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小規模企業共済の契約者が亡くなったとき|共済金の受給順位・必要書類・請求の流れ

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 個人事業主や小さな会社の経営者の「退職金」として使われている小規模企業共済。契約者が亡くなった場合、掛金納付月数などの支給要件を満たせば、小規模企業共済法上の最上位順位に該当する受給権者が死亡共済金を中小機構(中小企業基盤整備機構)に請求できます。同順位者が複数いる場合は等分されます。
  • ただし、掛金納付月数が6か月未満の場合や、法定の受給権者が存在しない場合には、共済金A・Bは支給されません。請求権は原則として請求できる時から5年間で時効になります。
  • 死亡共済金は原則として遺産分割協議の対象になりませんが、死亡前に廃業・退任などの支給事由が発生していた場合は扱いが異なるため、中小機構への確認が必要です。受給できる人は民法の相続順位とは別の順位で決まり、第1順位は配偶者(事実婚・内縁を含む)です。
  • 本記事では、受給順位のしくみ、同順位者の代表請求、請求の流れと必要書類、事業を継ぐ家族が使える承継通算、相続税の扱いまで、相続を専門に扱う行政書士が解説します。

「父が個人事業をやっていて、小規模企業共済に入っていたらしい。誰がどう請求すればいいのか」「共済金は遺産分割で分けるものなのか」——。小規模企業共済は在籍者の多い制度ですが、亡くなったときの受け取りのルールは意外に知られていません

最大の特徴は、受け取る人の決まり方です。預貯金のように相続人全員で分けるのではなく、法律で定められた受給順位の最上位の人が、自分の固有の権利として受け取ります。この順位は民法の相続順位と一致せず、内縁の配偶者が受け取れる一方で、別生計の子より同一生計の親族が優先されるなど、独特の並びになっています。

本記事では、制度の基本と死亡時に起こること・共済金が遺産分割の対象外である理由・受給順位のしくみ・請求手続きと必要書類・事業承継者のための承継通算・加入の有無の調べ方・税金の扱いの概要の7つの見出しで解説します。

なお、共済金の相続税法上の取り扱い(みなし相続財産・非課税枠)や相続税申告は税理士の領域です。行政書士は、受給権者の確認に必要な戸籍等の収集・請求書類の準備サポート・事業承継に伴う各種手続きを担い、税理士と連携します。

東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズは、個人事業主・経営者の相続手続きを全国オンラインで対応しています。


小規模企業共済とは——契約者が亡くなると何が起こるか

経営者の「退職金」を積み立てる国の制度

小規模企業共済は、個人事業主や小規模な会社の役員が、掛金を積み立てて廃業・退職時の退職金をつくる制度で、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しています。掛金が全額所得控除になる節税メリットから広く使われており、相続の現場でも登場頻度の高い財産です。

まず全体像——状況別の早見表

確認事項 原則的な結論
掛金納付月数が6か月未満 共済金A・Bは支給されない
法定受給権者がいる 最上位順位の人が請求する
同順位者が複数 実体は等分、手続きは代表者1人を選任
法定受給権者がいない 共済金は原則として支給されない
死亡前に廃業・退任済み 死亡請求とは分けて中小機構へ確認
配偶者・子が事業全部を承継 承継通算の要件を確認
旧契約者が会社等役員 承継通算は利用不可
死亡から5年近い 直ちに時効を確認

死亡は共済金の支給事由——ただし6か月未満は支給されない

契約者が亡くなると共済契約は終了し、死亡を事由とする共済金(一時金)の請求権が発生します。ただし、掛金納付月数が6か月未満の場合、共済金A・共済金Bは支給されません。契約者が死亡しただけで、すべての契約について共済金が支払われるわけではありません。

支給される共済金の種類は、亡くなった契約者の立場で分かれます。

契約者の立場 死亡時の共済金
個人事業主・共同経営者 共済金A
会社等の役員 共済金B

共済金の額は掛金月額・納付月数などによって異なります

重要なのは、自動的には支払われないことです。遺族が中小機構に請求手続きをして初めて支払われるため、加入の事実に誰も気づかなければ、そのまま眠ってしまいます(調べ方は後の見出しで解説します)。

「誰が請求できるか」が最初の関門

請求手続き自体は書類仕事ですが、その前に「誰に受給権があるか」を正しく判定する必要があります。ここが民法の相続と異なる独特のルールになっており、次の見出しから順に解説します。


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共済金は遺産分割の対象外——受給権者「固有の権利」

相続財産ではなく、受給権者が直接取得する

死亡による共済金は、小規模企業共済法の定めに基づいて受給権者が自分の固有の権利として取得します。被相続人の財産が相続人に承継されるのではなく、法律の定めによって受給権者に直接発生する権利——受取人指定のある死亡保険金と似た構造です。

「死亡が初めての支給事由」の場合の話——死亡前に廃業・退任していたら別

以上は、契約者の死亡が初めて共済金の支給事由となった場合の説明です。死亡前にすでに個人事業を廃業していた、会社役員を退任していたなど、死亡前に共済金等の支給事由が発生していた場合は、本人に発生していた請求権を相続する問題になる可能性があり、扱いが変わります。死亡時の法定受給順位を機械的に当てはめず、中小機構へ時系列を示して確認してください。

遺産分割協議で分ける必要はない

したがって、共済金は遺産分割協議の対象になりません。共済金は法定順位の最上位に該当する受給権者が取得し(同順位者が複数いれば人数で等分し、請求手続きでは代表者1人を選任します)、他の相続人の同意・署名や遺産分割協議は不要です。「共済金もみんなで分けるべきでは」という感覚との食い違いが家族間の摩擦になりやすいため、「これは法律で受取人が決まっているお金」という前提を家族で共有することが、無用な争いを防ぎます。

遺言でも受給権者は変えられない

受給権者は法律で定められているため、遺言書で「共済金は○○に渡す」と書いても、受給順位を変更する効力はありません。生前の対策として調整したい場合は、共済金以外の財産の分け方で全体のバランスを取るのが現実的です。

ただし相続税の計算には含まれる

遺産分割の対象外であることと、課税の対象になることは別問題です。共済金は相続税法上みなし相続財産(死亡退職金と同様の扱い)として課税対象に含まれます。税金の概要は最後の見出しで触れますが、詳細は税理士の領域です。

なお、共済金以外の預貯金・不動産などは通常どおり遺産分割の対象です。協議の進め方は遺産分割協議書の記事をご覧ください。


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東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズが、小規模企業共済の共済金請求を含む個人事業主・経営者の相続について、戸籍等の収集・請求書類の準備支援・許認可の承継や廃止届など税務以外の官公署手続き・遺産分割協議書の作成を全国オンラインで対応します(税務署への廃業届・準確定申告・相続税申告は税理士、受給権の帰属に争いがある場合は弁護士と連携。最終的な受給可否は中小機構が審査)。初回相談無料。

03-6280-5188

平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


受給権者の範囲と順位——第1順位は配偶者(内縁を含む)

受給権者の範囲・順位は小規模企業共済法に定められており、中小機構の案内では全14順位に整理されています。

受給順位の全体像

順位 受給権者
第1順位 配偶者(婚姻届を出していない事実婚・内縁関係を含む)
第2〜7順位 契約者の収入で生計を維持されていた子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→その他の親族
第8〜14順位 生計を維持されていなかった子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→ひ孫→甥・姪

民法の相続順位との違いに注意

この並びには、民法と大きく違う点が2つあります。

  • 内縁の配偶者が最優先:民法上の相続権がない事実婚のパートナーでも、共済金は第1順位で受け取れます
  • 「生計維持」が血縁より優先:契約者と生計を共にしていた父母(第3順位)は、独立して別生計だった子(第8順位)より先になります

「長男だから当然自分が受け取る」とは限らない、という点が実務上の最大の注意点です。父母は養父母・実父母の順、祖父母はさらに細かく(養父母の養父母→養父母の実父母→実父母の養父母→実父母の実父母の順)並びます。また、ひ孫・甥姪も、死亡当時に主として契約者の収入で生計を維持されていた場合は「その他の親族」として第7順位に該当し得ます。

最上位が受給——同順位が複数なら「等分」だが手続きは代表者1人

受給するのは最上位順位の受給権者です。同順位者が2人以上いる場合は、小規模企業共済法により人数で等分されます。ただし請求手続きでは、同順位の受給権者の中から共済金の受領について一切の権限を持つ代表者1人を選任します(実体上の権利は等分、手続きは代表者経由、という区別です)。

該当する受給権者がいない場合は「原則、支給されない」

上記の受給順位に該当する人が誰もいない場合、共済金は相続財産として相続人へ支給されるのではなく、原則として支給されません。受給権者は法律で限定的に定められており、その枠の外へは支払われないためです。

「生計維持」は中小機構が総合的に審査する

「主として共済契約者の収入によって生計を維持されていた」かは、単なる同居の有無だけでは決まりません。健康保険の扶養・税務上の扶養・直近2年分の確定申告書や源泉徴収票・定期的な送金記録・所得資料などを総合して中小機構が審査します。行政書士は、この審査に必要な戸籍・住民票・資料の整理を支援しますが、最終的な受給権者を確定するのは中小機構です。


請求手続きと必要書類——中小機構への共済金請求

請求の流れ

  1. 契約関係書類の確認:共済契約締結証書・掛金の払込記録などを遺品から探す
  2. 中小機構へ連絡:契約者の死亡を伝え、請求書類一式を取り寄せる
  3. 必要書類の収集:戸籍・印鑑登録証明書など(下記)
  4. 請求書類の提出:不備がなければ、審査を経て受給権者の口座に振り込まれます

主な必要書類(配偶者が請求する場合の例)

  • 共済金等請求書(中小機構所定の書式)
  • 契約者の死亡と請求者との続柄が分かる戸籍謄本(または法定相続情報一覧図)
  • 請求者の発行後3か月以内の印鑑登録証明書
  • 共済契約締結証書(見つからない場合は所定の手続きで対応)
  • 請求者のマイナンバー確認書類・本人確認書類
  • (亡くなった契約者のマイナンバー確認書類は、生前に提供を受けていた場合に限り提出)
  • 金融機関の口座確認印、または中小機構が指定する口座確認資料

受給の事情によっては、次の書類も加わります。

  • 同順位者が複数の場合:代表者選任届と受給権者全員の印鑑登録証明書
  • 第2〜7順位(生計維持)の場合:生計維持に関する証明願・住民票・同意書・扶養や送金の資料など
  • 法定相続情報一覧図を使う場合も、誓約書や追加の戸籍を求められることがあります

内縁の配偶者や「生計維持されていた」順位で請求する場合は、住民票(同一世帯の記載)など生計維持・事実婚の実態を示す書類が追加で必要になります。必要書類は契約者の立場・受給順位・内縁関係・生計維持・同順位者数によって異なるため、中小機構への事前確認が欠かせません。なお、契約者死亡による共済金請求はオンライン申請ができず、現時点では書面での手続きです。

個人事業主の死亡では、あわせて行う手続きも多い——税務は税理士

共済金の請求と並行して、税務署への廃業届・準確定申告・消費税や給与関係の届出、許認可の承継・廃止、取引先・従業員への対応が一斉に発生します。このうち税務署への届出・準確定申告は税理士の担当です。行政書士は、許認可の承継・廃止届など税務以外の官公署手続き・戸籍等の収集・共済金請求書類の準備を支援し、税理士と連携して進めます。

時効は「請求できる時から5年」——時間が経っていても諦めない

共済金等の支給を受ける権利は、原則として請求できる時から5年間行使しないと時効で消滅します。先順位者・同順位者の生死や所在が不明で請求できなかった場合には、小規模企業共済法23条2項の特則があります。死亡から時間が経っている場合は、自己判断で諦めず、直ちに中小機構へ確認してください。


個人事業主・共同経営者の事業を継ぐ配偶者・子は「承継通算」も検討

承継通算とは

契約者の死亡により事業を引き継いだ配偶者または子が、共済金を一時金で受け取る代わりに、亡くなった契約者の掛金納付月数を自分の新しい共済契約に通算する制度です。納付月数を引き継ぐことで、将来自分が廃業・退職するときの共済金の計算で有利になります。

主な要件

  • 旧契約者が個人事業主または共同経営者であること(会社等役員の旧契約には利用できません
  • 配偶者または子が、事業の全部、または共同経営者の地位を承継したこと
  • 承継者が新たな小規模企業共済の加入資格を満たすこと
  • その人が旧契約の共済金等の全部の受給権を持っていること
  • 共済金を請求せず、相続開始の日から1年以内に新たに共済契約を結んで通算を申し出ること(利用は原則1回)

同順位者が複数いて、共済金全部の受給権を1人が持っていない場合は、承継通算の可否と条件付きの権利譲渡の手続きを中小機構へ確認してください。

「1年以内」の期限に注意

承継通算は相続開始から1年という期限があります。段取りに追われているうちに期限が過ぎると、一時金で受け取る選択肢しか残りません。

【注意:承継通算でも相続税は繰り延べられない】承継通算を選んで一時金を受け取らなくても、相続開始時に一時金を請求した場合の金額が、死亡退職金に関する権利として相続税の対象になります。現金を受け取らないまま相続税が発生する可能性があるため、納税資金を確認してください(死亡退職金の非課税規定は要件を満たせば適用対象です)。さらに、将来、承継者が共済金を退職所得として受け取る際、退職所得控除の勤続年数には、原則として承継通算前の旧契約者の掛金納付期間は含まれません

一時金なら今まとまった資金が入り、承継通算なら将来の退職金づくりが有利になりますが、上記の相続税・退職所得の扱いを含めた総合判断になるため、事業承継の方針と一緒に税理士も交えて検討してください。


加入していたかどうか分からない——調べ方と見落とし防止

加入の手がかりは「書類」と「お金の流れ」

小規模企業共済の加入は家族に知らされていないことも多く、見落とされがちです。次の手がかりをチェックしてください。

  • 共済契約締結証書小規模企業共済掛金払込証明書・中小機構からの郵便物(掛金納付状況のお知らせ・制度改正の案内など)
  • 預金通帳の口座振替:「中小機構」等の名義の口座振替がないか(掛金は月払いだけでなく半年払い・年払い・一括納付の場合もあるため、毎月の引落しがないだけで未加入とは判断できません)
  • 確定申告書:ただし後述のとおり、控除欄の金額だけでは加入を断定できません
  • 顧問税理士・商工会議所・金融機関(加入窓口)への確認

確定申告書は「手がかりの一つ」——控除欄だけで加入を断定しない

確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に金額があっても、それだけでは小規模企業共済への加入を断定できません。この控除には、小規模企業共済のほか、企業型確定拠出年金の加入者掛金・iDeCo・一定の心身障害者扶養共済の掛金も含まれるためです。確定申告書第二表の「保険料等の種類」、小規模企業共済掛金払込証明書、中小機構からの通知、顧問税理士の保管資料、預金口座の引落し内容を確認してください。顧問税理士がいた場合は、まず税理士に「小規模企業共済に入っていましたか」と聞くのが早道です。

手がかりが見つかったら中小機構へ照会

契約の有無がはっきりしない場合も、遺族から中小機構に問い合わせて確認できます。死亡の事実と続柄の分かる書類を用意して連絡してください。

似た制度と混同しない

  • 経営セーフティ共済(倒産防止共済):同じ中小機構の制度ですが別物で、解約手当金は共済金と扱いが異なります。両方に入っている方も多いので、それぞれ確認を
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):死亡一時金の請求先は運営管理機関で、受取人のルールも別です
  • 国民年金基金・付加年金:遺族が受け取れるお金のルールがそれぞれ異なります

個人事業主の相続では、この種の「制度もの」の財産が複数並行して出てきます。財産調査の全体像は、相続財産の調べ方の記事で解説しています。


税金の扱い——みなし相続財産として相続税の対象

最後に、税金の扱いの概要です。ここは税理士の領域のため、押さえるべきポイントの整理にとどめます。

死亡による共済金は「みなし相続財産」

遺産分割の対象外である一方、相続税の計算では、死亡による共済金は死亡退職金と同様のみなし相続財産として課税対象に含まれます。受給権者が相続人である場合には、死亡退職金の非課税枠の適用があり得ます。

  • 非課税限度額は500万円×法定相続人の数
  • 相続放棄をした人は共済金を請求できますが、その人の取得分には非課税枠を適用できません
  • 内縁の配偶者など民法上の相続人でない人の取得分にも、非課税枠は適用できません
  • ただし、非課税限度額の計算に使う「法定相続人の数」には、相続放棄者も放棄がなかったものとして含めます

非課税枠のしくみと計算は、関連解説(税理士法人トゥモローズ)「死亡退職金に相続税がかかる? 遺産分割の対象? わかりやすく徹底解説!」で詳しく解説されています。

相続税申告に忘れず含める

「遺産分割の対象外だから申告にも関係ない」というのは誤解です。中小機構から交付された共済金の支給額・支給内容が分かる通知書等を保管し、相続税申告を担当する税理士へ共有してください(本人が退職所得として受け取る共済金の源泉徴収票とは別物です。混同しないよう注意します)。申告から漏れると、後の税務調査で指摘されやすい財産です。

準確定申告との関係

亡くなった方の最終年分の所得税の申告(準確定申告・4か月以内)では、その年に納めた掛金の所得控除の扱いなども論点になります。事業主の相続は税務の締め切りが立て込むため、早めに税理士へ相談してください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 共済金を受け取ると、相続放棄はできなくなりますか?

A. 契約者の死亡が初めての支給事由となり、小規模企業共済法上の受給権者が固有の権利として取得する死亡共済金であれば、受け取ったことだけを理由に相続放棄ができなくなるものではないと考えられます(受取人指定のある死亡保険金と同様の整理です)。ただし、死亡前にすでに廃業・役員退任などの支給事由が発生し、本人に共済金等請求権が発生していた場合は、その請求権が相続財産となる可能性があり、その請求・受領が法定単純承認に当たるかは個別判断になります。また、被相続人の預貯金など「遺産そのもの」に手を付けると単純承認とみなされるおそれもあります。相続放棄を検討している場合は、請求前に弁護士・司法書士へ相談してください。

Q2. 掛金納付月数が6か月未満でも共済金は支給されますか?

A. 支給されません。掛金納付月数が6か月未満の場合、死亡による共済金A・共済金Bは支給されない扱いです。契約者が亡くなればどんな契約でも必ず共済金が出る、というわけではありません。加入からまだ日が浅い場合は、まず掛金の納付月数を中小機構に確認してください。なお、6か月以上納めていれば、亡くなった契約者の立場(個人事業主・共同経営者なら共済金A、会社等役員なら共済金B)に応じた共済金の対象になります。

Q3. 受給順位に該当する親族が誰もいない場合はどうなりますか?

A. 共済金は、小規模企業共済法が定める受給順位に該当する人(配偶者や生計維持されていた親族など)に支払われる固有の権利です。この受給順位に該当する人が誰もいない場合、共済金は相続財産として相続人へ支給されるのではなく、原則として支給されません。受給権者がいるかどうかは、戸籍や生計維持の実態から判断されるため、判断に迷う場合は資料を揃えて中小機構に確認してください。

Q4. 同順位の子が複数いる場合は、誰が請求するのですか?

A. 同順位の受給権者が2人以上いる場合、共済金は人数で等分されるのが実体上の扱いです。ただし請求手続きの上では、同順位者の中から共済金の受領について一切の権限を持つ代表者1人を選任し、その代表者が請求します(代表者選任届と受給権者全員の印鑑登録証明書などが必要です)。代表者は受け取った共済金を自分の固有財産と混同せず、受領額・各受給権者の法定持分・送金日・送金額を明確にして、速やかに各受給権者へ分配し、送金記録や受領書を保存してください(各人への分配は等分すべき取り分の精算であり、任意の贈与ではありません)。誰を代表者にするかで揉めないよう、早めに話し合っておくとスムーズです。

Q5. 離婚した元配偶者でも共済金を受け取れますか?

A. 第1順位の「配偶者」には当たりません。受給順位の判定は契約者が亡くなった時点の関係で行われ、第1順位の配偶者は死亡当時の配偶者(婚姻届を出していない事実婚・内縁関係を含む)です。離婚が成立していれば元配偶者は配偶者に該当せず、原則として受給権者にはなりません。一方、離婚後も契約者との間の子は、生計維持の有無に応じた順位で受給権者になり得ます。復縁して事実婚状態にあったなどの事情がある場合は、実態を示す資料を揃えて中小機構に確認することになります。


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まとめ

小規模企業共済の契約者が亡くなったら、遺族は中小機構に死亡による共済金(一時金)を請求できます。最大のポイントは、受け取る人が民法の相続順位ではなく、小規模企業共済法の受給順位で決まることです。最上位順位に該当する受給権者が取得し、同順位者が複数いれば人数で等分(請求は代表者1人)される点、第1順位が配偶者(内縁を含む)で生計維持されていた親族が別生計の親族より優先される点が特徴で、共済金は受給権者固有の権利として遺産分割の対象になりません(遺言でも受給権者は変えられません)。ただし、掛金納付月数が6か月未満・受給権者が不在なら支給されず、請求権は原則5年で時効になります。

請求には、共済契約締結証書・戸籍謄本(または法定相続情報一覧図)・印鑑登録証明書などが必要で、内縁関係や生計維持の順位で請求する場合は実態を示す書類が加わります。事業を継ぐ配偶者・子には、相続開始から1年以内に選択できる承継通算という制度もあります。加入の有無が不明なら、掛金払込証明書・通帳の口座振替・中小機構への照会などで確認しましょう(確定申告書の控除欄は手がかりの一つですが、iDeCo等も含まれるため断定はできません)。

税務上、共済金は死亡退職金と同様のみなし相続財産として相続税の対象になり、非課税枠の適用関係は税理士の領域です。行政書士は、相続人間に争いがない範囲で、受給権者の確認に必要な戸籍等の収集・請求書類の準備支援・許認可の承継や廃止届など税務以外の官公署手続きを担い、税務署への廃業届・準確定申告・相続税申告は税理士、受給権の帰属に争いがある場合は弁護士と連携して、個人事業主の相続を漏れなく完了させます(最終的な受給可否は中小機構が審査します)。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、小規模企業共済の共済金請求を含む個人事業主・経営者の相続手続きについて、受給権者の確認に必要な戸籍や住民票の収集・請求書類の準備支援・許認可の承継や廃止届など税務以外の官公署手続き・遺産分割協議書の作成を、全国オンラインで対応しています(税務署への廃業届・準確定申告・相続税申告は税理士が担当します)。「共済に入っていたか分からない」「誰が請求できるのか知りたい」といったご相談に、みなし相続財産の課税や相続税申告は税理士法人トゥモローズと連携して対応します。


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根拠法令・公的資料

  • 小規模企業共済法9条・9条の2(共済金及びその支給方法)
  • 小規模企業共済法10条(遺族の範囲・順位・同順位者の等分)
  • 小規模企業共済法11条(受給権者の欠格)
  • 小規模企業共済法13条(掛金納付月数の通算)
  • 小規模企業共済法15条(共済金等受給権の譲渡・担保提供等の禁止)
  • 小規模企業共済法23条(共済金等請求権の5年時効・先順位者や同順位者が不明なときの特則)
  • 小規模企業共済法24条(郵便・信書便の送付日数を期間に算入しない特例)
  • 相続税法(死亡退職金のみなし相続財産・非課税限度額500万円×法定相続人の数)
  • 税理士法2条(税務書類の作成等は税理士の業務)
  • 民法896条(相続の一般的効力)・915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。