相続税の税務調査に入られやすいケース8選とその対策を徹底解説!
相続税の税務調査に入られやすい案件の共通点はあるのでしょうか?
結論から申し上げると、「共通点はあります!」
調査に入られやすい案件の共通点は下記となります。
2. 税理士に相続税申告を頼まず自分で申告
3. 申告義務があるのに無申告
4. 生前の入出金が多い
5. 生前の収入の比べ申告財産が少ない
6. 家族名義の財産が多い
7. 海外の財産が多い
8. 亡くなる前に多額に借り入れをして不動産を購入している
上記共通点の全てを満たしたら税務調査に入られやすいということではなく、
一つでも当てはまったら税務調査に入られやすいということになります。
今回は、税務調査に入られやすい案件の共通点の説明と調査にはいられないための対策をわかりやすく徹底解説します。
動画で知りたい人は下記YouTubeから、テキストで確認したい人はこのままスクロールして一番最後までお読みください!
目次
1. 遺産規模が大きい
遺産の規模が大きければ大きいほど税務調査に入られる割合は高くなります。
相続税の税務調査率は12%前後となっていますが、これは遺産規模に関係なくすべての申告の平均値です。
令和3年12月に国税庁から公表された相続税の税務調査等のデータに基づき、遺産規模ごとの調査割合を確認すると、
5,000万未満の遺産規模の案件は、申告件数が79,609件ありましたが、調査に発展した件数は324件であり、その調査割合は0.4%とほとんどの案件で調査が省略されています。
これに対し、
5億円以上の遺産規模の案件は、、申告件数が4,142件ありましたが、調査に発展した件数は1,569件であり、その調査割合は37.9%とかなり高い割合で調査に入られています。
遺産規模 | 税務調査率 |
5,000万円未満 | 0.4% |
5億円以上 | 37.9% |
このデータを確認しただけでも遺産の規模で税務調査率が大幅に異なることがわかると思います。
税務署も課税漏れを効率的に発見したいので、「大きい案件は財産が漏れている可能性が高い」ということで税務調査率も高くなる傾向にあります。
2. 税理士に相続税申告を頼まず自分で申告
相続税申告を税理士に頼まずに自身で申告すると税務調査に入られる可能性が高くなると言われています。
相続税申告を税理士に依頼する割合は、86.1%(令和2年度財務省データ)です。
所得税の確定申告を税理士に依頼する割合は21.1%であることを考えると、相続税申告は税理士に依頼するケースが非常に多いことがわかると思います。
所得税のように毎年計算するものとは異なり相続税申告は一生に1回経験するかどうかの申告のため税理士に頼まないで自身でやってしまうとミスが出やすいです。
税務署もその辺を理解しているため相続税申告書に税理士のサインがないものを優先的に調査しようとしているのだと考えます。
また、相続税申告を税理士に頼んでいない割合が13.9%と少数派であるため逆に目立ってしまうという理由もあります。
相続税申告を自分でやるか、税理士に頼むかを判断するための詳しい解説は、相続税申告は自分でできる? 自分で申告した場合のメリットとデメリットをご参照下さい。
3. 申告義務があるのに無申告
税務署は最近、相続税の無申告事案の調査を強化しています。
相続税はすべての人にかかる税金ではなく亡くなった人の約8%の人のみにかかる税金です。
なぜ、8%の人にしかかからないかというと、相続税には、基礎控除という非課税枠があるためです。
基礎控除は、「3,000万円+600万円✕法定相続人の数」で計算します。
亡くなった人の遺産が上記の計算式以下であれば相続税申告の必要はないのです。
自身が基礎控除以下だと思い込んでいたのだけども実は基礎控除を超えていたとして税務調査に入られることがあるのです。
基礎控除の詳しい解説は、相続税の基礎控除 相続税はいくらまでなら無税なのか をご参照下さい。
なお、遺産の把握で一番漏れやすいのが名義預金です。
名義預金とは、亡くなった人名義の預金ではなく、その人の配偶者や子名義の預金だけど亡くなった人の財産としてカウントすべき預金をいいます。
すなわち、相続税は名義に関係なく実質的な所有者が誰かという観点で財産を把握する税金なのです。
名義預金の詳しい解説は、名義預金とは?税務調査で指摘されないために意義と対策を徹底解説をご参照下さい。
基礎控除を超えるかどうか不安な場合には是非トゥモローズまでご相談下さい。
相続専門の税理士が丁寧に相続税申告の必要可否をご相談いたします。
4. 生前の入出金が多い
税務署は職権で亡くなった人やその親族名義の預金口座の取引履歴を確認することが出来ます。
亡くなった人の口座の入出金が多い場合には財産が漏れている可能性が高くなるため税務調査に入られやすくなります。
特に注意すべきは亡くなった人の預金口座の出金です。
亡くなった人の口座から多額の出金が定期的にある場合でその出金に対応する財産が相続税申告書に反映されていない場合には高い確率で税務調査に入られるでしょう。
もちろん、多額の出金があってもそれに対応する「手許現金」や相続人に対する「預け金」、「生前贈与」等として別の財産が計上されていれば問題ありません。
また、相続人や親族の口座の入金が多い場合も注意が必要です。
その入金が亡くなった人の財産を原資としていれば財産が漏れている可能性が高いので税務調査に入られやすくなります。
生前の入出金が多い場合には、相続税申告を税理士に依頼して適切に税務調査対策のされた申告書を提出すべきでしょう。
5. 生前の収入の比べ申告財産が少ない
税務署は亡くなった人の生前の収入を所得税の確定申告等により把握しています。
その把握していたあるべきの遺産規模に比較して申告額が小さい場合には税務調査に入られやすくなります。
例えば、生前の収入が5,000万円くらい毎年あったのに、相続税申告時の預金や有価証券が2,000万円程度だった場合には少なすぎると思われるでしょう。
もちろん、生前に高額な不動産等を購入したような事情があれば話は別ですが、そのような事情がないにも関わらず申告が少ないときは税務調査に発展しやすいです。
また、生前に不動産や株式を売却したにも関わらず、その売却金額に対応する預金が申告書に反映されていない場合にも税務調査に入られやすくなります。
生前の不動産や株式の売却については税務署も把握しています。
それに対応する預金があるかどうかも重要な論点なのです。
6. 家族名義の財産が多い
亡くなった人の家族名義の財産が多い場合も税務調査に入られやすいです。
もちろん、その家族が高収入で、その自身の収入を原資に蓄財されたなら問題はありませんが、普通の収入しかないのに数千万円単位でその家族名義の財産があると税務調査に入られやすいです。
何故かというと亡くなった人から資金が移動していないかと疑われるからです。
亡くなった人だけでなくその家族も過去の収入に対応する残高でない場合には名義預金等があるのではないかと疑われてしまうのです。
特に専業主婦や未成年者なのに数千万円単位で財産がある場合には要注意でしょう。
もちろん、適正な贈与がされた結果、蓄財されたものであれば問題ございません。
適正な贈与についての詳しい解説は、相続税の税務調査時に、名義預金と認定されない生前贈与の方法【4つの掟】をご参照下さい。
7. 海外の財産が多い
海外の財産は相続税申告で漏れやすい財産の一つです。
したがって、税務署も海外財産の計上漏れに目を光らせています。
亡くなった人が海外の不動産、株式、預金、ジョイントアカウント、生命保険、信託財産等を保有していた場合には他にも漏れているのではないかと疑われるため税務調査に入られやすいです。
また、相続人が海外居住の場合に、亡くなった人から海外送金等が頻繁にある場合にも税務調査に入られやすいです。
海外への送金が100万円を超えると金融機関から税務署に調書が送られるようになりましたので海外送金の情報は税務署に筒抜けになっています。
8. 亡くなる前に多額に借り入れをして不動産を購入している
一部の富裕層が財産を不動産に組み替えて相続税を節税するという手法が流行しています。
このような不動産を活用した相続税節税スキームに税務署も目を光らせています。
また、令和4年4月19日の最高裁判決で不動産を活用した節税スキームで納税者が負けた事案も存在します。
当該事案の詳しい解説は、速報!【最高裁総則6項訴訟は納税者敗訴】不動産を使った相続税の節税は今後どうなる?をご参照下さい。
この最高裁判決を受け税務署も不動産節税スキームに今まで以上に厳しい目を向けることでしょう。
亡くなる数年間で借り入れをして多額の不動産を購入している場合には税務調査に入られる可能性は高くなるため注意が必要です。
税務調査に入られないための対策
税務調査に入られやすいケースを8つに絞って解説しました。
税務調査に入られやすいケースに該当してしまった人はどのような対策をすれば良いでしょうか?
生前の場合と死亡後の場合で対策方法も限られます。
生前の税務調査対策
生前にやっておくべき税務調査対策としては、主に下記の通りです。
1. 財産、債務の棚卸し
2. 不明入出金の精査
3. 保険契約の洗い出し
4. 名義預金の精査
5. 契約書類の整理、作成
6. タンス預金の解消
7. 相続専門税理士の選定
詳しい内容は、相続税の税務調査に入られないために「生前にやっておくべきこと7選!」をご参照ください。
死亡後の税務調査対策
死亡後の税務調査対策の最たるものは、相続専門の税理士に相続税申告を依頼することです。
そして、その税理士に書面添付制度を適用して申告してもらえればより良いでしょう。
書面添付制度の詳しい解説は、書面添付制度(相続税申告)とは? メリットは税務調査対策、デメリットはある?をご参照下さい。
また、相続税申告の税理士の選び方は、【現役税理士による】相続税に強い税理士の選び方を徹底解説をご参照下さい。
なお、すでに相続税申告を提出済の場合には税務調査の立会を相続専門の税理士に依頼すべきだと思います。
相続税の税務調査の詳しい解説は、【2022年最新】相続税の税務調査をわかりやすく徹底解説!
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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。
また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。
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