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相続税申告 更新日:

相続税の申告手続きを自分で行う方法・手順を解説【税理士に頼んだ方が良いケースも】


相続財産の総額が、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合には、相続税の申告が必要となります。

相続税の申告が必要になった場合、「相続税申告を自分でやるべきか、それとも税理士に頼むべきか」と迷うケースも多いと思います。

そこで、この記事では、相続税申告を自分で手続きすべきかどうかの判断基準、自分で手続きした場合のメリット、デメリット、自分で手続きする場合の手順などについて解説します。参考になれば幸いです。

相続税の申告手続きを自分でするか、税理士に依頼するかの判断基準

直近のデータである平成29年の相続税が課税された件数は、11万2,000件です。29年の死亡者数が134万人であるため、課税割合は、8.3%となります。

この相続税申告をした11万2,000件のうち、税理士に依頼された件数はどの程度なのでしょうか。財務省から公表された相続税申告にかかる税理士関与割合は、84%でした。

所得税の税理士関与割合は20%であることを考えると、相続税申告は税理士に依頼するケースが非常に多いことがわかると思います。

以下で、「どのような案件が税理士に頼まなくても良いものなのか」ということを具体的なケースを列挙します。

自分で申告するのに向いているケース

自分でやるのに向いている案件は、下記の要件を満たすような場合に限ります。

  1. 相続人が1人の場合
  2. 小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減などの各種特例により相続税がゼロになる場合
  3. 名義預金や生前贈与など、過去に被相続人と親族の間で資金移動などがない場合
  4. 相続人間で争いになることが絶対にない場合

①相続人が1人の場合

相続人が一人の場合には、仮に申告を間違えたとしても、他の相続人がいないため誰にも迷惑をかけることはありません。

これに対し、相続人が複数の場合には、慣れない相続税申告で仮に間違えてしまった場合、他の相続人に迷惑をかけるので税理士に頼んだ方が良いでしょう。

②小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減などの各種特例により相続税がゼロになる場合

特例を使って、相続税がゼロになるようなケースは税理士に頼まずに、自分で申告しても大きなリスクはないと思います。

一方、納税が発生するような案件は、税理士に頼んで少しでも相続税を下げてもらったほうがいいでしょう。

相続税に詳しくない人が自分で申告をしてしまうと、税理士報酬以上に過大に申告して逆に損をしてしまうこともあるからです。

③名義預金や生前贈与など過去に被相続人と親族の間で資金移動などがない場合

名義預金や生前贈与がある、または、あるかもしれないという案件は、自分で相続税申告をすることはやめておいたほうが良いでしょう。

数年後の税務調査で税務署から指摘をされて数十万円、数百万円もの余計な税金がかかることもあるためです。

名義預金や生前贈与がある場合には、最初から税理士に頼んで税務署に指摘されない申告書を作ってもらいましょう。

④相続人間で争いになることが絶対にない場合

相続人間で争いになる恐れがあるような案件は自分でやらずに、公明正大な第三者である専門家に依頼した方が良いです。

争いになっている、又は争いになりそうな案件で、相続人の1人が財産目録を作ろうものなら他の相続人が財産を隠しているのではないかと疑われたりしますので、第三者を入れたほうがスムーズに終わらせることができます。

税理士に頼んだ方が良いケース

税理士に頼んだ方が良いケースは、上の「自分で申告しても良いケース」以外のすべてです。

  • 相続人が複数人いる場合
  • 相続税が発生する場合
  • 名義預金や生前贈与がある場合
  • 相続人間で争う可能性がある場合

上記に該当しない場合でも、下記ケースに当てはまる場合は、税理士に頼んだ方が良いでしょう。

相続税の基礎知識がない場合

相続税は所得税のような毎年計算する税目と異なり、一生に1回や2回程度しか計算する機会がありません。

また、他の税金に比べて計算が非常にややこしいです。

したがって、ある程度相続税の素養がないと正確な申告書は作れないでしょう。亡くなってから10ヶ月というのは長いようであっという間です。自分で相続税の手続きをしようとしている人は、相続が発生する前から相続税の勉強をしておいた方がいいでしょう。

平日昼間に時間が取れない場合

相続税の申告手続きは、資料収集や相談する窓口が平日昼間にしか開いていない機関が多いです。

たとえば、残高証明書は銀行で取得するものですが、銀行は平日夜間や土日はやっていません。

また、資料を揃えて、いざ財産の評価をしようとした時に、疑問が生じたとします。土地の評価などは非常にややこしいので、建築指導課や都市計画課などの役所に確認しないといけないことも出てきます。この役所は平日昼間しかやっていません。

さらに、相続税の申告書を作成する上で税務署に確認したいことも必ず出てくるかと思いますが、税務署もも平日のみの営業です。

このように、自分で相続税申告書を作成する場合には、何日も潰すことになりますので、平日昼間に動けるということが必須となります。

相続税の申告手続きを自分で行うメリットとデメリット

相続税の申告手続きを自分で行うにあたっては、メリットよりもデメリットの方が上回ります。

そこで、以下ではデメリットを中心に紹介したいと思います。

相続税の申告手続きを自分で行うメリット

相続税申告を自分で行うメリットは、「税理士報酬がかからないこと」です。

税理士報酬は、数十万円以上かかることが一般的ですので、そのコストが浮くことは大きなメリットとなります。

相続税の申告手続きを自分で行うデメリット

相続税の申告手続きを自分で行うデメリットは、大きく分けて以下の4つです。

  • 相続税を過大に申告してしまうケースがある
  • 時間と手間がかかる
  • 税務調査に入られる確率が高くなる
  • 過少申告の場合には後日税務調査でペナルティもかかる

相続税を過大に申告してしまうケースがある

相続税の申告にあたっては、土地の評価など数多くの減額ポイントがあります。減額ポイントを見逃すことで、過大に相続税を納めることになってしまいます。

また、自分で相続税を申告する場合には、税務署に相談しながら進めると思います。

しかし、税務署の職員は納税者が有利になるようなアドバイスはしないことが一般的です。したがって、税理士が作成した申告書に比べて過大申告となるケースが多いでしょう。

時間と手間がかかる

相続税申告は、毎年の所得税申告のように慣れた作業ではないため、多くの時間が取られます。また、平日に戸籍を取りに行ったり、金融機関に残高証明書取りに行ったりと平日動けない相続人には難しいでしょう。

また、土地の評価などは難しく、概要を調べたり、資料を取得したりするだけでも時間がかかります。その時間で本業の収入を減らすくらいならば、税理士報酬を払った方が安いこともあります。

税務調査に入られる確率が高くなる

相続税申告書を提出した後、税務署で税務調査に入るかどうかの選定が行われます。

一般的には、税理士が作成した申告書と納税者自身が作成した申告書では、納税者自身が作成した申告書に税務調査に入られることが多いとされています。

過少申告の場合には後日税務調査でペナルティもかかる

税理士に依頼して書面添付制度で申告した場合において、意見聴取の後、税務調査前に修正申告をしたときは、過少申告加算税や重加算税はかかりません。

納税者自身で申告した場合には、書面添付制度を適用することができませんので、間違えていた場合には税務調査に入られ、過少申告加算税や重加算税がかかることとなります。

相続税の申告手続きを自分で行う場合の手順

これまでの説明を確認した上で、自分で相続税申告を行う場合の手順を簡単に説明していきます。

なお、相続税の申告が必要ないケースもあるので、「相続税の申告が必要かどうかを判断する方法と、相続税がかからないケースを解説」で、そもそも相続税の申告が必要なのかどうかを確認しておきましょう。

参考:No.4202 相続税の申告のために必要な準備(国税庁)

①税務署に行き、相続税の申告に必要な書類や手続きの流れを確認する

所轄の税務署(亡くなった人が住んでいた地域を管轄する税務署)又は、最寄りの税務署に出向いて申告書の雛形や相続税申告の手引きを入手します。

相続税申告の手引きに必要資料、計算方法等が記載されているため、そちらに基づき計算していきましょう。

参考:相続税の仕組みの分かりやすい解説「相続税のあらまし」・「相続税の申告要否の簡易判定シート」(国税庁)

②相続税の申告に必要な書類を揃える

相続税申告に必要となる資料は、戸籍、残高証明、不動産評価に関する資料等です。それぞれの取得先は、下記の通りです。

  • 戸籍:市区町村役場
  • 残高証明:銀行、証券会社等
  • 路線価:インターネット(国税庁HP
  • 全部事項証明書・公図・地積測量図:法務局
  • 固定資産税評価証明書:市区町村役場(固定資産税課)
  • 生命保険:生命保険会社
  • その他:葬儀費用の領収書、ゴルフ会員権、書画骨董などはその写真などを申告書に添付します。評価の必要な物は亡くなった時点の時価を調べてその資料も添付しましょう。

※相続税の申告に必要な書類は、「相続税申告の必要書類・添付書類まとめ|集めるのに必要な期間もあわせて解説」に詳しく記載しています。

③相続財産の評価を行う

資料を収集したら、いよいよ財産評価です。

下記の財産評価基本通達に基づき、それぞれの財産を評価していきます。

財産評価|国税庁

この作業が相続税申告で一番難しく、一番時間のかかる工程となります。

④遺産分割協議、相続税申告書の作成

財産評価が完成し、財産目録が出来上がったら遺産分割協議をします。

遺産分割協議が無事完了したら、遺産分割協議書と相続税申告書を作成します。

⑤税務署に申告書を提出し、納税する

最後の工程として、作成した各種書類をまとめて税務署に提出します。

提出先の税務署は、亡くなった人が住んでいた地域を管轄する税務署となります。

同時に納税も済ませます。税務署で納税することもできますし、金融機関で納税することも可能です。

相続税の申告手続きに少しでも迷ったら、まずは税理士に相談することをおすすめします

今回は、「相続税申告を自分でやるべきか、税理士に頼むべきか」というトピックについて解説してきました。

相続税の申告手続きを自分ですべきかどうかの判断基準としては、相続税が発生しない場合や相続人が一人の場合などが基準となります。

相続税の申告手続きを自分で行うメリットは、税理士報酬がかからないこと、デメリットは、税理士報酬以上の過大な納税の可能性や税務調査に入られる可能性が高くなることなどでしょう。

相続の手続きは申告だけでなく、相続財産の分割などのその他の手続きもあり、考えることが非常に多いです。「気づいたら期限を過ぎてしまった」という事態を避けるために、よく調べて申告手続きに臨みましょう。

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