【小規模宅地の特例】特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し【平成31年度改正】

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小規模宅地の特例

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この記事の執筆者:大塚 英司

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。


平成31年税制改正大綱において、個人事業者の事業承継を促進する目的で相続税・贈与税の納税猶予の新制度が創設されました。この新たな納税猶予制度については、事業用の宅地と事業用の建物、減価償却資産について、税額の猶予をするほか、相続税のみならず生前贈与にも適用可能とする制度です。

この制度は、昨年の非上場株式の事業承継税制に続き、大綱の中でも書かれているとおり納税猶予割合を100%とするなどかなり思い切った内容となっています。一方で、個人資産の内に占める土地の割合は高いものがあり、過度な節税とならないためにも相続税における「特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の減額の特例」との選択適用となっています。
これに伴い、特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例については、事業承継の支援という制度主旨を徹底し制度の濫用を防止するという観点から、その対象となる宅地の範囲を制限することとされます。

※追記:
小規模宅地等の特例について、基本的な情報をわかりやすくまとめた記事を新たに作成いたしましたので、ぜひご覧ください。
>>小規模宅地等の特例をわかりやすく解説。相続した土地にかかる相続税を最大80%減額

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1.従前制度の内容

「特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の減額の特例」とは、相続又は遺贈により取得した土地の内、被相続人等(※1)が亡くなる直前に事業(※2)の用に供していた宅地等で一定の要件を満たしている宅地等については、一定の相続人が取得した場合には、その宅地等の相続税評価額を400㎡まで80%OFFできるという非常に大きな減額の特例です。
従前までの特定事業用宅地等の範囲は、あくまで「相続開始の直前において、被相続人等の事業の用に供されていた宅地」と規定されているのみであり、事業供用が認められさえすれば適用ができていました。

(※1)被相続人等とは、被相続人のほか、被相続人と生計を一にしていた親族が含まれます。「生計を一」の意味は、生計一親族とは? サザエさん一家で確認!をご参照ください。
(※2)不動産貸付業や駐車場業など貸付事業を除きます

2.改正の内容

特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等が除かれることとなります。
これは、昨年の平成30年税制改正の中の「貸付事業用宅地等」の改正にならい、節税目的の駆け込み的な適用など、『相続人等による事業継続を守る』という本来の小規模宅地等の減額特例の趣旨から逸脱した適用を防止するための改正となっています。
要するに、亡くなる直前の入院などのタイミングで個人の遊休地等を無理くりに事業用に転用する様なケースが防止されるわけです。

なお、範囲から除く対象として、以下のケースが除かれています(つまり、下記に該当した場合には、従前どおり小規模の適用ができます)。

宅地等の相続税評価額 × 15% ≦ 宅地等の上で事業供用されている減価償却資産の価額

小規模宅地等の減額の特例だけを切り抜いてみたときには、特定事業用宅地等の範囲が狭まったため、一見したら納税者不利な改正内容となっていますが、税制全体からみたときには、「個人事業者の事業承継税制」との有利適用となっているわけですから、一概に不利とは言切れない改正となっています。
被相続人が個人事業を行っているような場合には、今後は生前から「特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の減額の特例」と「個人事業者の事業承継税制」の検討を行っておくべきでしょう。

3.適用時期

平成31年(2019年)4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税から適用が開始されます。
ただし、適用除外として、同日前から事業の用に供されている宅地等については、適用がされません。

■関連記事:
>>不動産(土地・建物)にかかる相続税と手続・評価方法のわかりやすい解説

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