贈与税の申告漏れ 税務署にばれる理由と怖いペナルティ

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名義財産・生前贈与

相続対策

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズです。

ただ(無償)で財産をもらった(贈与を受けた)場合には、もらった人(受贈者)は贈与税を納める義務があります。
ただし、すべての贈与が対象というわけではなく、年間110万円を超えた贈与を受けた人のみに贈与税がかかります。

贈与を受けたことなんて税務署にはバレないから贈与税なんて納めなくて大丈夫でしょ?
と思っていると後々大変なことになります。

贈与税の未納付がバレた時点で本来納めるべき贈与税の他に無申告加算税(又は重加算税)、延滞税といったペナルティが別途かかります。
また、税務署は様々な情報を色々な方面から得ているため贈与を受けたことを把握しているケースが多いです。

今回は、贈与税の申告漏れが税務署に把握されるタイミングと贈与税のペナルティについてわかりやすく解説していきます。

動画で知りたい人は下記YouTubeから、テキストで確認したい人はこのままスクロールして一番最後までお読みください!

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贈与税の申告漏れがばれるタイミング

贈与税の申告漏れがばれる主なタイミングは下記の通りです。

1. 相続税申告時にバレる
2. 不動産を登記したときにバレる
3. 保険金を受けとたったときにバレる
4. 金地金等を換金したときにバレる
5. 海外送金したときにバレる
6. 通報、密告

上記タイミングでなぜばれるのかを具体的に解説していきます。

1. 相続税申告時にバレる

贈与税の申告漏れが税務署に把握されるケースの最たるものが相続税申告の税務調査のときです。

相続税の税務調査では亡くなった人とその家族との資金の流れを網羅的に確認します。
亡くなった人から生前に現金や預金の資金移動があったり、亡くなった人の名義の有価証券を家族名義に変更したりした場合に税務署に贈与税の申告漏れがバレるのです。

よくあるケースが、相続税を減らそうと親名義の預金を引き出して相続人名義の預金に移したり、タンス預金にしたりしている場合です。
これはすぐにバレます。
税務署は職権で各金融機関に亡くなった人やその家族の預金履歴を提出させることができるのです。
すなわち、預金履歴データは丸裸にされているのです。

また、亡くなる前の預金の引き出しは税金以外にも遺産分割でトラブル(財産を隠したのではと他の相続人に疑われる)になる可能性もあるため避けておいたほうが良いでしょう。

亡くなる直前の預金引き出しについての詳しい解説は、死亡前後に預金を引き出した場合の相続税申告と遺産分割をご参照ください。

2. 不動産を登記したときにバレる

不動産を購入、売却、贈与等をした場合には登記をすることとなります。
この登記情報が法務局から税務署に提供されることとなっています。

例えば、父から子に土地の贈与の登記をしたとします。
その土地の評価額が110万円を超えていたのにも関わらず贈与税の申告が提出されていなかった場合に、税務署はその子に対して贈与税申告してませんよと連絡してきます。

登記原因が贈与だけでなく、売買(購入)だったとしても税務署から「お尋ね」が届いて、購入資金をどのように準備したのか等を問われます。
それが自身のお金ではなく親とかから援助してもらっていたお金だった場合には贈与税を納めるべきと言われてしますのです。

3. 保険金を受けとたったときにバレる

まず、保険金を受け取った場合にかかってくる税金について確認しておきましょう。
契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人がそれぞれ誰かによりかかってくる税金の種類が変わってきます。
税金欄は被保険者が死亡したときの課税関係となります。

契約者 被保険者 受取人 税金
子に相続税
父に所得税
子に贈与税

契約者と被保険者と受取人の三者が異なる場合(上記表の一番下のケース)で贈与税がかかります。
契約者から受取人に対する保険金相当の贈与があったものとみなされるのです。

なぜこの贈与が税務署にバレるかというと生命保険について下記の取引をした場合にはその情報が保険会社から税務署に通知されます。この通知のことを支払調書といいます。

□100万円を超える保険金を受け取った場合
□100万円を超える解約返戻金を受け取った場合
□年間20万円以上の年金を受け取った場合
□相続により契約者を変更した場合

この支払調書の制度があることから保険金等を受け取ったときの情報が税務署に筒抜けなのです。

4. 金地金等を換金したときにバレる

200万円超の金地金等を換金したときも金地金の売買業者から税務署に支払調書が提出されます。
税務署に通知される情報は下記のような情報です。

・住所
・氏名
・マイナンバー
・金地金の種類
・重量
・数量
・支払金額

詳しくは、国税庁HP 金地金等の譲渡の対価の支払調書をご参照ください。

5. 海外送金したときにバレる

100万円超のお金を海外に送金したり、海外から送金を受けたときにも金融機関から税務署に支払調書が提出されます。
海外に暮らす子に対して大金を送金する場合には注意が必要です。

税務署に通知される情報は下記のような情報です。

・国内の送金者又は受領者の氏名、名称、住所、マイナンバー
・相手国名
・口座種類、口座番号
・送金額
・送金原因

詳しくは、国税庁HP 国外送金等調書(同合計表)をご参照ください。

6. 通報、密告

誰かが税務署に脱税情報を通報することにより贈与税の申告漏れがバレるケースもあります。
税務署も第三者からの情報を積極的に受け付けています。
現に国税庁のHPでも下記の通り課税漏れに関する情報の提供を国民に促しているのです。

国税庁HP 課税・徴収漏れに関する情報の提供

申告漏れがばれたときのペナルティ

贈与税を申告期限までに申告できなかった場合、当初の申告が間違っていた場合、故意に贈与を隠していた場合には加算税、延滞税のペナルティが課税されます!
このペナルティには下記の通り、複数の種類があります。

項目 内容
無申告加算税
申告期限までに申告をせず期限後に相続税を納税した場合
過少申告加算税
当初申告の相続税が不足していて期限後に追加で納税をした場合
重加算税
仮装隠蔽行為により故意に財産を隠した場合
無申告加算税に代わるものと過少申告加算税に代わるものの二種類
延滞税
納付期限の翌日から納付した日までの日数に応じて課税される遅延利息相当

各ペナルティの税率を確認していきましょう。

なお、ペナルティの計算方法としては、期限後申告又は修正申告てに納めることとなる贈与税に以下の税率を乗じることとなります。

1.無申告加算税

無申告加算税は令和5年の税制改正により下記の通り改正されました。

期限後申告の時期 相続税額 改正前の税率
(~R5.12.31)
改正後の税率
(R6.1.1~)
税務調査通知前 税額に関わらず 5%
税務調査通知以後~
調査による更正予知前
50万円以下 10%
50万円超
300万円以下
15% 15%
300万円超 25%
調査による更正予知以後 50万円以下 15%
50万円超
300万円以下
20% 20%
300万円超 30%

※ 改正後の税率は令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。
※ 改正後においては過去に無申告加算税又は無申告重加算税を課されたことのある人は上記税率が更に10%加重されます。
※ 税務調査の詳しい解説は、【2023年最新】相続税の税務調査をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。

2.過少申告加算税の税率

修正申告の時期 税率
税務調査通知前 対象外
税務調査通知以後~
調査による更正予知前
5%
(10%)
調査による更正予知以後 10%
(15%)

※()書きは、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分の税率です。

3.重加算税の税率

重加算税は、以下の区分に応じて税率が異なります。

重加算税の種類 税率
無申告加算税
に代わる重加算税
40%
(50%)
過少申告加算税
に代わる重加算税
35%
(45%)

※()書きは、過去5年間に無申告加算税又は重加算税を課された場合の税率です。すなわち、何度も悪さをすると税率が10%加算されるのです。

4.延滞税

納付日 税率
納期限の翌日から 2ヶ月以内 原則7.3%
特例2.4%(令和4年)
納期限の翌日から 2ヶ月経過後 原則14.6%
特例8.7%(令和4年)

※1 納期限とは下記の区分に応じ下記の通りです。

■期限内申告:法定納期限
■期限後申告又は修正申告:申告書提出日
■更正又は決定:更正通知書を発した日から1ヶ月後の日

※2 計算期間の特例 期限内申告書が提出されている場合には1年を超えた期間については延滞税はかかりません。
すなわち、期限内に相続税申告書を提出して、申告期限から2年後に税務調査により財産の漏れが指摘されて修正申告をしたとしても延滞税の計算期間は1年間のみで済むのです。

ただし、本税について重加算税が課された場合には1年を超えた期間についても延滞税が課されますので注意しましょう。

延滞税の詳しい計算方法は、国税庁HPをご参照ください。

各種ペナルティの具体的な計算方法は、相続税のペナルティ 加算税、延滞税の税率と計算方法 かからないケースもあり?!をご参照ください。

贈与税の時効は6年間(故意の場合には7年)

贈与税の時効は6年となります。
すなわち、6年経過したら税務署から「贈与税を払え!」と言われることはないということです。

ただし、例外があります。
贈与税がかかることを知っていて故意に申告・納税をしなかった場合には贈与税の時効は7年に延長されます。

贈与税の時効は、その贈与税の申告期限の翌日からカウントします。

贈与税の申告期限は、贈与した年の翌年の3月15日となります。
贈与税の時効の起算日は、申告期限の翌日のため贈与した年の翌年の3月16日となります。

贈与税の時効の成立日は、申告期限の翌日の6年後の3月16日となります。

仮に令和4年10月2日に贈与をしたとしたら贈与税の申告期限の翌日は令和5年3月16日であり、その6年後の令和11年3月16日に贈与税の時効が成立します。
贈与税時効のカウント方法 故意でない場合

ちなみに、贈与税の申告すべきことを知っていて故意に申告をしていなかった場合には、時効が7年に延長されるため、令和12年3月16日が時効の成立日となります。

贈与税の時効についての詳しい解説は、贈与税の時効は6年! 申告が必要な場合には速やかに期限後申告を!をご参照ください。

贈与税がかからない方法

贈与税を回避するためには贈与税のかからない取引にすれば良いのです。
贈与税のかからない贈与はたくさんあるのですが、大きく分けると下記の5種類です。

1. 基礎控除額(110万円)以下の贈与
2. 扶養義務者からの生活費、教育費で通常必要と認められるものの贈与
3. 香典、花輪代、祝い金、見舞金等で社会通念上相当と認められるものの贈与
4. 法人からの贈与
5. 贈与税の特例を活用した贈与

詳しい解説は、贈与税がかからない方法5選! 非課税贈与を完全解説をご参照ください。

贈与してないのに贈与税の対象に!「みなし贈与」に注意

贈与税には落とし穴があって、当事者が贈与したつもりもないのに贈与税がかかるケースです。
すなわち、民法上の贈与には該当しないのに税金上は贈与とみなして贈与税をかけるという制度があるのです。
これを「みなし贈与」といいます。

みなし贈与の詳しい解説は、贈与してないのに贈与税の対象に!? 「みなし贈与」には要注意!をご参照ください。

まとめ

贈与税の申告が必要だと知っていて申告をしないと税務署にバレます!
バレて期限後に申告をすると本来納めるべき贈与税とは別に多額のペナルティがかかってきます。
すなわち、贈与税を納めないと結果的に損をしてしまうのです。

贈与税は、贈与を受けた年の翌年の3月15日が期限です。所得税の確定申告の期限と同じです。
忘れないように自主的に贈与税申告、納付をしましょう。

贈与税の申告漏れ 税務署にばれる理由と怖いペナルティの写真

この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

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