海外不動産の相続税評価の方法と注意点をわかりやすく解説


・海外不動産の相続税評価は原則として「時価」で行われ、日本の路線価方式とは異なる
・財産評価基本通達5-2に基づき、売買実例価額や精通者意見価格等を参考に評価する
・海外不動産にも小規模宅地等の特例は適用可能
・外貨建て資産は課税時期のTTB(対顧客直物電信買相場)で円換算する
・二重課税を防ぐため外国税額控除の制度があるが、国ごとに税制が異なる点に注意
近年、投資や移住などの目的で海外不動産を所有する日本人が増えています。
しかし、海外不動産を所有している方が亡くなった場合、相続税の評価はどのように行われるのでしょうか。
日本の相続税法では日本に住所がある日本人が亡くなった場合等には国内外問わず全ての財産に相続税が課税されます。
つまり、海外にある不動産も相続税の対象となるのです。
本記事では、海外不動産の相続税評価の方法や注意点について、わかりやすく解説します。
目次
国内不動産と海外不動産の評価方法の違い
日本国内の不動産を相続する場合、土地は「路線価方式」または「倍率方式」、建物は「固定資産税評価額」によって評価されます。
これらの評価方法は日本独自の指標であり、実際の市場価格(時価)よりも低く評価されることが一般的です。
一方、海外不動産の場合は事情が異なります。
海外には日本の路線価のような指標がなく、国によっては固定資産税評価額に相当する指標もない場合があります。
そのため、海外不動産の相続税評価は基本的に「時価」で行われることになります。
なお、国内不動産の相続税評価についての詳しい解説は、下記コラムをご参照ください。
相続税の土地評価 これだけ読めば大丈夫! 評価方法をわかりやすく解説
家屋(建物)の相続税評価額を徹底解説
海外不動産の相続税評価の通達、質疑応答
海外不動産の相続税評価を確認するためには、まずは国税庁が公表しているルールを把握することから始めないといけません。
国税庁が公表している海外不動産の相続税評価の主なルールは、財産評価基本通達と質疑応答事例の2つがあります。
財産評価基本通達
財産評価基本通達5-2にて、国外にある財産の評価について次のように定められています。
財産評価基本通達5-2(国外財産の評価)
国外にある財産の価額についても、この通達に定める評価方法により評価することに留意する。なお、この通達の定めによって評価することができない財産については、この通達に定める評価方法に準じて、又は売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価するものとする。
(注)この通達の定めによって評価することができない財産については、課税上弊害がない限り、その財産の取得価額を基にその財産が所在する地域若しくは国におけるその財産と同一種類の財産の一般的な価格動向に基づき時点修正して求めた価額又は課税時期後にその財産を譲渡した場合における譲渡価額を基に課税時期現在の価額として算出した価額により評価することができる。
つまり、海外不動産の評価は、原則として日本と同じ方法で評価しますが、それが難しい場合は以下のいずれかの方法で評価することになります。
財産評価基本通達に準じて評価した価額
売買実例価額
精通者意見価格
取得価額を基に価格動向を考慮して時点修正した価額
相続後の譲渡価額を基に課税時期現在の価額として算出した価額
国税庁 質疑応答事例
質疑応答事例については海外不動産に関連するものとして下記の3つの設問があります。
専門家以外の人は質疑応答事例本文自体は読み飛ばしても大丈夫です。
国税庁 質疑応答事例 国外財産の評価-土地の場合
【照会要旨】
国外に所在する土地は、どのように評価するのでしょうか。【回答要旨】
土地については、原則として、売買実例価額、地価の公示制度に基づく価格及び鑑定評価額等を参酌して評価します。(注)
1 課税上弊害がない限り、取得価額又は譲渡価額に、時点修正するための合理的な価額変動率を乗じて評価することができます。この場合の合理的な価額変動率は、公表されている諸外国における不動産に関する統計指標等を参考に求めることができます。
2 例えば、韓国では「不動産価格公示及び鑑定評価に関する法律」が定められ、標準地公示価格が公示されています。
国税庁 質疑応答事例 国外財産の評価――国外で相続税に相当する税が課せられた場合
【照会要旨】
相続財産である土地が所在する国で、相続税に相当する税が課せられた場合に、その税の課税価格の計算の基となった当該土地の価額により当該土地を評価してよろしいですか。【回答要旨】
当該外国の税の計算の基礎となった土地の価額をもって相続税法第22条に定める時価(不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額(評基通1(2)))とすることが、全ての場合に相当であるとは言い切れませんが、例えば、その価額が鑑定評価に基づいたものである場合などで、課税時期における時価として合理的に算定された価額であれば、その価額によって評価して差し支えありません。(理由)
国外財産である土地に外国で相続税又は贈与税に相当する税が課されたとしても、その税の計算の基となった価額については、例えば、その価額が租税特別措置法第69条の4のような課税上の特例を適用した後のものである場合も考えられることから、全ての場合に相続税法第22条に定める時価として相当であるとはいえません。
国税庁 質疑応答事例 国外財産の評価――取得価額等を基に評価することについて課税上弊害がある場合
【照会要旨】
国外財産の評価において、その財産の取得価額等を基に評価することについて、課税上弊害がある場合とは、どのような場合をいうのでしょうか。【回答要旨】
その財産を親族から低額で譲り受けた場合など、取得価額等が取得等の時の適正な時価と認められない場合や、時点修正をするために適用する合理的な価額変動率が存しない場合をいいます。(理由)
1 財産評価基本通達の定めによって評価することができない国外財産については、課税上弊害がない限り、その財産の取得価額を基にその財産が所在する地域若しくは国におけるその財産と同一種類の財産の一般的な価格動向に基づき時点修正して求めた価額又は課税時期後にその財産を譲渡した場合における譲渡価額を基に課税時期現在の価額として算出した価額により評価することができることとしています(評基通5-2)。
2 このような評価方法が認められるのは、その財産の取得価額や譲渡価額が、当該譲渡や取得の時におけるその財産の適正な時価と認められることが前提となっています。したがって、例えば、その財産を親族から低額で譲り受けた場合、債務の返済等のため売り急ぎがあった場合など、その価額がその時の適正な時価であると認められない場合において、その価額を基として評価することには、課税上弊害があると認められます。
3 また、当該国外財産の取得価額又は譲渡価額を時点修正するための合理的な価額変動率が存しない場合についても、この評価方法を適用する前提を欠いていることから、取得価額や譲渡価額を基に評価することはできません。
通達・質疑応答事例のまとめ
ここまで海外不動産の相続税評価の根拠を詳しく説明してきましたが、まとめると下記のいずれかの方法で評価することとなります。
②売買実例価額
③地価の公示制度に基づく価格
④精通者意見価格
⑤取得価額を基に価格動向を考慮して時点修正した価額
⑥相続後の譲渡価額を基に課税時期現在の価額として算出した価額
⑦土地所在地国の相続税申告の課税価格に算入された価額
①財産評価基本通達に基づく価額
海外不動産については所在地国に日本と同様の路線価等が設定されている可能性はほぼないため、事実上この評価方法は馴染みません。
海外不動産以外の例えば国外の上場株式等は日本の上場株式等と同様に評価することは可能です。
②売買実例価額
実際に成立した近隣類似不動産の売買事例価格をもとに評価する方法です。
対象不動産に近隣の売買実例があればこの方法での評価額が有力候補となり得るでしょう。
③地価の公示制度に基づく価格
日本における公示地価等の制度がある国については、当該公示価格等を基準として対象地特有の補正をして評価額を算出します。
公示価格等の制度がある主な国とない主な国を一覧にしますのでご確認ください。
【公示価格等の制度がある主な国】
国名 | 制度名・特徴 |
日本 | 標準地公示価格・基準地価:国土交通省が毎年公表。税務や取引の基準に利用。 |
ドイツ | Bodenrichtwert(標準地価格):州の地価委員会が評価し一般公開。 |
韓国 | 公示地価:国土交通部が評価、公的価格として課税・取引基準に使用。 |
台湾 | 公告現値:政府が定期的に設定。相続税・贈与税等の基準に活用。 |
【公示価格等の制度がない主な国】
国名 | 備考 |
アメリカ | 各郡単位で固定資産税評価額はあるが、全国統一の公示価格制度はなし。 |
イギリス | 固定資産税(Council Tax)等の目的での評価額はあるが、標準価格制度なし。 |
フランス | 登記価格や取引データ(DVF)は公開されているが、公示地価は存在しない。 |
イタリア | Catasto(地籍簿)に登録された課税価格はあるが実勢価格とは大きく乖離。 |
カナダ | 州・市ごとに評価はされるが、国としての統一された標準地価格は存在しない。 |
④精通者意見価格
不動産鑑定士などの専門家が市場動向や地域特性等を考慮して算出する意見価格です。
実務上はこの方法で海外不動産の評価をすることが多いと思います。
⑤取得価額を基に価格動向を考慮して時点修正した価額
この方法で論点となるのが取得の経緯と時点修正についてです。
取得の経緯については、親族からの低額譲り受け等の場合には当該取得価額が適正な時価とは認められないでしょう。
純然たる第三者との経済合理性が働く取引で取得されたものに限られるかと思います。
次に時点修正についてです。
価額変動率は、公表されている諸外国における不動産に関する統計指標等を参考に求めることとなります。
前掲の質疑応答事例にもあるように所在地国に合理的な価額変動率が存しない場合には当該方法は適用できません。
⑥相続後の譲渡価額を基に課税時期現在の価額として算出した価額
こちらは上記⑤の論点と同様となります。
相続税の納税のための売り急ぎがあった場合などには当該譲渡価額を相続税評価額とするのは難しいでしょう。
⑦土地所在地国の相続税申告の課税価格に算入された価額
所在地国の相続税申告で相続税評価額とした金額を日本の相続税申告でも採用するという評価方法です。
注意点としては、所在地国の相続税申告で日本と同様の小規模宅地の特例等の減額特例がある場合には、その特例適用後の金額をそのまま日本の相続税申告では採用できないという点です。
邦貨換算
海外不動産の評価額は、最終的に日本円に換算する必要があります。
その際の為替レートについては、財産評価基本通達4-3に規定されています。
財産評価基本通達4-3(邦貨換算)
外貨建てによる財産及び国外にある財産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関が公表する課税時期における最終の為替相場(邦貨換算を行なう場合の外国為替の売買相場のうち、いわゆる対顧客直物電信買相場又はこれに準ずる相場をいう。また、課税時期に当該相場がない場合には、課税時期前の当該相場のうち、課税時期に最も近い日の当該相場とする。)による。
つまり、海外不動産の評価額は、相続が発生した日(課税時期)の対顧客直物電信買相場(TTB)で円に換算することになります。
国外財産の為替換算の詳しい解説は、【相続税申告】 外貨建て財産、債務の邦貨換算を徹底解説をご参照ください。
海外不動産の相続税評価の具体的な方法
海外不動産の相続税評価は、主に以下の3つの方法で行われます。
1. 現地の不動産会社に査定を依頼する方法
最も一般的な方法は、現地の不動産会社に査定を依頼する方法です。
この方法のメリットは、費用をかけずに評価額を得られることです。
ただし、不動産会社によって査定額にばらつきが生じる可能性があるため、複数の会社に依頼して比較することが望ましいでしょう。
2. 不動産鑑定士等の専門家に評価を依頼する方法
より正確な評価が必要な場合は、現地の不動産鑑定士などの専門家に評価を依頼する方法があります。
これは「精通者意見価格」と呼ばれ、専門家による評価であるため信頼性が高いというメリットがあります。
ただし、鑑定費用(通常数十万~数百万円程度)がかかるというデメリットもあります。
特殊な不動産(広大な土地や高額物件など)の場合は、この方法が適しています。
3. 取得価額や売却価額を基に評価する方法
財産評価基本通達の注釈にあるように、取得価額を基に価格動向を考慮して時点修正する方法や、相続後に売却した場合の価額を基に評価する方法もあります。
この方法は、現地の不動産価格指数などの統計データを参考にして評価額を算出します。
国別の評価方法の特徴
国によって不動産評価の制度が異なるため、それぞれの国の特徴を理解しておくことが重要です。
国名 | 評価方法の特徴 |
アメリカ |
現地の物件査定書類を用いて評価。 アメリカではJoint Tenancy(合有不動産)、Tenancy in Common(共有不動産)、Co-op(協同組合の株式型)等の様々な所有形態があるため要注意。 |
台湾 |
「公告現値」という公的な評価額があり、これを参考に評価することが可能。 実勢価格の約90%程度の水準で評価される。 |
韓国 | 「不動産価格公示及び鑑定評価に関する法律」が定められ、標準地公示価格が公示されているため一般的にはその価格を使用して評価する。 |
フランス | 公証人(Notaire)が相続手続きと相続税の計算を行うためその中の不動産査定額を評価額とすることが一般的。 |
小規模宅地等の特例は海外不動産にも適用できるのか
小規模宅地等の特例とは、被相続人等の居住用や事業用に使用されていた土地について、一定の要件を満たす場合に相続税評価額を最大80%減額できる特例です。
小規模宅地の特例についての詳しい解説は、小規模宅地等の特例をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。
海外不動産への適用可否
結論から言うと、海外不動産にも小規模宅地等の特例は適用可能です。
租税特別措置法69条の4には、国内に所在するものに限るという要件がないため、国外の不動産も対象になります。
小規模宅地の特例は「居住用」と「貸付事業用」の2つが主役ですのでその2つに絞って確認していきましょう。
居住用
小規模宅地の特例の居住用は、土地の相続税評価額を330㎡まで80%減額できる特例です。
海外不動産に小規模宅地等の特例を適用するためには、国内不動産と同様の要件を満たす必要があります。
居住用宅地の場合、主な要件は以下の通りです。
取得者 | 主な要件 |
被相続人の配偶者 | 特に要件なし |
被相続人と同居していた親族 | 相続開始前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有していること |
その他の親族(家なき子) | 被相続人に配偶者がいないこと、被相続人と同居していた親族がいないこと、など複数の要件あり |
家なき子についての詳しい解説は、小規模宅地の特例 家なき子(特定居住用宅地等)を徹底解説をご参照ください。
なお、被相続人が老人ホームに入居していた場合でも日本の場合には元々居住していた自宅について小規模宅地の特例の適用可能性はあるのですが、海外の老人ホームに入居していた場合には元々居住していた自宅は小規模宅地の特例の適用対象とはならないため注意が必要です。
というのも老人ホームが特別養護老人ホーム、老人福祉施設等限定列挙されていて日本の法律に規定されるような老人ホームである必要があり、海外の老人ホームについては限定列挙の老人ホームに該当する可能性がないためです。
貸付事業用
貸付事業用宅地は、土地の相続税評価額を200㎡まで50%減額できる特例です。
貸付事業用の場合、主な要件は以下の通りです。
②建物又は構築物の敷地であること
③相当の対価による貸付であること
④相続税の申告期限まで貸付を継続すること
貸付事業用の小規模宅地の特例についての詳しい解説は、【小規模宅地の特例】貸付事業用宅地等とは?50%減額可能!をご参照ください。
適用上の注意点
海外不動産に小規模宅地等の特例を適用する際は、以下の点に注意が必要です。
土地と建物の評価額を分ける必要がある(特例は土地のみに適用)
土地の面積を正確に算出する必要がある
不動産鑑定士等に評価を依頼する際は、土地と建物の評価額を分けて記載してもらう
なお、海外居住の親族が日本の自宅を相続する場合でも、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例が適用できます。
詳しくは、非居住者がいる相続税申告を徹底解説:必要手続きと注意点をご参照ください。
海外不動産の相続における注意点
1. 為替変動のリスク
海外不動産の評価は日本円で行われるため、為替レートの変動が相続税額に大きく影響します。
円安の時期に相続が発生すると評価額が高くなり、相続税負担が増加する可能性があります。
逆に、円高の時期であれば評価額が低くなり、相続税負担が軽減されます。
相続のタイミングは予測できませんが、為替変動リスクを考慮した相続対策を検討することが重要です。
2. 二重課税の問題と外国税額控除
海外不動産を相続する場合、その国でも相続税(または類似の税金)が課税されることがあります。
その結果、日本と海外の両方で税金を支払うことになり、二重課税の問題が生じます。
この問題を解決するために、「外国税額控除」という制度があります。
外国税額控除は、海外で支払った相続税相当額を日本の相続税額から控除する制度です。
控除額は以下のいずれか少ない方の金額となります。
①外国で実際に支払った税額
②日本の相続税額 × (外国の財産価額 ÷ 相続人の相続財産額)
ただし、すべての国と租税条約を結んでいるわけではないため、国によっては二重課税が完全に解消されないケースもあります。
日米間では相続税条約が締結されており、二重課税を防止する仕組みが整備されています。
外国税額控除の詳しい解説は、相続税の外国税額控除をわかりやすく徹底解説をご参照ください。
3. 相続手続きの煩雑さ
海外不動産の相続手続きは、国によって大きく異なります。
特に英米法系の国(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど)では、「プロベート」と呼ばれる裁判所による検認手続きが必要となる場合があります。
プロベートには以下のような特徴があります。
費用が高額(日本円で200〜300万円程度)
手続き完了まで1〜2年程度かかる
一方、大陸法系の国(ドイツ、フランス、イタリア、日本など)では、裁判所の関与なしに相続手続きが可能なケースが多いです。
4. 相続税対策としての有効性
日本国内の不動産は、時価と相続税評価額に乖離があるため、相続税対策として有効です。
しかし、海外不動産の場合は時価で評価されるため、相続税対策としての効果は限定的です。
つまり、海外不動産を購入しても、相続税の節税にはあまり繋がらないと考えるべきでしょう。
海外不動産への投資は、相続税対策ではなく、資産価値の上昇や資産ポートフォリオの分散などの目的で検討することをお勧めします。
海外不動産の相続に関するQ&A
Q1. 海外不動産を相続した場合、日本の相続税はかかりますか?
はい、原則としてかかります。日本に住所がある日本人の方が亡くなった場合、国内外問わず全ての財産に相続税が課税されます。、国内外問わず全ての財産に相続税が課税されます。ただし、被相続人と相続人の国籍や居住地によって課税範囲が異なる場合があります。
詳しくは、国際相続における相続税の納税義務の判定を徹底解説!をご参照ください。
Q2. 海外不動産にも小規模宅地等の特例は適用できますか?
はい、適用できます。租税特別措置法69条の4には、国内に所在するものに限るという要件がないため、国外の不動産も対象になります。ただし、国内不動産と同様の要件(被相続人の居住用・事業用であったことなど)を満たす必要があります。
Q3. 海外で相続税を支払った場合、日本でも二重に課税されますか?
二重課税を防ぐために「外国税額控除」という制度があります。
海外で支払った相続税相当額を、一定の計算方法に基づいて日本の相続税額から控除することができます。
ただし、国によっては相続税がない場合や、租税条約が締結されていない場合もあるため、個別に確認が必要です。
詳しくは、相続税の外国税額控除をわかりやすく徹底解説をご参照ください。
Q4. 海外不動産は相続税対策として有効ですか?
一般的には、あまり有効ではありません。
日本国内の不動産は路線価や固定資産税評価額で評価されるため、時価より低く評価されることが多いですが、海外不動産は基本的に時価で評価されるため、節税効果は限定的です。
海外不動産への投資は、相続税対策ではなく、資産価値の上昇や資産ポートフォリオの分散などの目的で検討することをお勧めします。
まとめ
海外不動産の相続税評価は、日本国内の不動産とは異なる方法で行われます。
基本的には「時価」で評価され、現地の不動産会社の査定や専門家の鑑定などを参考に評価額を算出します。
海外不動産にも小規模宅地等の特例は適用可能ですが、国によって相続手続きが異なるため注意が必要です。
また、為替変動のリスクや二重課税の問題もあるため、専門家のアドバイスを受けながら対策を検討することをお勧めします。
海外不動産を所有している方や購入を検討している方は、相続税評価の仕組みを理解し、適切な相続対策を行うことが重要です。
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