相続税の税務調査の連絡が来たらやるべきこと5選!
相続税の税務調査の連絡は毎年7月から9月頃に来ます。
税務署からいきなり電話があると驚いてしまうかもしれませんが、冷静になってこの記事にあることを着実に実施しましょう。
最後までお読みいただければ相続税の税務調査も恐れることなく冷静に対応できると思います。
動画で知りたい人は下記YouTubeから、テキストで確認したい人はこのままスクロールして一番最後までお読みください!
目次
相続税の税務調査とは
税務署はなぜ税務調査をするのか?
日本の税金は、納税者の自主申告に基づき計算される「申告納税方式」が原則となっています。この方法の場合には、その納税者の申告が正しいかどうかの答え合わせが必要となります。
この答え合わせを「税務調査」といいます。
税務調査がなかったら、いい加減な申告をしたり、脱税をしたりする人たちが蔓延(はびこ)ってしまう世の中になってしまうかもしれません。
税務調査は、適正な申告納税制度を実現するために重要な手続きなのです。
相続税も申告納税方式を採っている税金であるため、申告した後に税務調査に入られることが多々あります。
相続税の税務調査の割合は?
最新の相続税の調査割合は、R6年の年末に公表されまして「6.4%」となっています。以前は12%程度でしたが直近はコロナの影響で実地調査が実施される件数が激減しています。
コロナの影響で税務署も実地調査対象先を相当絞っているでしょうから、この状況で実地調査に入られる案件は相当悪質な脱税案件か、明らかに評価が誤っているか財産が明らかに漏れている案件がほとんどでしょう。
コロナの影響が収まってきた昨今、今後は例年通り10%以上の税務調査率に戻るのではないかと予想しております。
遺産規模ごとの税務調査率
遺産規模が1億円の案件と10億円の案件では調査に入られる割合は違うのでしょうか?
当然異なります!
税務署も効率的に財産漏れを指摘したいので財産の漏れている可能性、漏れている財産額の大きい案件を中心に調査に入ります。
すなわち、遺産規模が大きくなればなるほど調査割合は高くなります。
コロナ禍で調査割合は減少していましたが、最近はコロナの影響も収まりコロナ前の調査割合に戻りつつあります。
したがって、コロナ前のデータを元に遺産規模ごとのおおよその調査割合を確認してみましょう。
遺産規模 | 調査割合 |
~1億円 | 約3% |
1億円~3億円 | 約10% |
3億円~5億円 | 約30% |
5億円~ | 約50% |
遺産規模が1億円未満だと100件に3件くらいしか調査に入られないのに5億円を超えてくると2件に1件の割合で調査に入られることとなります。
相続税の税務調査の詳しい解説は、【2025年最新】相続税の税務調査をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。
税務調査の連絡が来たらやるべきこと5選!
1. 電話の内容(事前通知)をメモ
いきなり税務署から連絡が来ると驚くかと思いますが、冷静に電話の内容をメモしてください。
主に下記のようなことを電話で通知されますので焦らずにメモをとりましょう。
・調査の日時
・調査の実施場所
・調査対象となる資料
・調査の担当者
・調査に参加すべき人
2. 申告内容を再度確認
税務調査の連絡が来たということは税務署は何かしらの申告漏れを把握している可能性があります。
したがって、申告書を再度見直して申告漏れがないか確認しましょう。
漏れやすい財産としては、下記のようなものがあります。
・現金(タンス預金、直前引出現金)
・名義預金
・生前贈与
・名義保険
・先代名義の不動産等
詳しくは、相続税申告で漏れやすい財産 ベスト10!をご参照ください。
ちなみに、税務調査前に修正申告することにより加算税が5%軽くなります。(調査前5%(無申告は10%)、調査後10%(無申告は15%))
詳しくは、相続税のペナルティ 加算税、延滞税の税率と計算方法 かからないケースもあり?!をご参照ください。
3. 資料の準備
税務調査では被相続人や相続人の下記のような資料を確認しますので準備しておきましょう。
・印鑑
・香典帳、電話帳
・被相続人の日記
・不動産登記簿
・賃貸借契約書など
4. 想定問答のシミュレーション
税務調査では被相続人や相続人のパーソナル情報から財産情報まで幅広くヒアリングします。
事前にどのようなことを聞かれるかを想定し、ある程度の回答も用意しておいたほうが良いでしょう。
調査の現場で実際にヒアリングされたことの一部を記載しておくので参考にしてください。
(1) 被相続人の基本情報
【質問の意図】
出身地の不動産が漏れてないかの確認
【質問の意図】
高学歴の場合には高収入になる可能性が高いため学歴を確認
【質問の意図】
両親からの遺産が本件相続財産に適切に反映されているか確認
【質問の意図】
未分割の場合には法定相続分による共有財産が漏れやすいため遺産分割が済んでいるかの確認
【質問の意図】
過去の居住地に不動産、預金口座、証券口座等が漏れていないかの確認
【質問の意図】
退職金は数千万円という多額になるため、その退職金がいつ支給されて、何に使われたのかを確認
(2) 被相続人のパーソナリティ、趣味趣向、交友関係
【質問の意図】
まじめ、几帳面、大雑把、親分肌等の性格の違いで金遣いの荒さや日記等の資料が残っているかなど財産漏れの端緒を発見するため
【質問の意図】
倹約家なのか、散財するタイプなのかを確認し相続財産の妥当性の検証
【質問の意図】
趣味の内容に応じて下記のようなことを把握しようとしている
ギャンブル:散財の根拠
ゴルフ:ゴルフ会員権の有無、高級ゴルフ道具の有無
コレクション:書画骨董、古銭、切手等の有無
旅行:海外財産の有無、散財の根拠
【質問の意図】
交友関係が広ければそれだけ交際費等に散財している根拠になるため
友人への金銭貸借の有無の確認
政治家との付き合いにより寄付等による散財がないか確認
(3) 被相続人の晩年の健康状況や入院状況
【質問の意図】
発病後に入出金が多くなる傾向があるため確認
【質問の意図】
意思能力の有無等の反面調査に備えて確認
【質問の意図】
お金の管理者が必要以上に現金引き出ししていないかを確認
【質問の意図】
意識がなくなってから相続対策(贈与、養子縁組、生命保険加入、不動産購入等)をしていないか確認
【質問の意図】
認知症になってから相続対策(贈与、養子縁組、生命保険加入、不動産購入等)をしていないか確認
(4) 相続人等の基本情報
【質問の意図】
名義財産等の判定のため相続人の蓄財状況を確認
【質問の意図】
配偶者の名義財産等の判定のため配偶者の財産に両親からの遺産が含まれていないかの確認
【質問の意図】
相続人である子の財産が多い場合にその配偶者の両親から贈与等を受けている可能性があるため子の配偶者の両親の財産状況を確認
【質問の意図】
名義財産を確認するため
すなわち、この回答に漏れがあって相続人が知らない財産があった場合には被相続人が管理していた相続人名義の財産、すなわち、名義財産と認定してくる
【質問の意図】
名義財産を確認するため
相続人以外の孫や兄弟などに財産が移転しているケースも想定されるため
(5) 預貯金等の管理状況
【質問の意図】
名義預金判定の一つである預貯金等の管理支配状況の確認
預貯金等を隠匿した場合の重加算税の判定のため
【質問の意図】
税務調査では重要資料がどこに保管されていたかを必ず確認する
相続開始日と調査日で保管場所に変化はないか(財産の隠匿がないか等の確認)
【質問の意図】
メインバンクを重点的に調査するため
営業担当者名は反面調査をするかもしれないので確認
【質問の意図】
貸金庫がある場合には税務調査当日に調査担当者とともに貸金庫の中身を確認しに行く
【質問の意図】
開扉代理人がいた場合には相続後でも貸金庫を開扉できるため財産隠しをしていないかの確認
【質問の意図】
生活費用、給料や賃料の振込用、貯蓄用、生命保険料振込用、納税資金用等を確認して財産漏れがないか
【質問の意図】
相続人等への資金移動、他の財産への化体、タンス預金の漏れがないか確認
【質問の意図】
財産を隠そうとした意図で開設していないか
相続人等の名義口座がないか
(6) 不動産の状況
【質問の意図】
被相続人が100%持分を保有している自宅について、「他の親族等が購入資金を拠出していないか」又は、「被相続人の子などで共有している自宅について、その子の持分に相当する購入資金を被相続人が拠出していないか」を確認
また築年数が経っている家屋については固定資産税評価額に反映されていない増改築の有無の確認
【質問の意図】
同居相続人の確認をし、名義預金や生前贈与の判定に活かす
また、小規模宅等の特例の適用判断のため
【質問の意図】
小規模宅等の特例の適用判断のため
また、老人ホーム入居一時金返還金の有無の確認のため
【質問の意図】
不動産の評価(貸家建付地、貸家)に誤りがないか
また、小規模宅等の特例の適用判断(3年以内貸付に該当するかどうか)のため
さらに、賃料入金口座が適切に財産に反映されているか、賃料が親族の口座に入金されていないかの確認
(7) 遺産分割、納税の状況
【質問の意図】
遺産分割に特別受益等が加味されている場合には加算されていない生前贈与がないか確認
【質問の意図】
相続財産を換価していないか、税務署が把握できていない財産を納税原資にしていないか
また、他の相続人が負担していた場合には贈与税課税の根拠にするため
5. 相続専門の税理士を探す
相続税の税務調査を税理士抜きで対応するのは何も武器を持たずに熊と対決するようなものです。
したがって、相続税の税務調査の連絡が来たら相続に強い税理士を探しましょう。
相続に強い税理士の探し方は、【現役税理士による】相続税に強い税理士の選び方を徹底解説をご参照ください。
相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。
また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。
税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。
初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。
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