家屋(建物)の相続税評価はいくら?自用・貸家・マンション・建築中のパターン別に解説
- 家屋(建物)の相続税評価額=固定資産税評価額×1.0。固定資産税課税明細書を見ればすぐわかる
- 貸家は固定資産税評価額×0.7(借家権割合30%を控除)で評価する
- マンション(区分所有)は令和6年1月1日以降、区分所有補正率による評価見直しあり(要注意)
この記事では、相続専門税理士法人トゥモローズ(年間申告実績約350件)が、家屋(建物)の相続税評価方法を、自用家屋・マンション・貸家・リフォーム済み・建築中のパターン別にわかりやすく解説します。
目次
家屋(建物)の定義|3つの要件
家屋(建物)の定義は、不動産登記規則第111条に規定されています。
不動産登記規則第111条
建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。
建物の要件は、下記3つです。
①外気分断性
②定着性
③用途性
まず、外気分断性とは、屋根や壁があって雨風を防ぎ、外気から分断されている必要があるということです。屋根だけあるガソリンスタンドは家屋には該当しません。
次に、定着性は、その家屋が土地に十分定着しているかということです。コンクリートブロックの上にプレハブ倉庫を庭先に置いたとしても定着性の観点からその倉庫は家屋とは言えないでしょう。しっかり、基礎を設けて建てた建築物が家屋に該当します。
最後は、その建築物の空間で居住、作業、貯蔵、保管等の家屋としての用途に供しうるかどうかという観点です。
家屋の相続税評価額=固定資産税評価額×1.0
相続税の家屋(建物)の評価はとてもシンプルです。土地のような煩雑な補正とかはありませんで、下記算式で計算します。
固定資産税評価額 ✕ 1.0
すなわち、固定資産税評価額さえ分かれば評価が完了するのです。
固定資産税評価額は、毎年5月頃に市区町村や都税事務所から送られてくる固定資産税課税明細書に記載されています。下記が東京都23区の固定資産税課税明細書となりますが、□枠の「価格」欄に記載されている金額が固定資産税課税明細書となります。
他の市区町村では、「評価額」、「固定資産税評価額」等の表記がされていることもあります。
ただ転記するだけで相続税の家屋(建物)の評価額の計算は終わります!簡単ですよね。
マンション(区分所有)の評価|令和6年改正に注意
マンションの場合も基本的に上記と同様です。
なお、東京都23区の場合には、前述の「価格」欄ではなく、その右横の「課税標準額」欄がその部屋の固定資産税評価額となります。
マンションの場合の「価格」欄にはそのマンションの建物全体の評価額が記載されているためです。
マンションの課税明細書で価格欄を選んだら大変なことになりますよね。上記マンションの場合には80億円を超えてます!間違いないようにしましょう。
令和6年1月1日以降に相続・贈与により取得したマンション(区分所有財産)については、「区分所有補正率」を適用して評価額を見直す改正が行われました。
これは、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離(タワーマンション節税問題)を是正するための改正です。
区分所有補正率は、「評価乖離率」が一定以上の場合に適用され、市場価格との乖離が大きいマンションほど評価額が引き上げられます。
詳しくはマンションの相続税評価の改正を徹底解説(令和6年1月1日~)をご参照ください。
貸家(賃貸物件)の相続税評価|借家権割合30%を控除
賃貸アパート、賃貸マンション、戸建賃貸等の亡くなった方が貸している家屋を所有していた場合には一定の減額ができます。
固定資産税評価額 ✕ (1 - 借家権割合)
借家権割合は全国一律30%となりますので、固定資産税評価額に70%を乗じれば貸している建物の評価が完了します。こちらも簡単ですね。
なお、亡くなったときに空室だった場合には、30%減ができませんので注意して下さい。ちなみに、賃貸アパートの場合でその一部の部屋が一時的に空室だった場合には、その空室の部屋でも30%減ができる可能性があります。詳しくは、空室がある場合の貸家建付地評価と小規模宅地の特例を参照して下さい。
リフォーム済みの家屋の評価|増改築がある場合の注意点
亡くなる前にリフォームをしていた場合において、そのリフォームが固定資産税評価額に加味されていないときは、下記算式により計算する必要があります。
リフォーム前の家屋の固定資産税評価額 +(リフォーム費用-死亡日までの償却費)×70%
なお、「死亡日までの償却費」は下記のように計算します。
■ リフォーム費用×90%×経過年数(※1)/耐用年数(※2)
(※1)経過年数とは、リフォーム日から死亡日までの年数で1年未満の端数は切り上げます。
(※2)減価償却資産の耐用年数等に関する省令による耐用年数で計算します。
より詳しく知りたい人は、【相続税申告】亡くなる前にリフォームをした場合の家屋の評価を参照して下さい。
建築中の家屋の評価|費用現価の70%
建築中に亡くなってしまった場合には、その家屋は評価しなくても良いのでしょうか。
決してそんなことはありません。建築中であっても相続税の対象となりますので評価が必要です。
建築中の家屋の評価は、下記算式により計算します。
費用現価の額×70%
なお、「費用現価の額」とは、亡くなった日までにかかった建築費の金額のことです。
詳しくは、国税庁HP 質疑応答事例 建築中の家屋の評価を参照して下さい。
建物附属設備・外構・庭園の評価方法
家屋(建物)に付属する設備等はどのように評価すれば良いでしょうか。
まず、建物附属設備(ガス設備、給排水設備、電気設備等)は建物の固定資産税評価額に内包されていますので別途評価は不要です。
次に、門扉、塀、花壇等の外構設備については、下記算式により計算します。
(再建築価額 - 建築の時から課税時期までの償却費の額の合計額又は減価の額) ✕ 70%
最後に、庭木、庭石、あずまや、庭池等の庭園設備は、下記算式により計算します。
相続開始時の調達価額 ✕ 70%
よくある質問
Q. 固定資産税評価額はどこで確認できますか?
毎年5月頃に市区町村(東京23区は都税事務所)から届く「固定資産税課税明細書」に記載されています。手元にない場合は、市区町村の固定資産税課等で「固定資産評価証明書」を取得できます。
Q. 固定資産税評価額と時価(市場価格)は同じですか?
異なります。固定資産税評価額は一般的に時価の6〜7割程度とされています。そのため、建物の相続税評価額は時価よりも低くなるケースがほとんどです。
Q. 二世帯住宅の場合、建物の評価はどうなりますか?
建物の登記が区分登記か共有登記かで扱いが変わります。区分登記の場合は各区分の固定資産税評価額で評価し、共有登記の場合は建物全体の固定資産税評価額を持分に応じて按分します。小規模宅地の特例にも影響するため注意が必要です。
【小規模宅地の特例】同居親族と二世帯住宅をパターン別に徹底解説(建物構造・登記編)
Q. 古い建物で固定資産税評価額がゼロ(免税点未満)の場合は?
固定資産税の課税明細書に記載されていない建物でも、評価額がゼロになるわけではありません。固定資産評価証明書を取得して評価額を確認してください。評価額がある場合はその金額で相続税評価を行います。
まとめ
家屋(建物)の相続税評価は「固定資産税評価額×1.0」が基本で、土地評価に比べてシンプルです。ただし、マンション(令和6年改正で区分所有補正率が導入)、貸家、リフォーム済み、建築中など、パターンによって評価方法が異なります。
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根拠法令・通達
| 項目 | 根拠法令 |
|---|---|
| 家屋の評価(固定資産税評価額) | 財産評価基本通達89 |
| 貸家の評価 | 財産評価基本通達93 |
| 借家権割合 | 財産評価基本通達94 |
| 建築中の家屋の評価 | 財産評価基本通達91 |
| 附属設備の評価 | 財産評価基本通達92 |
| 建物の定義 | 不動産登記規則第111条 |
| 区分所有補正率(マンション改正) | 財産評価基本通達89-2(令和6年新設) |
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