遺産分割協議証明書の書き方を徹底解説!
こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。
誰が何を相続するか記載された遺産分割協議書は、相続の集大成と言っても過言ではありません。
そんな相続にとって大事な遺産分割協議書ですが、相続人が遠方に住んでいる場合は、各相続人から署名押印を集めるのに時間も労力もかかってしまいます。
こんな時に便利なのが「遺産分割協議証明書」です。ここでは、遺産分割協議証明書の利用方法について紹介します。
すぐに使える遺産分割協議証明書の文例も用意していますのでご利用ください。
目次
遺産分割協議証明書は遺産分割協議書と同じ効力を持つ証明書
遺産分割協議証明書は、その名の通り「遺産分割協議の内容を証明する書類」です。
遺産分割協議書と同様の効力があり、様々な相続手続きで遺産分割協議書の代わりに利用することができます。
【遺産分割協議証明書が利用できる相続手続き】
■相続税申告
■不動産の相続登記
■銀行口座の相続手続き
■証券口座の相続手続き
■自動車の名義変更手続き
遺産分割協議証明書のポイント
遺産分割協議証明書と遺産分割協議書は、遺産分割協議の内容を証明するうえでは同様の効力を持ちます。
では、この2つの書類は何が異なるのでしょうか。異なる点は次の3つです。
遺産分割協議証明書の3つのポイント
①遺産分割協議証明書の署名押印は1人
遺産分割協議証明書は相続人ごとに1通ずつ作成され、署名押印は基本的に1通に1人のみが行います。
遺産分割協議書の場合は、1つの遺産分割協議書に全員が連続して署名押印を行いますので、この点が大きく異なります。
②遺産分割協議証明書の書き方は2通りある
遺産分割協議証明書の書き方は「全ての財産を記載する方法」と「相続人が取得した財産のみを記載する方法」の2通りあります。
一般的には「全ての財産を記載する方法」により遺産分割協議証明書を作成します。
・全ての財産を記載する方法
全ての財産を記載する方法は、それぞれの遺産分割協議証明書に全ての相続財産を記載する方法です。
相続人全員が「誰が、何の財産を相続したのか」遺産分割協議証明書を見ることで確認できるため、安心感があります。
遺産分割協議書と同様のイメージです。
<全ての財産を記載する方法>
・相続人が取得した財産のみを記載する方法
遺産分割協議証明書は、全ての財産を記載する方法の他に「相続人が取得した財産のみを記載する方法」も認められています。
これは、相続人ごとに遺産分割協議証明書の内容が異なっていても成立し、相続人全員分の遺産分割協議書を合体させることで全体の遺産分割協議を証明することができるからです。
例えば、相続人Aの遺産分割協議証明書には預金口座のみ、相続人Bには不動産のみ、相続人Cにはその他の財産を記載しても問題ありません。
相続人A、B、Cの遺産分割協議証明書を合体させて全体の内容をカバーできればいいのです。
ただし、自分が知らない財産が他の相続人の遺産分割協議証明書に記載されている可能性も考えられますので、しっかりとチェックする必要があります。
<相続人が取得した財産のみを記載する方法>
③全ての遺産分割協議証明書が揃わなければ効力がない
遺産分割協議証明書は相続人全員分が揃ってはじめて効力を発揮しますので、1通でも揃っていない遺産分割協議証明書は意味を持ちません。
遺産分割協議証明書の有効な利用方法
「相続手続きを行うのに遺産分割協議書と遺産分割証明書、どちらがいいのだろう?」と悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
相続人の所在地が離れておらず、十分連絡の取れる状況であれば、遺産分割協議書で全く問題ありません。
しかし、相続人が日本全国に散らばっている場合や相続税申告などの期限が迫っている場合には、遺産分割協議証明書を利用することを検討してみましょう。
相続人が遠方に散らばっている場合
相続人が遠方に散らばっている場合は、遺産分割協議証明書の利用が時間短縮になります。
遺産分割協議書の場合、1つの遺産分割協議書に全員分の署名押印を連続で行う必要があるため、1つの遺産分割協議書を順番にまわしていかなければなりません。
この場合、郵送でまわしていくため、予想以上に時間がかかったり、紛失してしまったりするリスクがあります。
遺産分割協議証明書を利用する場合は、各相続人に証明書を送付し、署名押印してもらって返送してもらうだけですので、かかる時間が極端に少なくて済みます。
特に、近年よく利用されているビデオ会議システムなどによるオンラインでの遺産分割協議は、遺産分割協議証明書との相性が抜群です。
相続人が多い場合
相続人が多い場合は、それぞれの生活スタイルなどの違いにより同じ日に署名押印のために集まることが難しくなります。
こういった場合は遺産分割協議証明書を利用すると効率的です。各相続人に遺産分割協議証明書を送付し、署名押印後に返送してもらうだけで済みます。
遺産分割協議証明書の注意点
遺産分割協議証明書は遺産分割協議書に比べて時間短縮などのメリットがありますが、デメリットも存在します。遺産分割協議証明書の注意点を見ていきましょう。
遺産の全体像がわからない場合がある
遺産分割協議証明書は、1つ1つの証明書が補完関係にあり、全て合体させて全体の内容を把握する仕組みが認められています。
つまり「自分の遺産分割協議証明書に記載されていないことが他の相続人の遺産分割協議証明書に記載されている可能性がある」ということになります。
「知らない間に、自分が把握していなかった財産を他の相続人が取得することになっていた」ということも考えられますので、財産の一覧をチェックし、誰が何の財産を取得するのかを確認することが重要です。
また、誰かの遺産分割協議証明書に「後日判明した遺産は〇〇が取得する」という文面がないか確認することも重要です。
この文面があると新たに判明した財産の取得者が決まってしまうことになります。
「後日判明した遺産は、相続人全員でその財産について再度協議を行うこととする」と記載すると、相続人同士で再度協議できますのでトラブルに発展することは少なくなります。
1人分でも揃わないと効力が発生しない
遺産分割協議証明書は相続人全員分が揃うことで初めて効力を発揮します。もし、1人でも遺産分割協議証明書に署名押印しなければ無効になってしまいます。
相続人全員が納得して署名押印してもらえるように、財産の全容と誰がどの財産を取得するかをしっかり説明することが重要です。
遺産分割協議証明書の書き方
遺産分割協議証明書の書き方は、基本的には遺産分割協議書と同様の書式で記載します。
ただし、次の3つの部分が遺産分割協議書と異なりますので気をつけましょう。
②「遺産分割協議が成立したことを証明する」と文面に入れる
③原則1人が1通の遺産分割協議証明書に署名押印する。
遺産分割協議書の書き方については「遺産分割協議書の書き方をわかりやすく徹底解説|相続財産の種類別で紹介」を参照ください。
遺産分割協議証明書の例文
被相続人 日本橋 一郎(昭和30年12月12日生まれ)
死亡日 令和3年12月6日
本籍地 東京都中央区日本橋○番地○
最終の住所地 東京都中央区日本橋○番地○
被相続人 日本橋 一郎(以下「被相続人」という)の共同相続人である日本橋 花子、日本橋 二郎、日本橋 三郎は、令和4年8月14日に遺産分割協議を行い、次のとおり遺産分割協議が成立したことを証明する。
1.日本橋 花子は、以下の遺産を取得する
(1)土地
所 在 東京都中央区日本橋
地 番 ○○番○○
地 目 宅地
地 積 ○○.○○平方メートル
(2)預貯金
〇〇銀行〇〇支店
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 〇〇〇〇
2.日本橋 次郎は、以下の遺産を取得する
(1)預貯金
〇〇銀行〇〇支店
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 〇〇〇〇
3.日本橋 三郎は、以下の遺産を取得する
(1)預貯金
〇〇銀行〇〇支店
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 〇〇〇〇
4.別紙遺産目録に記載のない新たな遺産や債務が発見された場合は、相続人全員でその財産について再度協議を行うこととする。
作成日 令和4年8月〇日
住所 東京都中央区日本橋○番地○
生年月日 昭和35年7月6日
相続人甲(妻)日本橋 花子 実印
※署名押印は1通に1人ずつ行います。
なお、遺産分割協議書の書き方についての詳しい解説は、遺産分割協議書の書き方をわかりやすく徹底解説|相続財産の種類別で紹介をご参照ください。
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