埋蔵文化財包蔵地の相続税評価

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土地評価

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさん、こんにちは
相続税専門の税理士法人トゥモローズの角田です。

ある程度規模が大きい土地などの場合には埋蔵文化財包蔵地に該当するかどうか、該当した場合には評価減が可能かどうかを確認します。
今回は、埋蔵文化財包蔵地の相続税評価について徹底的解説します。

類似論点として地下埋設物がある土地の相続税評価や土壌汚染地の相続税評価については下記を参照してください。
地下埋設物がある土地の相続税評価
土壌汚染地の相続税評価

相続税申告における土地評価の基本について詳しく知りたい人は、相続税の土地評価 申告で使えるすべての方法をわかりやすく徹底解説をご参照ください。

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埋蔵文化財包蔵地とは

埋蔵文化財包蔵地とは、埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地をいいます。(文化財保護法第93条第1項)
正確には、「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます。
埋蔵文化財とは、石器、土器、埴輪、貝塚、古墳、城跡、住居跡などの主に遺物や遺跡と言われているものです。
余談ですが、文化財保護法は、昭和24年の法隆寺金堂の火災がきっかけで制定された法律と言われています。
文化財保護法は、「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することで文化財を適切に保存し、国民の文化的向上に資すること」を法律の目的としています。

埋蔵文化財包蔵地の相続税評価

埋蔵文化財包蔵地の相続税評価は、「土壌汚染地の評価等の考え方について(情報)」(平16.7.5付国税庁評価企画官情報)に準じ、下記算式により算出します。

埋蔵文化財がないものとした場合の相続税評価額 - 発掘調査費用相当額 ✕ 80%

なお、すべての埋蔵文化財包蔵地につき上記減額ができるわけではございません。
下記の要件に該当した埋蔵文化財包蔵地のみ上記減額が可能となります。
なお、下記要件は私が過去の裁決事例等から導き出した私見となりまして財産評価基本通達や国税庁の情報に基づいたものではございませんので予めご了承ください。

要件① 対象地に埋蔵文化財が包蔵することが確実と認められること
要件② 所有者に発掘調査費用の負担が生じること
要件③ 路線価に埋蔵文化財包蔵地であることが考慮されていないこと

それでは、各要件の詳細を一つ一つ確認していきましょう。

要件① 対象地に埋蔵文化財が包蔵することが確実と認められること

大前提の要件ですね。
では、対象地が埋蔵文化財包蔵地に該当するかどうかはどのように調査すればよいのでしょうか?
ずばり、「市区町村の教育委員会に聞く!」が正解です。
最近では、市区町村のホームページに「文化財地図」、「遺跡地図」、「史跡マップ」等の名称で公開されていることもあります。
例えば、東京都江戸川区だと下記のような感じです。
江戸川区 埋蔵文化財の手続き
江戸川区 遺跡地図

評価対象地が、上記遺跡地図等により埋蔵文化財包蔵地に該当しそうだったら、教育委員会に下記のような「埋蔵文化財照会回答書」を発行してもらいます。

埋蔵文化財照会 回答書
上記江東区の場合には、☑欄が5つありまして上部4つのいずれかにチェックが入った場合には発掘費用等の調査をすべきでしょう。

要件② 所有者に発掘調査費用の負担が生じること

要件①で埋蔵文化財包蔵地に該当したとしても評価減が必ず出来るというわけではありません。
実際に所有者に発掘調査費用の負担が生じるかどうかを調査しなければならないのです。
というのも埋蔵文化財包蔵地の発掘調査費用の負担者は市区町村により取り扱いが異なります。
必ず市区町村の教育委員会に発掘調査費用の負担者について確認しましょう。

私がいままで調査した市区町村では下記のような取り扱いの自治体が多かったです。

□公費負担
個人が営利目的でなく行う住宅建設などの発掘調査費用の負担を求めることが適当でない場合
□所有者負担
マンション開発、戸建分譲開発、土木工事等の営利目的事業に伴う場合

したがって、規模の小さい個人宅の敷地については公費負担になると見込まれるため埋蔵文化財包蔵地の評価減ができるケースはほぼないでしょう。
これに対し、ある程度規模のある土地については、その土地を最有効使用したとしたらマンション適地となる場合や戸建分譲適地となる場合には所有者負担の発掘調査費用が必要になるため埋蔵文化財包蔵地の評価減ができる可能性が高くなります。

発掘調査費用の算定方法

所有者負担の発掘調査費用が生じる場合、その発掘調査費用はどのように算定すればよいのでしょうか?
ずばり、「市区町村の教育委員会に聞く!」が正解です。
なお、平成12年の文化庁の「埋蔵文化財の本発掘調査に関する積算標準について(報告)」によれば、本発掘調査費用の積算算式は下記の通りでした。

延べ人力発掘作業員数[人・日]=発掘対象土量[㎥]÷(標準歩掛×補正係数)[㎥/人・日]

いずれにしろ納税者自身で計算できるものではないため市区町村に算出してもらいましょう。

要件③ 路線価に埋蔵文化財包蔵地であることが考慮されていないこと

対象地の周りが埋蔵文化財包蔵地である場合には、路線価に埋蔵文化財包蔵地の減額が既に加味されている可能性があります。
路線価に減額が加味されているかどうかの判断は、利用価値が著しく低下している宅地の評価と同様に調査すれば良いでしょう。

詳しい調査方法は、【線路近くの土地評価】電車の騒音、振動は10%減が可能?高低差のある土地の相続税評価を徹底解説!を是非参照してみてください。

埋蔵文化財包蔵地の評価減が争点となっている裁決事例等一覧

国税不服審判所HPやタインズから私が独自に抽出した埋蔵文化財包蔵地の裁決事例等をまとめました。
最近の事例はほとんど埋蔵文化財包蔵地の評価減が認められていません。結構ハードルが高い評価減と考えたほうが良いでしょう。
是非、評価の参考にしてもらえれば嬉しいです。

埋蔵文化財包蔵地裁決事例一覧

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