国際相続スケジュール|発生から申告まで時系列で解説
・国際相続は国内相続の2~3倍の時間がかかる(プロベートで1~2年)
・相続税申告期限10か月は変わらないので、初動が重要
・3か月以内:相続放棄判断、7か月以内:海外手続き開始、10か月:申告
・海外書類の取得は2~3か月を見込む
・専門家(税理士・現地弁護士)には相続発生後すぐに相談
「海外に財産があるのですが、相続手続きはどのくらいかかりますか?」
国際相続は、国内相続の2~3倍の時間がかかります。
プロベートが必要な国では、手続き完了まで1~2年程度かかることもあります。
さらに、書類の翻訳や認証にも数か月かかることがあります。
一方で、日本の相続税申告期限は10か月のままです。
今回は、国際相続の全体スケジュールを解説し、いつまでに何をすべきかを明確にします。
目次
国際相続のタイムライン概要
全体スケジュール
| 時期 | やるべきこと |
| 相続発生直後 | 死亡届提出、葬儀、専門家への相談 |
| ~1か月 | 相続人・財産の把握、海外財産の確認 |
| ~3か月 | 相続放棄の判断、限定承認の検討 |
| ~4か月 | 準確定申告(所得税) |
| ~7か月 | 遺産分割協議、海外手続き開始 |
| ~10か月 | 相続税申告・納付 |
| 10か月以降 | 海外プロベート継続、名義変更完了 |
国内相続との違い
国際相続では、10か月以内に海外の手続きが完了しないことが多いです。
その場合、相続税申告は「海外の財産については未分割申告」として行い、後日「更正の請求」又は「修正申告」をすることになります。
相続発生直後(~2週間)
死亡届の提出
被相続人が日本で亡くなった場合、7日以内に市区町村に死亡届を提出します。
海外で亡くなった場合は、現地当局への届出が必要です。また、日本の在外公館に死亡届を提出することもできます。
専門家への相談
国際相続に詳しい税理士に、できるだけ早く相談しましょう。
相続発生後1~2週間以内に相談することで、全体のスケジュールを把握し、適切な対策を講じることができます。
「国際相続に強い税理士・弁護士の選び方【失敗しない5つのポイント】」も参考にしてください。
海外財産の有無の確認
海外に財産があるかどうか、被相続人の書類やメールを確認します。
・パスポート(渡航履歴)
・銀行からの郵便物
・不動産関係書類
・証券会社からの報告書
1か月以内
相続人の確定
戸籍謄本を収集し、法定相続人を確定します。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。
「相続人は戸籍で確認を!相続人を確定するためのマニュアル」をご覧ください。
海外財産の詳細把握
海外の金融機関に連絡し、残高証明の取得方法を確認します。金融機関によっては、死亡証明書やプロベート書類などが必要となり、すぐに取得できない場合もあります。
この段階では口座が凍結されることもあるため、注意が必要です。
現地弁護士への連絡
プロベートが必要な国に財産がある場合、現地の弁護士に早めにコンタクトを取ります。
弁護士の選定に時間がかかることもあるため、紹介を受けるなど準備を始めましょう。
3か月以内
相続放棄の判断
相続放棄の期限は、相続開始を知った日から3か月以内です。
海外財産の調査が完了していない段階でも、期限は待ってくれません。
債務超過の可能性がある場合は、期限の伸長を家庭裁判所に申し立てることも検討します。
「【相続放棄の期限は3か月】期限の延長方法についても詳しく解説!」をご参照ください。
限定承認の検討
海外財産の価値や債務が不明確な場合、限定承認も選択肢となります。
「限定承認をした場合の準確定申告や相続税について徹底解説」をご覧ください。
4か月以内
準確定申告
被相続人に所得があった場合、相続開始から4か月以内に準確定申告が必要です。
海外で所得があった場合は、その所得も含めて申告します。
海外書類の翻訳・認証
海外に提出する日本の書類(戸籍謄本等)の翻訳と認証を進めます。
・アポスティーユの取得(外務省)
・現地語への翻訳
・翻訳の認証
「相続でアポスティーユが必要な場合の取得方法を完全解説」をご参照ください。
7か月以内
遺産分割協議
相続人全員で遺産分割協議を行います。
海外在住の相続人がいる場合は、オンライン会議を活用します。
「遺産分割協議書の書き方 注意点も含めてわかりやすく徹底解説!」をご覧ください。
海外プロベートの申請
プロベートが必要な国では、このタイミングで裁判所に申請します。
1. 必要書類の準備(1~2か月)
2. 裁判所への申請
3. 公告期間(2週間~1か月)
4. 審理・決定(1~3か月)
5. 遺産管理人証明書の発行
プロベート完了までの期間は国によって異なります。「プロベートとは?国別の費用・期間・手続きを徹底比較」をご覧ください。
相続税の試算
判明している財産をもとに、相続税の試算を行います。
納税資金の準備も進めましょう。
10か月以内
相続税申告書の提出
相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
海外財産の評価が確定していない場合でも、申告期限は延長されません。
未分割申告
海外のプロベートが完了せず、遺産分割が確定していない場合、「未分割申告」を行います。
未分割申告では、法定相続分で取得したものとして相続税を計算します。
後日、プロベートが完了して遺産分割が確定したら、「更正の請求」または「修正申告」で調整します。
「【相続税】申告期限までに遺産分割が決まらない場合の未分割申告」をご参照ください。
相続税の納付
相続税は申告期限までに納付する必要があります。
海外の財産が凍結されている場合、日本国内の資金で納付するか、延納を検討します。
10か月以降
海外プロベートの継続
多くの国では、プロベート完了までに1~2年かかります。
引き続き、現地弁護士と連携して手続きを進めます。
名義変更・口座解約
プロベートが完了したら、不動産の名義変更や銀行口座の解約を行います。
「海外銀行口座の相続解約で失敗しない!5つの落とし穴と対策」も参考にしてください。
更正の請求又は修正申告
未分割申告をした場合、プロベート完了後に更正の請求又は修正申告を行い、正しい税額に修正します。
「国税通則法23条1項の更正の請求(通常の更正の請求)をわかりやすく解説」をご覧ください。
国別の手続き期間目安
| 国 | プロベート期間 | 費用目安 |
| アメリカ | 6か月~2年 | 50万~200万円 |
| イギリス | 6か月~1年 | 50万~150万円 |
| オーストラリア | 6か月~1年半 | 100万~200万円 |
| 香港 | 6か月~1年 | 50万~100万円 |
| シンガポール | 3か月~1年 | 30万~100万円 |
よくある質問
Q1. 相続税申告期限に間に合わないとどうなりますか?
無申告加算税(15~20%)と延滞税が課されます。ただし、期限までに申告する意思があり、一定の要件を満たせば、期限後申告でも加算税が軽減される場合があります。いずれにしても、期限内申告を目指しましょう。
Q2. 海外のプロベートが終わらないと、日本の相続税は確定しないのですか?
いいえ、日本の相続税申告は、海外のプロベートの完了を待たずに行う必要があります。未分割申告として申告し、後日プロベートが完了したら更正の請求で修正します。
Q3. 海外に財産があるかどうかわかりません。どうやって調べればいいですか?
被相続人の書類(パスポート、郵便物、メール等)を確認します。また、CRS情報により海外口座は税務署に把握されている可能性があるため、税務調査で判明することもあります。専門家に相談しながら調査を進めることをお勧めします。
Q4. 相続税申告は、海外の手続きが終わってから行ってもいいですか?
いいえ、申告期限(10か月)は厳守です。海外の手続きが終わっていなくても、判明している財産で申告する必要があります。後日、修正申告や更正の請求で調整します。
Q5. すべての手続きを税理士に任せることはできますか?
日本の相続税申告は税理士に委任できます。ただし、海外の手続き(プロベート、銀行口座解約等)は現地の弁護士に依頼する必要があります。当事務所では、現地弁護士との連携もサポートしております。
まとめ:初動の速さが国際相続の成否を分ける
国際相続は時間との戦いです。
□ 相続発生後すぐに専門家に相談
□ 3か月以内に相続放棄を判断
□ 4か月以内に準確定申告
□ 7か月までに海外手続きを開始
□ 10か月以内に相続税申告(未分割でも)
□ プロベートは10か月以降も継続
当事務所では、国際相続の全体スケジュール管理を含めてサポートしております。
海外財産がある相続でお困りの方は、お早めにご相談ください。
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