タンス預金バレると資産半減?最大40%の罰金ペナルティ

- 税務署は「KSKシステム」で過去の収入と現在の資産のズレを完全に把握している。
- 2024年の新紙幣発行に伴う「タンス預金の入金・交換」が最大のバレるきっかけになる。
- ATMの出金履歴は、通帳を捨てても銀行に10年間データが残っているため隠せない。
- タンス預金がバレると、最大40%〜50%の「重加算税」というペナルティが課される。
- 金(ゴールド)に変えても、200万円以上の取引は「支払調書」で税務署に通知される。
「銀行に置いておくとマイナンバーで資産が把握されるから嫌だ」
「相続税を払いたくないから、現金を自宅で保管しておこう」
そう考えて、いわゆる「タンス預金」をしている方は、今すぐその考えを改めてください。
はっきり申し上げます。
令和の時代において、タンス預金を税務署に隠し通すことは限りなく「不可能」に近いのが現実です。
多くの方が、「家の中に隠しておけば、税務署員といえども見つけられないだろう」と高を括っています。
しかし、税務署がタンス預金を見つけるのは、家に乗り込んで金庫を開けた瞬間ではありません。
実は、「家に来る前」に、彼らはすでにあなたがタンス預金を持っていることを見抜いているのです。
今回は、なぜ鉄壁に思えるタンス預金がバレてしまうのか、プロしか知らない「税務署の情報収集ルート」と、隠していたことがバレた時の「恐ろしい末路」について、2025年の最新事情を交えて徹底解説します。
目次
資産隠しは全て筒抜け?恐怖の「KSKシステム」とは
税務署が個人の資産状況を把握するために使っている最強の武器、それが「KSK(国税総合管理)システム」です。これは一言で言えば、日本国民全員の『お金の成績表』のようなデータベースです。
これは、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、納税者の申告内容や納税実績を一元管理する巨大なデータベースです。
このシステムには、あなたの過去の収入、不動産の売買履歴、株式の配当、生命保険の満期金など、あらゆる「お金の入り口」の情報が蓄積されています。
年収と遺産額の「ズレ」がトリガーになる
KSKシステムが恐ろしいのは、『本来ならこれくらいお金を持っているはず』という金額を計算できる点です。
例えば、過去の確定申告データから「生涯で3億円稼いだ人」がいるとします。
生活費や税金などを差し引いても、手元に「1億円」は残っているはずです。
それなのに、相続税の申告書に記載された財産が「2,000万円」しかなかったら、どう思うでしょうか。
「消えた8,000万円はどこへ行った? タンス預金か、名義預金として隠しているな」
と、システムが自動的にアラートを出すわけです。
つまり、家に調査に来る時点で、税務署は「答え」をほぼ持っているのです。
これを「実地調査」で確認しに来るだけなのです。
なお、税務署がどのような基準で調査対象を選ぶのかについては、別の記事で詳しく解説しています。
詳しい解説は、相続税の税務調査に入られやすいケース8選とその対策を徹底解説!をご参照ください。
税務署が家にやってくる「意外な3つのルート」
「KSKシステム」による分析以外にも、タンス預金が露見する具体的なルートがあります。
特に注意が必要なのが、以下の3つのパターンです。
1. ATMの出金履歴と「不自然な生活費」
「通帳を捨ててしまえば、引き出した記録はわからない」
そう勘違いしている方が非常に多いですが、これは大きな間違いです。
銀行には過去10年分の取引データが保存されており、税務署には強力な「調査権限」があります。
税務署は、銀行に対して職権で取引履歴を開示させることができます。
特に注目されるのが、以下の動きです。
- 亡くなる直前の多額の引き出し(使途不明金)。
- 定期的に行われる50万円〜100万円単位の出金。
- 生活費としては不自然な高額出金。
例えば、年金暮らしの夫婦が、毎月30万円も生活費として引き出していたとします。
しかし、実際の生活水準が質素であれば、「毎月10万円はタンス預金として貯めているはずだ」と推測されます。
この「差額」が10年分あれば、それだけで1,200万円のタンス預金認定です。
亡くなる直前の預金引き出しについては、非常にリスクが高いため注意が必要です。
詳しい解説は、死亡前後に預金を引き出した場合の相続税申告と遺産分割をご参照ください。
2. 2024年「新紙幣発行」によるあぶり出し
2024年7月から新紙幣が発行されましたが、これがタンス預金をあぶり出す最大のきっかけになっています。
旧紙幣(福沢諭吉)を新紙幣(渋沢栄一)に交換しようとして、大量の現金を銀行に持ち込む人が急増しました。
あるいは、「旧札のままだと使い勝手が悪くなるかもしれない」と不安になり、一度口座に入金するケースです。
銀行の窓口で100万円を超える現金の入出金を行う場合、本人確認が必須となります。
また、200万円を超える大口の現金取引があった場合、金融機関によっては「疑わしい取引」として当局に報告する義務があります。
「ずっと隠していたタンス預金を、新紙幣に変えるために動かした瞬間」に、税務署に捕捉されるのです。
詳しい解説は、【2024年新札発行】タンス預金はどうなる?! 相続のときトラブルにをご参照ください。
3. 「金(ゴールド)」購入時の支払調書
現金は足がつくからといって、タンス預金を「金(ゴールド)の延べ棒」に変える方もいます。
しかし、これも税務署はお見通しです。
地金商や宝石店などで、1回あたり200万円を超える金・プラチナなどを購入した場合、店側は税務署に「支払調書」を提出する義務があります。
金地金等の譲渡の対価の支払をする者は、…(中略)…当該支払調書を、その支払の確定した日の属する月の翌月末日までに、当該支払をする者の事務所等の所在地を所轄する税務署長に提出しなければならない。
つまり、「誰が」「いつ」「いくら分の」金を買ったかという情報は、自動的に税務署へ通知されているのです。
相続発生時に、その金が申告されていなければ、「支払調書には購入記録があるのに、現物がない。隠しましたね?」と追及されることになります。
金(ゴールド)と相続税の関係の詳しい解説は、純金、金地金、金貨、金の延べ棒、純金積立の相続税評価を徹底解説をご参照ください。
タンス預金がバレた時の「恐ろしい末路」とペナルティ
「バレたら、その分の税金を払えばいいだけでしょ?」
そう軽く考えているなら、それは命取りになります。
タンス預金が見つかった場合、単なる申告漏れではなく、悪質な「仮装・隠蔽(かそう・いんぺい)」とみなされる可能性が極めて高いからです。
この場合、本来納めるべき税金に加えて、以下のような重いペナルティが課されます。
資産の半分が消える?「重加算税」の恐怖
意図的に財産を隠したと認定された場合には原則として35%(申告あり)または40%(無申告)の「重加算税※」が課されます。
※過去に無申告の指摘を受けたことがある場合などは、50%になることもあります。
さらに、納付が遅れたことによる「延滞税」も加算されます。
具体的な数字で見てみましょう。
| 本来の相続税 | 1,000万円 |
| 重加算税(40%) | +400万円 |
| 延滞税(年約3%等) | +数十万円 |
| 支払総額 | 約1,400万円以上 |
このように、隠したことがバレると、本来払う必要のなかった数百万円〜数千万円のお金が罰金として消えてなくなります。
「節税」のつもりが、結果的に「大増税」になってしまうのです。
相続税のペナルティについての詳しい解説は、相続税のペナルティ 加算税、延滞税の税率と計算方法 かからないケースもあり?!をご参照ください。
刑事罰の対象になる可能性も
金額が極めて高額で、隠蔽の手口が悪質だと判断された場合は、税務署の調査(任意調査)から、国税局査察部(マルサ)による強制調査に切り替わることがあります。
こうなると、脱税犯として検察庁に告発され、「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」という刑事罰を受けるリスクすらあります。
老後の安心のために貯めたタンス預金が、老後の人生そのものを破壊することになりかねません。
【Q&A】タンス預金に関するよくある質問
ここからは、私の元によく寄せられる、タンス預金に関する質問にお答えします。
Q. 貸金庫に現金を入れておけば、税務署に見つかりませんか?
A. ほぼ確実に見つかります。
相続が発生すると、税務署は金融機関に対して、亡くなった人やその家族が「貸金庫を契約しているかどうか」を必ず照会します。
貸金庫の開閉履歴もチェックされるため、「相続発生直後に貸金庫を開けた」という記録があれば、中身を隠したと疑われ、確実に調査対象になります。
なお、開閉記録は5年程度は銀行のデータとして残っているようです。
Q. 海外の口座にお金を移せばバレませんか?
A. 今はもう逃げられません。
CRS(共通報告基準)という制度により、世界の100カ国以上の国税当局が、お互いの非居住者の口座情報を自動的に交換しています。
日本の税務署は、あなたが海外に持っている口座の残高や利子の情報を、すでに把握していると考えてください。
海外資産隠しについては、重加算税の税率もさらに厳しく加重されています。
海外財産関連の記事については下記をご参照ください。
海外送金に税金はかかる?贈与税とお尋ね対応
海外に財産がある人必見!相続で発生する5つのリスクとデメリット
国外財産調書制度を徹底解説!提出義務から書き方まで完全ガイド
Q. タンス預金があることを申告したいのですが、どうすればいいですか?
A. 相続税の申告書に「手許現金(てもとげんきん)」として記載してください。
家に置いてある現金も、銀行預金と同じく立派な相続財産です。
正直に申告すれば、ペナルティは一切かかりません。
もし、すでに申告が終わった後にタンス預金が見つかった場合は、税務調査が来る前に、自主的に「修正申告」をしてください。
調査の通知が来る前に自主的に修正申告をすれば、本来かかるはずの『過少申告加算税』がかからなくなります。(※当初から無申告だった場合は扱いが異なります。)
なお、延滞税はかかります。
まとめ:タンス預金は「百害あって一利なし」
かつては、「現金商売で稼いだ金を床下に隠す」といった脱税が横行した時代もありました。
しかし、デジタル化が進み、マイナンバー制度が整備された現代において、お金の動きを完全に消すことは不可能です。
タンス預金には、以下のリスクしかありません。
- 災害・盗難リスク:火事や泥棒で失ったら戻ってこない。
- インフレリスク:現金の価値が目減りする。
- 税務調査リスク:バレた時の重加算税で資産が激減する。
- 精神的ストレス:「いつバレるか」と怯える日々。
特に2025年以降は、預貯金口座とマイナンバーの紐付けがさらに加速し、包囲網は狭まる一方です。
「うちは大丈夫だろうか?」
「親の家の片付けをしていたら、多額の現金が出てきた」
そのようにお悩みの方は、手遅れになる前に、相続専門の税理士にご相談ください。
適正に申告することが、結果としてペナルティを防ぎ、あなたの大切な資産を一番多く残す方法です。
『昔の現金のことで不安がある』という方は、税務署から連絡が来る前に、一度私たちにご相談ください。
秘密厳守で、最善の解決策を一緒に考えます。
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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。
また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。
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