【自筆の遺言でも大丈夫?】自筆証書遺言のメリットとデメリットを解説!

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相続対策

遺言書には一般的に利用される遺言書として、遺言者の手書きで作成する「自筆証書遺言」と法律のプロである公証人が作成する「公正証書遺言」の二種類があります。

遺言書の作成を検討する場合には、どちらの形式で遺言書を作成するかで悩まれるのではないでしょうか。
自筆証書遺言は費用もかからず手軽に作成できるため、多くの方が利用する遺言書です。
しかし、その反面、遺言が無効になってしまうなどのリスクもあります。ここでは、自筆証書遺言のメリットとデメリットを解説します。
自筆証書遺言で大丈夫なのか」を判断する材料になると思いますので、最後までお付き合いください。

公正証書遺言の詳細については「公正証書遺言の効果と作成方法をわかりやすく解説!!」をご覧ください。

遺言の全体像を詳しく知りたい人は、遺言を書いて争族回避! 遺言書の作成方法、効力等をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。

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自筆証書遺言の特徴とは?

自筆証書遺言は、一般の方が思い描かれる遺言書に一番近い遺言方法です。
自分が亡くなった後の財産や身分に関する事項について生前の意思を自筆で示した書類のことを自筆証書遺言と言います。自筆証書遺言には次のような特徴があります。

①自筆であること(財産目録に限ってパソコン作成が可能)
②署名があること
③日付が特定できること
④押印されていること

自筆証書遺言の詳しい特徴と作り方については「【その遺言書は有効?】遺言書の書き方を文例付きでわかりやすく解説!」を参照ください。

自筆証書遺言の最大のメリットは手軽さ!

自筆証書遺言には次のようなメリットとデメリットがあります。

手軽に遺言書を作成できる

自筆証書遺言の最大のメリットは、自分1人で作成できる「手軽さ」です。
公正証書遺言の場合は公証人との事前打ち合わせなど、遺言書を作成するまでに時間も手間もかかってしまいます。手軽に遺言書を作成したい方に向いている遺言です。

書き直しが簡単にできる

自分一人で作成する遺言書なので、手軽に書き直しができます。
自筆証書遺言を書き直す場合は、古い遺言書を自分で破棄し、新しい自筆証書遺言を作成するだけです。
古い遺言書を破棄しておらず、遺言書が複数存在する場合には、後の日付の遺言書が有効になります。

遺言の内容を誰にも知られないようにできる

自筆証書遺言は、遺言を作成し、すぐに封をすれば遺言の内容を誰にも知られることはありません。
公正証書遺言の場合は、自分以外に公証人と証人2人に遺言書の内容を知られてしまうことになります。
守秘義務により他の第三者に知られることはありませんが、自分以外の誰かに知られたくない場合には自筆証書遺言が向いています。

費用が必要ない

紙とペン、印鑑があれば自筆証書遺言を作成できますので費用は一切かかりません。
公正証書遺言の場合は、公証人への手数料などの費用が発生します。
公正証書遺言の費用については「【公正証書遺言費用の目安は?】公正証書遺言にかかる手数料を徹底解説!」をご覧ください。

ただし、自筆証書遺言でも司法書士や弁護士、税理士などの専門家へ相談して作成する場合は別途費用が発生します。

自筆証書遺言のデメリットは無効になるリスク

自筆証書遺言には、手軽に作成できる反面、デメリットも多くあります。

遺言自体が無効になるリスクがある

自筆証書遺言は、遺言書の書き方がルールに則っていない場合、無効になってしまうリスクがあります。
「署名押印がない」「日付の記載がない」「記載した財産の内容が曖昧で特定できない」このような遺言書の場合、遺言書自体が無効になってしまうおそれがあります。
せっかく作成した遺言書が無効になってしまわないように、遺言書のルールに則って作成しましょう。

発見されないリスクがある

自筆証書遺言は、自分で作成し、自分で保管する遺言書です。
秘密性が高いため、遺言者のみが遺言書の存在を知っているケースも少なくありません。
そのため、相続が発生したとしても相続人から発見されないリスクがあります。

発見されないリスクを減らすためには、遺言書の保管場所を工夫しましょう。
金庫の中や仏壇、机の引き出しなど、比較的わかりやすい場所に保管するといいでしょう。

変造されてしまうリスクがある

遺言書が発見されないリスクを防ぐために、比較的わかりやすい場所に保管する方法が効果的ですが、わかりやすい場所に保管すると相続人の誰かに遺言書を書き換えられたり、破棄されたりするリスクがあります。
自分で作成した遺言書かどうか立証することが難しい自筆証書遺言のデメリットと言えるでしょう。

検認が必要になる

自筆証書遺言には「検認手続き」が必要です。

検認手続きとは、遺言書を発見した相続人が遺言書を開封せずに家庭裁判所に提出し、遺言書の存在を確認する手続きのことです。
検認を行わずに勝手に開封してしまうと罰則規定があり、5万円以下の過料に処せられます。
検認手続きを終えなければ相続手続きに進むことができないため、相続人にとって若干の負担になるでしょう。

自筆証書遺言のリスクを排除する「自筆証書遺言の保管制度」

自筆証書遺言には多くのデメリットがありますが、これらのデメリットを排除する方法に「自筆証書遺言の保管制度」があります。
自筆証書遺言の保管制度とは、自分で作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらう制度です。

自筆証書遺言の保管制度の詳細については「自筆証書遺言の保管制度をわかりやすく徹底解説」で詳しく紹介しています。

自筆証書遺言の保管制度を利用することで、次のようなメリットを得ることが可能です。

リスクを回避することができる

自筆証書遺言の保管制度では、自筆証書遺言における様々なリスクを回避することが可能です。

変造されてしまうリスクを回避

この制度では、法務局で遺言書を保管してもらうことで自筆証書遺言のデメリットである「遺言書が変造されてしまうリスク」を回避することができます。

発見されないリスクを回避

制度の申し込み時に「死亡時通知の申し出」を行うことが可能です。
この申し出を行うと、遺言者が亡くなった際に指定した人へ遺言者が死亡した旨と法務局で遺言書が保管されている旨のお知らせが通知されます。
この通知により、発見されないリスクを回避することが可能です。

形式により無効になるリスクを回避

遺言書の保管申請時に遺言書のルールに則って作成されているかどうか外形的なチェックを受けることができます。
誤りがあれば訂正することができるため、形式により無効になるリスクを回避することが可能です。

安全性が極めて高く、保管期間が長い

法務局で遺言書を保管するため、自宅で遺言書を保管するよりも安全性が極めて高いです。
遺言書は、原本の他に画像データとしても長期間、適正に保管されます。
保管期間については、原本は遺言者が死亡して50年間、画像データは150年間になります。

費用が少ない

自分で作成した遺言書の場合、自筆証書遺言の保管制度の費用は3,900円のみで他に費用は発生しません。
公正証書遺言に比べ、少ない費用で遺言書を保管してもらうことができます。

検認が必要ない

法務局が遺言書を保管しているため、検認手続きを行う必要がなく、相続発生後はスムーズに相続手続きに移れるため、相続人への負担はありません。

唯一のデメリットは「内容についての相談はできないこと」

自筆証書遺言の保管制度は、大変便利な制度ですが、唯一のデメリットは遺言書の内容について法務局に相談できないことです。

また、法務局に保管した遺言書が必ずしも法的効力を持つ遺言書であるとは限りませんし、効力があったとしても遺留分を侵害していた場合トラブルに発展する可能性もあります。

法務局はあくまでも保管先であり、遺言についての相談は司法書士や弁護士などの専門家に依頼する必要があります。

なお、遺留分については「遺留分 わかりやすく徹底解説!」で詳しく紹介していますので、ご覧ください。

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この記事の執筆者:大塚 英司

東京税理士会新宿支部所属
登録番号:117702

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。

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