【その遺言書は有効?】遺言書の書き方を文例付きでわかりやすく解説!
遺言書は亡くなった方の意思を伝えるとともに、大切な家族にもめ事が起こらないようにする大事な書類です。
遺言書の作成には一定のルールが定められており、ルールに則って作成しなければ無効になってしまう可能性があります。
決心を固めて作成した遺言書が法的に無効になってしまうことがないように、ここでは遺言書の書き方を文例付きでわかりやすくご紹介します。
終活を考えられている方はぜひ参考にしてください。
目次
遺言書の大事なポイントとは
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
自分自身で書いて作成する「自筆証書遺言書」が一般的な遺言書のイメージではないでしょうか。
この自筆証書遺言には「形式的な要件」があり、これを満たさなければ法的効力を持たなくなってしまいます。
①自筆であること
自筆証書遺言書なので、手書きで遺言書を作成しなければなりません。自筆での遺言書作成は、財産が多ければ多いほど大変な作業になります。
そこで、この負担を軽減するために2018年に民法の改正が行われ、2019年1月より次のように緩和されました。
財産目録⇒パソコンで作成してもよい。不動産の全部事項証明書や通帳のコピーなどの書類添付でも可
財産目録をパソコンで作成した場合⇒財産目録の全ページに署名押印が必要
改正により「財産目録のみ」パソコンで作成できるようになりましたが、本文は自筆でなければなりませんので注意しましょう。
また、パソコンで財産目録を作成した場合には、財産目録の1枚1枚に署名押印が必ず必要です。
不動産の全部事項証明書や通帳のコピーなどを添付する際にも署名押印が必要ですので気を付けましょう。
②署名があること
自筆証書遺言には自筆での署名が必要です。「遺言をした人が誰なのか」をしっかり確認できるように戸籍上の氏名で署名を行いましょう。
民法上は本人と判断できるのであれば名前のみでも芸名でも認められますが、トラブルを避けるためにも戸籍上の氏名による署名を行いましょう。
③日付が特定できること
遺言書がいつ作成されたのかを明確にするために「日付」の記載が必要です。
日付は「令和4年12月」のように年と月だけではなく「〇日」まで記載しなければ無効になってしまうので気を付けましょう。
④押印を忘れないこと
自筆証書遺言には押印を忘れずに行いましょう。
押印に使用する印鑑は「実印」でなければならないと思われがちですが、認印、拇印や指印でも有効です。
ただし、遺言の有効無効の争いがおこった場合に「本人のものであるかどうか」を証明することが難しくなるため、印鑑登録されてある実印で押印されることをおすすめします。
遺言書については「遺言をわかりやすく徹底解説!」で詳しく紹介しておりますので、ご参照ください。
遺言により「寄付」を行う場合には「遺言で寄付をすると相続税が非課税に!?(相続と寄付の関係 遺贈寄付編)」をご参照ください。
また、自筆証書遺言の保管については「法務局での遺言書保管制度」があります。「自筆証書遺言の保管制度をわかりやすく徹底解説」で詳しく説明していますのでご覧ください。
【ケース別】簡単な遺言書の作り方
「遺言書の作成は難しそう」と感じる人も多くいますが、基本さえ押さえておけば簡単に作成することができます。ここでは、ケース別に遺言書の書き方をご紹介します。
簡単な遺言書【自筆の本文+パソコンでの財産目録】
【本文は全て自筆】
遺言者 日本橋 一郎は、次の通り遺言する。
1.長男 日本橋 一郎へ別紙財産目録第1記載の財産全てを相続させる。
2.二男 日本橋 次郎へ別紙財産目録第2記載の財産全てを相続させる。
3.上記以外の財産は全て妻 日本橋 花子に相続させる。
令和5年1月11日
東京都中央区日本橋○番地○
日本橋 一郎 ㊞
【パソコンで作成】
1.預貯金
〇〇銀行〇〇支店
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 〇〇〇〇
2.土地
所在:東京都中央区日本橋
地番:○○番○○
地目:宅地
地積:○○.○○平方メートル
作成日:令和5年1月11日(自筆)
日本橋 一郎(自署) ㊞
※財産目録の作成日と署名は自筆で行います。
財産目録第2についても第1と同様に作成します。
登記簿謄本や通帳のコピーを使用する場合【自筆の本文+コピー】
自筆証書遺言では、財産目録の代わりに登記簿謄本や通帳のコピーを添付することも認められています。
【本文は全て自筆】
遺言者 日本橋 一郎は、次の通り遺言する。
1.長男 日本橋 一郎へ別紙1の財産全てを相続させる。
2.二男 日本橋 次郎へ別紙2の財産全てを相続させる。
3.上記以外の財産は全て妻 日本橋 花子に相続させる。
令和5年1月11日
東京都中央区日本橋○番地○
日本橋 一郎 ㊞
【コピー】
※登記簿謄本や通帳のコピー
日本橋 一郎(自署) ㊞
※署名(自筆)と押印を忘れずに行ってください。
別紙2についても別紙1と同様に作成します。
全ての財産を1人に相続させる場合【自筆の本文のみ】
【本文は全て自筆】
遺言者 日本橋 一郎は、次の通り遺言する。
1.遺言者は、遺言者が有する全ての財産を遺言者の長男 日本橋 太郎に相続させる。
令和5年1月11日
東京都中央区日本橋○番地○
日本橋 一郎 ㊞
負担付の遺言書を作成する場合【自筆の本文】
負担付の遺言書とは、「遺産を相続させる代わりにお願いことをする」遺言書のことです。
例えば「自分が亡くなった後、長男に妻の生活をみてほしい」などが負担付の遺言書になります。
【本文は全て自筆】
遺言者 日本橋 一郎は、次の通り遺言する。
1.遺言者は、遺言者が有する全ての財産を遺言者の長男 日本橋 太郎に相続させる。
2.長男 日本橋 太郎は前条の財産を相続することの負担として、遺言者の妻 日本橋 花子と同居し、その生活費、医療費等を負担し、身辺の世話をしなければならない。
令和5年1月11日
東京都中央区日本橋○番地○
日本橋 一郎 ㊞
遺言書作成の心得
①普段通りに丁寧に書きましょう
自筆証書遺言の本文は自分の字で書かなければならないため、緊張してしまうかもしれません。
筆跡がいつもと違うと言われないように普段通りに落ち着いて、丁寧に書きましょう。
②明確に書きましょう
遺言書を読んだ人が意味を明確に理解できるように書き方に気を付けましょう。
相続人に財産を引き継がせたい時は「託す・与える・任せる」などの表現を使わずに「相続させる」に統一し、相続人以外に財産を引き継がせたい場合には「遺贈する」で統一すると意味が明確になります。
③遺留分に配慮して考えましょう
遺留分とは、相続人が一定の財産を相続する権利のことを言います。
遺留分を侵害してしまうと侵害された相続人は他の相続人に対し「遺留分侵害額請求」を行うことができます。
遺言書がもとで親族間のトラブルにならないように、遺留分に配慮した遺言書を作成することをおすすめします。
遺留分については「遺留分 わかりやすく徹底解説!」で詳しく紹介していますので、ご覧ください。
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