地目の判定についてわかりやすく徹底解説

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土地評価

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズです。

相続税で土地評価をするときに最初にすべき工程は「評価単位の決定」です。
評価単位は原則として地目ごとに決定します。
すなわち、評価単位の決定で最初にすべきことは「地目の判定」なのです。

地目の判定が適切にできないと土地の評価単位を決められない。
評価単位を適切にできないと土地の評価額も適正に算出できない。
以上のことから地目の判定が非常に重要であるということをご理解いただけたかと思います。

今回は土地評価で非常に重要度の高い地目の判定についてわかりやすく徹底的に解説します。

土地の評価単位について詳しく知りたい人は、【相続税】土地の評価単位を徹底解説!をご参照ください。

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1. 地目とは?

地目とは土地の種類のことです。
土地の種類には、宅地、田、山林などがあります。この土地の種類のことを地目といいます。

一言で地目といっても手続きごとに下記のように分類することができます。

(1)登記地目
(2)課税地目
(3)現況地目

(1)登記地目

登記地目とは、不動産登記簿に記載されている地目のことです。
登記地目は、全部で下記の23種類があり不動産登記事務取扱手続準則第68条に規定されています。

(1) 田  農耕地で用水を利用して耕作する土地
(2) 畑  農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
(3) 宅地  建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地
(4) 学校用地  校舎、附属施設の敷地及び運動場
(5) 鉄道用地  鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地
(6) 塩田  海水を引き入れて塩を採取する土地
(7) 鉱泉地  鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地
(8) 池沼  かんがい用水でない水の貯留池
(9) 山林  耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
(10) 牧場  家畜を放牧する土地
(11) 原野  耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地
(12) 墓地  人の遺体又は遺骨を埋葬する土地
(13) 境内地  境内に属する土地であって、宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む。)
(14) 運河用地  運河法(大正2年法律第16号)第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地
(15) 水道用地  専ら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、ろ水場又は水道線路に要する土地
(16) 用悪水路  かんがい用又は悪水はいせつ用の水路
(17) ため池  耕地かんがい用の用水貯留池
(18) 堤  防水のために築造した堤防
(19) 井溝  田畝又は村落の間にある通水路
(20) 保安林  森林法(昭和26年法律第249号)に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
(21) 公衆用道路  一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)による道路であるかどうかを問わない。)
(22) 公園  公衆の遊楽のために供する土地
(23) 雑種地  以上のいずれにも該当しない土地

登記地目は実際の地目と異なることも多いです。
理由としては、地目を変更したときに登記の変更をしてないことが多いためです。
登記地目は畑のままなのに実際には建物の敷地である宅地というケースもよくあります。
したがって、相続税評価において登記地目は参考程度ということになります。

(2)課税地目

課税地目とは、固定資産税上の地目となります。
課税地目は、全部で下記の9種類があり固定資産税評価基準に規定されています。
(10)までありますが、(4)が削除されているため9種類です。

(1) 田
(2) 畑
(3) 宅地
(4) 削除
(5) 鉱泉地
(6) 池沼
(7) 山林
(8) 牧場
(9) 原野
(10) 雑種地

登記地目に比べると課税地目は実際の地目に合致しているケースが多いです。
固定資産税も相続税と同様に地目によって評価方法が異なるため間違えられたらたまったもんじゃないですもんね。

ただし、課税地目であっても実際の地目と異なることは稀にありますので注意が必要です。

(3)現況地目

現況地目は課税時期における実際の地目のことです。
相続税の土地評価ではこの現況地目を採用します。

相続税では現況地目を下記の9つに分けます。

(1) 宅地
(2) 田
(3) 畑
(4) 山林 
(5) 原野
(6) 牧場
(7) 池沼
(8) 鉱泉地
(9) 雑種地

固定資産税の課税地目と順番こそ異なりますが全く同じです。

各地目の信頼度をまとめると下記の順番です。

登記地目<<課税地目<<現況地目

登記地目が信頼度が一番低く、現況地目が課税時期における実際の地目です。
相続税は課税時期における実際の地目、すなわち、現況地目により評価することとなります。

登記地目と現況地目(相続税上の地目)を対比させると下記の通りです。

No 登記地目 現況地目
(相続税上の地目)
(1)
(2)
(3) 宅地 宅地
(4) 学校用地 宅地・雑種地
(5) 鉄道用地 宅地・雑種地
(6) 塩田 雑種地
(7) 鉱泉地 鉱泉地
(8) 池沼 池沼
(9) 山林 山林
(10) 牧場 牧場
(11) 原野 原野
(12) 墓地 雑種地
(13) 境内地 雑種地
(14) 運河用地 雑種地
(15) 水道用地 雑種地
(16) 用悪水路 雑種地
(17) ため池 雑種地
(18) 雑種地
(19) 井溝 雑種地
(20) 保安林 山林
(21) 公衆用道路 雑種地
(22) 公園 雑種地
(23) 雑種地 雑種地

2. 地目ごとに徹底解説

(1)宅地

建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地

宅地を判定する上で重要なポイントは、
①その土地の上に建築されている建築物が建物に該当するのか否か
②建物の敷地以外の敷地が建物の維持若しくは効用を果たすために必要な土地なのか否か
の2点になります。
一つ一つ確認していきましょう。

【ポイント①】建物とは何か?

建物の定義は不動産登記規則第111条に下記の通り規定されています。
「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。」

上記定義をまとめると建物には下記3要件があることがわかります。

①外気分断性
②定着性
③用途性

まず、外気分断性とは、屋根や壁があって雨風を防ぎ、外気から分断されている必要があるということです。屋根だけあるガソリンスタンドは家屋には該当しません。
次に、定着性は、その家屋が土地に十分定着しているかということです。コンクリートブロックの上にプレハブ倉庫を庭先に置いたとしても定着性の観点からその倉庫は家屋とは言えないでしょう。しっかり、基礎を設けて建てた建築物が家屋に該当します。
最後は、その建築物の空間で居住、作業、貯蔵、保管等の家屋としての用途に供しうるかどうかという観点です。

上記要件を満たさない建築物の敷地だと宅地には該当しません。

建物についての詳しい解説は、家屋(建物)の相続税評価額を徹底解説をご参照ください。

【ポイント②】建物の維持若しくは効用を果たすために必要な土地とは何か?

建物の敷地と接していてその建物にとって必要な土地といったらわかりやすいのではないでしょうか。
例えば、居住用建物の横にある駐車場や庭などが最たるものです。
駐車場だけ単独で存在していた場合には雑種地に該当しますが、自宅建物の居住者が使用している車の駐車場が自宅敷地内に存在すればその駐車場も宅地と考えるということです。
テニスコートやプールについても宅地に接続するものは宅地とし、単独で存在するものは雑種地となります。

(2)田

農耕地で用水を利用して耕作する土地

稲作の水田だけでなく、ワサビや蓮などの耕作地も田に該当します。
(3)の畑との違いは、用水を利用するかどうかです。
水が張っている状態であれば判断は容易ですが、休耕期の乾いた状態のときはどのように判断すれば良いでしょうか?
答えは、「畦畔(けいはん)」の有無です。

あぜ道

すなわち、あぜ道があるかどうか。
あぜ道があれば田、なければ畑ということになります。
あぜ道がないと水が流れ出してしまいますからね。

なお、水稲を収穫した後に麦などを栽培すること(裏作)がありますが、課税時期がたまたま裏作をしていたとしても、主たる用途である田と地目を判定します。

(3)畑

農耕地で用水を利用しないで耕作する土地

田は水ありきのため作物が限定されますが、畑の作物は多岐にわたります。

(4)山林

耕作の方法によらないで竹木の生育する土地

山林の詳しい解説は、山林の相続税評価を徹底解説をご参照ください。

(5)原野

耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地

(6)牧場

家畜を放牧する土地

(7)池沼

かんがい用水でない水の貯留池

(8)鉱泉地

鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地

(9)雑種地

以上のいずれにも該当しない土地

雑種地の詳しい解説は、雑種地(駐車場、資材置き場、空き地等)の相続税評価を徹底解説!をご参照ください。

3. Q&A

地目の判定で迷いそうなケースを確認していきましょう。

(1)宅地分譲用の更地(宅地 or 雑種地)

宅地分譲用更地

Answer 宅地

【解説】
宅地とは建物の敷地を原則としますが、これから建物をすぐに建てられるような整備された土地については建物の敷地でなくても宅地として判定します。
なお、建築許可が得られないような更地については原則どおり雑種地として判定します。

(2)旗竿地の通路部分(宅地 or 雑種地)

通路

Answer 宅地

【解説】
通路自体は建物の敷地ではないですが、建物の維持効用を果たすために必要な土地となりますので宅地として判定します。

(3)行き止まり私道(宅地 or 雑種地)

位置指定道路

Answer 雑種地

【解説】
宅地分譲開発に必要な行き止まり私道、いわゆる位置指定道路については雑種地として判定します。
なお、財産評価基本通達24のタイトルに宅地とあるので宅地と判定するという説もありますが、宅地とは別利用単位ですので私道単体で評価するときは雑種地と判断するのが正解だと考えてます。
私道の相続税評価の詳しい解説は、【相続税】私道の評価のパターンと路線価との関係を徹底解説をご参照ください。

(4)小屋の敷地(宅地 or 雑種地)

仮設小屋敷地

Answer ケースごとの判断

【解説】
写真の小屋が建物に該当するか、構築物に該当するかにより判断します。
建物に該当する場合には宅地、構築物に該当する場合には雑種地となります。
建物の定義については前述の通りですが、本件の場合には登記上、固定資産税上、建物として把握されていなかったため雑種地と判断しています。
なお、仮に当該小屋が構築物と判定されたとしても母屋である建物の維持効用を果たすために必要な土地であれば宅地になります。

(5)休耕地(畑 or 原野 or 雑種地)

休耕地

Answer ケースごとの判断

【解説】
畑には「現に耕作のように供されている土地」だけでなく「現に耕作のように供されてはいないが必要があれば直ちに耕作のように供することが可能な土地」も含まれます。
したがって、休耕地だからといってすぐに原野や雑種地になるとは限りません。
休耕地については、下記の状況を総合的に考慮して地目の判定をすることとなります。

・休耕の期間
・休耕としている経緯
・土壌の状況
・周囲の状況
・固定資産税の課税地目とその根拠
・農業委員会での取り扱い等

参考:国税庁HP 質疑応答事例 土地の地目の判定-農地

(6)農機具小屋敷地(宅地 or 畑)

農機具小屋

Answer 

【解説】
写真の農機具小屋であれば外気分断性、定着性の観点から建物には該当しませんので畑の一部と考えます。
仮に農機具小屋が建物に該当する場合にはその敷地は宅地になります。
なお、農用地区域や市街化調整区域に存する農機具小屋の敷地は宅地に該当しても農業施設用地として農地並の評価をします。

4. まとめ

地目の判定について解説してきましたが、税理士は地目判定のプロではありません。
下記国税庁質疑応答事例に記載のあるように地目は不動産登記事務取扱手続準則第68条及び第69条に準じて判定します。
国税庁HP 質疑応答事例 土地の地目の判定

不動産登記事務取扱手続準則のプロは、「土地家屋調査士」という専門家です。
私も地目の判定で悩ましい論点があれば知り合いの土地家屋調査士に相談します。
地目の判定に詳しくなりたい人は下記のような土地家屋調査士の教科書を確認してきてください。
公益社団法人全国国土調査協会HP

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