名義預金の最新裁決事例(令和5年~令和6年)まとめ 相続専門税理士の所感付き!

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名義財産・生前贈与

みなさん、こんにちは
相続専門の税理士法人トゥモローズの角田です。

名義預金の評価や計算方法は法律や通達に記載されていません。
過去の裁判例や裁決事例を参考に計算するしかないのです。

今回は、令和5年1月から令和6年12月までの2年間における国税不服審判所の裁決事例のうち名義預金について納税者と国税当局の間で争いになったものをまとめたいと思います。

名義預金についての詳しい説明は、名義預金は相続税の対象です! 判断基準と税務調査で指摘されないため対策を参照してください。
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令和5年2月9日 東京国税不服審判所 非公開裁決事例

誰の名義?

被相続人名義(逆名義預金論点)

裁決事例要旨

 請求⼈は、原処分庁が相続税の決定処分をした被相続⼈名義の預⾦⼝座(本件預⾦⼝座)に係る預⾦債権(本件預⾦債権)の⼀部は、請求⼈及び被相続⼈の弟(本件弟)が被相続⼈に対して⽣活費として貸し付けた⾦員で賄われたのであるから、本件預⾦債権のうち請求⼈及び本件弟が貸し付けた部分の預⾦債権は、被相続⼈に帰属せず、請求⼈及び本件弟にそれぞれ帰属する旨主張する。しかしながら、①本件預⾦債権は、いずれも被相続⼈が開設し管理している被相続⼈名義の本件預⾦⼝座に係る預⾦債権であること、②請求⼈の主張によっても本件預⾦債権の7割は本件被相続⼈が出捐者であること、③本件預⾦⼝座の開設⼜は⼊⾦に当たって、請求⼈及び本件弟がそれぞれの⾦銭を⾃⾝の預⾦とするために、被相続⼈名義の本件預⾦⼝座の開設をし、⼜は⼊⾦を依頼したことはないこと、④被相続⼈が⾏った本件預⾦⼝座の開設や⼊⾦は、本件預⾦債権が被相続⼈⾃らに帰属することを前提として⾏ったものであることから、これらの事情を総合的に考慮すれば、仮に請求⼈や本件弟が被相続⼈に⾦員を貸し付けていたとしても、本件預⾦債権に係る預⾦契約の当事者は相続開始時点においても被相続⼈であり、本件預⾦債権の全額が被相続⼈に帰属することは明らかである。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

逆名義預金の論点の裁決事例である。
逆名義預金とは、被相続人名義の預金だが実質的には被相続人以外の財産として被相続人の相続財産に含まれない預金のことである。
逆名義預金に関しても通常の名義預金と同様に、「原資、管理、利益、経緯、関係」の5つの観点から判断することとなる。

本件の場合には、
・当該被相続人名義預金は被相続人が開設し管理していること
・当該被相続人名義預金の7割の原資が被相続人であること
等から逆名義預金ではなく被相続人の実質保有財産と認定された。

令和6年8月29日 大阪国税不服審判所 非公開裁決事例

誰の名義?

被相続人名義(逆名義預金論点)

裁決事例要旨

請求人は、相続開始時に存在した被相続人名義の各預金(本件各預金)について、平成14年頃に請求人が被相続人から贈与(本件贈与)を受け、その場で直ちに被相続人に預けたものを、平成23年に被相続人から返還を受け、請求人の自宅で保管して管理及び運用していたものであるから、請求人に帰属する財産である旨主張する。しかしながら、本件各預金の原資は、被相続人名義の不動産の売却代金の一部を原資とする同人名義の定期預金であり、当該定期預金の残高は、平成5年以降一度も増えることなく、本件各預金に振り替えられているのであって、同人名義の不動産の売却代金以外が本件各預金の原資になる余地はない。また、他に本件贈与の原資となる資産や本件贈与財産が転化したとみられる資産のいずれも見当たらず、本件贈与があったとは認められることはできない。また、本件各預金は、被相続人名義であり、被相続人が原資を出捐し、口座開設した日から相続が開始するまで、被相続人が管理及び運用していたと認められることから、相続開始時において、被相続人に帰属する財産であると認められる。したがって、本件各預金は、請求人が相続によって取得した財産である。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

当該事例も前事例同様に逆名義預金の論点の裁決事例である。

納税者である被相続人の弟は、過去に被相続人から贈与を受けた現金を被相続人に預け、その後その被相続人名義の通帳等の返還を受け、納税者の自宅で保管して管理運用していたことから名義は被相続人だが実質的には納税者の財産である旨を主張していた。

これに対し、国税不服審判所は、当該被相続人名義預金の原資は被相続人であり、かつ、口座開設時から相続開始時まで被相続人が管理運用していたと認定した。
したがって、名義も被相続人だし、原資も管理運用も被相続人だから被相続人の相続財産を構成すると判断したのだ。

過去に贈与があったことを立証できなかったことから納税者が負けた事案である。
過去の贈与を客観的に立証するには贈与契約書、過去の通帳記録等の保管が重要となる。

令和6年11月21日 札幌国税不服審判所 非公開裁決事例

誰の名義?

兄名義

裁決事例要旨


請求人は、共同相続人である請求人の兄(本件兄)名義の預金(本件兄名義預金)の原資は、被相続人が本件兄へ贈与証書により贈与した被相続人が主宰する法人(本件法人)への貸付金(本件貸付金債権)のほか、被相続人の配偶者が本件兄へ贈与したものなどが含まれていることから、本件兄名義預金は本件兄に帰属する財産であり、被相続人に帰属する相続財産ではない旨主張する。しかしながら、本件法人の総勘定元帳の本件貸付金債権は、当該贈与証書に基づき記載されているものと認められるところ、本件貸付金債権を被相続人以外の者が本件兄に贈与した旨は記載されていない。また、本件兄は、被相続人とは疎遠で、本件貸付金債権、本件兄名義預金及び本件法人の存在を了知していないこと等からすると、本件兄名義預金の入金額の大部分は被相続人が出捐者であったと認められる。加えて、管理及び運用も被相続人がしていたこと等を総合考慮すると、本件兄名義預金は被相続人に帰属する相続財産と認められる。

結論

納税者の負け

相続専門税理士角田の所感

納税者は、本件兄名義の預金の原資は、
・過去に被相続人から兄へ贈与した同族会社への貸付債権の返済
・被相続人の配偶者から兄に対する贈与資金
であるため兄の原資であり、相続財産を構成しない旨を主張した。

これに対し、国税不服審判所は、同族会社の総勘定元帳等を調査し、本件貸付債権のことを兄は了知していなく、また、兄名義の預金についても名義人である兄自体が知らなかったと判断している。
さらに、当該兄名義預金の管理者が被相続人であったことから兄名義預金は被相続人の相続財産であると認定した。

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この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は350件。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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