相続税の税率と早見表をわかりやすく解説!【2022年最新版】

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさん、こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

相続税がどのくらいの割合でかかってくるのか気になりますよね。
税金がどのくらいの割合でかかるかは、税率で判断します。

よく相続税で遺産のうち半分以上は税金で持っていかれるというのを聞いたことがあると思います。
その理由は相続税の最高税率が55%だからなのです。
しかし、実際は遺産が1億円あっても相続税として納める割合は3%前後(相続人に配偶者がいる場合)です。

最高税率と実際に負担すべき税率にこんなにも差があるのには相続税の計算方法が関係してきます。

今回は、相続税の税率について、徹底的にわかりやすく解説します。

動画で知りたい人は下記YouTubeから、テキストで確認したい人はこのままスクロールして一番最後までお読みください!

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相続税の税率

下記表は国税庁HPに掲載されている相続税の税率表です。

相続税の税率

ずばり、相続税の税率は、10%~55%となります。

遺産の総額が1億円だとしたら上記表に当てはめて税率が30%なので相続税は3,000万円となるでしょうか?

みなさん、安心してください。相続税はそこまで負担は重くないです。
実際の相続税の負担は次に紹介する早見表で確認してみてください!

相続税早見表

相続税の負担は、配偶者の有無や子供の人数によって大きく異なります。
結論としては、下記の法則が成り立ちます。

□ 配偶者がいる場合のほうが税負担が軽い
□ 子供の人数が多いほうが税負担が軽い

それでは、相続財産の大きさ、家族構成に応じた相続税の負担を早見表により確認していきましょう。

配偶者がいる場合(一次相続)の相続税早見表

相続税早見表(配偶者あり)
相続税額の右側の実効税率という部分をご確認ください。
実効税率は「実際の相続税/相続財産合計額」の算式で計算されているため本来の意味での相続税負担割合がわかります。
この実効税率が本来の意味での相続税の税率となります。一番最初に確認いただいた税率表は表面税率であり実際の相続税負担がわかる税率ではありません。

驚かれた方もいるかも知れませんが、先程の税率表だと1億円で30%でした。
しかし、上記の早見表だと1億円の場合、3%前後なのです。3億円でも10%前後です。
相続税の負担とはそんなものなのです。

続いて、配偶者がいない場合(二次相続などの場合)についても確認していきましょう。

配偶者がいない場合(二次相続)の相続税早見表

相続税早見表(配偶者なし)

配偶者がいない場合の特徴としては、子供の数により相続税の負担が大きく異なるという点です。
例えば、1億円の場合で確認してみると子供が1人の場合の実効税率は12.2%、子供が3人の場合の実効税率は6.3%となっていて税負担が倍くらい違うのです。

なぜ、子供の人数によって税負担がここまで変わってくるのか、それは相続税の計算方法に秘密があるのです。
この後詳しく相続税の計算方法を解説していきます。

相続税の計算方法

相続税は、遺産の総額に直接上記税率表の税率を乗じるわけではなく、いくつかの計算過程を経る必要があります。
相続税の計算の流れを具体例に基づき数字を使って解説します。
【具体例】
被相続人 父
相続人 母、長男、長女
遺産の総額 1億円
遺産分割 母 6,000万円、長男 2,000万円、長女 2,000万円

① 相続人の取得額を集計(課税価格の合計額)

まずは、相続人それぞれが取得した財産を合計します。
6,000万円(母)+2,000万(長男)+2,000万(長女)=1億円
遺産の総額が1億円ってわかっているんだからわざわざ相続人の取得額を集計する必要がないじゃないか!と思われるかもしれませんが、実はこの計算過程は重要なのです。
例えば、長女が制限納税義務者で、長女の取得した財産が国外財産だったらどうなるでしょう?
遺産の総額は1億円と変わりませんが、課税価格の合計額は長女取得分は含めませんので8,000万円となるのです。
すなわち、この相続人ごとの集計を軽んじて駄目なのです。

② 基礎控除を差し引く(課税遺産総額)

課税価格の合計額1億円から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引きます。基礎控除については、「【相続税申告の基礎知識】基礎控除と法定相続人について詳しく解説します」に詳しく解説してあるため参照してください。

1億円-4,800万円=5,200万円

③ 法定相続分で按分(法定相続分に応ずる取得金額)

課税遺産総額5,200万円をそれぞれの法定相続分で按分します。

■ 母
5,200万円×1/2=2,600万円
■ 長男、長女
5,200万円×1/4=1,300万円

④ 税率を乗じる(相続税の総額)

ここで初めて最初に見た税率表が登場します。
それぞれの相続人ごとに税率を乗じます。

■ 母
2,600万円×15%ー50万円=340万円
■ 長男、長女
1,300万円×15%ー50万円=145万円
■ 相続税の総額
340万円(母)+145万円×2(長男、長女)=630万円

ここまでの流れを図解すると下記の通りです。

相続税計算過程

⑤ 相続人ごとの相続税

相続税の総額が630万円と算出されました。
この後に実際に相続人が取得した割合に応じて相続人ごとの相続税を計算します。

■ 母
630万円×6,000万円/1億円=378万円

母は配偶者に該当しまして、配偶者の場合には、法定相続分又は1億6,000万円までは相続税がかからないという配偶者の税額軽減という特例が存在します。
配偶者の税額軽減の詳しい解説は、「相続税の配偶者控除(配偶者の税額軽減)で税額を抑える方法【注意点も合わせて解説】」を参照してください。
また、配偶者の税額軽減以外にも相続税の税額控除があります。
詳しくは、相続税の税額控除と2割加算を参照してください。

■ 長男、長女
630万円×2,000万円/1億円=126万円

結果として、具体例の場合の相続税は、長男126万円、長女126万円の合計252万円となりました。
最初に税率30%で3,000万円に驚いたと思いますが、実際には税率は2.52%で済みました。

次の項で、この税率30%と2.52%の仕組みについて説明します。

限界税率と実効税率

税率の考え方には「限界税率」「実効税率」という二つの考え方があります。
わかりやすいように下記の事例で考えてみましょう。

被相続人 母
相続人 長男のみ
遺産総額 1.36億円

この場合の相続税は、(1.36億円-3,600万円(基礎控除))×30%(税率)-700万円(控除額)=2,300万円
限界税率とは、上記の30%を指します。
実効税率とは、2,300万円÷1.36億円=16.9%と計算します。
相続税がどのくらいかかりますか?という問いには実効税率でお答えしたほうが的確だと思います。
参考として、相続税の実効税率一覧表を掲載します。
なお、配偶者ありの各相続税の金額は、法定相続分で分割した前提で計算しております。

相続税早見表実効税率表

ちなみに、税務調査で指摘されて追加で相続税がかかる場合の税率は限界税率にて計算するというのもご理解いただけますよね。

また、この限界税率と実効税率は生前贈与の金額を決める際にも参考になります。
生前贈与した財産は相続税の限界税率を乗じた金額を減らす効果があります。
贈与税については実効税率で考えるのです。

例えば、上記の事例で、生前贈与の損益分岐点を求めてみましょう。
上記事例の場合、基礎控除を控除した金額が5,000万円を下回らなければ相続税の限界税率は30%となります。

■ 300万円の贈与
贈与税の実効税率
(300万円-110万円(基礎控除))×10%=19万円
19万円÷300万円=6.3%

相続税の限界税率30%>6.3%であるため、300万円の生前贈与のほうが明らかに有利

■ 500万円の贈与
贈与税の実効税率
(500万円-110万円(基礎控除))×15%-10万円=48.5万円
48.5万円÷500万円=9.7%

相続税の限界税率30%>9.7%であるため、500万円であっても生前贈与のほうが有利

■ 1,000万円の贈与
贈与税の実効税率
(1,000万円-110万円(基礎控除))×30%-90万円=177万円
177万円÷1,000万円=17.7%

相続税の限界税率30%>17.7%であるため、1,000万円であっても生前贈与のほうが有利
ただ、177万円も税金を払うのはもったいないので、お母様の余命に余裕があるようならば100万円を10年すれば、1,000万円の贈与を実現できます。

■ 3,000万円の贈与
贈与税の実効税率
(3,000万円-110万円(基礎控除))×45%-265万円=1035.5万円
1035.5万円÷3,000万円=34.5%

相続税の限界税率30%<34.5%
ここでやっと贈与税の実効税率が相続税の限界税率を超過しました。
ただ、実際には3,000万円を暦年贈与で実行するのはとても非現実的なので1,000万円の贈与でも解説したように、もう少し小さい金額を長い年月を掛けて、贈与すべきです。

このように、生前贈与は、相続税の限界税率、贈与税の実効税率、将来の贈与可能年数等を総合的に鑑みて金額を決めるべきなのです。

参考までに贈与税の実効税率と相続税の限界税率も一覧にして載せておきます。
贈与税実効税率一覧
※18歳以上の子・孫が親・祖父母から贈与を受けた場合の実効税率となります。

相続税限界税率一覧

暦年贈与と精算課税の有利判定の解説は、暦年贈与と精算課税はどちらが有利? フローチャートで解説!をご参照ください。

相続税の税額控除と2割加算

各相続人の相続税を計算した後に、各相続人に下記の税額控除を適用します。

税額控除だけなら嬉しいのですが、配偶者や一親等の親族以外には2割加算も用意されてます。
2割加算については、相続税の2割加算について徹底解説!を参照してください。

また、税額控除については「相続税の税額控除をわかりやすく解説。相続人の税額から一定額を差し引く制度」で詳しく解説しています。

■関連記事:相続税の計算方法ガイド【5ステップでわかりやすく解説】

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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

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