FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)と相続|米国資産がある方の注意点

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国際相続

FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)と相続|米国資産がある方の注意点
10秒でわかる この記事の要約

  • FATCAとは米国納税義務者(米国市民・永住権保有者など)が保有する米国外口座の情報を、米国税務当局(IRS)が把握するための制度
  • アメリカはCRSに参加していないが、FATCAで同様の情報交換が行われている
  • 米国市民・グリーンカード保有者は世界中の所得に対して米国で納税義務がある
  • 相続でアメリカの財産を取得した場合、日本と米国の両方の税務に注意が必要

「父がアメリカに銀行口座を持っていました。FATCAというのは何ですか?」

アメリカに財産がある方の相続では、FATCA(ファトカ)という制度を理解しておく必要があります。

FATCAは、アメリカが世界中の金融機関から米国関連の口座情報を収集するための制度です。

日米の枠組みでは、日本の金融機関が米国人関連口座を特定し、IRSへ報告することが中心です。
必要に応じて、租税条約に基づく情報交換(要請)が行われる場合もあります。

この記事では、年間350件超の相続税申告を手がける相続専門税理士が、FATCAと相続の関係を詳しく解説します。

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FATCAとは

FATCAの概要

FATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座税務コンプライアンス法)とは、アメリカが2010年に制定した法律です。

米国外の金融機関に対して、米国納税義務者の口座情報をIRS(米国内国歳入庁)に報告することを義務付けています。

この法律は、海外に口座を持つ米国市民やグリーンカード保有者の脱税を防止するために制定されました。

FATCAの目的

FATCAの主な目的
・米国市民・グリーンカード保有者の海外資産の把握
・海外金融口座を利用した脱税の防止
・国際的な税務コンプライアンスの強化
・米国の税収確保

FATCAの仕組み

FATCAは、世界中の金融機関にアメリカへの情報報告を義務付けています。

報告の流れ
①日本の金融機関が口座開設時に米国関連性を確認

②米国市民、グリーンカード保有者、米国居住者の口座を特定

③日本の金融機関がIRSへ報告

④条約に基づく情報交換(要請)で補完される

CRSとの違い

項目 FATCA CRS
制定者 アメリカ(単独) OECD(多国間)
目的 米国納税義務者の把握 各国の非居住者の把握
情報の流れ 各国→アメリカ(基本) 参加国間で双方向
対象口座 米国関連の口座 非居住者の口座
アメリカの参加 ○(運営主体) ×(不参加)

アメリカはCRSに参加していませんが、FATCAを通じて同様の情報交換を行っています。
CRSの詳しい解説は、CRS(共通報告基準)と相続|海外資産は税務署に把握される?【税理士解説】をご参照ください。

日米間の情報交換

日米租税条約に基づく情報交換

日本とアメリカは租税条約を締結しており、これに基づいてFATCAに関する情報交換協定を結んでいます。

この協定により、以下の情報交換が行われています。

日本→アメリカ
・日本の金融機関にある米国関連口座の情報

アメリカ→日本
・アメリカの金融機関にある日本居住者の口座情報

日米間では、FATCAの枠組みとは別に、租税条約に基づく情報交換(要請)が行われることがあります。

報告される情報

項目 内容
口座保有者情報 氏名、住所、納税者番号
口座情報 口座番号、金融機関名、口座残高
収入情報 利子、配当、その他の収入

FATCAと相続の関係

日本居住者がアメリカの財産を相続した場合

日本に住んでいる方がアメリカの財産(銀行口座、証券、不動産等)を相続した場合、以下の点に注意が必要です。

日本の税務
・相続税の申告対象(全世界の財産が対象)
・申告漏れは、租税条約に基づく情報交換(要請)や、送金・契約書類等から把握される可能性大
・国外財産調書の提出義務(5,000万円超の場合)

アメリカの税務
・遺産税(Estate Tax)の対象となる場合あり
・プロベート手続きが必要な場合あり

米国市民・グリーンカード保有者が被相続人の場合

米国市民や永住権保有者は、住む国にかかわらず、原則として世界中の所得について米国で申告・納税義務が生じます。

このような方が亡くなった場合、米国での申告義務が生じる可能性があります。

米国での申告義務
・遺産税申告書(Form 706)の提出が必要な場合あり
・未申告の所得税がある場合は、最終申告(Final Return)が必要
・FBAR(外国銀行口座報告)の提出義務

アメリカの相続については、アメリカの相続手続きと遺産税【税理士が完全ガイド】をご参照ください。

相続人がグリーンカード保有者の場合

相続人がグリーンカード保有者の場合、相続で取得した財産についてもアメリカでの申告義務が生じる可能性があります。

グリーンカード保有者は、世界中の所得・財産についてアメリカで申告する義務があるためです。

日本と米国の二重課税

二重課税の問題

アメリカの財産を相続した場合、以下のように二重課税が発生する可能性があります。

・アメリカ:遺産税(Estate Tax)
・日本:相続税

外国税額控除による調整

日本の相続税法では、外国で課税された税額を一定の範囲で控除できます(外国税額控除)。

これにより、二重課税を調整できます。

ただし、控除できる金額には上限があり、完全に相殺されるとは限りません。

外国税額控除については、相続税の外国税額控除をわかりやすく徹底解説をご参照ください。

FATCAに関するQ&A

Q1:日本人がアメリカに口座を持っている場合、FATCAで報告されますか?

A:ケースによります。 FATCAは原則として、米国納税義務者(米国市民・永住権保有者など)に関する口座情報を対象とする制度です。日本人でも米国納税義務者に該当する場合は対象になり得ます。

日米租税条約に基づく情報交換協定により、アメリカの金融機関が持つ日本居住者の口座情報は、日本の国税庁に提供される可能性があります。

Q2:アメリカの相続財産を日本に送金しなければ申告不要ですか?

A:送金の有無にかかわらず、日本での相続税申告が必要です。

日本の相続税は「取得した財産」に対して課税されます。

財産を取得した時点で申告義務が生じ、日本への送金は関係ありません。

Q3:被相続人が米国市民だった場合、日本の相続税はどうなりますか?

A:日本の相続税の課税範囲は、相続人・被相続人それぞれの住所や国籍などで変わります。日本に住所がある場合は、原則として国外財産も含めて課税対象になり得ます。

被相続人の国籍ではなく、相続人の住所と国籍によって納税義務が判定されます。

詳しくは、国際相続における相続税の納税義務の判定を徹底解説!をご参照ください。

Q4:米国の遺産税と日本の相続税の二重課税はどう調整されますか?

A:外国税額控除で調整されます。

アメリカで遺産税を納付した場合、その金額を日本の相続税から控除できます。

ただし、控除額には上限があります。

Q5:アメリカの金融機関の口座残高がいくら以上だと報告されますか?

A:いくら以上という基準はなく、口座の種類・新規/既存で扱いが異なります。

たとえば既存口座は、一定額以下(例:$50,000以下等)はレビュー・識別・報告の対象外とできる扱いがあります。

まとめ

この記事のポイント

  • FATCAはアメリカの海外金融口座情報報告制度
  • アメリカの口座情報は日本の税務署にも共有される
  • アメリカはCRS不参加だが、FATCAで同様の情報交換を実施
  • 相続でアメリカの財産を取得した場合、正直に申告することが重要
  • 米国市民・グリーンカード保有者は特別な注意が必要

アメリカに財産がある方の相続は、FATCAによる情報共有を理解した上で、正しく申告することが重要です。

「バレないだろう」という考えは、もう通用しません。

当事務所では年間350件超の相続税申告を行っており、米国関連の相続の実績も豊富です。

「アメリカに財産があるが、どう申告すればいいか分からない」
「FATCAの影響が心配」

そのようなお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

初回面談は無料です。

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この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属 
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は350件。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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