相続放棄・数次相続・離婚再婚した場合の相続関係説明図を徹底解説

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相続手続き

こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

相続関係説明図は「親族の関係性が一目瞭然でわかる相続手続き」に必要な書類です。
親族の関係性と一言で言っても、中には相続放棄があった場合や数次相続が発生した場合、離婚して再婚した場合など複雑なケースもあります。
ここでは、こうした複雑なケースが発生した場合の相続関係説明図の作成方法についてわかりやすく解説します。

一般的な相続関係説明図の作成方法は「相続関係説明図の作成マニュアル 初めてでも簡単に作成可能!」を参照ください。

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相続放棄がある場合の相続関係説明図の書き方

まずは、相続人の1人が相続放棄した場合の相続関係説明図の書き方を見ていきましょう。
相続放棄とは「財産も負債も一切相続しないこと」を言います。相続放棄を行うためには、原則的に相続発生後3か月以内に家庭裁判所での手続きが必要です。
相続放棄は相続手続きに影響を与えますが、相続放棄を行ったとしても親族の関係性は変わることはありません。そのため、通常の相続関係説明図と同じように作成します。
ただし、相続放棄をしたことが明確にわかるように、相続放棄した人の氏名の横に「相続放棄」と記載する必要があります。
ちなみに、相続放棄をしていない人の氏名の横には、相続で不動産を取得した人は「相続」、不動産を取得しなかった人には「分割」と記載します。

<相続放棄がある場合の相続関係説明図の例>
相続放棄がある場合の相続関係説明図の例

なお、相続放棄した場合の相続税申告については相続放棄と相続税申告の関係を徹底解説!を参照ください。

数次相続がある場合の相続関係説明図の書き方

相続が発生した後、遺産分割が整う前に相続人が亡くなり、次の相続が発生してしまうことを数次相続と言います。
最初の相続(一次相続)の相続人が亡くなると、その相続人の相続人が一次相続の相続人となりますので、相続関係説明図は複雑になります。

例えば、一次相続の相続人が配偶者と子2人の場合で、子の1人が亡くなり、その子の子(孫)2人が相続人になる場合は次のように記載します。

<数次相続がある場合の相続関係説明図の例>
数次相続がある場合の相続関係説明図の例

数次相続がある場合の相続関係説明図には、明確に記載しなければならない3つのポイントがあります。上記の①から③の番号とともに見ていきましょう。

①最初の相続が発生したことがわかること

最初の相続の被相続人の住所・本籍、出生日・死亡日を記載し、最初の相続が発生したことが明確にわかるようにします。

②次の相続が発生したことがわかること

次の相続(数次相続)が発生したことがわかるように、次の相続で亡くなった人の出生日・死亡日を記載します。また、続柄の横に死亡したことを記載します。

③最終的に相続人になる人の情報を記載する

数次相続が発生し、最終的に誰が相続人になるのかを明確にし、その相続人の住所、出生日、続柄、氏名を記載します。

数次相続が発生した場合には、2つに分けて相続関係説明図を作成することも可能です。
ただし、1つにまとめた方がわかりやすく見やすいのでおすすめです。

数次相続があった場合の遺産分割協議書の書き方は、数次相続が発生した遺産分割協議書の書き方をわかりやすく徹底解説をご参照ください。
数次相続案件で頻出する相続税の税額控除である相次相続控除の詳しい解説は、相次相続控除をわかりやすく徹底解説をご参照ください。

離婚や再婚した場合の相続関係説明図の書き方

離婚した場合や離婚して再婚した場合の相続関係説明図は少し複雑になります。
なぜなら、離婚した元配偶者は相続人ではありませんが、元配偶者との子は相続人になるためです。
例えば、前妻との間に子がいる場合の相続関係説明図は次のようになります。

<離婚した場合の相続関係説明図の例>
離婚した場合の相続関係説明図の例

①二重線の上に×をつける

離婚している場合は婚姻を表す二重線の上に×を記載します。

②続柄を記載する

元配偶者が妻の場合は「前妻」、夫の場合は「前夫」と記載します。相続人ではないので住所、出生日の記載は必要ありません。

③離婚成立日を記載する

離婚した事実を明確にするために離婚成立日を記載します。

離婚後に再婚している場合の相続関係説明図の書き方

被相続人が離婚後、再婚している場合の相続関係説明図はより複雑です。
特に、前妻との間に子がおり、後妻との間にも子がいる場合は、両者の子は同じ相続人の立場になるため、そのことを明確に分かるように記載しなければなりません。

<再婚した場合の相続関係説明図の例>
再婚した場合の相続関係説明図の例

養子縁組した場合の相続関係説明図の書き方

被相続人が養子縁組を行っていた場合の相続関係説明図のパターンは3つあります。1つ目は被相続人が「夫婦」で養子縁組を行っている場合です。

<夫婦で養子縁組した場合の相続関係説明図の例>
夫婦で養子縁組した場合の相続関係説明図の例

養子縁組した場合の相続関係説明図は、続柄を「養子」と記載しなければなりません。
特に、相続税申告書に相続関係説明図(法務省が認証した法定相続情報一覧図)を添付する場合は、実子なのか養子なのかを明確に区別していなければ添付資料として利用することができません。また、養子縁組を行った日を記載してください。

被相続人とだけ養子縁組した場合の相続関係説明図の書き方

続いては、夫婦で養子縁組を行っているのではなく、被相続人とだけ養子縁組を行った場合の相続関係説明図です。

<被相続人とだけ養子縁組した場合の相続関係説明図の例>
被相続人とだけ養子縁組した場合の相続関係説明図の例

被相続人とだけ養子縁組を行った場合は、被相続人から養子へ直接線を引っ張ります。

孫と養子縁組した場合の相続関係説明図の書き方

相続の現場では孫を養子にする「孫養子」が行われているケースもよくあります。孫と養子縁組した場合の相続関係説明図は次のように記載します。

<孫と養子縁組した場合の相続関係説明図の例>
孫と養子縁組した場合の相続関係説明図の例

孫を養子にした場合の相続関係説明図は、孫が養子の身分も兼ねていることがわかるように記載しなければなりません。続柄を養子と記載し、養子縁組が行われた日付を記載します。

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この記事の執筆者:大塚 英司

東京税理士会新宿支部所属
登録番号:117702

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。

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