相続手続きは自分でできる?専門家に頼むべき人の判断基準
10秒でわかる この記事の要約
- 相続手続きの多くは自分でもできる。不動産の名義変更(相続登記)は本人でも申請できるが、代理依頼する場合は司法書士、相続税申告は税理士の業務。
- 自分でやる場合の山場は、戸籍の収集・財産調査・遺産分割協議書の作成と、期限の管理。
- 相続人が多い/疎遠、不動産がある、相続税がかかりそう、平日に動けない、といったケースは専門家向き。
- 全部任せるほか、戸籍収集だけ・協議書だけといった部分依頼も可能。費用は範囲・内容で変わるので見積もりで確認を。
「相続手続きは自分でできるのか、それとも専門家に頼むべきか」。これは、相続が始まった多くの方が最初に迷うところです。結論からいえば、相続手続きの多くは自分でもできます。ただし、財産や相続人の状況によっては、時間も手間もかかり、専門家に任せたほうが結果的にスムーズなこともあります。
本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、自分でできる手続き・難しいケース・誰に頼むか・費用の考え方・期限を整理します。なお、相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズ、紛争性がある場合は弁護士と連携します。
相続手続きは自分でもできる
相続手続きは、必ず専門家に頼まなければできないものではありません。時間をかけて調べながら進めれば、自分でできる手続きは多くあります。
- 死亡届・火葬許可など、亡くなった直後の届出
- 健康保険の資格喪失、公共料金や各種契約の名義変更・解約(年金関係は本人・遺族が窓口で行えるものが多い一方、年金請求など社会保険労務士の業務に当たる手続きもあります)
- 戸籍謄本などの収集(相続人の確定)
- 財産の調査(預貯金・不動産・有価証券など)
- 遺産分割協議と、遺産分割協議書の作成
- 預貯金の解約・払戻し、証券口座の移管などの名義変更
一方で、専門家でないとできない、または専門性が高い手続きもあります。代表的なのは、不動産の名義変更(相続登記)=司法書士、相続税の申告=税理士です。これらは制度が複雑で、誤ると不利益が生じやすいため、慎重な判断が必要です。
自分でやるのが難しい・専門家向きのケース
次のようなケースは、自分だけで進めると負担やリスクが大きく、専門家に相談したほうが安心です。
- 相続人が多い・疎遠・連絡が取りにくい:戸籍の収集、相続人関係の整理、書類のやり取りに時間がかかる(意見が対立している・交渉が必要な場合は弁護士へ)
- 不動産がある:相続登記が必要。本人が自分で申請することもできますが、登記手続きを代理で依頼する場合は司法書士の業務です(2024年4月から義務化・取得を知った日から原則3年以内)
- 相続税がかかりそう:基礎控除を超える財産がある場合、申告・納付に期限があり、税理士の関与が必要
- 平日に動けない:役所・金融機関は平日日中が中心で、何度も足を運ぶ必要がある
- 財産の種類が多い・把握できていない:調査に時間がかかり、漏れると後でやり直しになる
- 期限が迫っている:相続放棄や相続税申告など、後戻りできない期限がある(相続発生から3か月以内の重要手続きも参照)
これらに当てはまるほど、「自分でやる時間的・精神的な負担」と「専門家に頼む費用」を比べて判断する意味が大きくなります。
自分でやるか迷ったら、まずは整理だけでもご相談ください
「どこまで自分でできるか」「何を専門家に任せるべきか」の切り分けから、戸籍収集・財産調査・遺産分割協議書の作成までサポートします。一部だけの依頼も可能です。相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズと連携してご案内します。
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自分でやる場合の手順とつまずきやすい点
自分で進める場合、おおまかな流れは次のとおりです。つまずきやすいポイントもあわせて押さえておきましょう。
- 相続人の確定:被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、相続人を確定します。戸籍の通数が多く、読み解きにも慣れが必要です。
- 財産・債務の調査:預貯金・不動産・有価証券・借入金などを洗い出します。漏れると協議のやり直しにつながります。
- 遺産分割協議:相続人全員で分け方を話し合い、遺産分割協議書を作成します。書式の不備や記載漏れがあると、金融機関や法務局で受け付けてもらえないことがあります。
- 名義変更・解約:預貯金の解約、不動産の相続登記(司法書士)、必要に応じて相続税申告(税理士)を行います。
とくに負担が大きいのが、戸籍収集・財産調査・遺産分割協議書の作成の3つです。さらに、相続放棄(3か月)、準確定申告(4か月)、相続税申告(10か月)など、期限のある手続きを並行して管理する必要があります。
なお、必要な書類は預貯金・不動産・証券・自動車・相続税申告など提出先ごとに異なります。詳しいチェックリストは、関連記事「相続手続きの必要書類一覧」で確認してください。
誰に頼むかは「困っている内容」で決める
相続手続きは、困っている内容によって依頼先が変わります。戸籍収集・財産調査・遺産分割協議書などの書類整理は行政書士、不動産登記は司法書士、相続税申告は税理士、相続人間の交渉・紛争対応は弁護士の領域です。詳しい士業別の違いは、関連記事「相続は誰に頼む?行政書士・司法書士・税理士・弁護士の違い」で解説しています。本記事では、自分で進めるか専門家に依頼するかの判断軸に絞ります。
複数の専門家が必要になる場合は、窓口を一本化できる事務所に相談すると、戸籍や財産資料の共有、期限管理、各専門家への連携がスムーズです(詳しくは「相続手続きをワンストップで依頼するメリット」)。
費用は、戸籍収集だけ・遺産分割協議書だけ・預貯金解約まで・相続登記や相続税申告まで含めるかで大きく変わります。具体的な相場やパターン別の総額は「相続手続きの費用相場」で解説しているため、本記事では「自分で動く時間・平日対応・ミスの修正コスト」と「専門家報酬」を比べて判断する、という考え方に絞ります。
なお、相続税の申告も「自分でやるか・税理士に頼むか」を同じ視点で判断します。相続税申告は手続きの中でも専門性が高く、自分で行うと評価誤りや特例の適用漏れのリスクがあります。相続税申告を自分でやる場合の手順や注意点は、グループの税理士法人トゥモローズの解説が参考になります。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続税申告は自分でできるがデメリット大!申告手続きの手順を税理士が解説
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続税の申告が必要かどうかを判断する方法
自分でやる場合と専門家に依頼する場合の比較
| 項目 | 自分でやる | 専門家に依頼する |
|---|---|---|
| 費用 | 実費中心で抑えられる | 報酬がかかる(範囲・内容で変動) |
| 手間・時間 | 戸籍収集・調査・書類作成を自分で行う | 手間を減らせる |
| ミスのリスク | 書式不備・財産漏れ・期限超過のリスク | 不備や漏れを減らしやすい |
| 平日の対応 | 役所・金融機関に何度も出向く | 代行・支援を依頼できる |
| 向いている人 | 相続人が少なく財産がシンプル・時間が取れる | 相続人が多い・不動産あり・平日動けない・期限が迫る |
費用を抑えたい・財産がシンプルなら自分で進める選択もありますが、事情が複雑なほど、専門家に頼む価値が大きくなります。全部任せる必要はなく、手間のかかる部分だけの依頼から始めることもできます。
相続手続きの全体像や必要書類については、こちらもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続手続きは全部自分でできますか?
A. 多くの手続きは自分でもできます。不動産の名義変更(相続登記)も本人が自分で申請できますが、登記を代理で依頼する場合は司法書士、相続税の申告は税理士の業務です。戸籍の収集や遺産分割協議書の作成といった書類面は、争いがなければ行政書士に依頼することもできます。財産や相続人の状況に応じて、自分でやる部分と任せる部分を分けるのが現実的です。
Q2. 自分でやると、何が一番大変ですか?
A. 多くの方がつまずくのは、戸籍の収集と財産の調査、そして遺産分割協議書の作成です。出生から死亡までの戸籍を集めるのは通数が多く、平日に役所や金融機関を回る時間も必要です。さらに、相続放棄や相続税申告などには期限があり、それを意識しながら同時並行で進める点が負担になります。
Q3. 一部の手続きだけ専門家に頼むこともできますか?
A. できます。たとえば「戸籍の収集だけ」「遺産分割協議書の作成だけ」といった部分的な依頼も可能です。全部を任せる方法のほか、自分でできる部分は自分で行い、手間のかかる部分や専門性の高い部分だけ依頼する形も選べます。何にどれだけ時間を割けるかに応じて、依頼範囲を相談するとよいでしょう。
Q4. 専門家に依頼する費用はどのくらいですか?
A. 費用は、依頼する範囲、財産の種類や量、相続人の数によって変わります。戸籍収集だけの部分依頼と、財産調査から名義変更までを含む依頼とでは大きく異なります。相続登記が必要なら司法書士、相続税申告が必要なら税理士の費用も加わります。総額は内容で変わるため、依頼前に範囲と内訳の見積もりを確認するのが確実です。
Q5. 相続手続きには期限がありますか?
A. あります。相続放棄・限定承認は原則として相続の開始を知った時から3か月以内、被相続人の準確定申告は4か月以内、相続税の申告・納付は10か月以内です。また、相続登記は2024年4月から義務化され、取得を知った日から原則3年以内に申請する必要があります。期限のある手続きから優先して進めることが大切です。
まとめ
相続手続きの多くは自分でもできます。不動産の名義変更(相続登記)は本人でも申請できますが、代理で依頼する場合は司法書士、相続税の申告は税理士の業務です。自分でやる場合の山場は、戸籍収集・財産調査・遺産分割協議書の作成と、相続放棄(3か月)・相続税申告(10か月)などの期限管理です。
相続人が多い・疎遠、不動産がある、相続税がかかりそう、平日に動けない、期限が迫っている、といったケースは専門家向きです。全部を任せる必要はなく、戸籍収集だけ・協議書だけといった部分依頼もできます。費用は範囲・内容で変わるため、見積もりで内訳を確認し、自分の時間的・精神的な負担とのバランスで判断しましょう。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)を拠点に、首都圏とオンライン(Google Meet・全国対応)で、相続手続きのご相談に対応しています。相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズと連携します。
関連記事
相続税申告を自分でやるか・かかるかどうかもあわせてご確認ください
相続手続きの中でも相続税申告は専門性が高く、「自分でやるか・税理士に頼むか」の判断が分かれます。申告を自分でやる場合のデメリットや、そもそも相続税がかかるかの判断については、グループの税理士法人トゥモローズの解説記事もご参照ください(相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズが対応します)。
根拠法令・公的資料
- 民法第896条(相続の一般的効力)・第907条(遺産分割)・第909条(遺産分割の効力)
- 民法第915条(相続の承認・放棄の期間。原則3か月)
- 不動産登記法第76条の2(相続登記の申請義務。2024年4月1日施行)
- 相続税法第27条(相続税の申告期限。原則10か月)/所得税法第124条・第125条(準確定申告)
- 税理士法第2条・第52条(相続税の計算・申告は税理士の業務)/司法書士法第3条(登記申請の代理)
- 行政書士法第1条の3(業務)・第1条の4(相談等)。他の法律で制限された業務を除く
