タワマン節税封じの最新情報! 国税庁がマンション評価の見直し方針固める

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土地評価

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

令和5年の税制改正大綱に下記のように明記されていたマンションの相続税評価の見直しについて、国税庁が評価方針を固めつつあります。

税制改正大綱マンション評価

国税庁の有識者会議で評価の方針が固まり、財産評価基本通達の改正案がパブリックコメントで公開されました。
本ブログで新しいマンション評価について最新情報をわかりやすくお知らせします。

動画で知りたい人は下記YouTubeから、テキストで確認したい人はこのままスクロールして一番最後までお読みください!

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見直しの対象となるマンションとは?

見直しの対象となるマンションとは、「区分所有者が存する家屋で居住の用に供する専有部分があるもの」をいいます。
難しい言い回しですが、簡単に言うと居住の用に供することができる区分所有登記がされたマンション一室と考えれば良いでしょう。
したがって、区分所有登記がされていないマンションや事業用の区分所有マンションは見直しの対象外ということです。

また、居住用の区分所有マンションであっても下記は見直しの対象となるマンションからは除かれています。

□地階を除く階数が2以下のもの
□居住の用に供する専有部分一室の数が3以下であってその全てを当該区分所有者又はその親族の居住の用に供するもの(いわゆる二世帯住宅等)

2階建て以下の低層のマンションやただただ区分所有登記されている二世帯住宅は除くというイメージですね。

新しく改正されるマンションの評価方法

新しく改正されるマンションの評価方法は下記の順番で考えていきます。

1. 自用地・自用家屋としての価額の算定
2. 評価乖離率の算定
3. 評価水準の算定
4. 相続税評価額の算定

それでは、順番に解説していきましょう。

1. 自用地・自用家屋としての価額の算定

こちらは現行の財産評価基本通達による土地、建物の相続税評価額を算出するということです。

これからも「自用地・自用家屋としての価額」というワードが頻繁に登場しますが、「自用地・自用家屋としての価額」=「現行の財産評価基本通達による相続税評価額」ということです。

現行の財産評価基本通達による相続税評価額の詳しい解説は、マンションの相続税評価額をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。

2. 評価乖離率の算定

評価乖離率は、下記の算式で計算することとなります。
複雑な計算式のため専門家以外の人は読み飛ばして大丈夫です。

A+B+C+D+3.220

「A」=当該一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
「B」=当該一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位切り捨て)
「C」=当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
「D」=当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位切り上げ)

※1 「築年数」は、当該一棟の区分所有建物の建築の時から課税時期までの期間とし、当該期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。
※2 「総階数指数」は、当該一棟の区分所有建物の総階数を33で除した値(小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とする。)とする。この場合において、総階数には地階を含まない。
※3 当該一室の区分所有権等に係る専有部分が当該一棟の区分所有建物の複数階にまたがる場合には、階数が低い方の階を「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」とする。
※4 当該一室の区分所有権等に係る専有部分が地階である場合には、「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」は、零階とし、Cの値は零とする。
※5 「当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、当該一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を当該一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げる。)とする。

上記算式は簡単に言うと現行の財産評価基本通達による相続税評価額と市場価格の差の割合を表したものです。

上記のややこしい算式について覚える必要はないです。
今後国税庁HPで評価乖離率又はマンションの相続税評価額を自動計算してくれるようなツールが公表される予定です。
評価乖離率を計算するための要素(築年数、総階数、所在階、マンション全体の敷地面積、マンション一室の敷地権割合)だけ抽出できるようになっていれば良いのです。
上記要素は登記簿謄本や固定資産税の課税明細書から抽出できます。

3. 評価水準の算定

評価水準は下記の算式で計算することとなります。

1÷ 評価乖離率

例えば、評価乖離率が2.5だった場合には、評価水準は0.4(1÷2.5)となるということです。

4. 相続税評価額の算定

評価水準の値により下記の区分に応じいずれかの評価方法により評価することとなります。

(1)評価水準>1:自用地・自用家屋としての価額✕評価乖離率
(2)0.6≦評価水準≦1:自用地・自用家屋としての価額
(3)評価水準<0.6:自用地・自用家屋としての価額✕評価乖離率✕0.6

(1)評価水準>1(評価水準が1を超える場合)

評価水準が1を超えるということは、「現行の財産評価基本通達による相続税評価額」が「市場価格」より高くなっているということです。
その場合には、「現行の財産評価基本通達による相続税評価額」に評価乖離率を乗じて市場価格ベースに戻すこととなります。
したがって、評価算式としては下記の通りです。

自用地・自用家屋としての価額✕評価乖離率

(2)0.6≦評価水準≦1(評価水準が0.6以上で1以下の場合)

評価水準が1~0.6の間に収まった場合には、「現行の財産評価基本通達による相続税評価額」により評価することとなります。

(3)評価水準<0.6(評価水準が0.6未満の場合)

評価水準が0.6未満ということは、「現行の財産評価基本通達による相続税評価額」が「市場価格」より大幅に安くなっているということです。
今回のマンション評価の改正の主たる理由がこのレンジに位置するマンションなのです。

評価算式としては下記の通りです。

自用地・自用家屋としての価額✕評価乖離率✕0.6

算式の前半で市場価格ベースに戻してその6割で評価するというイメージです。

0.6の経緯や根拠については次の項で解説します。

上記計算式となった背景

今までのマンションの相続税評価額と市場価格の評価乖離率の平均値は42.7%でした。
すなわち、1億円の市場価格のマンションが相続税評価額だと4,270万円で評価されてたということです。

この評価乖離率の大きさを利用して相続税の租税回避をする納税者が散見されたことから当該改正が実施されることとなったのです。

さて、上記算式の最後の定数0.6の根拠についてですが、この0.6がないと市場価値そのものでマンションを評価することとなってしまいます。
市場価値の6割程度に相続税評価を抑えることを目的として最後に0.6を乗じることとしています。
路線価って市場価値の8割だから0.8の方が適切なのじゃないかと思われた方も多いかもしれません。
一応この0.6にも根拠があり、一戸建ての評価乖離率の平均が60%だからです。

マンション評価を一戸建ての評価乖離率レベルまでは増加させようという趣旨です。

具体的な計算例

現行の財産評価基本通達による相続税評価額:5,000万円(簡便的に土地建物の合計値をします)
マンションの築年数:10年
マンションの総階数:30階
マンションの所在階:25階
マンションの敷地面積:5,000㎡
マンション一室の敷地権割合:1/100
マンション一室の専有面積:50㎡

1. 評価乖離率の算定
A:10年✕△0.033=△0.33
B:
(1)総階数指数
30階/33=0.909(小数点以下第4位を切り捨て)
(2)
0.909✕0.239=0.217(小数点以下第4位を切り捨て)
C:25階✕0.018=0.45
D:1((5,000㎡*1/100)/50㎡✕△1.195=△1.195(小数点以下第4位を切り上げ)

各要素の計算が終わったら上記をすべて足して3.220を加算するだけです。

△0.33+0.217+0.45△1.195+3.220=2.362

2. 評価水準の算定
1÷2.362=0.4233
評価水準が0.6未満のため「自用地・自用家屋としての価額✕評価乖離率✕0.6」の算式を採用します。

3. マンションの改正後の相続税評価額
5,000万円✕2.362✕0.6=7,086万円

いつから新しいマンション評価で評価するのか?

令和6年1月1日以後の相続又は贈与により取得した財産に新しいマンション評価が適用されます。
すなわち、令和5年中の相続又は贈与で取得した場合には従前の低い評価額により計算し、令和6年以降の相続又は贈与により取得した財産は最低でも市場価格の6割水準の評価することとなります。

年内の駆け込み贈与が増えそうですが、市場価格と従前の相続税評価額が大きく乖離しているような極端な事例では総則6項による否認の可能性もあるため要注意です。
総則6項についての詳しい解説は、速報!【最高裁総則6項訴訟は納税者敗訴】不動産を使った相続税の節税は今後どうなる?をご参照ください。

今後の通達改正のスケジュール

マンション評価の見直しは、通達改正のため今後パブリックコメントを経て通達改正が行われる見込みです。
したがって、上記が確定の新しいマンション評価ではありませんのでご注意ください。

7/24追記 パブリックコメントが公開されました。
「居住用の区分所有財産の評価について」の法令解釈通達(案)に対する意見公募手続の実施について

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