現役サラリーマン(給与所得者)が亡くなった場合の相続税申告
みなさん、こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズの角田です。
病気や事故で現役のサラリーマンが亡くなってしまうこともあります。
退職金や生命保険が多額にあり相続税の基礎控除(3,000万円+600万円✕法定相続人の数)を超えてしまい相続税申告が必要になるケースも多々あります。
なお、相続税申告が必要かどうかで重要となる基礎控除の詳しい説明は、相続税の基礎控除と法定相続人(法定相続分)をわかりやすく徹底解説!を参照してください。
このコラムは、
「現役サラリーマンである夫の相続税申告をしようとしているのだけど、どれが相続税の対象となるかがわからない」
「普通のサラリーマンだった夫には相続税がかからないと思うけど本当に大丈夫かしら」
「現役サラリーマンが被相続人の相続税申告の依頼を受けた税理士だけど論点が漏れてないか心配だ」
というような悩みを持っている方におすすめです。
今回は、現役のサラリーマンが亡くなった場合の相続税申告について頻出する論点をまとめます。
目次
現役サラリーマンが亡くなった場合の相続税申告の頻出論点
現役サラリーマンの相続税申告で頻出する主な論点は下記の通りです。
■死亡退職金
■各種年金
■弔慰金、見舞金、花輪代
■香典
■生命保険金
■学資保険、育英年金
■未収給与
■勤務先の株式(持株会)
■車両
■名義預金
■住宅ローン
■未成年者控除
論点ごとの詳細解説
■死亡退職金
現役サラリーマンが亡くなった場合には死亡退職金が支給されます。
死亡退職金は受取人の固有財産となり遺産ではありませんが、相続税上は遺産とみなして相続税が課税されます。
遺産とみなすことからみなし相続財産と呼ばれます。
死亡退職金は生命保険金同様に下記の非課税枠が用意されています。
死亡退職金の詳しい説明は、死亡退職金が支給された場合の相続税申告をわかりやすく徹底解説を参照してください。
■各種年金
厚生年金、厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金等、日本の年金制度は非常に複雑です。
年金の種類ごと(公的年金、企業年金、個人年金)に解説していきます。
(1)公的年金
公的年金とは、法律により国が管理運営している支払われる年金のことをいいます。
具体的には、国民年金、厚生年金、共済年金等です。
公的年金で遺族が受け取る遺族年金や遺族一時金は相続税も所得税も非課税となります。
(2)企業年金
企業年金とは、公的年金を補うためや退職金の負担軽減の目的で会社が従業員の福利厚生の一環で加入する年金のことをいいます。
具体的には、厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金等です。
企業年金で遺族が受け取る遺族年金や遺族一時金の相続税の課税関係と評価方法は下記の通りです。
年金の種類や受け取るタイミングや死亡時期によって課税関係や評価方法が異なるので注意が必要です。
企業年金の種類 | 遺族給付の種類 | 死亡 時期 |
受取 時期 |
相続税の 課税関係 |
評価方法 |
厚生年金基金 | 遺族一時金 遺族年金 |
加入中 待機中 受給中 |
課税関係に 影響なし |
非課税 ※1 |
- |
確定給付 企業年金 |
遺族一時金 | 加入中 繰下中 待機中 |
死亡退職金※2 非課税枠適用可 |
一時金額 | |
受給中 | 契約に基づかない定期金権利※3 非課税枠適用不可 |
||||
遺族年金 | 加入中 繰下中 待機中 |
死亡退職金※2 非課税枠適用可 |
定期金の評価 ※4 |
||
受給中 | 契約に基づかない定期金権利※3 非課税枠適用不可 |
||||
企業型 確定拠出年金 (企業型DC) |
死亡一時金 ※5 |
課税関係に 影響なし※6 |
死亡後 3年以内 |
死亡退職金※2 非課税枠適用可 |
一時金額 |
死亡後 3年~5年 |
非課税 ※7 |
- | |||
死亡後 5年経過後 |
本来の 相続財産 ※8 |
口座内の財産ごとに 財産評価基本通達にて評価 |
※1 厚生年金保険法第41条
※2 相続税法第3条1項2号
※3 相続税法第3条1項6号
※4 相続税法第24条
※5 企業型確定拠出年金の遺族給付は年金形式で受け取ることはできません。
※6 厚生年金基金、確定給付企業年金にある繰上げ・繰下げ受給の仕組みはなく、受給権者が60歳から75歳に達するまでの期間内で受給開始時期を選択することになります。
また、厚生年金基金、確定給付企業年金のように被相続人が確定拠出年金を受給前でも受給中でも課税関係には影響ありません。
※7 遺族の所得税(一時所得)の対象となります。
※8 確定拠出年金の死亡一時金は、死亡後5年以内は遺族の固有財産(確定拠出年金法第41条に定める「遺族」がいない場合には死亡後5年間は受け取ることができない)となり、死亡後5年経過後は被相続人の本来の相続財産となります。
なお、5年経過後に本来の相続財産として相続人が口座内の財産を受け取ったとしても相続税の除斥期間が経過している場合には相続税の修正申告や期限後申告は不要と考えます。(私見ですが。。。)
所得税についても念のため確認しておきます。
厚生年金基金、確定給付企業年金の遺族一時金、遺族年金については所得税は非課税です。
企業型確定拠出年金の死亡一時金については死亡後3年~5年の間に受け取った場合には、遺族の一時所得として所得税の課税対象となります。
(3)個人年金
個人年金とは、公的年金や企業年金では老後の資金が心配だと考える人が個人の自由意志で加入する年金をいいます。
具体的には、国民年金基金、個人型確定拠出年金(iDeCo)、民間の個人年金等です。
個人年金で遺族が受け取る遺族年金や遺族一時金の相続税の課税関係と評価方法は下記の通りです。
年金の種類や受け取るタイミングや死亡時期によって課税関係や評価方法が異なるので注意が必要です。
個人年金の種類 | 遺族給付の種類 | 死亡 時期 |
受取 時期 |
相続税の 課税関係 |
評価方法 |
国民年金基金 | 遺族一時金 ※1 |
年金受給前
年金受給後 |
課税関係に 影響なし |
非課税 ※2 |
- |
個人型 確定拠出年金 (iDeCo) |
死亡一時金 ※3 |
課税関係に 影響なし |
死亡後 3年以内 |
死亡退職金※4 非課税枠適用可 |
一時金額 |
死亡後 3年~5年 |
非課税 ※5 |
- | |||
死亡後 5年経過後 |
本来の 相続財産※6 |
口座内の財産ごとに 財産評価基本通達にて評価 |
|||
民間の 個人年金※7 |
死亡一時金 | 年金支払 開始前 |
課税関係に 影響なし |
死亡保険金※8 非課税枠適用可 |
一時金額 |
年金支払 開始後 |
定期金権利※9 非課税枠適用不可 |
||||
後継年金 | 年金支払 開始前 |
死亡保険金※8 非課税枠適用可 |
定期金の評価 ※10 |
||
年金支払 開始後 |
定期金権利※9 非課税枠適用不可 |
※1 国民年金基金の遺族給付は年金形式で受け取ることはできません。
※2 国民年金法第25条、第133条
※3 個人型確定拠出年金の遺族給付は年金形式で受け取ることはできません。
※4 相続税法第3条1項2号
※5 遺族の所得税(一時所得)の対象となります。
※6 確定拠出年金の死亡一時金は、死亡後5年以内は遺族の固有財産(確定拠出年金法第41条に定める「遺族」がいない場合には死亡後5年間は受け取ることができない)となり、死亡後5年経過後は被相続人の本来の相続財産となります。
なお、5年経過後に本来の相続財産として相続人が口座内の財産を受け取ったとしても相続税の除斥期間が経過している場合には相続税の修正申告や期限後申告は不要と考えます。(私見ですが。。。)
※7 民間の個人年金とは、生命保険会社や損害保険会社が販売する年金保険等のことをいいます。
※8 相続税法第3条1項1号
※9 相続税法第3条1項5号
※10 相続税法第24条
■弔慰金、見舞金、花輪代
弔慰金、見舞金、花輪代(弔慰金等)とは、遺族に対し勤務先企業から支払われる金銭等です。
勤務先企業の慶弔見舞金規程等に定められています。
香典と似ていますが香典は葬儀に参列した者から喪主に支払われる金銭です。
相続税上、弔慰金も下記金額まで課税されません。
■被相続人死亡が業務上の死亡ではない場合:死亡当時の普通月額給与の半年分
弔慰金の詳しい説明は、死亡退職金が支給された場合の相続税申告をわかりやすく徹底解説を参照してください。
■香典
香典とは、死者の霊前にそなえる香に代わる金銭でことで葬儀の参拝者が喪主に対して支払われる金銭をいいます。
勤務先企業から香典をもらうこともあります。
この香典は相続税の対象とはなりませんのでご安心ください。
■生命保険金
現役サラリーマンが亡くなった場合には生命保険が契約されていることが多いです。
亡くなったあとの家族の生活を保障するために多額の死亡保険金が下りるケースが多いです。
死亡退職金同様、生命保険金にも下記非課税枠が用意されています。
生命保険金の詳しい説明は、下記コラムをご参照ください。
相続税申告と生命保険の関係をわかりやすく解説します
相続税における生命保険金(死亡保険金)と保険金受取人の関係を徹底解説
相続税が非課税になる生命保険金(死亡保険金)と一緒に振り込まれるもの
契約者と保険料負担者が異なる保険契約(名義保険)の徹底解説!
■学資保険、育英年金
学資保険とは、子供の教育資金などのを準備するための保険で入学等の都度祝い金が受け取れるという側面もあります。
学資保険の契約関係は、契約者が親、被保険者が子供となるケースがほとんどでしょう。
契約者である親が亡くなった場合には、死亡時に解約した場合の解約返戻金相当額が相続税の対象となります。
また、育英年金(養育年金)が付帯されているような保険の場合には、その年金を定期金に関する権利として評価する必要もあります。
育英年金の詳しい課税関係は、国税庁HP 質疑応答事例 年金支給による退職金の評価及び遺族年金をご参照ください。
育英年金によっては、被保険者である子が学校を退学したり、残された母が再婚して、その夫と子が養子縁組したり等の事由が生じた場合に、年金を打ち切る等の取り決めがあることもあります。
そのような場合であっても相続開始時点ではその停止条件が不確定であるため満期まで年金をもらえたものとして有期定期金の定めにより評価します。
■未収給与
亡くなった後に支払われた給与については未収金として本来の相続財産を構成します。
なお、亡くなる前に支給期(支払日)が到来している給与については、被相続人の所得税の対象にも含める必要がございますので注意が必要です。
詳しくは、国税庁HP 質疑応答事例 死亡後に支給期が到来する給与をご参照ください。
なお、支給期とは給与の締日ではなく支払日なので支給期と支払日がずれるっていうのは実務上あまりありえないと思いますので質疑応答事例の(3)のケースはレアケースかなと思います。
死亡後に支給された給与等にかかる税金の取り扱いの詳しい解説は、死亡後に支給された給与、賞与の相続税、所得税の取り扱いをご参照ください。
■勤務先の株式(持株会)
勤務先の株式を持株会を通じて保有しているケースがあります。
この場合にも通常の上場株式と同様に評価します。
上場株式の評価は、下記株価のうち一番最安値の株価に保有株数を乗じて算出します。
上場株式については、下記のいずれか低い株価を採用することができます。
・相続開始日の月の終値の平均額
・相続開始日の前月の終値の平均額
・相続開始日の前々月の終値の平均額
上場株式の詳しい説明は、相続税申告 上場株式、債券、投資信託、ゴルフ会員権等の評価方法と調査方法をご参照ください。
なお、勤務先が非上場会社の場合には、持株会に保管してある株式は配当還元方式又は持株会規約に定められている持株会が遺族から買い取る場合の買取価格(通常は購入価格)により評価することになるかと思います。
配当還元方式の詳しい説明は、非上場株式の相続税評価 配当還元方式とは!?をご参照ください。
■車両
現役サラリーマンは車両を保有しているケースが多いです。
車両、すなわち、自家用車については、相続開始時点における中古車販売業者の買取価格で評価します。
下記のようなサイトで車種、グレード、年式、走行距離等が一致している車両の買取価格の平均値で評価すれば良いでしょう。
中古車販売業者の買取価格相場
車両の相続税評価の詳しい解説は、自動車(車両)の相続税評価を徹底解説をご参照下さい。
■名義預金
現役サラリーマンに限った話ではありませんが、妻名義等の預貯金について名義預金に該当した場合にはその名義預金を相続財産に計上しなければなりません。
名義預金の詳しい解説は、下記コラムをご参照ください。
【相続税申告】 名義預金をわかりやすく徹底解説!
名義預金の計算方法 専業主婦の場合
名義預金の計算方法 共働き夫婦の場合
■住宅ローン
現役サラリーマンは住宅ローンの残債があるケースが多いです。
住宅ローンの残債がある場合には、その借入金の残高について相続財産からマイナスすることができます。
これを債務控除といいます。
債務控除の詳しい解説は、【相続税申告】債務控除一覧:注意点を含めて解説!をご参照ください。
ただし、団信(団体信用生命保険)がかけられている住宅ローンについては、死亡により住宅ローンの残債が消滅しますので債務控除はできません。
■未成年者控除
現役サラリーマンが亡くなった場合には子供が未成年者であるケースも多いです。
子供が未成年の場合には、特別代理人の選定や相続税の未成年者控除など留意すべき事項が多々あります。
詳しくは、相続税の未成年者控除をわかりやすく徹底解説をご参照ください。
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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。
また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。
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