贈与税の時効は6年! 申告が必要な場合には速やかに期限後申告を!

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名義財産・生前贈与

相続対策

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズです。

年間110万円を超えた贈与を受けた場合には贈与税がかかります。
この贈与税がかかることを知らない人も多いのです。

では、110万円を超える贈与を受けて贈与税がかかることを知らなかった場合に税務署はいつまで遡ってくるのでしょうか?

結論としては、6年まで遡ります。
この6年というのが贈与税の時効なのです。

「6年という時効のカウント方法は?」
「時効前に申告した場合にペナルティはかかるの?」
「贈与したことがどうやって税務署にバレルの?」
「贈与成立の時期って決められているの?」
などなどの色々な疑問があると思います。

今回は贈与税の時効について、わかりやすく解説します。

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贈与税の時効は6年(故意の場合には7年へ延長)

贈与税の時効は6年となります。
すなわち、6年経過したら税務署から「贈与税を払え!」と言われることはないということです。

ただし、例外があります。
贈与税がかかることを知っていて故意に申告・納税をしなかった場合には贈与税の時効は7年に延長されます。

では、具体的に6年間(7年間)をどのようにカウントするのかは次の項で解説していきます。

6年間(7年間)のカウント方法

贈与税の時効は、その贈与税の申告期限の翌日からカウントします。

贈与税の申告期限は、贈与した年の翌年の3月15日となります。
贈与税の時効の起算日は、申告期限の翌日のため贈与した年の翌年の3月16日となります。

贈与税の時効の成立日は、申告期限の翌日の6年後の3月16日となります。

仮に令和4年10月2日に贈与をしたとしたら贈与税の申告期限の翌日は令和5年3月16日であり、その6年後の令和11年3月16日に贈与税の時効が成立します。
贈与税時効のカウント方法 故意でない場合

ちなみに、贈与税の申告すべきことを知っていて故意に申告をしていなかった場合には、時効が7年に延長されるため、令和12年3月16日が時効の成立日となります。

1.そもそも贈与成立のタイミングとは?

贈与税の時効のカウント方法は理解できましたが、そもそも贈与成立のタイミングが間違っていたら贈与税の時効成立のタイミングも誤ってしまいます。

贈与成立のタイミングは贈与の方法や財産の種類に応じて下記の通りです。

(1)口頭による贈与:贈与実行時
(2)書面による贈与(原則):贈与契約書締結時
(3)書面による贈与(例外):登記時
(4)停止条件付贈与:条件成就時
(5)農地の贈与:農業委員会等の許可時

贈与の成立時期の詳しい解説は、贈与の成立時期はいつなのか? パターン別に徹底解説!をご参照ください。

2.贈与が成立していないと税務署から認定されるケース

贈与が成立したことを前提として解説してきましたが、実務上は、名義は変わっていても贈与が成立していないと判断されるケースも散見されます。
贈与が成立していないということは贈与税の対象とはならず、もちろん、贈与税の時効の話も出てこなくて、結果的にその贈与した者の相続財産を構成することになります。

贈与が成立していないと認定される主なケースは下記の通りです。

(1)名義預金に該当する場合
(2)貸付金と認定される場合
(3)登記をしてない場合

(1)名義預金に該当する場合

子や孫名義の預金に資金移動をしたとしてもその子や孫の名義の預金を引き続き贈与者が管理していた場合には、贈与は成立していません。
そのような子や孫名義の預金を名義預金といいます。
この名義預金は名義人の財産ではなく、お金を出した親の財産にカウントされます。
したがって、親の死亡時に親の財産として相続税がかかってくるのです。

例えその子や孫名義の預金を10年前に作っていたとしても贈与が成立してませんので贈与税の時効という概念が出てこなく相続税の対象となるのです。

名義預金の詳しい解説は、名義預金とは?税務調査で指摘されないために意義と対策を徹底解説をご参照ください。

(2)貸付金と認定される場合

相続人に資金移動をしたとしてもその資金移動の理由が贈与ではなく貸付であった場合には贈与は成立しません。
したがって、贈与なのか貸付なのか書面でしっかりと残しておいたほうが良いでしょう。

贈与と認定されれば贈与税の対象となり、時効が成立していない場合(すなわち、6年経過していない場合)には期限後申告が必要となり、時効が成立していれば特段税金の処理は不要です。
これに対し、貸付と認定された場合には資金を出した人の相続財産を構成することとなり、資金拠出者の死亡時に相続税の対象となります。

(3)登記をしてない場合

不動産について書面による贈与をした場合でも登記をしていないと贈与が成立していないと税務署から認定される可能性があります。
過去の裁判例で公正証書により贈与をして登記だけしていなかったケースで贈与成立日は公正証書にて贈与をした日ではなく登記をした日と認定された事例です。
贈与の成立日は書面による贈与のときは契約書の締結日というルールを逆手にとって贈与税の時効が経過したあとに登記をして贈与税を不当に逃れようとした事例なのですが、やはり裁判で納税者が負けました。

6年は過ぎているけど7年は過ぎていない場合

故意でなく贈与税の申告を忘れていて贈与税の申告期限の翌日から6年は経過したけども7年は経過していない場合はどうすればよいでしょうか?

結論としては、故意でない場合には6年を経過した後に税務署に申告したとしても時効が成立しているため受け付けてもらえないでしょう。
ただし、6年は経過していたけども本当は故意に申告していなかったという事実があれば7年は経過していないため税務署から決定される可能性もあります。

贈与税のペナルティ

贈与税を申告期限までに申告できなかった場合、当初の申告が間違っていた場合、故意に贈与を隠していた場合には加算税、延滞税のペナルティが課税されます!
このペナルティには下記の通り、複数の種類があります。

項目 内容
無申告加算税
申告期限までに申告をせず期限後に相続税を納税した場合
過少申告加算税
当初申告の相続税が不足していて期限後に追加で納税をした場合
重加算税
仮装隠蔽行為により故意に財産を隠した場合
無申告加算税に代わるものと過少申告加算税に代わるものの二種類
延滞税
納付期限の翌日から納付した日までの日数に応じて課税される遅延利息相当

各ペナルティの税率を確認していきましょう。

なお、ペナルティの計算方法としては、期限後申告又は修正申告てに納めることとなる贈与税に以下の税率を乗じることとなります。

1.無申告加算税

無申告加算税は令和5年の税制改正により下記の通り改正されました。

期限後申告の時期 相続税額 改正前の税率
(~R5.12.31)
改正後の税率
(R6.1.1~)
税務調査通知前 税額に関わらず 5%
税務調査通知以後~
調査による更正予知前
50万円以下 10%
50万円超
300万円以下
15% 15%
300万円超 25%
調査による更正予知以後 50万円以下 15%
50万円超
300万円以下
20% 20%
300万円超 30%

※ 改正後の税率は令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。
※ 改正後においては過去に無申告加算税又は無申告重加算税を課されたことのある人は上記税率が更に10%加重されます。
※ 税務調査の詳しい解説は、【2023年最新】相続税の税務調査をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。

2.過少申告加算税の税率

修正申告の時期 税率
税務調査通知前 対象外
税務調査通知以後~
調査による更正予知前
5%
(10%)
調査による更正予知以後 10%
(15%)

※()書きは、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分の税率です。

3.重加算税の税率

重加算税は、以下の区分に応じて税率が異なります。

重加算税の種類 税率
無申告加算税
に代わる重加算税
40%
(50%)
過少申告加算税
に代わる重加算税
35%
(45%)

※()書きは、過去5年間に無申告加算税又は重加算税を課された場合の税率です。すなわち、何度も悪さをすると税率が10%加算されるのです。

4.延滞税

納付日 税率
納期限の翌日から 2ヶ月以内 原則7.3%
特例2.4%(令和4年)
納期限の翌日から 2ヶ月経過後 原則14.6%
特例8.7%(令和4年)

※1 納期限とは下記の区分に応じ下記の通りです。

■期限内申告:法定納期限
■期限後申告又は修正申告:申告書提出日
■更正又は決定:更正通知書を発した日から1ヶ月後の日

※2 計算期間の特例 期限内申告書が提出されている場合には1年を超えた期間については延滞税はかかりません。
すなわち、期限内に相続税申告書を提出して、申告期限から2年後に税務調査により財産の漏れが指摘されて修正申告をしたとしても延滞税の計算期間は1年間のみで済むのです。

ただし、本税について重加算税が課された場合には1年を超えた期間についても延滞税が課されますので注意しましょう。

延滞税の詳しい計算方法は、国税庁HPをご参照ください。

各種ペナルティの具体的な計算方法は、相続税のペナルティ 加算税、延滞税の税率と計算方法 かからないケースもあり?!をご参照ください。

贈与が税務署にバレるケース

贈与が税務署にバレる主なケースは下記の通りです。

1. 相続税申告時にバレる
2. 不動産を登記したときにバレる
3. 保険金を受けとたったときにバレる
4. 金地金等を換金したときにバレる
5. 海外送金したときにバレる
6. 通報、密告

詳しい解説は、贈与税の申告漏れ 税務署にばれる理由と怖いペナルティをご参照ください。

贈与していないのに贈与税の対象になる「みなし贈与」に要注意!

贈与したつもりがないのに贈与税の対象となるという恐ろしい制度が存在します。
それと専門用語で「みなし贈与」といいます。
民法上の贈与契約には該当しないけど税務上だけ贈与があったものとみなして贈与税を課税するという制度です。

主な「みなし贈与」は下記の通りです。

1. 自己名義でない建物にリフォームした場合
2. 低額に財産を譲り受けた場合
3. 親の借地権が子に贈与されたとみなされる場合
4. 借入金の返済を免除した場合
5. 生命保険契約で保険料負担者以外が受取人となっている場合
6. 無対価で財産の名義変更をした場合

みなし贈与の詳しい解説は、贈与してないのに贈与税の対象に!? 「みなし贈与」には要注意!をご参照ください。

まとめ

贈与税の時効は6年です。
贈与税の申告をする必要性を知っていてしなかった場合には脱税という犯罪になります。
税務署から指摘を受けてから贈与税申告をするとペナルティも重い負担となります。

それに対し自発的に申告をした場合にはペナルティも最小に抑えられますので、時効前に贈与税申告の必要性に気が付いた場合には時効を待つようなことは絶対にしないで速やかに贈与税の期限後申告をしましょう。

相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

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