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入院費・施設費は誰が払うのか|身寄りがないときのお金の出どころと備え

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おひとりさま終活

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 「入院するとき、保証人がいない」というご相談は多いのですが、その裏にある本当の心配はお金のことです。
  • はじめに整理しておくと、入院費・施設費の支払義務があるのは契約した本人です。親族であるというだけで家族に支払義務は生じませんが、連帯債務者や保証人として署名すれば別です。
  • 個人が将来の不特定の債務をまとめて保証する場合は個人根保証契約にあたり、民法第465条の2第2項により極度額を定めなければ効力を生じません
  • 窓口の負担は、マイナ保険証か限度額適用認定証で保険診療の自己負担分について上限額まで抑えられます。食費や差額ベッド代は対象外です。
  • 払えなくなったときには、生活保護の医療扶助(生活保護法15条)や市町村の措置(老人福祉法11条)といった公的な仕組みがあります。
  • 本記事では、お金の出どころを順番に整理し、元気なうちにやっておけることをまとめます。

「保証人がいないと入院できないのでしょうか」

おひとりさまのご相談で、いちばん最初に出てくる質問です。

多くの場合、本当に心配されているのは保証人そのものではありません。

お金を誰が払うのか、払えなくなったらどうなるのか、という点です。

保証人の立て方については別の記事にまとめました(身元保証人がいない場合の対処法身元保証サービスの選び方)。

本記事はお金の出どころに絞って、条文と制度で順番に確認します。


支払義務があるのは、本人です

最初に、いちばん大事な前提です。

入院費も施設費も、契約したご本人が払うものです。

親族であるというだけで、家族に当然の支払義務が生じるわけではありません。

ただし、契約書にどの立場で署名したかで結論は変わります。

連帯債務者、保証人、連帯保証人として有効な契約を結べば、その契約に応じた責任を負います。

「家族だから払う」のではなく、署名した立場で決まると考えてください。

民法第446条第1項は、保証人は主たる債務者がその債務を履行しないときにその履行をする責任を負う、と定めています。

つまり、本人が払わなかったときに肩代わりする立場です。

そして民法第446条第2項は、保証契約は書面でしなければその効力を生じないとしています。

同条第3項により、内容を記録した電磁的記録によってされたときも書面によったものとみなされます。

口頭で「何かあったらお願いね」と頼まれただけでは、保証にはなりません。

もうひとつ、「保証人」と「連帯保証人」では重さが違います。

民法第452条は、債権者が保証人に請求したときは、保証人はまず主たる債務者に催告すべき旨を請求できるとしています(催告の抗弁)。

民法第453条は、主たる債務者に弁済する資力があり執行が容易であることを証明したときは、債権者はまず主たる債務者の財産について執行しなければならないとしています(検索の抗弁)。

ところが民法第454条です。

「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。」

つまり連帯保証人には、この2つの抗弁がありません。

本人へ請求する前に、いきなり自分へ請求が来ることがあります。

契約書が「保証人」なのか「連帯保証人」なのかも、確かめてください。

ここを取り違えたまま、書類の保証人欄に署名してしまう方が多くいます。

署名する側も、頼む側も、何を引き受けたのかを確かめてください。

病院や施設が求める役割は、実際には次のように分かれています。

求められる役割中身
支払いの保証本人が払えないときに代わって支払う。保証契約が必要
緊急時の連絡先容体が変わったときに連絡がつく人。支払義務とは別
退院・退所先の調整退院後の生活場所の調整、荷物の引取りなど。支払義務とは別
亡くなった後の対応遺体や遺品の引き取り。死後事務委任契約で手当てできる

病院や施設によっては、この4つを「身元保証人」「身元引受人」という1つの欄で求めることがあります。

分けて考えれば、それぞれに手当てができます。


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施設費を個人がまとめて保証する場合、極度額がなければ効力を生じない

ここは、意外と知られていません。

施設の入居契約で個人が保証人になる場合、月々の利用料、医療費、原状回復費用など、将来発生する不特定の債務をまとめて保証することになります。

こうした保証を、民法は個人根保証契約と呼びます。

ただし、保証人欄がすべて個人根保証にあたるわけではありません。

すでに金額が確定した一回限りの債務を保証するだけなら、通常の保証です。

民法第465条の2第1項は、個人根保証契約の保証人は極度額を限度として履行の責任を負うとしています。

そして民法第465条の2第2項です。

「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」

つまり、上限額の記載がない連帯保証は効力を生じません。

契約書の保証人欄に「極度額 金○○円」と書かれているか、確認してください。

極度額の記載は、青天井かどうかではなく、保証契約が有効か無効かの分かれ目です。

頼む側にとっても、上限が明示されていれば頼みやすくなります。

極度額が書かれている場合も、保証の対象になる費用、保証期間、更新、解約、保証人への請求の順番までを確かめてください。

なお、保証人が法人の場合、この極度額の規定は適用されません。

民間の身元保証会社や当法人のような法人が保証する場合は、契約書で保証の範囲を確認することになります(身元保証サービスの選び方)。

そして、保証人を立てられないことを理由にした入院拒否について。

厚生労働省は、身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関が入院を拒否することは医師法第19条第1項の応招義務に反する、という通知を出しています。

断られたときは、この通知を示して相談してください。


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保険診療の窓口負担は、医療機関ごとに上限まで抑えられる

支払いの心配は、実額を下げることでかなり小さくなります。

使うのは高額療養費制度です。

医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が上限額を超えた場合に、超えた分が支給される仕組みです。

ただし、あとから返ってくるのを待つ必要はありません。

厚生労働省は、マイナ保険証を提示するか、事前に限度額適用認定証を入手すれば、月ごとの上限額を超える分を窓口で支払う必要はなくなるとしています(平成24年4月から)。

上限額は年齢と所得によって変わります。

ただし、窓口で効くのは医療機関等ごとです。

同じ月に複数の医療機関や薬局を使った場合、それぞれの窓口で自動的に合算はされません。

複数の医療機関等の自己負担を合算して上限を超えた分は、後日の支給になります。

しかも、その支給には診療報酬明細書の確認が必要で、診療月から3か月以上かかるとされています。

つまり、一時的に立て替える場面は残ります。

ただし、抑えられるのは保険診療の自己負担分だけです。

厚生労働省は、入院時の食費負担や差額ベッド代等は高額療養費制度での自己負担限度額の対象に含まないとしています。

施設の家賃や管理費も、この制度では抑えられません。

「上限までで済む」と考えて資金計画を立てると、足りなくなります。

なお、令和8年8月から制度が見直されています。

月ごとの上限額が見直されたほか、年間の上限額が新たに導入され、月ごとの自己負担額が積み上がっても年間の上限に達した後は保険者から還付を受けられるようになりました(年間とは8月から翌年7月までを指します)。

ご自身の所得区分は、加入先の保険者へ確認してください。

入院が決まったら、まずここを整えてください。

そのうえで、次の3つを確認しておくと段取りが崩れません。

  • 年金や配当の入金口座と、引落しの口座が同じか
  • 入院中に口座から支払う手段があるか(自動振替・代理人の届出)
  • 公共料金やサブスクの引落しが止まらないか

2つ目は見落とされます。

お金があっても、動かせなければ支払えません。

判断能力があるうちなら、銀行の代理人の届出という選択肢があります(銀行の代理人カードは認知症対策になるのか)。

医療と介護は別の制度です。施設費は次のセクションで分けて見ます。


施設費は、介護保険部分と食費・居住費を分けて考える

施設から届く請求書を、ひとまとめに「施設費」と考えないでください。

中身によって、使える制度が違います。

費用負担を軽くする制度注意する点
介護保険サービスの自己負担高額介護サービス費所得区分ごとの月額上限を超えた分が支給される。申請が必要
介護保険施設の食費・居住費特定入所者介護サービス費所得や資産等が一定以下の方が対象。負担限度額認定を受ける
医療と介護の自己負担の合計高額医療・高額介護合算同じ医療保険の世帯で、年額の限度額を500円以上超えた分が支給される
民間施設の家賃・管理費・保険外サービス入居契約による公的な一律の上限はない

1行目でよくある誤解があります。

高額介護サービス費の対象は、介護保険サービスの利用者負担額です。

厚生労働省の案内では、その合計額を計算するときに福祉用具購入費や食費・居住費等の一部は除くとされています。

つまり、施設に払う金額すべてがこの上限で収まるわけではありません。

2行目が、食費・居住費の受け皿です。

介護保険施設に入所する方で所得や資産等が一定以下であれば、負担限度額を超えた居住費と食費が介護保険から支給されます。

受けるには負担限度額認定の手続きが要ります。

申請しなければ始まりません。

3行目は、医療と介護の両方で負担が重なる場合です。

同じ医療保険の世帯内で、年額の限度額を500円以上超えたときに支給されます。

入院と施設利用が同じ年に重なった方は、必ず確認してください。

そして4行目です。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の家賃、管理費、保険外のサービス費には、公的な一律の上限がありません。

資金計画で読み違えるのは、たいていここです。

入居前に、月額のうちどこまでが介護保険で、どこからが契約かを分けて示してもらってください(老人ホーム入居時の身元保証)。


費用と生活の維持が難しくなったときに相談する公的制度

貯えが尽きる可能性は、誰にでもあります。

そのための公的な仕組みが用意されています。

1つ目が生活保護の医療扶助です。

生活保護法第15条は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対し、診察、薬剤又は治療材料、医学的処置・手術その他の治療、病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、移送などの範囲内で行われるとしています。

医療扶助は、生活扶助を受けていなくても単独で受けられる場合があります。

ただし、生活保護は原則として世帯を単位に、収入・資産・扶養・他の公的給付などを踏まえて判断されます。

使える資産があれば、まずそれを使うよう求められるのが原則です。

また、すでに積み上がった未払いを、さかのぼって穴埋めする制度ではありません。

「貯金があるから無理」と自己判断しないでほしいのと同時に、払えなくなりそうだと分かった段階で相談してください。

2つ目が、生活保護の介護扶助です。

生活保護法第15条の2は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要介護者等に対し、居宅介護、福祉用具、住宅改修、施設介護、介護予防、移送などの範囲内で行われるとしています。

医療費だけでなく、介護サービス費の支払いが難しいときも相談先は同じです。

ただし、有料老人ホームの家賃や保険外のサービスまで一律に支給される制度ではありません。

3つ目が、市町村の措置です。

老人福祉法第11条第1項第1号は、環境上の理由および経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な65歳以上の者について、市町村が養護老人ホームに入所させ、または入所を委託する措置を採らなければならないとしています。

契約ではなく行政の措置なので、保証人を立てられないことが理由で入れないという仕組みではありません。

ここは、民間施設の入居契約とは筋道が違います。

ただし、払えない人が自動的に使える制度ではありません。

要件を満たしたうえで、市町村が必要と判断した場合の措置です。

費用も無料とは限りません。

老人福祉法第28条第1項は、措置に要する費用について、市町村長が措置に係る者またはその扶養義務者から、その負担能力に応じて全部または一部を徴収することができるとしています。

窓口は、お住まいの市区町村の高齢福祉担当か地域包括支援センターです。

状況相談先
医療費が払えない病院の医療ソーシャルワーカー、福祉事務所
在宅での生活が難しい地域包括支援センター、市区町村の高齢福祉担当
お金の管理が不安になってきた社会福祉協議会(日常生活自立支援事業)、任意後見の検討

早く相談したほうが、選べる手が多く残ります。

滞納が積み上がってからでは、施設側も動きにくくなります。


亡くなった後の未払いは、誰が払うのか

ここからが、おひとりさま特有の論点です。

亡くなった時点で残っている入院費・施設費は、相続債務になります。

相続税の計算では債務控除の対象になり得ます(関連解説(税理士法人トゥモローズ)「【相続税申告】債務控除をわかりやすく徹底解説」)。

相続人がいれば、相続人が承継します。

民法第899条は、各共同相続人はその相続分に応じて被相続人の権利義務を承継すると定めています。

つまり、相続人が複数なら、原則として相続分に応じて分かれます。

相続人の間で「長男が全部払う」と決めても、それだけで病院や施設を拘束できるとは限りません。

連帯保証人がいる場合は、相続とは別に保証契約に基づく請求を受けることもあります。

ここは、相続放棄との関係で誤解が起きやすいところです。

家庭裁判所で相続放棄をすれば、被相続人の未払費用を相続債務として承継しません。

ただし、その方自身が生前に連帯保証人として契約していた場合は別です。

相続放棄で消えるのは被相続人から承継する債務であって、自分が保証契約で負った債務は残ります

「放棄したから関係ない」と考えて放置すると、後から請求が来ます。

では、相続人がいない場合はどうなるか。

残された財産から支払うことになりますが、そのためには財産を動かせる人が必要です。

誰もいなければ、家庭裁判所に相続財産清算人を選任してもらうところから始まります(相続財産清算人とは)。

時間も費用もかかり、その間、施設は請求先を失ったままになります。

この空白を埋めるのが死後事務委任契約です。

生前に受任者を決めておけば、亡くなった後の支払いや精算を任せられます(死後事務委任契約とは)。

ただし、契約を結べばお金が出てくるわけではありません。

死後事務委任契約が定めるのは、精算という事務を行う権限と義務です。

受任者は、契約に書いていない限り、自分の財産から無制限に立て替える立場ではありません。

しかも、亡くなった後は本人名義の預金の通常の払戻しが止まります。

そのため、契約のときに支払いに使うお金をどう用意するかを別に決めておく必要があります。

  • 未払費用・葬儀費用などの見込額
  • お金をどう確保するか(あらかじめ預ける/立替えて後で精算する)
  • 預ける場合の金額、管理方法、他の資金と分けて管理されているか
  • 立て替える場合の上限額と精算の方法
  • 遺言執行者や相続人との役割分担
  • 使わなかったお金の返還先
  • 報告の頻度と、領収書の保存

ここを詰めていない契約は、いざというときに動きません。

なお、死後事務の受任者と相続財産清算人は別の立場です。

受任者は、契約と確保された原資の範囲で精算の事務を行う人です。

相続財産清算人は、家庭裁判所に選ばれて相続財産全体を清算し、債権者への支払いなどを行う立場です。

受任者は、相続財産のすべてを扱えるわけではありません。

契約に書かれた事務が、その範囲です。

葬祭についても、公的な受け皿があります。

生活保護法第18条第1項は葬祭扶助として、検案、死体の運搬、火葬又は埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものを挙げています。

生活保護法第18条第2項第1号は、被保護者が死亡した場合においてその葬祭を行う扶養義務者がないときを対象としています。

老人福祉法第11条第2項も、措置で入所していた方が亡くなり葬祭を行う者がないときは、市町村が葬祭を行い、または委託できるとしています。

さらに、墓地、埋葬等に関する法律第9条第1項です。

「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」

つまり、この要件を満たす場合には、市町村が最低限必要な火葬・埋葬を行います。

ただし、それは「希望どおりに送られる」という意味ではありません。

どこに納骨するか、誰に知らせるか、何を残すかは決められません。

そこを自分で決めておきたいなら、生前の契約が要ります。


元気なうちにやっておくこと

ここまでを踏まえて、順番に整理します。

やること効き方
マイナ保険証の利用登録、または限度額適用認定証の準備窓口で払う額をその月の上限までに抑えられる
入院・入居の費用を1年分試算しておくいつまで自分の財産で持つかが分かる
支払いに使う口座を決め、自動振替と代理人の届出を整える動けなくなったときに追いやすく、止まりにくい
連絡先・かかりつけ医・服薬を1枚にまとめる緊急時に本人以外でも動ける
死後事務委任契約で、精算と葬祭の担い手を決める亡くなった後の未払いと段取りが止まらない
財産の行き先を遺言で決める精算の原資と、残った分の行き先がつながる

なお、持ち家がある方は、施設費の原資として自宅をどうするかも同じタイミングで決めてください。判断能力が残っているうちなら自分で選べますが、成年後見人が居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要になります(施設に入るとき、自宅をどうするか)。

下の2つは、セットで考えてください。

死後事務委任だけを結んでも、支払いに使えるお金の手当てが要ります。

遺言だけを書いても、亡くなった直後の支払いには間に合いません。

どの契約をどう組み合わせるかは、おひとりさまの終活契約にまとめました。

費用の目安はおひとりさま終活の費用相場をご覧ください。

私見ですが、この類型でいちばん効くのは1つ目です。

手続きとしては地味ですが、窓口で払う額が変わります。

入院が決まってからでも間に合うので、まずここから確かめてください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 入院中に、自分で銀行へ行けなくなったらどうなりますか?

A. 口座にお金があっても、動かせなければ支払えません。判断能力があるうちは、金融機関へ代理人の届出をしておく方法があります。取扱いは金融機関ごとに違い、申込みできる時期や代理人の範囲に条件があるため、元気なうちに窓口で確認してください。判断能力が落ちた後は、すでに任意後見契約を結んでいれば、家庭裁判所へ任意後見監督人の選任を申し立てて契約を発効させます。任意後見契約を結んでおらず、新たに契約内容を理解することも難しい状態であれば、法定後見を検討することになります。いずれも時間がかかります。入院してから慌てないよう、定期的な支払いに使う口座を決め、残高・自動振替・代理人の届出を整理しておくことも有効です。

Q2. 保証人を引き受けた親族は、どこまで払うことになりますか?

A. 書面による保証契約を結んだ範囲です。施設の入居契約のように金額が決まっていない債務を保証する場合は個人根保証契約にあたり、民法第465条の2第2項により極度額を定めなければ効力を生じません。契約書に上限額の記載があるかを必ず確認してください。なお、保証人が法人である場合は、この極度額の規定は適用されません。

Q3. 貯金があると、生活保護の医療扶助は受けられませんか?

A. 資産や収入の状況で判断されるため、一律には決まりません。医療扶助は生活扶助を受けていなくても単独で受けられる場合があり、自己判断で諦めてしまうのはもったいない場面です。まずは病院の医療ソーシャルワーカーか、お住まいの福祉事務所へご相談ください。なお、当法人では生活保護の申請代理や不服申立てを受任対象としていません。不服申立てについて専門的な代理が必要な場合は、弁護士等へご相談ください。

Q4. 死後事務委任契約を結べば、施設への未払いも払ってもらえますか?

A. 精算の事務を委任していれば、受任者が契約と確保された原資の範囲で対応できます。ただし、受任者が自分のお金で未払費用を負担するわけではありません。支払いに使えるお金をどう確保しておくかは別に決めておく必要があります。あらかじめ預けておく方法、亡くなった後に払い戻せる仕組みを用意する方法などがあり、預けたお金の管理方法は受任者によって差があります。契約前に、金額・管理方法・報告の仕方を書面で確認してください。


おひとりさま終活サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。

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まとめ

入院費・施設費の支払義務があるのは、契約したご本人です。

親族であるというだけで、家族に当然の支払義務が生じるわけではありません。

ただし、連帯債務者や保証人として署名すれば、その契約に応じた責任を負います。

個人が将来の不特定の債務をまとめて保証する場合は個人根保証契約にあたり、民法第465条の2第2項により極度額を定めなければ効力を生じません。

極度額の記載は、保証契約が有効か無効かの分かれ目です。

窓口で払う額は、マイナ保険証か限度額適用認定証で、保険診療の自己負担分について上限まで抑えられます。

入院時の食費や差額ベッド代、施設の家賃は対象外です。

同じ月に複数の医療機関を使った分は窓口で合算されず、後日の支給になります。

施設費は、介護保険サービスの自己負担(高額介護サービス費)、食費・居住費(特定入所者介護サービス費)、医療と介護の合計(高額医療・高額介護合算)に分けて確認してください。

民間施設の家賃・管理費には、公的な一律の上限がありません。

払えなくなったときの相談先として、生活保護の医療扶助・介護扶助や市町村の措置があります。

いずれも要件があり、措置に要する費用は負担能力に応じて徴収されることがあります。

亡くなった後に残った未払いは相続債務になり、共同相続人がいれば原則として相続分に応じて承継します(民法899条)。

相続人がいなければ、相続財産清算人の選任から始めることになります。

その空白を埋めるのが、死後事務委任契約です。

ただし、契約が定めるのは精算という事務で、支払いに使うお金は別に用意が要ります。

墓地、埋葬等に関する法律第9条の要件を満たす場合には、死亡地の市町村が最低限必要な火葬・埋葬を行いますが、納骨先も、知らせる相手も、そこでは決められません。

決めておきたいことがあるなら、元気なうちの契約が要ります。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、おひとりさまの死後事務委任契約・任意後見契約・遺言の設計をお手伝いしています。


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根拠法令・公的資料

  • 民法第446条第1項(保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う)・第2項(保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない)
  • 民法第465条の2第1項(個人根保証契約の保証人は、極度額を限度として履行をする責任を負う)・第2項(個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない)
  • 生活保護法第15条(医療扶助。診察/薬剤又は治療材料/医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術/居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護/病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護/移送)
  • 生活保護法第18条第1項(葬祭扶助。検案/死体の運搬/火葬又は埋葬/納骨その他葬祭のために必要なもの)・第2項第1号(被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき)
  • 老人福祉法第11条第1項第1号(環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な65歳以上の者を養護老人ホームに入所させ、又は入所を委託する措置)・第2項(措置で入所した者が死亡し、葬祭を行う者がないときの市町村による葬祭)
  • 墓地、埋葬等に関する法律第9条第1項(死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない)
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」※マイナ保険証の提示又は限度額適用認定証により、月ごとの上限額を超える分を窓口で支払う必要がなくなる(平成24年4月から)。当法人確認日 2026年8月23日
  • 民法第899条(各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する)
  • 民法第452条(催告の抗弁)・第453条(検索の抗弁)・第454条(保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない)
  • 民法第446条第3項(保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなす)
  • 生活保護法第15条の2(介護扶助。居宅介護/福祉用具/住宅改修/施設介護/介護予防/介護予防福祉用具/介護予防住宅改修/介護予防・日常生活支援/移送)
  • 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」※高額介護サービス費は月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く)の合計が所得区分ごとの上限を超えた場合に支給。特定入所者介護サービス費は所得や資産等が一定以下の方の居住費・食費が対象で負担限度額認定が必要。高額医療・高額介護合算は同じ医療保険の世帯で年額の限度額を500円以上超えた場合。当法人確認日 2026年8月27日
  • ※高額療養費は、同じ月に複数の医療機関等を利用した場合、窓口では合算されず、合算して上限を超えた分は後日の支給になる(診療報酬明細書の確認が必要なため診療月から3か月以上かかる)。当法人確認日 2026年8月27日
  • 老人福祉法第28条第1項(措置に要する費用について、市町村長は措置に係る者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じて全部又は一部を徴収することができる)
  • 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット」※入院時の食費負担や差額ベッド代等は高額療養費制度での自己負担限度額の対象に含まない。当法人確認日 2026年8月27日
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」※令和8年8月から月ごとの上限額を見直し、年間(8月から翌年7月まで)の上限額を導入。年間の上限に達した後は保険者から還付を受けられる。当法人確認日 2026年8月27日
  • ※相続税の債務控除・申告は税理士の業務です。生活保護については福祉事務所が窓口で、当法人では申請代理・不服申立てを受任対象としていません

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。