【電子マネーは相続可能】手続き~相続税評価方法をわかりやすく解説

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この記事の執筆者:中村 貴敏

都内の税理士法人でベンチャー企業・医療法人・年商200億円規模の法人などを担当。真の相続専門税理士法人としてお客様の相続が最善のものとなるように努めます。

 

電子マネーは相続できる手続き評価方法を簡単解説

こんにちは。相続専門の税理士法人トゥモローズです。

「電子マネーってそもそも相続財産なのかな・・・?」
「電子マネーを持っていたかどうかってどうすればわかるんだろう・・・?」
「電子マネーの相続って何をどうすれば、ちゃんと相続できるのかわからない・・」

あなたは今こんな悩みを抱えていないでしょうか?

結論として、PayPay等の電子マネーは“相続財産”として扱います。

そして電子マネーの残高は現金と同様と考え電子マネーの残高1円=現金1円として相続税申告書に計上する必要があります。

うっかり相続財産から漏らしてしまうと、税務調査で追徴課税されてしまうかも・・・

そこで本日は電子マネーの相続で必要な知識・アクションをわかりやすくまとめました。

この記事を読めば、誰でもきっちりと電子マネーの相続が完了できるので、ぜひ最後までお読みいただきお役立てください。

なお、相続税申告でお急ぎの方はお電話、またはLINEにてお問い合わせいただけます。

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1.被相続人の電子マネーは相続の対象になり、相続税がかかります

被相続人(亡くなった方)が持っていた電子マネーは相続の対象になり、相続人(配偶者や子どもなど)が取得することになります。

また電子マネーは相続税の課税対象なので、相続すると相続税が課税されます。

 

2.相続できる電子マネーは事前チャージ型のものだけです

電子マネーをその支払い方法によって分類すると次の3つに分けられます。

前払い型(ex.Suica,WAON,〇〇Pay(事前にチャージする場合)、Amazonギフト券)
即時払い型(デビットカード)
後払い型(ex.QUICPay・iD・〇〇Pay(後払いする場合))
 

このうち相続財産になるのは現金を前払い(事前チャージ)するタイプの電子マネーだけです。

即時払いの電子マネーや後払いの電子マネーには財産価値はありませんから、相続財産にはなりません。

前払い型・即時払い型・後払い型(出典:経済産業省 キャッシュレス関連用語集を参考に筆者が加工して作成)

 

以下、代表的な電子マネーと相続が出来るか否かについてまとめました。
(〇=相続できる、×=相続できない)

カテゴリ
電子マネー
相続
参考ページ(外部リンク)
交通系
Suica
交通系
PASMO
小売系
nanaco
×
小売系
WAON
楽天edy
バーコード
QRコード
PayPay
バーコード
QRコード
LINE Pay
バーコード
QRコード
楽天ペイ
(楽天キャッシュ)
バーコード
QRコード
メルペイ
バーコード
QRコード
d払い
不明
バーコード
QRコード
au Pay
不明
バーコード
QRコード
ファミペイ
×
ギフトカード
Amazonギフト券
問い合わせで確認。HP上に記載なし。

(2022年8月時点)

 

nanacoやファミペイのように明確に「相続できない」と規約に書かれているものもあれば、d払いやauPayのように取扱いが不明確なものもあります。

ただしそれまで残高を相続できないこととしていたPayPayが2021年1月に利用規約を改訂してPayPay残高を相続できるものとしたことから考えると、今後各社の利用規約の改訂によって相続できる電子マネーが増える可能性があります。

※後払い型の電子マネーは相続できませんが、相続開始日時点において未払いとなっているものがある場合は相続税の計算上、債務控除の対象になります。
 
債務控除についてはこちらの記事を御覧ください。
【相続税申告】債務控除をわかりやすく徹底解説

3.被相続人が持っていた電子マネーに何があったか把握する方法

被相続人が持っていた電子マネーを調べる方法について解説します。

■スマホから調べる場合

●スマホのアプリを検索してみましょう

・スマホのアプリ検索画面から「ウォレット」「〇〇ペイ」などと検索してみましょう

 

例えばiPhoneで「ウォレット」と検索すると・・・ウォレット

スマホ内にある電子マネーが出てきます。ウォレット一覧

残高もここで確認できます。ウォレット残高WAONウォレット残高PASMO

・「ぺい」と検索するとQRコード決済アプリが探せます。

○○ペイ

(「ぺい」と検索してメルカリが出てくるのはメルカリアプリ内にある「メルペイ」に反応しているためです。)

残高もここで確認できます。楽天キャッシュ残高

●iPhoneの場合はアプリ一覧から「ファイナンス」カテゴリのアプリを見てみましょう

この中に電子マネーのアプリが入っています。

ファイナンス

(電子マネー以外にもネット銀行やネット証券のアプリも入っているので、これらも確認し相続財産に漏れがないようにしましょう)

 

●マネーフォワード(MoneyForwardME)から探してみましょう

マネーフォワードには預金口座や証券口座、電子マネーなどが紐づけられていることがあるので、マネーフォワードがあればその中身も確認しましょう。

マネーフォワードを開くと・・・マネーフォワード

紐付けられている電子マネーが出てきます。

nanaco残高

(※ここではたまたまnanacoの例をあげていますが、nanacoのチャージ残高は相続できません。

■銀行口座やクレジットカードの取引明細から調べる場合

・銀行口座やクレジットカードのアプリから取引明細を開き、下図のようなチャージの形跡があれば被相続人が電子マネーを持っていたことがわかります。

チャージ明細取引明細が紙で郵送される場合はそちらを確認しましょう。

 

■その他の調べ方

●PCが開ける場合はメールの履歴を確認しましょう

多くの電子マネーはアプリ登録時にメールアドレスの確認メールが送られるはずです。
検索機能を使って電子マネー登録時のメールがないか調べてみましょう。

●ウェアラブル端末を確認してみましょう

アップルウォッチ、Fitbit、Garmin、Sony wenaなどいくつかのウェアラブル端末はSuicaに対応しています。
もしSuica等が設定されていればこちらから確認できます。

●Amazonを利用していた場合はAmazonのHPまたはAmazonアプリを確認しましょう

Amazonを利用していた場合にはAmazonギフト券に残高がある場合があります。
Amazonギフト券も相続の対象ですので忘れないようにしましょう。

●被相続人の財布・定期入れ・スマホケース・カバンの外ポケットに交通系ICカードが無いか調べましょう。

ICカードの電子マネーの場合は、財布・定期入れ・スマホケース・カバンの外ポケット等を中心に、ICカードを使う時に取り出しやすそうな場所を探してみましょう。

 

4.電子マネーを相続するための具体的な手続きの流れと注意点

以下に、「Suica・PASMO」、利用者が多いであろう「Amazonギフト券」、「その他」に分けて手続き方法を記載します。

実は電子マネーはその相続手続きが明確に記載されているものがほとんどありません。(2022年8月時点)
相続に関するQ&Aページも多くはありません。
このことから、電子マネーの相続に関する問い合わせはかなり少ないことが予想できます。 

■Suica・PASMOの場合

Step1:次の書類を郵送する
①会員本人の死亡を証明する書類(死亡診断書・死亡届記載事項証明書など)
②返金を受けようとする方の本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)

Step2:申請フォームによる申請を行う。

定期券を購入している場合はそちらの払戻しも忘れずに行いましょう。

■Amazonギフト券の場合

Amazonギフト券の相続手続きについてはHP上に記載はありませんでしたが、問い合わせたところご回答を頂きました。

被相続人のAmazonギフト券は換金されずに相続人のAmazonアカウントに引き継がれるようです。

以下、手順を記載します。

Step1:親族からAmazonに相続があった旨の連絡をする

Step2:Amazonから必要書類等の案内が来る

Step3:以下の必要書類・情報を送る
①死亡の事実と相続人が確認できる戸籍謄本の”画像”
②相続人がAmazonギフト券の残高を相続することについての相続人全員の同意書
③Amazonギフト券を相続する人のアカウントのメールアドレス
④被相続人の氏名・住所・電話番号・メールアドレス・注文番号等の情報
⑤連絡者の氏名・住所・電話番号・メールアドレス・連絡可能な曜日と時間帯

実際に相続手続きを行う際は必ずAmazonカスタマーサービスにお問い合わせください。

ただし連絡方法が少しわかりづらかったので以下に手順を記載します。


カスタマーサービスに連絡


お問い合わせフォームAmazonお問い合わせフォーム
必要な方は、この文章をクリックしてください。
お問い合わせはここから
各種サービス
各種サービス
Amazonギフト券
Amazonギフト券
電話電話
今すぐ電話がほしい今すぐ電話がほしい

こうするとAmazonから電話がかかってきますので相続手続きをしたい旨をお伝え下さい。

※Amazonギフト券の残高は相続人のAmazonアカウントに引き継がれるため、アカウントを持っていない場合は新たにアカウントを作る必要があります。

■その他の電子マネーの場合

Suica・PASMO以外の電子マネーについては会員規約で「電子マネーの残高の相続ができる」と書いてあるところであってもその手続方法は明確でないことが多いです。

したがって、実際の相続手続きを行う場合は各電子マネーのHPから問い合わせて確認する必要があります。

ただし、おそらく次のような流れで相続手続きが進められるものと思います。

①相続人から電子マネーの会社に相続開始があったことの連絡をする
②電子マネーの会社から必要書類等の案内が来る
③案内にしたがって必要書類を送る

 

そして電子マネーの相続手続きでは概ね次のような書類が必要になると思われます。

●法定相続情報一覧図または被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・法定相続情報一覧図の取り方→【相続手続きが簡単に!】法定相続情報一覧図の書き方・必要書類・取得方法
・戸籍謄本の取り方→戸籍を揃える大まかな手順

●相続人の現在の戸籍謄本
戸籍謄本の取り方→戸籍を揃える大まかな手順

●相続人全員の印鑑証明書
印鑑証明書(印鑑登録証明書)は市区町村役場で取得します。(マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。

●代表相続人の身分証明書(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)

 

手続き方法・必要書類については必ず各社にお問い合わせください。

5.電子マネーの相続税評価額

1章でも述べたように電子マネーも相続税の課税対象です。
したがって相続税評価額を算定する必要があります。

ただし実は電子マネーの相続税評価額の算定は簡単です。
電子マネーは現金と同様の財産価値があると考えるので、その相続税評価額も現金と同じになります。

すなわち、電子マネーの残高1円=現金1円と考えればよい、ということです。

例えば、PayPayの残高が100万円だとしたら相続税申告書には「現金」または「手許現金」として100万円を計上する必要があります。

PayPay残高100万円=現金100万円

相続税の詳しい計算方法についてはこちら↓の記事をご覧ください。
相続税の計算方法ガイド【5ステップでわかりやすく解説】

 

6.Q&A

貯めていたポイントは相続できますか?

できないものが多いです。

Tポイント等の企業ポイントは利用規約に相続できない旨が書かれていることが多いです。
いくつかの企業ポイントの相続に関する参考ページを下記にまとめましたのでご確認ください。

ポイント
相続
参考ページ(外部リンク)
楽天ポイント
×
ポンタポイント
不明
Tポイント
×
dポイント
×
エポスポイント
×
セゾン 永久不滅ポイント
×
アメリカン・エキスプレス
×
ダイナース
×

(2022年8月時点)

利用規約は更新される可能性がありますので、実際に相続手続きをする際は必ず各社にお問い合わせください。

ちなみに、ポイントを失効させないための対応策としては次のようなものが考えられます。

・ポイントはこまめに使い切る
・家族と共有できるポイントは共有しておく
・航空会社のマイルに交換できるものは交換しておく
(マイルは相続することができます。詳しくは【マイルは相続できる!】手続き~相続税評価方法をわかりやすく解説をご覧ください。)

 

被相続人が持っていた電子マネーの残高を把握する方法はありますか?

以下の方法があります。

・スマホが開ける場合やウェアラブル端末がある場合・・・該当の電子マネーのアプリを起動することで残高の確認ができます。
・ICカードの場合・・・駅の券売機やコンビニ等で残高の確認ができます。

 

電子マネーの相続手続きに期限はありますか?

各社にお問い合わせください。

電子マネーの相続手続きを明確にしているところが少ないため具体的な期限については確認できませんでした。

ただし相続税申告の期限が相続開始日から10ヶ月であること、相続税申告までに遺産分割協議を行う必要があることを考慮すると、遅くとも相続開始日から半年以内には手続きを行っておくことが望ましいのでないかと思います。

 

被相続人のスマホのロックを解除する方法はありますか?

 生前にパスワードをエンディングノートなどに書いておいてもらうか、専門の業者に依頼しましょう。

スマホのロックを他人が解除するのは非常に困難です。また連続でパスワードを間違えるとデータが初期化される設定があることもあります。
(iPhoneは「設定」で「Face IDとパスコード」の「データ消去」がオンになっている場合は、10回パスワードを間違えるとデータが消去されてしまいます。)

もし可能であれば、生前にスマホのパスワードを紙にメモとして残してもらえるようにしましょう。(スマホのパスワードに限らず、各種サービスのパスワードも残しておいてもらえるようにしておくと良いでしょう。)

もしパスワードがわからない場合は専門の業者に依頼することを検討しましょう。

「ではどの業者に頼めばよいのか?」という疑問があるかと思いますので、参考までにスマホのパスワード問題に関するニュースのリンクを貼っておきます。

スマホのパスワード解析の場合の費用は大体30万円くらい、期間は3週間から長くて1年かかることもあるようです。

7.まとめ

この記事では被相続人の電子マネーの見つけ方と相続手続きについて解説しました。

最後に今回の内容を振り返りましょう。

 

■電子マネーと相続について

・前払い型(事前チャージ型・プリペイド型)の電子マネーには相続できるものがある

・相続した場合は相続税がかかる

 

■被相続人の電子マネーの探し方

・スマホのアプリから調べる

・銀行口座やクレジットカードの取引明細から調べる

・AmazonのHPまたはAmazonアプリからAmazonギフト券がないか調べる

・メール・ウェアラブル端末・財布・定期入れ・スマホケース・カバンの外ポケット等を調べる

 

■電子マネーの相続手続き

手続きが明確なものは多くありませんが原則として次の流れになると思います。

Step1:電子マネーの会社に相続開始があったことの連絡をする

Step2:電子マネーの会社から必要書類等の案内が来る

Step3:案内に従って必要書類を送る

 

■電子マネーの相続税評価額

電子マネーの残高は現金と同様に評価する(電子マネーの残高1円=現金1円)

 

各電子マネーの規約は今後変わってくるはずですので、実際に相続手続きを行う場合は必ず各会社にお問い合わせください。

ちなみにLINEPayのチャージの上限は100万円PayPayのチャージの上限は200万円です。

万が一、100万円単位の財産を相続税申告から漏らしてしまうと税務署から厳しく追及される可能性がありますので、被相続人の電子マネーについては必ずご確認ください。

 

この記事が電子マネーの相続手続きを進めるためのお役に立てれば幸いです。

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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

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