換価分割をわかりやすく徹底解説

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相続法

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この記事の執筆者:角田壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズです。

相続が発生したら、相続人の確定、遺産の評価、遺産分割協議、遺産の名義変更など様々な手続きをしなければなりません。
その中でも最重要な手続きが遺産分割協議でしょう。
遺産分割の方法は、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4つの方法があります。

今回は、その中でも換価分割について、相続税の取り扱い、遺産分割協議書の書き方などをわかりやすく徹底解説します。

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1. 換価分割とは?

換価分割とは、不動産や株式などの換金可能な遺産をそのまま相続するのではなく売却して現金にした後その現金を分けるという方法です。

ちなみに、他の遺産分割の方法については、参考までに下記をご覧ください。

現物分割:遺産をそのままの状態で分割する方法で遺産分割の原則的な方法です。
代償分割:特定の相続人が特定の財産を取得した代りに代償財産を他の相続人に交付する方法です。
共有分割:遺産を複数の相続人で共有で相続する方法です。

具体例を用いてそれぞれの分割方法について確認していきましょう。

被相続人 母
相続人 長男、二男
遺産 自宅不動産 1億円
遺産分割の方針 法定相続割合(1/2)で相続

換価分割

自宅不動産を1億円で売却してその売却代金を等分に分ける方法です。
税金や諸費用がかかった場合にはそれを差し引いた残額を二人で等分に分けます。

現物分割

自宅不動産をそのまま長男と二男が半分づつ取得します。
自宅不動産を分筆して筆ごとに長男、二男が相続する方法です。

代償分割

自宅不動産を長男(又は二男)がすべて取得して、長男から二男へ代償金5,000万円を支払う方法です。
結果的に長男も二男も5,000万円相当を相続したことになります。
長男:自宅不動産1億円 - 代償金5,000万円 = 5,000万円
二男:代償金5,000万円

共有分割

自宅不動産を長男と二男が各1/2の割合で共有取得する方法です。
この共有分割は後々兄弟で揉めることも多いので実務上は避けられることが多い方法です。

遺産分割調停や審判の現場では、現物分割⇒代償分割⇒換価分割⇒共有分割の順番で調整されます。
すなわち、換価分割は、現物分割や代償分割ができない場合に採用される方法なのです。

例えば、分筆できないような土地のため現物分割ができない場合や相続人に代償金を支払う原資がないような場合には換価分割が採用されることとなります。

2. 換価分割のメリット・デメリット

換価分割のメリットとデメリットを確認していきましょう。

メリット

■公平な遺産分割ができる
■相続税の納税資金が準備できる
■相続税の節税になることがある
■所得税の節税になることがある

一つ一つ詳しく解説していきます。

■公平な遺産分割ができる

現物分割や代償分割だと公平な遺産分割にならないことが多いです。
例えば、遺産が土地のみだった場合を想定してみましょう。
現物分割の場合には、土地を二筆に分筆しますが、全く同じ土地に分けるのは不可能です。
接する道路や形が異なることもあるし、それらが同じでも駅からの距離や採光の具合を同じにはできません。

代償分割の場合には、その土地を長男が取得し、代りに二男に代償金を払うとした場合にいくら払えば公平になるでしょうか?
土地は一物四価と言われていて適正な時価が明らかではありません。また、土地を保有していたら固定資産税がかかったり、売却したら譲渡所得税もかかります。
土地の時価をどう考えるかにより代償金の金額が異なってくるため、この時価と捉え方で分割協議が長期化しますし、最終的にお互いが納得のいく結果とならないことも多いです。
したがって、本当に公平な分割は現物分割や代償分割では実現できないのです。

これに対し、換価分割では土地を売却して経費や税金を差し引いた残金を公平に分けることができるのです。土地の曖昧な時価を算定するなどの手続きは不要になるので確実に公平な分け方が可能なのです。

■相続税の納税資金が準備できる

遺産に納税資金に充てるための現預金が少なかった場合には、不動産等の遺産を換金することにより納税資金を捻出することが多いです。
その換金した現金を相続人で分ければそれは換価分割となるのです。
すなわち、換価分割は相続税の納税資金対策に有効な分割手法なのです。

■相続税の節税になることがある

換価分割により、土地の評価等で相続税の節税に繋がる可能性があります。

① 土地の評価単位
土地の評価単位は取得者ごとに評価することとなっていますので、土地を分筆するような現物分割の場合には評価単位が複数となり、地積規模の大きな宅地が適用できなる等の理由で評価額が大きくなってしまうことがあります。
換価分割の場合には、共有取得となりますので土地の評価単位が分割されることはありません。
土地の評価単位については、【相続税】土地の評価単位を徹底解説!をご参照下さい。
地積規模の大きな宅地については、地積規模の大きな宅地の評価(規模格差補正率)を徹底解説【広大地の抜本改正】をご参照下さい。

② 死亡後に売却することによる節税
不動産を生前に換価しないで亡くなった後に換価することで相続税の節税に繋がることがあります。
不動産は売却金額と相続税評価額を比べると相続税評価額のほうが小さくなるケースが多いです。
例えば、売却金額1億円で相続税評価額7,000万円の土地があったとします。
生前に売却してしまったら現金1億円(所得税が発生しなかったとします)に対して相続税がかかるのに、死亡後に売却すれば土地7,000万円に相続税がかかります。
すなわち、死亡後の売却という換価分割をすれば相続税を圧縮できるのです。
もちろん、換価分割ではなく代償分割や現物分割をしたほうが相続税の節税に繋がるケースもあります。
詳しくは、代償分割と換価分割 相続税や所得税の違いを徹底解説を参照して下さい。

■所得税の節税になることがある

換価分割は、不動産や株式を売却する遺産分割の方法ですので売却益があればそれに所得税や住民税がかかります。
換価分割にすることにより、下記のような所得税の節税ができる可能性があります。

① 総合課税となる資産を売却した場合の税率
金地金のように総合課税となる資産を売却した場合において、複数人による換価分割をしたときは、一人で売却するよりも税率面で有利になる可能性があります。
例えば、金地金を一人で相続して売却した場合に、その金地金の売却による課税所得が2,000万円だったとします。
2,000万円の所得税率は40%ですので800万円の所得税がかかります。
これに対し、相続人2人で換価分割をした場合には、課税所得1,000万円になりますので、所得税率33%になり、二人で660万円で済むことになります。

② 空き家特例を効率的に適用できる
空き家特例は相続人一人について3,000万円の控除がありますが、二人で換価分割をしたことにより合計6,000万円の控除ができる場合があります。
空き家特例の詳しい説明は、相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除(空き家特例)を徹底解説をご参照下さい。

デメリット

■親から引き継いだ財産を売却しなければならない
■相続税の負担が重くなる可能性がある
■所得税の負担が重くなる可能性がある

■親から引き継いだ財産を売却しなければならない

換価分割は不動産や株式を売却することを前提としています。
親から引き継いだ大切な財産をそのまま保有せずに手放さなければならないというのが換価分割の一番のデメリットとなります。

■相続税の負担が重くなる可能性がある

換価分割は売却前提のため申告期限までの保有継続要件のある小規模宅地の特例の適用ができなくなる場合には相続税の負担が重くなります。
売却のタイミングは専門家に相談しながら適切に進めていきましょう。
小規模宅地の特例の詳しい説明は、小規模宅地等の特例をわかりやすく解説。相続した土地にかかる相続税を最大80%減額をご参照下さい。
また、小規模宅地の特例の保有継続要件の詳しい説明は、【小規模宅地の特例】売却したら適用できない?保有継続要件の解説をご参照下さい。

また、小規模宅地の特例について、適用要件を満たす相続人と満たさない相続人がいる場合に代償分割を活用すれば小規模宅地の特例を最大限適用できるのに、換価分割にすることにより適用の効果が半減する場合などがあります。
詳しい説明は、代償分割と換価分割 相続税や所得税の違いを徹底解説を参照して下さい。

■所得税の負担が重くなる可能性がある

マイホームの3,000万控除の要件を満たす相続人と満たさない相続人がいる場合において、換価分割にしたときは、3,000万円控除の適用が限定的になるのに対し、代償分割であれば3,000万円控除の適用を効果的に受けられることもあります。

詳しい説明は、代償分割と換価分割 相続税や所得税の違いを徹底解説を参照して下さい。

なお、マイホームの3,000万控除の詳しい説明は、マイホーム(居住用財産)を売却したときの3,000万円特別控除を徹底解説をご参照下さい。

3. 遺産分割協議書の書き方

換価分割の遺産分割協議書の書き方は、下記の2通りあります。

①全員で登記する場合

遺産分割協議書

最後の住所  東京都江戸川区北小岩〇〇
最後の本籍  東京都江戸川区北小岩□□
登記簿上の住所  東京都江戸川区北小岩〇〇

 被相続人 ■■ (令和■年■月■日死亡)の遺産については、同人の相続人全員において分割協議を行った結果、各相続人がそれぞれ次の通り遺産を分割し、債務・葬式費用を負担することに決定した。

 

共同相続人全員は、下記(1)及び(2)の不動産を売却し、売却代金から仲介手数料、登記費用等売却にかかるすべての費用を控除した残金を各3分の1の割合で取得する。

(1)土地
所在   ■市■区■
地番   ■番■
地目   宅地
地積   153.63㎡

(2)建物
所在   ■市■区■ ■番地■
家屋番号  ■番■
種類   居宅
構造   木造スレート葺2階建
床面積   1階 92.42㎡
      2階 40.23㎡

前記の通り相続人全員による遺産分割の協議が成立したので、これを証するための本書を作成し、以下に各自署名押印する。
なお、本協議書に記載なき遺産・債務並びに後日判明した遺産・債務は、相続人全員で別途協議して決めるものとする。

令和3年  月  日

住所 ■
相続人 ■

住所 ■
相続人 ■

住所 ■
相続人 ■

②代表者が登記をする場合

換価分割は、換価対象の財産を取得する人全員が登記することを原則としますが、その後の売却手続き等を全員でやることが煩雑になる等の理由により、代表者一人を定めることもできます。
その場合の遺産分割協議書の書き方は下記の通り(上記3と下記赤字の部分が異なります。)です。

遺産分割協議書

最後の住所  東京都江戸川区北小岩〇〇
最後の本籍  東京都江戸川区北小岩□□
登記簿上の住所  東京都江戸川区北小岩〇〇

 被相続人 ■■ (令和■年■月■日死亡)の遺産については、同人の相続人全員において分割協議を行った結果、各相続人がそれぞれ次の通り遺産を分割し、債務・葬式費用を負担することに決定した。

 

1. 下記(1)及び(2)の不動産は、●●が取得する。

(1)土地
所在  ■市■区■
地番   ■番■
地目   宅地
地積   153.63㎡

(2)建物
所在   ■市■区■ ■番地■
家屋番号  ■番■
種類   居宅
構造   木造スレート葺2階建
床面積   1階 92.42㎡
      2階 40.23㎡

2. ●●は、上記1で取得した不動産を売却し、売却代金から仲介手数料、登記費用等売却にかかるすべての費用を控除した残金を●●、▲▲、■■が各3分の1の割合で取得する。

(以下省略)

この方法の場合に、登記簿だけ見ると売却した本人から他の相続人への売却代金の贈与になってしまわないか心配かと思います。
結論としては贈与税はかかりません。
詳しくは、国税庁HP 質疑応答事例 遺産の換価分割のための相続登記と贈与税をご参照下さい。

各方法のメリット・デメリット

全員で登記する場合と代表者が登記をする場合のメリット・デメリットを下記にまとめます。

①全員で登記する場合 ②代表者が登記をする場合
メリット ■登記と実態が即したものとなり、課税上の問題が生じない
■代表者を決めるのにトラブルにならない
■代表者一人で登記手続き、売買手続きできるため手続きがスムーズに進められる
デメリット ■登記や売買で当事者全員のサインや捺印が必要 ■長期間買い主が決まらない状況で売買できた場合には贈与税課税リスクある

4. 未分割財産を換価した場合

遺産分割の割合が決まってない状況で遺産を売却することも相続人全員の合意があれば可能です。
その場合の所得税の申告はどうすれば良いでしょうか?
分割割合が決まっていなくても所得税の申告は必要です。

この未分割財産を換価した場合の所得税の取扱いは下記の通りです。

■原則
法定相続分で譲渡所得を認識
■例外
所得税の申告期限までに分割が確定していた場合には、その取得割合で譲渡所得を認識

ちなみに、上記原則で申告の後で取得割合が後日確定したとしても所得税の更正の請求や修正申告はできませんので注意が必要です。

詳しい説明は、国税庁HP 質疑応答事例 未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告とその後分割が確定したことによる更正の請求、修正申告等をご参照下さい。

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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

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