外国人配偶者の相続|1.6億円まで非課税にする方法
・外国人配偶者も日本の相続税の納税義務者となる
・日本に住所がある配偶者は原則として無制限納税義務者(全世界財産課税)となる
・配偶者の税額軽減(1.6億円まで非課税)は国籍問わず適用可能
・外国人でも日本で印鑑登録できるため、未登録など印鑑証明が用意できない場合に署名証明を使うことがある
・在留資格(ビザ)の更新に相続手続きが影響する場合がある
「妻は外国人ですが、私の相続財産を受け取れますか?相続税はどうなりますか?」
外国人配偶者も、日本人配偶者と同様に相続人となれます。
しかし、国籍の違いにより、手続き面でいくつか注意点があります。
今回は、外国人配偶者がいる場合の相続について、相続税、手続き、在留資格への影響まで詳しく解説します。
目次
外国人配偶者の相続権
配偶者は常に相続人
日本民法上、配偶者は常に相続人となります(民法890条)。
これは配偶者の国籍に関係なく適用されます。
外国人配偶者も、日本人配偶者と同じく法定相続人として財産を取得できます。
法定相続分
外国人配偶者の法定相続分は、日本人配偶者と同じです。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の法定相続分 |
| 配偶者と子 | 2分の1 |
| 配偶者と直系尊属 | 3分の2 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 4分の3 |
| 配偶者のみ | 全部 |
法定相続人については「相続が発生したら誰が「相続人」なの?」をご覧ください。
外国人配偶者の相続税
納税義務者の判定
相続税の納税義務の判定は、被相続人・相続人の「住所」と、相続人の国籍や被相続人の区分(外国人被相続人等)を組み合わせて判定します。
日本に住所がある外国人配偶者は、原則として無制限納税義務者として取得財産の国内外を問わず課税対象になります(例外は被相続人が日本人でない場合)。
納税義務の判定については「国際相続における相続税の納税義務の判定を徹底解説!」をご参照ください。
配偶者の税額軽減
配偶者の税額軽減は、外国人配偶者にも適用されます。
配偶者が取得した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額までは、相続税がかかりません。
詳しくは「1億6千万円まで相続税がかからない!配偶者の税額軽減(配偶者控除)を解説」をご覧ください。
その他の控除・特例
以下の控除・特例も、外国人配偶者に適用されます。
・基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)
・小規模宅地等の特例(要件を満たす場合)
・生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)
相続手続きの注意点
戸籍がない問題
外国人は日本の戸籍に記載されません。
相続手続きにおいて、外国人配偶者の身分関係を証明するには、以下の書類が必要です。
・婚姻届受理証明書(日本で婚姻した場合)
・外国の婚姻証明書(外国で婚姻した場合)+日本語訳
・住民票(外国人も記載される)
・在留カードの写し
印鑑証明書の取扱い
外国人も日本で印鑑登録をすることができます(市区町村による)。
ただし、印鑑登録をしていない場合は、署名証明書(サイン証明)を利用します。
署名証明書は、公証役場または在日外国大使館で取得できます。
署名証明書の取得方法
方法1:日本の公証役場
公証人の面前で署名し、その署名が本人のものであることを証明してもらいます。
方法2:本国の大使館・領事館
在日大使館で本国の署名証明書を取得します(国によって対応が異なります)。
在留資格(ビザ)への影響
「日本人の配偶者等」の在留資格
日本人配偶者が亡くなった場合、外国人配偶者の在留資格に影響が生じる可能性があります。
死別しても直ちに在留資格が消えるわけではありませんが、届出や在留資格変更の検討が必要になります。
・「定住者」への変更(日本での生活実績がある場合)
・「永住者」への変更(要件を満たす場合)
・他の就労ビザへの変更(就労している場合)
変更申請の期限
配偶者死亡後、14日以内に入国管理局に届出が必要です。
また、正当な理由なく「配偶者としての活動」を6か月以上行わないと在留資格取消しの対象となり得るため、早めに変更申請等を検討します。
相続手続きと並行して、在留資格の変更も進めることになります。
永住申請への影響
相続で得た資産は生計要件の判断材料になり得ますが、永住許可は就労状況や納税状況など総合判断です。
国籍と準拠法の問題
被相続人が日本人の場合
被相続人(亡くなった方)が日本人であれば、日本民法が適用されます。
外国人配偶者の本国法は関係ありません。
被相続人が外国人の場合
被相続人が外国人の場合、その本国法が相続の準拠法となります。
外国人が亡くなった場合については「外国人が亡くなった場合の相続税申告」をご参照ください。
夫婦財産制の問題
一部の国では、婚姻中に取得した財産は夫婦の共有財産とされます(コミュニティプロパティ制度)。
この場合、相続財産の範囲の判定が複雑になることがあります。
「【夫婦財産制】コミュニティプロパティと別産制の相続税、贈与税」も参考にしてください。
実務上のポイント
言語の問題
外国人配偶者が日本語を十分に理解できない場合、相続手続きの説明や書類の理解に困難が生じます。
税理士や司法書士が英語等で対応できるか、事前に確認しましょう。
本国の相続手続き
外国人配偶者の本国に財産がある場合、本国での相続手続きも必要になることがあります。
また、本国で相続税がかかる場合は、外国税額控除の適用を検討します。
遺言書の作成
外国人配偶者がいる場合、遺言書を作成しておくことを強くお勧めします。
遺言書があれば、相続人の確定や遺産分割がスムーズに進みます。
遺言書については「遺言を書いて争族回避!遺言書の作成方法、効力等をわかりやすく徹底解説!」をご覧ください。
よくある質問
Q1. 外国人配偶者は小規模宅地等の特例を使えますか?
はい、要件を満たせば適用可能です。被相続人と同居していた配偶者であれば、「特定居住用宅地等」として自宅の土地を80%減額できます。国籍は要件ではありません。「【2026年最新】小規模宅地等の特例とは?」をご覧ください。
Q2. 外国人配偶者の相続税は、本国でも課税されますか?
本国の税制によります。多くの国は「居住地課税」であり、日本に居住している外国人には本国で相続税が課されないことが多いです。ただし、本国に財産がある場合は本国での課税が生じる可能性があります。
Q3. 日本人夫が亡くなり、外国人妻と子(日本国籍)がいます。遺産分割はどうなりますか?
日本民法に従い、外国人妻と子が相続人となります。法定相続分は妻2分の1、子2分の1です。遺産分割協議により、この割合と異なる分割も可能です。
Q4. 外国人配偶者が不動産を相続しましたが、名義変更できますか?
はい、可能です。外国人でも日本の不動産を所有できます。相続登記の際は、住民票と在留カードの写し、遺産分割協議書(印鑑証明書または署名証明書付き)などが必要です。
Q5. 配偶者が永住権を持っていますが、日本国籍を取得した方がよいですか?
相続税の観点からは、永住権と日本国籍で大きな違いはありません。どちらも無制限納税義務者となり、配偶者の税額軽減も適用されます。国籍取得は、相続以外の要素(選挙権、パスポート、本国の国籍喪失など)を考慮して判断してください。
まとめ:外国人配偶者の相続は早めの準備を
外国人配偶者がいる場合の相続は、手続き面で特有の注意点があります。
□ 外国人配偶者も相続人として財産を取得できる
□ 日本居住の外国人配偶者は相続税の納税義務あり
□ 配偶者の税額軽減は国籍問わず適用可能
□ 戸籍がないため、婚姻証明書等で身分関係を証明
□ 印鑑証明書がなければ署名証明書を使用
□ 「日本人の配偶者等」のビザは変更が必要
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