【相続放棄が認められない!?】相続放棄を確実に行うための注意点を解説

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相続手続き

亡くなった被相続人に借金がある場合、相続人が相続放棄を行い相続財産に関する一切の権利を放棄することで借金を相続しなくてすみます。
しかし、相続放棄は必ずしも認められるわけではありません。もし、相続放棄が認められなかった場合、多額の借金を相続してしまうこともあります。

相続放棄が認められるかどうかは、その人の人生にとって大きな影響を与えます。ここでは「相続放棄を確実に行うための注意点」について解説します。相続放棄を検討されている方は、ぜひ最後までお付き合いください。

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相続放棄は基本的には認められる

相続放棄は、家庭裁判所に相続放棄の申述(申し込み)を行い、家庭裁判所の審査を経て受理される流れになります。
家庭裁判所の審査では「却下すべき明らかな理由がある場合以外は受理されるべき」とされており、相続放棄は基本的に認められています。では却下される明らかな理由とはどのようなものでしょうか。

相続放棄が却下される明らかな理由

家庭裁判所では、相続放棄を受理するかどうかを「形式的要件」と「実質的要件」によって判断しています。

形式的要件①「申述人が相続人であること」

相続放棄は、原則的に相続人本人が申し立てを行わなければなりません。家庭裁判所では、申し立てが本当に相続人によって行われているのかの確認が行われます。

相続人が未成年である場合は、法定代理人である親が手続きを行うことになります。親子ともに法定相続人であり、子だけを相続放棄をさせるような場合は利益相反関係になりますので、特別代理人が必要になり、家庭裁判所へ特別代理人の選任を申請しなければなりません。

形式的要件②「書類に不備がないこと」

相続放棄を行うためには、相続放棄申述書の他に提出しなければならない戸籍謄本などの書類があります。提出書類に不備がある場合、家庭裁判所からその旨の連絡がありますが、対応が遅れてしまい提出期限に間に合わなければ相続放棄が却下されてしまいます。

相続放棄に必要になる書類は亡くなった方と相続人の関係性で異なります。詳しくは「【相続放棄の必要書類を正しく理解】必要書類の集め方を徹底解説!!」をご覧ください。

相続放棄に必要な書類

実質的要件①「3か月を経過していないこと」

相続放棄手続きは、相続開始を知った時から3か月以内に行わなければなりません。3か月を超えてしまうと「被相続人の財産を相続する意思がある(単純承認)」とみなされて相続放棄を行うことができなくなります。

「期限内に財産や債務の調査が進まず、相続放棄をした方がいいのかわからない」という場合は3か月以内に「熟慮期間の伸長」を申し立てることで期限を延長することができます。

熟慮期間の伸長については「【相続放棄の期限は3か月】期限の延長方法についても詳しく解説!」で解説しています。

実質的要件②「相続する意思があるとみなされないこと」

相続が発生すると相続人は「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のどれかを選択することになります。民法では「相続人が被相続人の財産の一部を処分した場合」などについては、法律上「単純承認したとみなす規定」があります。

そのため、既に被相続人の財産を消費している場合などについては単純承認が成立してしまい、相続放棄が行えなくなります。単純承認が成立してしまうケースには、次のようなものがあります。

単純承認が成立するケース

次のようなケースでは相続する意思があるとみなされ、単純承認が成立し、相続放棄を行うことができなくなります。

・被相続人の預金口座や証券口座を解約し、自分の口座に移した
・被相続人の不動産の名義変更を行った
・被相続人の自宅を被相続人の資金で修繕した
・遺産分割協議に参加した

原則的には、被相続人の資金を使用すると単純承認が成立し相続放棄を行うことはできませんが、相続財産から被相続人の葬儀費用を支払う場合に限り、相続放棄を行うことが認められています。ただし、認められる葬儀費用は社会通念上の範囲になりますので、高額な葬儀代は単純承認とみなされる可能性があります。

注意が必要なケース

次のようなケースは、内容によって単純承認かどうかが異なります。

・形見分けをした場合

常識の範囲内での形見分けであれば相続放棄をするうえで問題ありませんが、形見分けに一定の財産価値がある場合については形見分けと認定されず、単純承認と見なされて相続放棄ができなくなる可能性があります。

・被相続人の借金を返済した場合

被相続人の借金を相続人が返済した場合については、借金返済の原資がどこかによって異なります。自分の財産の中から被相続人の借金を返済した場合については、相続財産の処分に当たらず、単純承認とはみなされません。

被相続人の財産の中から借金の返済を行った場合については、相続財産の処分に該当し、単純承認とみなされて相続放棄ができなくなる可能性が高いです。

・生命保険金を受け取った場合

生命保険金の受け取りについては「誰が受取人になっているのか」で単純承認かどうかが異なります。相続人が受取人になっている生命保険金を受け取った場合には、相続財産としてではなく受取人固有の権利として受け取るため単純承認とはみなされません。

被相続人が受取人になっている生命保険金を相続人が受け取った場合は、相続人として生命保険金を受け取ることになるため単純承認に該当し、相続放棄ができなくなる可能性が高いです。

相続放棄が認められない場合は「即時抗告」

家庭裁判所から相続放棄が一度却下されてしまうと相続放棄をやり直すことはできません。正当な理由があるにも関わらず相続放棄が却下されてしまった場合には、高等裁判所へ申し立て再度審理してもらう「即時抗告」を行うことができます。

即時抗告は家庭裁判所から却下の告知を受けて2週間以内に行わなければならず、正当性を証明する証拠の提出などが必要になるため、一般的には弁護士に依頼して行います。相続放棄が認められない可能性がある場合は、あらかじめ相続放棄申述書の作成段階から弁護士に依頼し、代理申請をしてもらうことで即時抗告にも対応することが可能です。

相続放棄を確実に行うためのポイント

相続放棄を確実に行うためには、次のポイントを押さえておきましょう。

早めの行動

相続放棄は時間との勝負です。仕事などの日常生活に加えて財産の調査や戸籍謄本などの必要書類の収集、相続放棄申述書の作成、提出を3か月以内に行わなければなりません。相続放棄するかどうかの検討も必要になりますので、早めから行動して適切な判断ができるようにしておきましょう。

適切な遺産の管理

遺産を適切に管理していなければ、単純承認に該当する行為を行ってしまい、相続放棄ができなくなってしまうことがあります。遺産を適切に管理し、単純承認に該当しないようにしましょう。

専門家へ依頼する

相続放棄が認められるかどうかは、自分の人生に大きな影響を与えることになります。安心して相続放棄を行うためには、司法書士や弁護士に早めに依頼することをおすすめします。相続放棄を専門家に依頼する場合の費用については「【相続放棄の費用相場はどれくらい?】パターン別の費用相場を解説!!」をご参照ください。

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この記事の執筆者:大塚 英司

東京税理士会新宿支部所属
登録番号:117702

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。

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