正しい流れを理解しミスを回避!相続不動産売却の流れ8つのステップ

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相続不動産

「相続した不動産を売却する場合、いつ何をすればいいのだろう・・・?」
「現金化できるまでどれくらいの時間がかかるのだろう・・・?」
「後々トラブル等にならないために何か注意点はあるのだろうか・・・?」
あなたは相続した不動産の売却について、このような事に不安を感じているのではないでしょうか?

相続不動産を売却する場合には、特有の論点や、通常とは異なる手順が存在します。
一つ間違えると、税負担が余計にかかったり、売却がスムーズに進められないといったリスクも発生するため注意しなければなりません。

そこで今回は相続不動産売却の流れについて、徹底的に分かりやすく解説しました。

この記事を読めば、相続不動産売却の流れをしっかりと理解できるようになりますので、ぜひお役立てください。

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1.相続不動産売却時の流れ 8つのステップ

売却手続き流れ図

相続不動産売却時の流れにおいて、赤枠部分の6つのステップについて解説します。いつ、何をしなければならないのかをまとめましたので、ぜひご覧ください。

2.遺産分割協議において分割方法と名義人を定める

 

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相続不動産売却の流れの中で、この遺産分割協議が最も重要であると言えます。分割方法をどうするかによって、売却時にかかる税金額も大きく変わる可能性があります。一度定めた協議内容を変更することは相続人全員の同意が必要である等、現実的に難しい場合も多いので、税理士等の専門家を交えて慎重に協議することをお薦めします。

2-1.遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分割について協議を行うことです。「相続人全員による協議であること」が必須であり、1人でも欠けていると協議結果は無効となります。

2-2.分割方法を定める

遺産分割の方法には、以下4つのパターンが存在します。

内容 詳細解説URL
代償分割 特定の人が不動産を取得し、その対価(代償金)を他相続人に支払う
換価分割 不動産を売却し、相続人間で売却代金を分ける
現物分割 複数の不動産を相続人間で分ける
共有 1つの不動産を共同で所有する

どの分割方法が適しているかは、不動産の個別性・税金面・相続人皆様のご意向等によっても様々なので、税理士等の専門家を交えて話を進めた方が良いでしょう。

2-3.名義人は出来る限り1人にする

相続不動産の分割方法が決まり、売却の方向で話を進めるのであれば、当該不動産の名義人は出来るだけ1人にしましょう。1人にすることで、売却に関する負担を大幅に軽減できます。
不動産の取引においては、名義人様の数だけ必要書類を取寄せて頂いたり、多くの書類に署名・捺印が必要になります。名義人様が多ければ多いほど、事務作業の負担が増え、手続きも進めにくくなります。

2-4.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議で合意した事項を「遺産分割協議書」として書類に残します。遺産分割協議書の作成については、以下記事にて詳しく解説しておりますので、ご参照くださいませ。

遺産分割協議書の書き方をわかりやすく徹底解説|相続財産の種類別で紹介

3.売却活動を行う

 

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遺産分割協議書が整ったら、売却活動を開始します。売却活動開始の手順は以下の通りです。

3-1.不動産会社に査定を依頼する

主に以下2つの方法により査定を依頼します。査定を行うことで適正な時価を把握し、販売開始価格や成約想定価格を判断します。

① 一括査定サイトの利用
一度の査定依頼で複数社から査定額を提示してもらえるサイトです。
手続きは簡単で、査定をしたい不動産情報やお客様情報を入力するだけで手続き可能です。
代表的な一括査定サイトは以下の通りです。

サイト名 同時査定依頼数 対応エリア 特徴
イエウール 6社 全国 地方にも精通
すまいステップ 4社 全国 優良企業を厳選
すまいValue 6社 全国 大手仲介会社が中心

② 不動産会社に個別依頼する
査定を依頼する不動産会社をご自身で選定し、各社に直接査定依頼をする方法です。無料であることが一般的です。上記の一括査定サイトよりも、依頼先数の分だけ情報を伝えなければならないといった手間は掛かりますが、ご自身のお好みで対応会社を選べる点はメリットであると思います。

■査定依頼時のワンポイントアドバイス■
上記2つの依頼方法の内、お薦めは「不動産会社に個別依頼」することです。
なぜなら一括査定サイトに比べ、適正な時価の把握がしやすいからです。
簡単に申し上げると、一括査定サイトは適正な時価を大きく超える高値査定の提示に偏りがちで、不動産会社個別依頼の場合は、適正な時価に基づく査定価格を提示されるケースが見受けられます。
この件に関する詳細は以下記事の第一章でも解説してますので、より詳しく確認されたい方はご覧ください。
相続不動産の売却査定方法が分かる!正しい査定依頼の仕方

3-2.不動産会社を選び売却を依頼する

査定を依頼した不動産会社の中から実際に売却を依頼する会社を選びましょう。
単純に高い査定額を提示した会社に依頼するのではなく、査定のやり取りの中で「信用出来ると感じた人」を選ぶと良いでしょう。
■信用できる営業社員の特徴■
・クイックレスポンス
・査定価格に納得できる根拠がある
・会話内容に矛盾がない
・販売戦略まで考えている・・等
キーワードは【早い・正確・やる気がある】です。

3-3.販売開始価格や販売方法を決定し売却活動を開始する

不動産会社が決まったら、販売開始価格や販売方法等について打ち合わせを行い、いよいよ売却活動を開始します。
以下のような希望があれば、事前に不動産会社の担当者に伝えておくと良いでしょう。
・早期現金化の希望(売却完了時期の希望)・・・すぐにでも現金化されたい場合、通常売却ではなく買取専
門の不動産会社への紹介が有効的なケースもあります。現金化ご希望時期によって営業手法も変わります。
・多少時間がかかっても高値を追求したい・・・一般的には不動産会社は3ヵ月以内に売却出来るスケジュ―
ルで販売開始価格等を提案しますので、もっと長期間で計画出来る場合はご提案内容も変わります。
・ネット掲載等は控えたい・・・一般的には複数のインターネットサイトに物件情報を掲載し、幅広く集客活
動を行います。あまり情報を拡散したくない場合等はあらかじめ伝えておきます。

4. 売買契約を締結する

 

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希望条件を満たす購入者が現れたら、売買契約の締結に進みます。契約当日の流れや必要書類は以下の通りです。

4-1.売買契約当日の一般的な流れ

不動産会社の事務所等に、名義人様(売主様)・買主様・仲介会社担当者が一堂に会し、以下①~⑤の流れで手続きします。

① 重要事項説明
② 売買契約書説明
③ 各書類署名捺印
④ 手付金授受・領収証手交
⑤ 解散

■売買契約締結時のワンポイントアドバイス■
売買契約書の内容を事前に確認させてもらいましょう。多くの不動産会社では、お客様からのご希望がない限り、事前説明は省略しがちです。契約当日になって初めて説明を受けた重要な事があっても、当日内容変更を求めることはし辛いと思います。また、相続不動産売却において【空家の3,000万円控除】を適用される方は多いですが、その場合は契約書の文言についても、税務的な観点からチェックしておいた方が無難なため、税理士にも見てもらえるとベストです。

空き家の3,000万控除の詳しい解説は、相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除(空き家特例)を徹底解説をご参照ください。

4-2.売買契約時の必要書類

売買契約時には主に以下の書類等が必要になります。直前で慌てることの無いように、事前に確認しておきましょう。

・印鑑証明書(契約日より3ヵ月以内に発行のもの)
・遺産分割協議書
・ご実印
・お認印
・写真付身分証明書

5. 相続登記(名義変更)を行う

 

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5-1.相続登記とは

不動産の所有者を被相続人から相続人に名義変更を行う手続きです。登記手続きを行わないと、この後のステップ「決済引き渡し」が出来ませんので、必須の手続きとなります。法務局申請後、登記完了までは目安1週間~2週間かかります。なお、相続登記を行うことにより新たな名義人となる相続人に不動産取得税は課されませんが、登記時の登録免許税は発生します。

5-2.相続登記の手続き方法

① 司法書士に依頼する
費用が掛かっても手間暇掛けたくない・時間を掛けたくないといった方は司法書士に依頼しましょう。司法書士報酬は一般的に6万円~10万円となっております。
② 自分で行う
相続登記は自分で行うことも可能です。日中動ける時間があり、時間的余裕があるような方は自分で行うことも検討されてみても良いかもしれません。自分で行うことで、司法書士報酬が節約出来ます。
なお、司法書士に依頼する場合も、自分で行う場合も登録免許税(原則、固定資産税評価額×0.4%)は等しく掛かります。

6. 決済引渡しを行う

 

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一般的には、契約締結後約2か月~3か月後に決済・引渡しを行います。
決済・引渡しをすることで、売買代金全額の支払いを受け、不動産の名義人が買主に移転します。

6-1.決済引渡しまでに必要な主な手続き

取り組み事項 対象者 作業期間 備考
①確定測量 該当者のみ 2ヵ月前後 隣地が国有地の場合等、半年以上掛かることも
②室内の家具家電等の撤去 該当者のみ 1-2日 骨董品やブランド品等は買取ってもらえることもある
③建物解体 該当者のみ 20日前後 アスベスト含有等により高額になるケースもある

① 確定測量
確定測量とは、土地家屋調査士等の資格者により、隣地所有者立ち合いのもと境界線や境界点の合意・確認を行う測量作業です。土地・戸建の取引時には、確定測量の実施を購入条件とする買主様が一般的です。実施しないことを条件にすることも出来ますが、価格低下に繋がるケースが一般的です。
② 室内の家具・備品等の撤去
骨董品やブランド家具等、換金出来るものは古物商免許を持っているような業者に買い取ってもらい、残った不用品を処分してもらいます。なお、骨董品等の買取も不用品処分も1社でまとめて対応してくれる会社も多くあります。
③ 建物解体
売買条件の定めにより、建物解体が必要な場合は解体業者に解体を依頼します。なお、解体後に建物滅失登記を完了するところまでが条件として設定されるケースが多いです。その場合、解体後・滅失登記を申請し、約10日で登記が完了します。
※建物滅失登記・・・建物が無くなったことを法務局に申請し、現在ある建物の登記簿を除去する登記。

6-2.決済引渡し当日の一般的な流れ

買主指定の場所(一般的には購入資金の借入先銀行)に、名義人様(売主様)・買主様・仲介会社担当者・司法書士が一堂に会し、以下①~⑤の流れで手続きします。

① 司法書士による登記必要書類の確認
② 融資実行
③ 残代金等の支払い
④ 着金確認
⑤ 解散(解散後、司法書士が登記申請を行う)

6-3.決済引渡し時の必要書類

決済引渡し時には主に以下の書類等が必要になります。当日になって必要書類不足で手続きが出来ない場合、関係者全員に大変な迷惑をかけてしまうので、事前にきちんと確認しましょう。

・印鑑証明書(決済日より3ヵ月以内に発行のもの)
・登記識別情報通知
・ご実印
・お認印
・写真付身分証明書
・物件の鍵関係
・着金確認が取れるもの

※登記識別情報通知・・・昔でいう不動産の権利証。相続登記が完了すると、この登記識別情報通知が法務局から発行されます。

7. 確定申告を行う

 

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契約日又は決済引渡し日の翌年(2月16日~3月15日)に原則、確定申告を行います。
これは、不動産売却で利益が出た場合の「譲渡所得税」の申告です。
譲渡所得を計算する際に、売却した不動産を元々いくらで購入したかが分かる書類(売買契約書等)があると税務上有利になるケースがありますので、探しておきましょう。

譲渡所得の計算方法、取得費、譲渡費用等の詳しい解説は、下記コラムをご参照ください。

土地建物を売ったときの税金(譲渡所得)の計算方法を徹底解説
取得費(譲渡所得)をわかりやすく徹底解説!
相続税の取得費加算の特例をわかりやすく徹底解説
【不動産の譲渡費用一覧】これって該当する?しない?

8. まとめ

相続不動産売却における流れについて解説しました。予め流れを把握しておくことで、相続不動産売却をスムーズに実行でき、余計な税負担が増えたり、手間が増えたりといったミスを回避することが出来るようになります。
特に今回解説した流れの中で、一番最初の【遺産分割協議】において定める内容は非常に重要です。
どのように不動産を分割するかで、税負担が大きく異なったり、その後の売却における負担も大きく異なります。そして一度定めた遺産分割の協議内容は容易に取り消すことが出来ません。相続人全員が納得し、スムーズに相続不動産の売却を実現するためにも、遺産分割協議の段階から、税金や不動産に詳しい専門家に相談するのが良いでしょう。

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この記事の執筆者:宮尾 香輔

宅地建物取引士
相続不動産専門の株式会社トゥモローズの取締役
ベンチャー企業、大手仲介会社、信託銀行を経て株式会社トゥモローズの立ち上げに参画。
物件種別問わず幅広い取り扱い経験があるほか、業界の内情にも精通しています。

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