確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の死亡一時金を受け取る手続き|受給順位・期限・必要書類
10秒でわかる この記事の要約
- 「親がiDeCo(イデコ)をやっていた」「勤務先の企業型DC(確定拠出年金)があったらしい」——。加入者が亡くなり、その制度内に個人別管理資産が残っている場合、資産は死亡一時金として遺族に支給されます。ただし、受け取り方は預貯金や通常の相続とは大きく異なります。
- 大きな特徴は3つです。1つは、受け取れる人(受給者)の範囲と順位が、民法の相続順位・相続分とは異なること(確定拠出年金法41条)。2つ目は、指定受取人や法定の遺族が受け取る死亡一時金は、受給者固有の権利で、遺産分割の対象と区別されること。3つ目は、死亡から5年間、裁定請求がないと、死亡一時金ではなく相続財産へ切り替わることです。
- さらに、税金の扱いは、支給されるべき額がいつ確定したか(死亡後3年以内なら相続税、3年経過後なら一時所得)で変わります。「法律上の5年(裁定請求の有無)」と「税務上の3年(支給額の確定時期)」は基準の違う別の話なので、分けて理解することが大切です。
- 本記事では、死亡一時金の対象者、指定受取人と法定受給順位、5年経過後の相続財産化、iDeCoと企業型DCの請求手続きの違い、必要書類までを、相続手続きを専門に扱う行政書士が整理します(相続税の評価・申告は税理士、受給資格の裁定は運営管理機関、争いは弁護士と連携します)。
まず「制度・資産の有無・受取人・経過期間」を切り分ける
| 最初に確認する事項 | 確認する内容 |
|---|---|
| 加入していた制度 | iDeCo(個人型)か企業型DCか。請求先・裁定機関が異なる |
| 個人別管理資産の有無 | 既に全額を受け取り済みで資産が残っていなければ死亡一時金はない |
| 受取人指定の有無 | 指定があればその人が受給。運営管理機関への登録状況を確認 |
| 受給順位(指定なし) | 配偶者→生計を維持していた遺族→…(民法の相続順位・相続分とは異なる) |
| 死亡からの経過期間 | 税務は「支給額の確定時期」、法律は「5年以内の裁定請求の有無」で扱いが変わる |
| 手続きの段階(iDeCo) | 死亡の届出と死亡一時金の裁定請求は別。裁定請求まで進んだか |
「iDeCoや企業型DCがあるはずだが、どこへ、いつまでに請求すればいいのか」「誰が受け取れるのか」——。
確定拠出年金の死亡一時金は、受け取れる人の順位も、請求の期限も、税金の扱いも、通常の預貯金の相続とは異なります。とくにiDeCoでは、死亡の届出と死亡一時金の裁定請求が別の手続きで、放置すると相続財産扱いへ切り替わるため、まず加入先を確認して期限内に裁定請求まで進めることが大切です。
なお、受給資格・受給順位・生計維持関係の最終審査と裁定は記録関連運営管理機関(RK)等が行い、相続税・所得税の評価や申告は税理士、事実婚や生計維持・受給権の帰属に争いがある場合は弁護士の領域です。行政書士は、争いがない範囲で、戸籍等の収集・受給順位や生計維持関係を確認するための資料整理・運営管理機関所定の請求書類の作成/提出準備を担い、これらの手続きを支援します。
死亡一時金の対象者と、受取人の指定
確定拠出年金には、勤務先が制度を用意する企業型DCと、自分で加入するiDeCo(個人型)があります(制度の全体像は厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」もご参照ください)。
死亡一時金が問題になるのは「個人別管理資産が残っている」場合
死亡一時金は、企業型DCの加入者または加入者であった人(その制度内に個人別管理資産が残っている人)が亡くなったときに、その遺族へ支給されます。iDeCoでは、加入者・運用指図者・自動移換者が対象になります。一方、既に全額を一時金で受け取り済みで個人別管理資産が残っていない場合は、死亡一時金はありません。老齢給付金を受給中だった場合は、死亡時に残っている個人別管理資産や年金商品の取扱いを、記録関連運営管理機関へ確認してください。
受取人として指定できる範囲は限られている
確定拠出年金では、加入者が生前に死亡一時金の受取人を指定できますが、指定できるのは配偶者(事実婚を含む)・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の中からに限られます。その他の親族や友人などを自由に指定できる制度ではありません。
また、受取人の指定は、記録関連運営管理機関等へ表示・登録する必要があります(実務上の届出窓口が運営管理機関となる場合があります)。遺言書や家族宛てのメモだけでは、確定拠出年金法上の受取人指定に代わらない可能性があるため、登録状況を記録関連運営管理機関等へ確認してください。指定がある場合はその人が受給者になり、指定がない場合は、次の見出しの法律で定めた順位で受給者が決まります。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
誰が受け取れるか|指定受取人と法定受給順位(民法と異なる)
受取人の指定がない場合、死亡一時金を受けられる遺族の範囲と順位は、確定拠出年金法41条で次のように定められています。民法の法定相続人の順位や相続分とは異なります。
| 順位 | 受給できる者(確定拠出年金法41条) |
|---|---|
| 指定受取人 | 配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の中から生前に指定され、記録関連運営管理機関等へ表示・登録された者 |
| 第1順位 | 配偶者(届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む) |
| 第2順位 | 死亡当時、主として収入で生計を維持していた ①子→②父母→③孫→④祖父母→⑤兄弟姉妹(①〜⑤の順) |
| 第3順位 | 上記以外で、死亡当時、主として収入で生計を維持していた親族 |
| 第4順位 | 生計を維持していなかった ①子→②父母→③孫→④祖父母→⑤兄弟姉妹(①〜⑤の順) |
押さえておきたい注記
- 父母は「養父母、実父母」の順、祖父母にも法律上の内部順位があります。
- 同順位者が複数いる場合に限り、その人数で等分して支給されます。
- 子と父母は同順位ではありません(第2順位・第4順位の中で子が父母より先)。
- 「生計を維持していたか」で順位が大きく変わり、単なる同居だけで生計維持と決まるわけではありません。
- 生計維持関係の最終的な審査はRK等が行います。
「配偶者と子で法定相続分どおりに分ける」という民法のイメージのまま考えると、実際の受給者とずれることがあります。まず指定受取人の有無を確認し、指定がなければ生計維持の関係を整理することが出発点です。相続人の範囲そのものの調べ方は相続の戸籍収集の記事もご覧ください。
iDeCo・企業型DCの死亡一時金を、加入先・受給順位・裁定請求の段取りから、税理士・弁護士と連携して支えます。
東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズが、確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の死亡一時金を含む相続手続きについて、加入先・記録関連運営管理機関・指定受取人の登録・法定受給順位・生計維持関係・死亡日からの経過期間を確認し、死亡一時金としての裁定請求か、5年経過後の相続財産手続かを整理します。初回相談では、死亡日が分かる戸籍・死亡診断書/iDeCo・企業型DCの残高通知/運営管理機関・RKからの郵便物/受取人指定の通知・控え/iDeCo掛金払込証明書/旧勤務先・企業型DCの制度資料/自動移換通知/扶養・送金・生活費負担の資料/相続税申告書の控えをご用意いただくとスムーズです(受給資格の審査・裁定・支給は運営管理機関等が行います。相続税の評価・申告は税理士、受給者間の争いは弁護士と連携。全国オンライン相談・郵送に対応)。初回相談無料。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
死亡一時金の固有受給権と、相続財産になる場合
受給者固有の権利で、原則は遺産分割の対象外
確定拠出年金法が受給者を直接定めているため、指定受取人または同法上の遺族が取得する死亡一時金請求権は、受給者固有の権利として、原則、遺産分割の対象ではありません。受給者が自分の権利として受け取るもので、他の相続人と分け合う遺産とは区別されます(一般の死亡退職金は、勤務先の規程などによって遺産となる場合もあり、確定拠出年金の死亡一時金と一律に同視はできません)。
「遺族がいない」「5年請求なし」なら相続財産へ切り替わる
ただし、次の場合は、個人別管理資産額に相当する金銭が、死亡者の相続財産として扱われます。
- 死亡一時金を受けられる遺族が最初からいない場合(41条4項)
- 死亡後5年間、死亡一時金の裁定請求がない場合(41条5項。遺族がないものとみなされ、4項が適用されます)
この場合は、死亡一時金としての法定受給順位ではなく、民法上の相続人・遺産分割に基づく請求へ切り替わります。つまり、5年の経過は「権利が消えてなくなる」のではなく、受け取りの枠組みが死亡一時金から相続財産へ移るということです。相続財産へ切り替わった後に、遺産分割を済ませてから判明した場合の進め方は遺産分割後に財産が見つかった場合の記事もご覧ください。
供託について
iDeCo公式では、相続財産の扱いとなった後もさらに請求がない場合に、法務局へ供託されることがあると案内されています。企業型DCについては、供託を含む取扱いを規約・資産管理機関・RKへ確認してください。いずれにしても、放置すると手続きが煩雑になり税務の区分も変わるため、早めに運営管理機関へ連絡することをおすすめします。
「法律上の5年」と「税務上の3年」は別|2つの表で整理
確定拠出年金の死亡一時金では、法律上の5年(受け取りの枠組み)と、税務上の3年(税金の区分)という、性格の違う2つの期間が出てきます。混同しないよう表で分けて整理します。
① 法律上の扱い(受け取りの枠組み)
| 状況 | 法律上の扱い |
|---|---|
| 指定受取人・法定遺族がいて、5年以内に裁定請求 | 死亡一時金として手続を進める |
| 法定遺族が最初からいない | 個人別管理資産額に相当する金銭が相続財産とみなされる(41条4項) |
| 5年間、裁定請求がない | 遺族はないものとみなされ、相続財産へ切り替わる(41条5項) |
| 5年以内に裁定請求したが、裁定・支払が5年経過後 | 原則として死亡一時金の請求手続が継続する(相続財産へは切り替わらない) |
② 税務上の扱い(税金の区分)
税金の区分は、実際の支払日ではなく「支給されるべき額が確定した日」を基準に判断します。死亡一時金は、死亡後3年以内に支給額が確定すれば退職手当金等のみなし相続財産として相続税の対象になり、3年を経過して確定すれば受け取った人の一時所得となります(相続税の課税対象になる死亡退職金の考え方は国税庁No.4117「相続税の課税対象になる死亡退職金」を参照)。
| 支給されるべき額の確定時期・状況 | 税務上の基本的な扱い(詳細は税理士へ) |
|---|---|
| 死亡後3年以内に死亡一時金の支給額が確定 | 退職手当金等のみなし相続財産として相続税の対象 |
| 死亡後3年経過後に死亡一時金の支給額が確定 | 受け取った人の一時所得(所得税) |
| 死亡後5年間裁定請求がなく、相続財産へ切替え | 死亡一時金ではなく相続財産。具体的な評価・申告方法は個別に確認 |
非課税枠は「民法上の相続人」に限られ、按分される
死亡後3年以内に支給額が確定し、退職手当金等のみなし相続財産となる場合、民法上の相続人が取得した部分には、500万円×法定相続人の数を限度とする非課税規定があります(相続税法12条)。ただし、次の点に注意が必要です。
- 複数の相続人が死亡一時金を取得する場合、非課税限度額は、各相続人が取得した課税対象の退職手当金等の額に応じて按分します。一人ずつが500万円×法定相続人の数を使えるわけではありません。
- 民法上の相続人でない事実婚配偶者などが受け取った分には、非課税枠は使えません。
- 相続放棄をした人が受け取った分にも、非課税枠は使えません。
- 一方、非課税枠を計算する「法定相続人の数」は、相続放棄者も放棄がなかったものとして数えます。
- 受給者が配偶者・一親等の血族(子・父母)以外の場合、相続税額の2割加算の対象になる可能性があります(相続税法18条・国税庁No.4157「相続税額の2割加算」)。
みなし相続財産や死亡退職金の相続税の考え方、支給時期の判断は税理士の領域です。支給の時期が分かる書類を税理士へ共有してください(相続税の申告期限は、自己のために相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です)。死亡退職金の相続税は関連解説(税理士法人トゥモローズ)「死亡退職金に相続税がかかる?」で解説されています。
iDeCo・企業型DCの請求手続き(二段階)と請求先の違い
請求先や裁定・支給を行う機関は、iDeCoか企業型DCかで異なります。とくにiDeCoは、死亡の届出と死亡一時金の裁定請求が二段階になっている点に注意します。
| 区分 | iDeCo加入者・運用指図者 | iDeCo自動移換者 | 企業型DC |
|---|---|---|---|
| 最初の連絡先 | 運営管理機関 | 運営管理機関・自動移換者窓口 | 勤務先DC担当・企業型RK |
| 死亡届 | K-014を運営管理機関へ | K-014ではなくK-017による裁定請求 | 規約・RK所定書類 |
| 裁定請求 | 死亡一時金裁定請求書をRKへ | K-017を提出 | 企業型RK等へ |
| 裁定 | 記録関連運営管理機関(RK) | 特定運営管理機関 | 企業型RK等 |
| 支払手続 | 記録関連運営管理機関(RK) | 特定運営管理機関 | 資産管理機関 |
iDeCoは「死亡届」と「裁定請求」の二段階
iDeCoの加入者・運用指図者が亡くなった場合は、次の二段階で進めます。
- 選択していた運営管理機関へ「加入者等死亡届(K-014)」を提出する
- 別途、記録関連運営管理機関(RK)へ「死亡一時金裁定請求書」を提出する
なお、既にiDeCoから離れて自動移換者になっている場合は、K-017を使用し、特定運営管理機関が支払手続を行う別ルートになります。
企業型DCは勤務先・企業型RKへ
企業型DCは、まず勤務先のDC担当部署または企業型記録関連運営管理機関へ連絡します。企業型記録関連運営管理機関等が受給資格を裁定し、資産管理機関が裁定に基づいて死亡一時金を支給します。
退職後に亡くなった場合は、資産がどこにあるかを確認します。①旧勤務先の企業型DCに残っている、②iDeCoへ移換済み、③転職先の企業型DCへ移換済み、④手続きをしないまま国民年金基金連合会へ自動移換済み、のいずれかを確認してください。
必要書類・生計維持の資料と、加入の調べ方
必要書類は「戸籍だけ」で受給資格が決まるわけではない
受給者は生計維持の関係などで判断されるため、戸籍だけで受給資格が決まるわけではありません。一般に、次のような資料を求められます(RKの運用により異なります)。
- 死亡の事実を示す戸籍(除籍)・死亡診断書など
- 受給者と死亡者との関係を示す戸籍
- 指定受取人の登録を確認する資料
- 事実婚関係を示す資料(住民票の続柄など)
- 健康保険・税務上の扶養を示す資料
- 送金・生活費の負担などを示す資料
- 受給者の本人確認書類・振込先口座
- RK所定の死亡一時金裁定請求書
必要資料と受給資格の最終的な判断は、記録関連運営管理機関等が行います。行政書士は、争いがない範囲で、これらの資料整理と請求書類の準備を支援します。
加入の調べ方:控除額だけでは制度を特定できない
「年末調整・確定申告で小規模企業共済等掛金控除があったからiDeCoまたは企業型DCに加入している」とは限りません。この控除には、小規模企業共済、企業型DCの加入者掛金・iDeCoの掛金、一定の心身障害者扶養共済の掛金が含まれるため(国税庁No.1135「小規模企業共済等掛金控除」)、控除額だけでは加入している制度を特定できません。次の資料で確認します。
- 確定申告書第二表の「保険料等の種類」の記載
- iDeCoの小規模企業共済等掛金払込証明書
- 源泉徴収票の社会保険料等の金額欄の内書き
- 年金資産の残高通知
- 運営管理機関・RKからの郵便物
- 旧勤務先の企業型DCの案内
- 自動移換の通知
なお、企業型DCで事業主掛金だけの場合は、本人の所得控除の資料には現れません。勤務先や記録関連運営管理機関への照会もあわせて検討します。財産全体の調べ方は相続財産の調べ方の記事もご覧ください。
専門家の役割分担と、他の給付・相続手続きとの関係
確定拠出年金の死亡一時金は、受給資格の裁定は運営管理機関、税務は税理士、争いは弁護士と、関わる専門家が分かれます。役割を整理しておくと、手続きがスムーズです。
- 受給資格・受給順位・生計維持関係の最終審査と裁定・支給:記録関連運営管理機関(RK)等・資産管理機関
- 事実婚・生計維持・受給権の帰属に争いがある場合:弁護士
- みなし相続財産の評価・相続税・所得税・修正申告:税理士
- 戸籍収集・相続関係資料の整理・請求書類の作成/提出準備:行政書士
行政書士は書類準備と照会の面から支援し、死亡一時金の受給や資金の回収を保証するものではありません。
亡くなった方に、退職金や共済など他の給付がある場合は小規模企業共済の死亡時の請求の記事、相続放棄を検討する場合は相続放棄は3か月以内の記事もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続放棄をしても、死亡一時金を受け取れますか?
A. 指定受取人または確定拠出年金法上の遺族として死亡一時金を取得する場合は、通常の相続財産とは別の受給者固有の権利であるため、相続放棄をしても、それとは別に受け取れる可能性があります。ただし、税務上は注意が必要です。相続放棄をした人が受け取った死亡退職金等には、原則として500万円×法定相続人の数の非課税枠を適用できません。また、死亡後5年を過ぎて相続財産へ切り替わった後の請求は、受給者固有の権利ではなく相続財産としての扱いになるため、放棄をしていると受け取れません。請求の前に、運営管理機関・弁護士・税理士へ確認してください。
Q2. 事実婚の配偶者や、民法上の相続人でない人が受け取ると税金はどうなりますか?
A. 確定拠出年金法では、事実上婚姻関係と同様の事情にあった配偶者も第1順位の遺族に含まれるため、死亡一時金そのものは受け取れます。ただし相続税では扱いが異なります。500万円×法定相続人の数の非課税枠は、民法上の相続人が取得した部分にしか使えないため、事実婚の配偶者が受け取った分には非課税枠が適用されません。さらに、受け取った人が配偶者・一親等の血族(子・父母)以外にあたる場合は、相続税額が2割加算される可能性があります。誰がいくら受け取り、非課税枠や2割加算がどう適用されるかは税理士が判断します。
Q3. 金融機関に死亡を連絡すれば、iDeCoの手続きは完了しますか?
A. 完了とは限りません。iDeCoの手続きは二段階になっており、運営管理機関へ加入者等死亡届(K-014)を出すだけでは、死亡一時金の受け取りは終わりません。別途、記録関連運営管理機関(RK)へ死亡一時金裁定請求書を提出し、裁定を受ける必要があります。死亡の届出だけで安心してしまい、裁定請求をしないまま5年が過ぎると、死亡一時金ではなく相続財産としての扱いへ切り替わってしまいます。死亡連絡のあとは、裁定請求書の提出まで進んだか、受付状況をRKに確認してください。自動移換者の場合は、K-017を使い、特定運営管理機関が支払手続を行う別のルートになります。
Q4. 親がiDeCoや企業型DCに入っていたか分かりません。どう調べますか?
A. 手がかりを集めて照会します。iDeCoの掛金は、本人名義口座からの振替のほか、事業主が給与天引きで払い込む形や、月別に金額を指定する年単位拠出などがあり、毎月の口座引落しがないだけで未加入とは判断できません。掛金の払込証明書、年金資産の残高通知、加入した金融機関や記録関連運営管理機関からの郵便物を確認します。確定申告の小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済や心身障害者扶養共済の掛金も含むため、控除があるだけでは確定拠出年金と断定できません(確定申告書第二表の種類の記載で確認します)。企業型DCは、事業主掛金だけの場合は本人の所得控除の資料に現れないため、勤務先や記録関連運営管理機関への照会が必要です。特定できたら相続人として運営管理機関へ連絡します。
Q5. 5年以内に裁定請求しましたが、支給額の確定が5年を過ぎた場合はどうなりますか?
A. 確定拠出年金法上の5年は、裁定請求が行われたかを基準とします。5年以内に裁定請求をしていれば、支給額の確定や支払が5年経過後になっただけで、直ちに相続財産へ切り替わるわけではありません。死亡一時金としての請求手続がそのまま続きます。一方、税務上は、支給されるべき額が死亡後3年を経過して確定しているため、受け取った人の一時所得となる可能性があります。このように、法律上の5年(裁定請求の有無)と税務上の3年(支給額の確定時期)は基準が異なるため、記録関連運営管理機関と税理士へ個別に確認してください。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
まとめ
確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の加入者が亡くなり、個人別管理資産が残っている場合、資産は死亡一時金として遺族に支給されます。受け取り方には、通常の預貯金の相続と異なる注意点があります。
まず、受け取れる人の順位が民法の相続順位・相続分とは異なり(確定拠出年金法41条)、指定受取人があればその人、なければ配偶者→生計を維持していた遺族→…の順で決まります。指定受取人・法定遺族が受け取る死亡一時金は受給者固有の権利で遺産分割の対象外ですが、遺族が最初からいない、または5年間裁定請求がない場合は、相続財産へ切り替わります(権利が消えるわけではありません)。
税務上は、死亡一時金の支給されるべき額が死亡後3年以内に確定すれば相続税(みなし相続財産)、3年経過後に確定すれば受取人の一時所得となります(非課税枠は民法上の相続人の取得分のみで、複数取得者は按分。事実婚配偶者や相続放棄者の取得分には枠がなく、配偶者・一親等の血族以外は2割加算の可能性)。一方、法律上は死亡後5年間に裁定請求をしなかった場合に、死亡一時金ではなく相続財産へ切り替わります(3年と5年は基準が異なります)。
手続きは、iDeCoは死亡届(K-014)と裁定請求の二段階、企業型DCは勤務先・企業型RKの裁定と資産管理機関の支給に分かれます。受給資格の裁定はRK等、評価・申告は税理士、争いは弁護士の領域で、行政書士は戸籍収集・相続関係資料の整理・請求書類の準備を、争いのない範囲で支えます。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の死亡一時金を含む相続手続きについて、戸籍等の収集・受給順位や生計維持関係を確認するための資料整理・運営管理機関所定の請求書類の作成/提出準備を、相続人からの委任と各運営管理機関の取扱いに応じて支援します。死亡一時金の相続税評価・申告は税理士法人トゥモローズと連携して対応します。
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本記事は、確定拠出年金の死亡一時金の請求手続きを、相続を専門に扱う行政書士の実務目線でまとめたものです。死亡退職金等のみなし相続財産・非課税枠・2割加算、支給時期による所得税、申告後に判明した場合の修正申告など税務の観点については、税理士法人トゥモローズが公開している以下の記事もあわせてご確認ください(具体的な計算・申告は税理士へ)。
根拠法令・公的資料
- 確定拠出年金法40条(死亡一時金の支給要件。資産管理機関が企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づき支給)
- 確定拠出年金法41条1項〜5項(遺族の範囲・順位、指定受取人、同順位者は等分、遺族なし・5年請求なしは相続財産とみなす)・42条(欠格)
- 確定拠出年金法73条・73条の2(個人型iDeCo・連合会移換者への準用)
- 相続税法3条1項2号(退職手当金等のみなし相続財産)・12条(非課税枠500万円×法定相続人数。相続人の取得分に限る)・18条(相続税額の2割加算)
- 相続税基本通達3-30・3-31(退職手当金等の課税時期)、所得税基本通達34-2(死亡後3年経過後の一時所得)
- 参考:iDeCo(個人型確定拠出年金)公式「死亡一時金」、厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」、国税庁No.4117(死亡退職金)・No.4157(2割加算)・No.1135(小規模企業共済等掛金控除)
