相続税申告の税理士は変更できる?タイミング・費用・流れを税理士が解説
- 相続税申告の税理士は、依頼後でも変更できる(契約自由の原則)
- 変更するなら早いほどよい。先に次の税理士を決めてから解約するのが鉄則
- 金融機関の紹介・顧問税理士に頼んだ人ほど、相続専門でなく変更に至りやすい
- 変更のメリットは税務調査リスクの低下と過大申告の防止。デメリットは報酬の二重負担とスケジュール
- 申告書の提出後でも、別の税理士による見直し(更正の請求・還付)は可能
「依頼した税理士が相続に詳しくないようで不安…」「対応が遅くて申告期限に間に合うか心配…」
最近、「相続税申告の税理士を変更したいのだけどお願いできますか?」というご相談が増えています。
税理士変更の理由を尋ねるとほとんどが、依頼した税理士が相続専門でなかったという理由です。
このコラムでは、相続税申告の税理士を変更できるのか、変更した場合のメリット・デメリット、変更するタイミング、相続専門の税理士の探し方などをわかりやくす解説します。
相続の相談を誰にすべきか等の詳しい解説は、相続の相談は誰にすべき? 相続の相談先をフローチャートで徹底解説をご参照ください。
目次
1.相続税申告の税理士を変更できるのか?
結論から申し上げると、税理士変更は当然できます!
日本の民法は契約自由の原則がありますので、その税理士のサービスがお客様の望むものに及んでいなければ契約を解除することができます。
もちろんただで契約解除できるわけではなくコストがかかるケースもあります。
詳しくは、下記3②のデメリットをご参照ください。
では、どんな状態なら変更を検討すべきでしょうか。
当事務所に寄せられる変更相談で多い「サイン」をまとめました。

税理士を変更する流れ(5ステップ)
実際に変更するときの流れは次のとおりです。

ポイントは、先に次の税理士を決めてから、今の税理士に解約を伝えることです。
順番が逆になると、申告期限まで税理士不在の期間ができてしまいます。
また、解約時の報酬精算は契約内容によって変わるため、着手金や進捗に応じた費用を契約書で確認してから解約を申し出ましょう。
2.税理士変更する人の特徴、傾向
相続税の税理士を変更するということは、最初に頼んだ税理士がイケてなかったということです。
なぜイケてない税理士に頼んでしまったのかというと思考停止に陥っていた可能性が一番高いです。
自分で余り検討せずに、
「税理士だから多分大丈夫だろう。」
「〇〇銀行の紹介だから問題ないだろう。」
「どの税理士に頼んでも変わらないだろう。」
という思考で相続税の税理士を選択したのだと思います。
税理士変更をした人が最初に頼んだ税理士の選択ルートの最たるものは下記2つです。
②顧問税理士
なぜ上記のルートを避けるべきか解説します。
①金融機関の紹介
金融機関(銀行、信用金庫、証券会社、生命保険会社)は多くの税理士と繋がっています。
金融機関が組織的に税理士と繋がっているケースもあれば行員が個人的に税理士と繋がっているケースもあります。
税理士は顧問先である法人の融資とかを金融機関に紹介します。
金融機関はお客様の税務手続きを知り合いの税理士に紹介します。
このように税理士と金融機関はお互いにお客様を紹介し合う、持ちつ持たれつの関係なのです。
ここが金融機関が紹介された税理士に頼まないほうが良い理由です。
何故かと言うと、
金融機関は融資先を紹介してくれる税理士にその見返りとして相続案件を紹介することが多いためです。
借り入れをしたい会社を顧客にしている税理士は会社の顧問業務である法人税を得意としている税理士となり、相続専門の税理士ではないのです。
このような理由から金融機関紹介の税理士には相続専門の税理士が少ないと言えるでしょう。
また、金融機関からしてみれ亡くなった人の預金等を相続を機に他社へ流出させたくないから自社のお抱えの税理士を勧めてきます。
自社の息のかかった税理士に相続税申告やその他の相続手続きをやらせることで相続財産を他の金融機関等への流出を防げる可能性が高まるためです。
税理士としても紹介してくれた金融機関が不利になるような提案を相続人にはしないでしょう。
もちろん金融機関から紹介された税理士のすべてが駄目だというわけではなく、法人顧問をやりながら相続税の専門性が高い税理士もいますし、金融機関から相続専門の税理士を紹介されるケースもなくはないでしょう。
ただ、信頼おける金融機関が紹介してくれたから大丈夫と短絡的に考えるのではなく、後悔しないためにも一度立ち止まって、その税理士が相続専門かどうかを確認するようにしましょう。
確認方法は、その税理士をインターネットで検索すれば良いのです。
その税理士のHPに相続専門のHPしか出てこなければその税理士は相続専門と考えて良いでしょう。
これに対し、法人顧問をメインでやっているようなHPならばその税理士に相続税申告を頼まないほうが良いでしょう。
最近では税理士法人がサービスラインに応じて複数のHPを用意しているケースもあるので、相続専門のHPのみある税理士かどうかの観点で検索してみてください
②顧問税理士
亡くなった親御さんが会社をやっていたり、不動産賃貸業をやっていたりした場合には顧問税理士がいる可能性があります。
この顧問税理士がたまたま相続に強ければ、過去の経緯も知っているのでその顧問税理士に頼んだほうが良いと思いますが、顧問税理士は相続に強くない可能性が高いです。
何故かと言うと、相続専門の税理士は法人顧問とかをやらないことが多いためです。
弊社も法人顧問はほぼやっていません。
これだけ多様化した世の中だと税理士もすべての分野で専門的になるのは難しくなってきています。
税理士の世界でも選択と集中が重要になってきているのです。
顧問業務をやっているということは、法人税等の高い専門性を求められます。
法人税等の会社関係の税務の高い専門性と相続税の高度な専門性を両方とも維持するのは至難の業です。
このような理由から顧問業務をやっている税理士に相続税に強い税理士が少ないのです。
私たちトゥモローズも相続税の高い専門性を維持するために法人顧問の業務はお断りしている状況です。
親が長く付き合ってきた顧問税理士に相続税申告を頼まなくて良いのだろうか?と不安になる相続人様も多いのですが、税理士業界だと相続税申告は顧問税理士ではなく相続専門の税理士に頼むことも一般的になってきているので余り気になさらなくてもいいと思います。
3.相続税申告の税理士を変更した場合のメリット・デメリット
相続税申告の税理士を変更した場合には、メリットもあればデメリットもあります。
①税理士を変更した場合のメリット
■税務調査に入られる可能性が減少する
相続税専門の税理士に変更することとなると思いますから、完成する相続税申告書は精度が高くなるはずです。
相続税専門の税理士が作成した相続税申告書は一般的に税務調査率が低く抑えられる傾向にありますので税務調査に入られる可能性が減少するでしょう。
書面添付制度を活用する税理士であれば、さらに調査リスクを下げられます。
■相続税の過大申告を防げる
相続税に慣れていない税理士は保守的な申告になりがちです。
保守的な申告とは、いわゆる、過大申告です。
後で税務署に指摘を受けることを避けるために納税者が不利となるような過大申告となってしまうのです。
相続税専門の税理士であれば節税のノウハウも蓄積され、相続実務の温度感もわかってますので納税者が有利となるような申告書の作成が可能です。
また、相続税専門の税理士は、名義預金、土地評価、二次相続提案等の節税提案も積極的にしてもらえるでしょう。
②税理士を変更した場合のデメリット
■税理士報酬の負担が重くなる
税理士を変更したということは、二箇所の税理士に報酬を支払うことになります。
変更しない場合に比べて税理士コストは増加します。
なお、当初契約した税理士との契約内容にもよりますが、進捗度合いによっては契約金額の全額を支払う必要のないケースもありますので過大に払うことのないようにしっかり確認しましょう。
税理士報酬の相場は相続税申告の税理士報酬相場の目安と計算方法を参考にしてください。
■スケジュールに余裕がなくなる
一度税理士に依頼している状況ですので、相続開始時から結構時間が過ぎているはずです。
必要書類はそのまま横流しにできますが、新しく契約した税理士は一から評価をすることとなるため申告期限までに余裕がない場合には、タイトなスケジュールで手続きをしなければなりません。
まとめ
| 税理士を変更した場合のメリット | 税理士を変更した場合のデメリット |
| □税務調査に入られる可能性が減少する □相続税の過大申告を防げる |
□税理士報酬の負担が重くなる □スケジュールに余裕がなくなる |
4.税理士を変更するタイミング
税理士を変更するタイミングは、早ければ早いほど良いでしょう。
上記3のデメリットに書いたように税理士変更のタイミングが遅れれば遅れるほど、変更前の税理士に支払報酬が高くなり、スケジュールもタイトになります。
税理士を変更しようと思い立ったら早めに次の税理士の選定を始めたほうが良いでしょう。
申告書の提出後でも「見直し」はできる
「もう申告書を提出してしまったから手遅れ」と思っていませんか。
実は、申告後でも別の税理士による見直しは可能です。
前の税理士の申告に土地評価の減額漏れなどがあった場合、申告期限から5年以内であれば更正の請求により相続税の還付を受けられる可能性があります。
また、税務調査の連絡が来たという局面でも、申告した税理士とは別の相続専門の税理士に調査の立会いだけを依頼することができます。
「前の税理士の申告が不安」という方は、セカンドオピニオンとしてご相談ください。
5.相続税申告の税理士の選び方
相続税申告の税理士は、誰かの紹介とかではなく、自分で探すのが一番だと思います。
インターネットで、
「相続税 税理士 地名(お住まいの地域)」
などのキーワードで検索して一番信頼のおけそうな税理士に問い合わせてみてください。
なお、1社だけでなく複数社と面談してみて決めるほうがいいと思います。
相続税に強い税理士の選び方の詳しい解説は、【現役税理士による】相続税に強い税理士の選び方を徹底解説をご参照ください。
よくある質問
今の税理士にどう伝えれば角が立ちませんか?
「親族の意向で別の事務所に依頼することになった」など、簡潔に伝えれば十分です。詳しい理由を説明する義務はありません。精算と資料の返却だけ事務的に確認しましょう。
支払い済みの着手金は返してもらえますか?
契約内容と業務の進捗によります。着手金は返還されない契約が多い一方、進捗に応じた精算で一部が戻るケースもあります。まず契約書の解約条項を確認し、不明なら精算根拠の説明を求めましょう。
前の税理士に預けた戸籍や残高証明書は返してもらえますか?
返してもらえます。お客様から預かった書類は、契約が終了すれば返還されるべきものです。戸籍謄本・残高証明書などの原本はそのまま新しい税理士に引き継げるため、再取得の手間は基本的にかかりません。
申告期限の直前ですが、引き受けてもらえますか?
状況によりますが、可能なケースは多いです。財産の内容が把握できていれば短期間での申告に対応できる事務所もあります。期限後はペナルティが生じるため、まずはすぐに相談してください。期限まで極端に短い場合は、いったん概算で期限内申告を行い、後から修正する方法も検討します。
変更したことは税務署にどう伝わりますか?
依頼の時点では税務署への手続きは何も発生しません。税務代理権限証書は、申告書を提出するときに添付して初めて税務署に出るものだからです。申告前の変更であれば、新しい税理士が申告時に税務代理権限証書を添付すれば足り、納税者側で特別な手続きは不要です。前の税理士への連絡も、解約の意思表示だけで足ります。
まとめ
相続税申告の税理士は、依頼した後でも変更できます。
変更するなら早いほど傷は浅く、先に次の税理士を決めてから解約するのが鉄則です。
すでに申告書を提出した後でも、更正の請求(還付)や税務調査の立会いという形で、別の税理士に依頼することができます。
当事務所は相続専門の税理士法人として、税理士変更のご相談・セカンドオピニオンを数多くお受けしています。
今の税理士に不安を感じている方は、変更すべきかどうかの判断も含めて、お気軽にご相談ください。
相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください
相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。
また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。
税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。
初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。
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