金はみなし相続財産として相続税の対象になりますが、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が用意されています。
ところが、一緒に振り込まれるものには、この非課税枠が使えるものと使えないものがあり、その性質によって扱いが分かれます

死亡保険金や非課税枠の基本的な仕組みは生命保険金にかかる相続税|非課税枠と注意点を完全解説で詳しく解説しています。
本記事では、付随して支払われる11項目について、非課税枠の可否と理由を相続専門の税理士が一覧で解説します。

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死亡保険金と一緒に振り込まれるもの 非課税枠の可否【一覧表】

まず結論を一覧で示します。

非課税枠が使えるかどうかは、その入金が次のどれにあたるかで決まります。

■ 死亡保険金と同じみなし相続財産にあたる … 非課税枠が使える
■ 被相続人がもともと持っていた「本来の相続財産」にあたる … 非課税枠は使えない(遺産分割の対象)
■ そもそも相続税の対象にならない … 非課税枠の話とは無関係(受取人の所得税の対象になることがある)

死亡保険金は、受取人の固有財産でありながら相続税法上はみなし相続財産として課税されるため、非課税枠が用意されています。
一緒に振り込まれるものも、この「みなし相続財産といえるか」によって可否が分かれます。

一緒に振り込まれるもの 非課税枠 ポイント
配当金 契約者に分配される剰余金。死亡保険金と同様に扱う
割戻金 共済契約の配当金にあたるもの。非課税枠を適用できる
前納保険料 前払いした将来分の保険料の返還。死亡保険金と一体で扱う
未経過保険料 前納保険料とほぼ同じ。結論も同じ
特約還付金 本来の相続財産(遺産分割の対象)。死亡保険金とは性質が異なる
生存保険金 支払いが死亡後になっただけの未収金。本来の相続財産
入院給付金 受取人が被相続人なら相続財産。配偶者・子なら相続税の対象外
遅延利息 そもそも相続税の対象外(受取人の所得税・雑所得)
契約者貸付金 貸付金を差し引いた純額が課税対象。貸付金は債務控除不可
満期保険金の据置金 保険会社に預けていた債権。非課税枠は使えない
死亡保険金の据置金 受け取る権利は確定済み。通常の死亡保険金と同様に非課税枠可

以下で、それぞれの理由を詳しく解説します。

非課税枠が使えるもの

1. 配当金

生命保険会社は、契約者から預かった保険料を運用して余りが出た場合、その剰余金の一部を契約の定めにより契約者に分配することがあります。
これを配当金といい、死亡保険金とともに支払われることがあります。
配当金は死亡保険金に付随して受取人に支払われる性質のものであるため、死亡保険金と同様にみなし相続財産として非課税枠を適用できます

2. 割戻金

割戻金は、JA共済や県民共済などの共済契約における配当金にあたるものです。
共済も生命保険と同様に、契約者が払い込んだ掛金の運用結果に応じて剰余を割り戻すことがあります。
本来の共済金(死亡共済金)とともに支払われた割戻金も、配当金と同じ考え方で非課税枠を適用できます。

3. 前納保険料

前納保険料とは、将来の保険期間に対応する保険料を前もって払い込んだものです。
これが残っている間に被保険者が死亡した場合は、死亡保険金とともに返還されます。
死亡保険金と一体のものとして扱われるため、非課税枠を適用できます。

4. 未経過保険料

未経過保険料は、前納保険料とほぼ同じ内容で、まだ経過していない保険期間に対応する保険料部分です。
死亡によって契約が消滅したことにともない、死亡保険金と一緒に返還されます。
前納保険料と同じ理由で、死亡保険金と一体のものとして非課税枠を適用できます。

5. 契約者貸付金がある場合

契約者貸付金とは、契約者が解約返戻金の一部を保険会社から借りられる制度です。
死亡保険金を請求した際に貸付金の残債があると、保険金から残債が差し引かれて入金されます。

このとき、差し引いた後の純額がみなし相続財産として相続税の対象となり、貸付金は債務控除の対象になりません

ここで迷いやすいのが、課税対象になるのが「差し引く前の500万円」なのか「差し引いた後の300万円」なのか、という点です。
仮に貸付金を債務控除できるとすれば、保険金500万円から非課税枠を引いて0円、さらに貸付金200万円を債務として引ける、という計算になりそうに見えます。
しかし正解は、最初から純額の300万円だけがみなし相続財産となり、貸付金は債務控除できないという扱いです。

計算例(相続人1人・死亡保険金500万円・契約者貸付金200万円)
受取人への入金額 = 500万円 − 200万円 = 300万円
課税対象(みなし相続財産)= 純額の300万円
 300万円 − 300万円(非課税枠の範囲内)= 0円
※貸付金200万円は債務控除できないため、相続税へのインパクトはゼロ。

なお、被保険者が被相続人以外の場合は、生命保険契約に関する権利として解約返戻金相当額を相続財産に計上します。
この場合の契約者貸付金は、上記とは異なり債務控除の対象になります。

6. 死亡保険金の据置金

死亡保険金の据置金とは、受取人が死亡保険金を受け取らず、いったん保険会社に据え置いたお金です。
据え置いていても、受取人が死亡保険金を受け取る権利はすでに確定しています。
そのため、その実質は死亡保険金そのものであり、相続税の対象になるとともに、通常の死亡保険金と同様に非課税枠を適用できます。
この点は、被相続人の生前のお金である満期保険金の据置金(後述)とは扱いが異なるので注意してください。

非課税枠が使えないもの

7. 特約還付金

特約還付金とは、主契約とは別の特約にかかる保険料のうち、主契約部分の消滅にともなって返還される特約保険料の積立部分です(かんぽ生命などで見られます)。
この積立部分が死亡保険金と一緒に振り込まれます。
これはみなし相続財産ではなく本来の相続財産にあたり、遺産分割協議の対象となるため非課税枠は使えません
死亡保険金のように受取人の固有財産として扱われない点に注意が必要です。

8. 生存保険金

生存保険金は、被相続人が生前に受け取れたはずの保険金で、支払手続きを失念していたために死亡後に支払われることがあります。
これは支払いのタイミングが死亡後になっただけの未収金であり、本来の相続財産にあたるため非課税枠は使えません。

9. 入院給付金

入院給付金とは、被保険者が病気やケガで入院した際に支払われる給付金で、死亡保険金とともに支払われることも少なくありません。
入院給付金は死亡保険金ではないため非課税枠は使えませんが、契約上の受取人が誰かによって、相続税の対象になるかどうかが分かれます

■ 受取人が契約者(被相続人)の場合 … 本来の相続財産として相続税の対象(非課税枠は使えない)
■ 受取人が配偶者・子など一定の親族の場合 … 相続税の対象にならず、受取人の所得税も非課税

10. 遅延利息

遅延利息とは、保険会社が死亡保険金の請求を受けてから支払いまでに一定の期間(5営業日など)を超えた場合に、その日数に応じて支払う利息です。
死亡保険金とともに支払われることが多いものの、これはそもそも相続税の課税対象になりません
受取人が受け取る所得(雑所得)として所得税の対象となるため、非課税枠の話とは関係がありません。

11. 満期保険金の据置金

満期保険金の据置金とは、被相続人が生前に満期保険金を受け取らず、保険会社へ据え置いていたお金です。
これが死亡保険金と一緒に振り込まれることがありますが、その性質は保険会社に預けていた債権(本来の相続財産)です。
死亡保険金ではないため、非課税枠は使えません。

申告で間違えやすいポイント

保険会社から届く支払明細には、死亡保険金のほかに配当金・前納保険料・特約還付金などが一括で記載されていることが多くあります。
そのため、すべてを死亡保険金として非課税枠を当てはめてしまったり、逆に非課税枠が使える配当金や前納保険料を課税対象から漏らしてしまったりする間違いが起こりがちです。

正しく申告するには、保険会社から支払明細(支払通知書)を取り寄せ、項目ごとに「みなし相続財産か・本来の相続財産か・相続税の対象外か」を確認することが大切です。
判断に迷う項目があれば、相続に強い税理士に確認すると安心です。
すでに申告して納め過ぎていた場合は、更正の請求で取り戻せる可能性もあります。

よくある質問

Q1.保険証券に複数の名目が記載されています。どれに非課税枠が使えるか分かりません。
A.名目ごとに「死亡保険金と同じみなし相続財産か」「本来の相続財産か」「相続税の対象外か」を確認します。
保険会社の支払明細を取り寄せ、項目ごとに性質を確認するのが確実です。判断に迷う場合は税理士にご相談ください。

Q2.契約者貸付金を債務控除できないのは損ではないですか?
A.貸付金は保険金から差し引かれた純額が課税対象になるため、実質的に二重で差し引くことはできない仕組みです。
純額に非課税枠を適用するため、多くのケースで相続税への影響は小さくなります。

Q3.入院給付金は確定申告が必要ですか?
A.受取人が配偶者や子など一定の親族の場合、入院給付金は相続税の対象にならず、所得税も非課税のため確定申告は不要です。
一方、受取人が被相続人だった場合は、本来の相続財産として相続税の対象になります。

Q4.特約還付金は受取人が自由に使ってよいですか?
A.特約還付金は本来の相続財産で遺産分割の対象になるため、遺産分割協議で取得者を決める必要があります。
死亡保険金のように受取人固有の財産として自由に使えるわけではありません。

Q5.非課税枠を超えた分はどう課税されますか?
A.非課税枠(500万円×法定相続人の数)を超えた部分が、ほかの相続財産と合算して相続税の課税対象になります。
たとえば法定相続人が3人なら非課税枠は1,500万円で、死亡保険金が2,000万円なら超過した500万円が課税対象です。
税額の計算は相続税の税率と計算を参考にしてください。

Q6.相続放棄をした人が受け取った死亡保険金にも非課税枠は使えますか?
A.使えません。
非課税枠は相続人が受け取った死亡保険金にのみ適用されるため、相続放棄をした人は相続人にあたらず非課税枠を使えません。
ただし死亡保険金自体は受取人固有の財産として受け取ることができ、相続税の課税対象(みなし相続財産)になります。

まとめ

死亡保険金と一緒に振り込まれるものは、それが死亡保険金と同じみなし相続財産にあたるかどうかで、非課税枠の可否が変わります
配当金・割戻金・前納保険料・未経過保険料・死亡保険金の据置金、そして契約者貸付金を差し引いた純額には非課税枠が使えます。
一方、特約還付金・生存保険金・入院給付金(被相続人が受取人の場合)・満期保険金の据置金には非課税枠が使えず、遅延利息はそもそも相続税の対象外です。

これらは保険会社の支払明細だけでは性質が判断しにくいものも多く、申告の誤りが起こりやすい論点です。
支払明細を確認のうえ、判断に迷うときは相続に強い税理士に相談すると安心です。
生命保険金の相続税の全体像は生命保険金にかかる相続税|非課税枠と注意点を完全解説をあわせてご覧ください。
東京・新宿・横浜の税理士法人トゥモローズでは、生命保険金を含む相続税申告に対応しています。





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この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属 
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は350件。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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