これで安心!相続した借地権を売却する方法と注意するべきことまとめ

最終更新日:

相続不動産

「相続した借地権を売却するにはどうすれば良いのだろうか・・・?」
「売却する場合の注意点等はあるのだろうか・・・?」
「借地権を好条件で売却するにはどうすれば良いのだろうか・・・?」
借地権を相続して、このようなご心配がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

相続した借地権を売却する場合、通常の所有権売却時とは異なる手続きや、注意しなければならない点があります。
これらを誤ると「スムーズに売却が進められない」「低い金額で手放すことになってしまった」「税金特例が適用できず負担が増えてしまった」といったことにも繋がりかねません。

そこで本記事では、相続した借地権を売却する方法や注意点、好条件で売却を行うための視点等についても解説しております。
相続した借地権の売却をスムーズに実現し、税負担まで考慮し手残り額を最大化するためにも、ぜひお役立てください。

なお、相続税申告でお急ぎの方はお電話、またはLINEにてお問い合わせいただけます。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

タップで発信

0120-916-968

平日 9:00~21:00 土日 9:00~17:00

LINEで相談する

1.借地権を売却する場合は地主の承諾が必要

一般的には、借地権を売却する場合、地主の承諾が必要になります。
但し、借地権が地上権である場合には、売却する場合でも地主の承諾は不要です。
一言に「借地権」といっても、大きく分けて2つの種類があり、どちらに該当するかで売却時の手続き方法も変わります。

項目 賃借権 地上権
売却・増改築・転貸借 地主の承諾必要 地主の承諾不要
地代 必ず発生 地主との取り決めによる
登記 一般的に未登記がほとんど
(地主の承諾があれば登記は可能)
登記可能
(地主に登記義務有り)

・種類①「借地権が賃借権の場合」
一般的に借地権という場合は、ほとんどがこの「賃借権」に該当します。賃借権の場合には、地主の承諾が無ければ売却が出来ません。
・種類②「借地権が地上権の場合」
住宅関係ではまず該当しません。もし仮に地上権の場合には、売却時に地主の承諾は不要です。

自分自身の借地権が「賃借権」か「地上権」かを確認するには、地主と取り交わした「契約書」を確認するか、一般的には「地上権」は登記されているので、土地の登記簿を確認しましょう。

なお、本コンテンツでは「借地権が賃借権の場合」を前提とし、解説していきます。

1-1.承諾料が発生

借地権を第三者へ売却する場合、一般的には地主へ譲渡承諾料(名義書換料とも言われる)を支払います。
譲渡承諾料の相場は「借地権価格の10%」と言われております。借地権価格については、実勢価格を用いるケースが通常であり、実勢価格の算出には不動産会社に査定をしてもらうのが良いでしょう。

2.地主と協議する時の注意点2つ

地主との協議次第では、希望通りに売却が出来なくなってしまったり、余計な負担が掛かったりすることも想定されます。
以下に主な注意点を2つ挙げましたので、慎重に進めるようにしましょう。

2-1.不動産会社にも相談のうえ地主と協議する

地主に相談をする際には、出来るだけ不動産会社を間に入れましょう。ほとんどの地主は不動産会社に管理を委託しております。
地主&不動産会社を相手に個人の方がうまく交渉を進めるのは難しい場面も出てきます。
スムーズに交渉を進めるためにも、こちら側も不動産会社に相談し、地主側と協議する際は同席してもらうことをお薦めします。

2-2.譲渡承諾料の取り決めについて

譲渡承諾料の相場について、実は法律的根拠がある訳ではありません。更には地主が借地権譲渡を承諾する義務も法律的にはありません。そのため地主が相場とかけ離れた承諾料を要求してくるケースもあります。その場合には地主と根気強く協議をしていくか、それでもダメなら裁判所に地主に代わる許可をもらう手続きをすることになります。いずれにしても不動産会社に相談しながら進めた方が得策でしょう。

3.借地権売却等におけるお薦め方法と6つのパターン

借地権売却パターン借地権を売却する場合の最もお薦めな方法はパターン①「借地権と底地権の同時売却」です。
借地権のみで売却する場合は、購入層が限られるうえ、買い手のローン審査が通り辛いといった事情があります。
例えば、借地権と底地権を同時売却した場合の価値を100とし、借地権割合が60%・底地権割合が40%である場合、借地権のみ売却する場合は、前述の理由等から価値が減少し本来の60から40~50といった具合になります。当然底地権も底地権のみで売却すると価値が減少しますので、同時売却の場合は価値が100だったものが、それぞれ単品で売却すると、合計しても100を下回る結果となるのが一般的なのです。
同時売却を行うことで買い手は完全なる所有権を得ることが出来、一般的な不動産売買と特に変わりはありません。買い手にとっても、借地人・地主にとっても同時売却のメリットは大きいのです。但し、これには当然地主も底地権を売却することについて承諾をすることが必要であり、金額按分をどのように設定するか、売却のタイミングを合わせて進めていかなければならない等といった論点もあります。

パターン① 借地権と底地権の同時売却
前述の通り、借地権と底地権を同時に売却する方法です。これにより買主は所有権を得ることになります。なお、同時売却においては地主への承諾料の負担は発生しません。

パターン② 地主へ売却
借地権を地主に売却する方法です。これにより借地権は消滅し、地主は所有権を得ることになります。

パターン③ 第三者へ売却
借地権のみを第三者へ売却する方法です。これには前述の通り、地主からの承諾が必要となるほか、地主への承諾料の支払いが発生するのが一般的です。

パターン④ 地主から底地権を買取る
地主の権利である底地権を買取ります。これにより所有権を得ることになります。所有権に権利が変わった後は、売却も建替も自由に行うことが出来ます。

パターン⑤ 等価交換を行う
借地権の一部と底地権の一部を交換します。
図のように、元々は借地権が設定されていた土地を借地権割合と底地権割合に沿って、借地権と底地権を交換し、借地人と底地人がそれぞれ所有権を取得する方法です。これにより、所有権を取得することが出来、売却も建替えも自由に行うことができます。なお、割合の按分は地主との協議により定められます。

パターン⑥ 建替えを行う
建物を建替え、そこに居住したり、第三者に賃貸する等して活用することも可能です。但し、これには地主の承諾が一般的には必要となり、建替え承諾料を支払う必要があります。建替え承諾料の一般的な相場は更地価格の3-4%です。更地価格の算出においても、不動産会社に依頼する方法が良いでしょう。

■ワンポイントアドバイス■
・いずれのパターンで話を進めるにしても、地主との間で必ず価格設定について協議を行う場面が発生します。路線価図に定められた借地権割合に沿って単純に話が進めば良いですが、実際にはそう簡単にはいきません。また、売却や等価交換をするにあたって、手続きにかかる費用負担等をどう按分するかも予め設定しておく必要があります。不動産会社に相談しながら、慎重に協議を進めていきましょう。

4.空き家3000万円控除との併用をする場合の注意点

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得の金額から最大3,000万円控除を控除できる特例があります。
詳細解説は以下コンテンツを参照ください。
相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除(空き家特例)を徹底解説
この特例は借地権売却時にも適用が可能です。
但し、以下2つの問題点が発生します。
【問題点①】借地権は基本的には建物が無くなると第三者対抗要件を失う
【解決方法】第三者対抗要件を失わないように、建物取り壊し直後に「借地権存続の掲示」を行います。更に、地主や買主も交えた三者間で、建物取り壊し後も借地権の存続を承諾する旨の合意書を取り交わしておきます。
【問題点②】借地権のみの売却において、建物が無くなると買主はローンの利用ができなくなる
【解決方法】建物を解体することによる空き家3,000万円控除の適用を諦めるか、現金購入客を探す。

5.借地権は相続税の課税対象になる

借地権を相続した場合、相続税の課税対象になります。どのように相続税評価を行うか、以下記事にて解説をしておりますので、気になる方はご覧ください。
借地権の相続税評価をパターン別に徹底解説

6.Q&A

①借地権には色々種類があると聞きますがどういうことですか
→借地権には、主に旧借地権、普通借地権、定期借地権といった種類があります。どの借地権に該当するかによって、契約期間の定めや更新後の延長期間、期間満了後の返還方法等に違いがあります。
②相続による名義変更も地主の承諾が必要ですか
→必要ありません。また、地主に名義変更料を負担する必要もありません。但し、地主に借地権を相続した旨は伝えましょう。地主によっては相続による名義変更の合意書の締結等を求められることもありま
すが、後々のトラブル回避のためにも締結しておいた方が良いでしょう。
③底地権と同時売却する場合、地主との金額按分はどうすれば宜しいでしょうか
→金額按分に関して、法律的な根拠はありません。あくまでも地主との合意に基づき定めることになります。お互いが納得できるよう、金額按分の根拠を示し、一方的な主張とならないよう双方互いに誠意を
もって協議するべきです。そのためにも、当事者だけで協議するのではなく、不動産会社等の第三者を交えて客観的なアドバイスを得つつ話を進めましょう。
④借地権の売却に伴い、譲渡所得税も掛かるのでしょうか
→掛かります。通常の不動産売却時と同じ計算式になります。詳しくは以下記事にてまとめておりますので、宜しければご参照ください。
【不動産の譲渡費用一覧】これって該当する?しない?
⑤地主とうまく交渉する方法を教えてください
→借地権売買に詳しい不動産会社と一緒に交渉していくのが得策です。信頼できるパートナーを見つけ、借地人と地主双方納得し、最適解と言えるゴールを目指しましょう。

7.まとめ

相続した借地権の売却について、方法や注意点、税務面の論点等について解説致しました。通常の不動産売却とは異なり、借地権の売却には簡単には進められない理由があります。また、税金面についても手続き等を誤ると特例が適用できず、余計な負担がかかる恐れもあります。相続した借地権の売却を条件良くスムーズに進め、ストレスなく手続きを進めていくためにも、信頼して相談できる不動産会社をパートナーとすることが良いでしょう。

これで安心!相続した借地権を売却する方法と注意するべきことまとめの写真

この記事の執筆者:宮尾 香輔

宅地建物取引士
相続不動産専門の株式会社トゥモローズの取締役
ベンチャー企業、大手仲介会社、信託銀行を経て株式会社トゥモローズの立ち上げに参画。
物件種別問わず幅広い取り扱い経験があるほか、業界の内情にも精通しています。

相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

タップで発信

0120-916-968

平日 9:00~21:00 土日 9:00~17:00

お問い合わせ

採用情報